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危険なのは「ズキズキ脈打つ頭痛」「突然バットで殴られたような頭痛」どっち?【医師解説】

 公開日:2026/05/15
危険なのは「ズキズキ脈打つ頭痛」「突然バットで殴られたような頭痛」どっち?【医師解説】

危険なのは「ズキズキ脈打つ頭痛」「突然バットで殴られたような頭痛」どっち?メディカルドック監修医がそれぞれの頭痛で考えられる病気も解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(医師)

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【経歴】
医師、医学博士。
福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長、東京予防クリニック院長を歴任。現在は神宮前統合医療クリニックなどで脳機能向上、認知症予防を中心に診療している。
【資格・所属】
日本脳神経外科学会専門医
日本脳卒中学会専門医
日本抗加齢医学会専門医
日本健康経営専門医

「ズキズキ脈打つ頭痛」がする原因

「ズキズキ脈打つ頭痛」がする原因

「ズキズキ」と心臓の拍動に合わせるように痛む頭痛は、拍動性頭痛と呼ばれます。拍動性の痛みは片頭痛でよくみられますが、すべてが片頭痛とは限りません。
かつて片頭痛は「血管が広がることで起こる」と説明されることが多くありました。しかし現在では、血管だけでなく、三叉神経、CGRPという神経ペプチド、脳の過敏性などが複雑に関わると考えられています。

三叉神経への刺激

片頭痛の発症には、三叉神経血管系と呼ばれる仕組みが関係しています。三叉神経は、顔や頭の感覚に関わる神経です。
何らかの刺激で三叉神経が活性化すると、CGRPなどの神経ペプチドが放出され、痛みや炎症反応に関わると考えられています。近年は、このCGRPを標的にした片頭痛治療薬も使われるようになっています。
つまり、片頭痛は単なる「血管の拡張」ではなく、神経の過敏性や痛みの伝達が関わる病気です。

セロトニンの変動

セロトニンは、片頭痛の発症や治療に関係する神経伝達物質の一つです。以前は、セロトニンの変動によって血管が収縮・拡張し、片頭痛が起こると説明されていました。
現在では、片頭痛は血管の収縮や拡張だけでは説明できないと考えられています。ただし、セロトニン系はトリプタン製剤などの片頭痛治療薬の作用にも関係しており、片頭痛の病態理解において重要な要素の一つです。

女性ホルモンの分泌量の変化

女性では、月経周期に関連して片頭痛が悪化することがあります。特に月経前後にエストロゲンが変動することで、頭痛が起こりやすくなる人がいます。
毎月同じ時期に強い頭痛が出る場合は、月経関連片頭痛の可能性があります。生活に支障がある場合は治療対象になるため、頭痛ダイアリーをつけて医療機関で相談するとよいでしょう。

脳の過敏性

片頭痛を起こしやすい人では、光、音、におい、睡眠不足、ストレス、空腹、天候の変化などに脳が敏感に反応しやすいと考えられています。
強い日差し、騒音、人混み、香水のにおいなどがきっかけで頭痛が起こることがあります。また、平日の緊張から解放された週末に頭痛が出る、いわゆる週末頭痛がみられることもあります。

脳血管の炎症

血管そのものに炎症が起こる病気でも、頭痛が起こることがあります。代表的なのが巨細胞性動脈炎です。
巨細胞性動脈炎は、50歳以上で注意が必要な病気です。こめかみの痛み、頭皮の痛み、噛むとあごがだるくなる症状、視力低下などを伴うことがあります。特に視力の異常を伴う場合は、失明につながることもあるため、早急な診断と治療が必要です。

「突然バットで殴られたような頭痛」がする原因

「突然バットで殴られたような頭痛」がする原因

突然バットで殴られたような頭痛は、医学的には雷鳴頭痛と呼ばれるタイプの頭痛に相当します。雷鳴頭痛は、突然始まり数秒から1分以内に痛みがピークに達する激しい頭痛です。
このような頭痛では、くも膜下出血、脳動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群など、命に関わる病気をまず除外する必要があります。

脳動脈瘤の破裂

最も警戒すべき原因の一つが、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血です。脳動脈瘤とは、脳の血管の一部がこぶのように膨らんだものです。
これが破裂すると、脳を包む膜のすき間に血液が流れ込み、突然の激しい頭痛が起こります。「今まで経験したことがない頭痛」「一瞬でピークに達する頭痛」と表現されることが多く、吐き気、嘔吐、意識障害を伴うこともあります。

脳血管の急激なけいれん

可逆性脳血管攣縮症候群も、雷鳴頭痛の原因になります。これは、脳の血管が一時的に強く収縮する病気です。
入浴、排便、性行為、運動、強いストレス、血管収縮作用のある薬剤などがきっかけになることがあります。数日から数週間の間に、激しい頭痛を繰り返すことが特徴です。
初期の検査では異常がはっきりしないこともあるため、症状の経過を含めた判断が重要です。

脳血管が裂けること

脳や首の血管の壁が裂ける動脈解離でも、突然の頭痛や首の痛みが起こります。特に椎骨動脈解離では、後頭部から首にかけて強い痛みが出ることがあります。
最初は頭痛だけでも、その後にめまい、ふらつき、ろれつが回らない、手足のしびれや麻痺など、脳梗塞の症状が出ることがあります。首を急に動かしたあとに起こることもありますが、明らかなきっかけがない場合もあります。

極端な血圧の上昇

極端な血圧上昇によって、脳の血流調節がうまく働かなくなり、頭痛、意識障害、けいれん、視力障害などが起こることがあります。
強い頭痛に加えて、意識がぼんやりする、けいれんする、視界がかすむ、手足が動かしにくいなどの症状がある場合は、緊急性が高いと考えてください。

危険なのは「ズキズキ脈打つ頭痛」「突然バットで殴られたような頭痛」どっち?

危険なのは「ズキズキ脈打つ頭痛」「突然バットで殴られたような頭痛」どっち?

結論から言うと、より危険なのは「突然バットで殴られたような頭痛」です。
理由は、くも膜下出血など命に関わる病気が隠れている可能性があるためです。特に、突然始まり、数秒から1分以内に痛みがピークに達する頭痛は、危険な頭痛として扱う必要があります。
一方で、ズキズキ脈打つ頭痛の多くは片頭痛ですが、すべてが安全とは限りません。次のようなサインがある場合は、二次性頭痛を疑います。
50歳以降に初めて出た頭痛、いつもと違う頭痛、発熱、首の硬さ、手足の麻痺、ろれつが回らない、視力低下、妊娠中・産後、がんや免疫低下がある人の頭痛、極端な高血圧を伴う頭痛などです。
大切なのは、「ズキズキかどうか」だけではなく、「初めて」「突然」「今までと違う」「ほかの症状を伴う」というサインを見逃さないことです。

「ズキズキ脈打つ頭痛」で考えられる病気

「ズキズキ脈打つ頭痛」で考えられる病気

拍動性の頭痛では、まず片頭痛が代表的ですが、ほかの病気が隠れていることもあります。繰り返す頭痛であっても、痛み方が変わった場合や症状が強くなった場合は、医療機関で相談することが大切です。

片頭痛

片頭痛は、ズキズキ脈打つ頭痛の代表的な病気です。中等度から重度の痛みで、歩く、階段を上るなどの日常動作によって悪化しやすいのが特徴です。
吐き気、嘔吐、光や音への過敏を伴うこともあります。頭痛の前に、キラキラした光が見える、視野が欠けるなどの前兆が出る人もいます。
治療には、発作時に使う急性期治療薬と、発作を減らす予防薬があります。近年はCGRP関連薬など、新しい治療選択肢も増えています。

薬剤使用過多による頭痛(薬物乱用性頭痛:MOH)

痛み止めを使いすぎることで、かえって頭痛が慢性化することがあります。薬剤使用過多による頭痛は、もともと片頭痛などがある人に起こりやすい頭痛です。
目安として、頭痛が月15日以上あり、鎮痛薬やトリプタンなどを月10〜15日以上、3か月を超えて使用している場合に疑います。毎日のように頭痛があり、薬を手放せない場合は、自己判断で薬を増やさず、頭痛を専門とする医師に相談しましょう。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、頭全体を締め付けられるような痛みが典型です。片頭痛のような拍動性の痛みとは異なりますが、患者さんによっては「ズキズキする」と感じることもあります。
肩こり、長時間のデスクワーク、眼精疲労、ストレスなどが関係します。ただし、いつもの緊張型頭痛と違う痛みが出た場合は、別の病気がないか確認が必要です。

「突然バットで殴られたような頭痛」で考えられる病気

「突然バットで殴られたような頭痛」で考えられる病気

突然発症し、短時間でピークに達する頭痛では、まず危険な二次性頭痛を除外することが重要です。自己判断で鎮痛薬を飲んで様子を見るのは危険な場合があります。

くも膜下出血

くも膜下出血は、このタイプの頭痛で最も注意すべき病気の一つです。突然始まり、すぐにピークに達する激しい頭痛が特徴です。
吐き気、嘔吐、意識障害、けいれんを伴うこともあります。数日前に突然の強い頭痛が先行することもありますが、その場合も「様子を見る」のではなく、すぐに救急受診が必要です。

脳動脈解離

脳動脈解離は、脳や首の血管の壁が裂ける病気です。後頭部や首の片側に、突然強い痛みが出ることがあります。
発症直後は頭痛だけでも、その後に脳梗塞やくも膜下出血を起こすことがあります。急な頭痛に首の痛みが重なる場合は、特に注意が必要です。

可逆性脳血管攣縮症候群

可逆性脳血管攣縮症候群では、激しい頭痛を数日から数週間の間に繰り返すことがあります。入浴、排便、運動、性行為、強い感情の変化などがきっかけになることもあります。
初期のCTやMRIで異常が目立たないこともあるため、「検査で異常がない」と言われても、雷鳴頭痛を繰り返す場合は再評価が必要です。

「危険な頭痛の見分け方」についてよくある質問

「危険な頭痛の見分け方」についてよくある質問

ここまで危険な頭痛の見分け方について紹介しました。ここでは「危険な頭痛の見分け方」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

くも膜下出血を疑う頭痛の特徴について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

くも膜下出血を疑う頭痛の特徴は、突然発症し、数秒から1分以内に痛みがピークに達することです。「バットで殴られたような痛み」「人生で最も強い頭痛」と表現されることもあります。
吐き気、嘔吐、意識障害、けいれん、首の硬さを伴うこともあります。これらの症状がある場合は、迷わず救急車を呼び、救急外来を受診してください。

まとめ 「突然」「いつもと違う」頭痛は迷わず医療機関を受診しましょう

危険な頭痛を見分けるうえで大切なのは、「ズキズキするかどうか」よりも、「突然始まったか」「今までと違うか」「神経症状や発熱、視力障害を伴うか」です。
原則として、「突然バットで殴られたような頭痛」は危険度が高く、くも膜下出血などの脳血管の病気をまず除外する必要があります。
一方で、ズキズキ脈打つ頭痛でも、50歳以降に初めて出た頭痛、こめかみの痛み、視力低下、極端な高血圧、手足の麻痺やろれつが回らない症状を伴う場合は、危険な二次性頭痛の可能性があります。
頭痛はありふれた症状ですが、命に関わるサインであることもあります。「いつもと違う」「突然で激しい」「ほかの症状を伴う」と感じたら、我慢せず医療機関を受診しましょう。

「危険な頭痛」と関連する病気

「危険な頭痛」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳神経外科・脳血管系の病気

命に関わる危険な頭痛は、脳の血管事故や腫瘍、感染症など、脳そのものに構造的な異常が起きているサインです。

「危険な頭痛」と関連する症状

「危険な頭痛」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 突然発症した強烈な頭痛
  • 手足のしびれ・麻痺
  • 言葉の出にくさ・ろれつが回らない
  • 激しい嘔吐・吐き気
  • 意識が遠のく・ぼーっとする
  • ものが二重に見える・視力低下
  • 高熱を伴う頭痛
  • 早朝に強く次第に悪化する痛み

単なる「いつもの頭痛」ではない、神経症状や急激な発症を伴う頭痛は、迷わず医療機関を受診すべき警告サインです。

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