「心房細動」を予防する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?医師が徹底解説!

心房細動に良い食べ物とは?Medical DOC監修医が心房細動を予防する可能性の高い食べ物・発症のリスクを上げやすい食べ物・発症した際に食事で気をつけるべきポイント・心房細動予防のために大切な生活習慣などを解説します。

監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
目次 -INDEX-
「心房細動」とは?
心房細動は、よくみられる不整脈の一つで、心房の異常な電気信号によって脈が不規則になります。自分で脈を測ると、リズムの乱れに気づきやすいことが多いです。特に高齢者に多く、高血圧や心臓病、過度のアルコール摂取が主な原因となります。この状態が続くと、血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが高まるため、血液をサラサラにする抗凝固療法が重要になります。
心房細動を予防する可能性の高い食べ物・飲み物
心房細動を予防するためには、心筋の働きを安定させる食べ物や飲み物を意識して摂取することが大切です。さらに、抗酸化作用のあるものは心筋を保護する働きがあるため、取り入れるとよいでしょう。心房細動に良い食べ物は、以下を参考にしてください。
青魚
サバ、イワシ、サンマなどの青魚には、オメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、炎症を抑える働きがあります。この成分は心臓を保護する作用があり、心房細動のリスクを低減する可能性があります。
ナッツ類
アーモンドやクルミなどのナッツ類には、マグネシウムが多く含まれており、心筋の興奮を抑え、正常なリズムを保つ働きがあります。適量を摂取することで心房細動の予防に役立つ可能性が高いです。
バナナやホウレン草
バナナやほうれん草には、カリウムが豊富に含まれており、余分な塩分を排出して血圧を安定させる効果があります。また、心臓のリズムを整える働きがあるため、意識して取り入れるとよいでしょう。ただし、腎機能が低下している方は、体内のカリウムが排出されにくくなり、逆に健康へ悪影響を及ぼす可能性があるため、摂取量には注意しましょう。
発酵食品
ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品は、腸内環境を整え、体内の炎症を抑える働きがあります。全身の調子を整え、心臓への負担を軽減するため、心房細動の予防につながる可能性があります。
緑茶
ポリフェノールが豊富に含まれており、抗酸化作用によって体内の炎症を抑え、心臓の健康を守る働きがあります。その結果、心房細動の予防になる可能性があります。
心房細動発症のリスクを上げやすい食べ物・飲み物
心房細動のリスクを高める食べ物や飲み物には、身近なものが多く含まれます。普段の食生活でよく口にするものもあるため、意識して注意しましょう。
過剰なアルコール
アルコールを過剰に摂取すると心臓の筋肉が弱まり、働きが低下する原因になります。さらに、血管を傷めるため、血圧が上がるリスクも高まります。適量の目安は、男性で1合、女性で0.5合です。[hs1] 1合は、ビール中びん1本、ウイスキーのダブル1杯、焼酎0.6合に相当します。
高塩分食品
具体的な食品として、漬物、加工肉(ハム、ソーセージ)、調味料などがあります。これらには塩分が多く含まれており、摂りすぎると血液量が増えて、高血圧を起こしやすくなります。高血圧になると、心臓は余分な血液を押し出すために負担が増し、ポンプ機能が低下する恐れがあります。予防のために、1日の塩分摂取量は6g未満が推奨されています。[hs2]
飽和脂肪酸が多い食品
具体的な食品として、バター、 揚げ物、脂肪の多い肉(ステーキ)などがあります。これらの食品には飽和脂肪酸が多く含まれており、摂りすぎるとLDL-コレステロール(悪玉コレステロール)が増加し、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、血管を傷め、心臓病になりやすくなり、心房細動のリスクを高めます。
加工食品
具体的な食品として、ハンバーガーやフライドポテトなどのファーストフード、ポテトチップスなどのスナック類があります。これらの食品は、塩分、糖質、脂肪分が多く、さらに保存料や添加物も多く含まれています。その結果、体内で炎症が起こりやすくなり、心臓に負担をかけることで、心房細動のリスクが上がります。
高糖質食
具体的な食品として、ソフトドリンクやケーキなどがあります。これらを摂取すると、血糖が急上昇し、それを下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。しかし、血糖値が高い状態が続くと、インスリンの働きが弱まり、効きにくくなる「インスリン抵抗性」という状態になります。これは、糖尿病の大きな原因となります。糖尿病になると、心臓や血管に悪影響を及ぼし、心房細動が起こりやすい状態となります。
心房細動を発症したら食事面で気をつけるべきポイント物
心房細動を発症した場合、食事を工夫することで症状を管理し、再発を予防しやすくなります。先に説明した心房細動に良い食べ物は、心臓への負担を軽減し、心拍を安定させる助けになります。これに加えて、心房細動患者が気をつけるべき食事のポイントについて紹介します。
カリウムを適度に摂取する
カリウムは血圧を安定させ、心臓のリズムを整える働きがあります。バナナ、ほうれん草、豆類などを摂取するとよいでしょう。ただし、腎機能が低下している場合は、体内でカリウムが排出されにくくなるため、過剰摂取には注意が必要です。
マグネシウムを意識して摂る
マグネシウムは心筋の過剰な興奮を抑え、不整脈を予防する効果が期待できます。不足すると心房細動を悪化させる可能性があります。マグネシウムを多く含む食品として、アーモンド、豆腐、海藻などがあります。
カフェインの摂取量を調整する
適量のカフェインは問題にならないことが多いですが、摂りすぎると心拍が乱れることがあります。人によって影響の受け方が異なるため、自分の体調に合わせて適量を意識することが大切です。
オメガ3脂肪酸を含む食品を取り入れる
オメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、心房細動の進行を抑える可能性があります。特に、青魚(サバ、サンマ、イワシ)やクルミなどに多く含まれており、心血管の健康を保つために重要な成分です。
規則正しい食事と食べ過ぎを避ける
食事の時間が不規則だったり、食べ過ぎたりすると血糖値が乱れ、自律神経にも影響を与え、心房細動のリスクが高まることがあります。適量を守り、規則正しい食生活を心がけましょう。
心房細動予防のために大切な生活習慣
心房細動を予防するためには、食事や運動習慣を含む規則正しい生活習慣が重要です。ここでは、特に気をつけるべきポイントを紹介します。
適正な体重管理
内臓脂肪が多い肥満は、体内の炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)の分泌が増えるため、心房細動のリスクを高める可能性があります。食事のバランスを意識し、カロリーを適度に調整しながら、適切な体重管理に心がけましょう。
適度な運動習慣の確立
定期的にウォーキングや軽いジョギング、サイクリングなどの有酸素運動を行うと、自律神経のバランスが整います。心房の過剰な興奮を抑えることで、心房細動のリスク軽減に有効です。ただし、過度な運動は、逆にリスクを高めることがあるため、適度な負荷で続けることが大切です。
質の高い睡眠の確保
睡眠の質が悪くなると、自律神経のバランスが崩れ、心房細動のリスクが高まります。規則正しい生活を心がけ、寝る前のスマートフォン使用を控えるなど、良い睡眠環境を整えましょう。また、いびきをかく人や日中に強い眠気を感じる人は、医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
ストレス管理
慢性的なストレスは、交感神経の過剰な興奮を引き起こすので、心房細動のリスクが高まります。ストレスを和らげるために、趣味の時間を持ったり、深呼吸や瞑想を取り入れたりして、リラックスできる時間を意識的に作りましょう。
アルコールとカフェインの適切な管理
アルコールやカフェインを摂りすぎると、交感神経が刺激され、心房細動のリスクが高まります。完全にやめる必要はありませんが、適量を守り、自分の体質に合わせて調整することが大切です。
「心房細動に良い食べ物」についてよくある質問
ここまで心房細動に良い食べ物などを紹介しました。ここでは「心房細動に良い食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
心房細動を発症したらやってはいけないことについて教えてください。
佐藤 浩樹 医師
過度な飲酒やカフェインの摂りすぎは、心拍の乱れを悪化させる可能性があるため控えましょう。また、激しい運動やストレスも発作の原因になることがあるため、無理をせず、適度に休息をとることが大切です。
編集部まとめ
心房細動は、心房が不規則に震えることで正常なリズムを失い、脈が速くなったり乱れたりする不整脈の一つです。自覚症状がない場合もありますが、動悸や息切れを引き起こし、血栓ができやすくなるため脳梗塞のリスクが高まります。ただし、健康的な生活習慣を心がけることで発症リスクを抑えることが可能です。これを機会に、日々の生活を見直してみましょう。
「心房細動」と関連する病気
「心房細動」と関連する病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
心房細動は、不規則で速い心拍を引き起こす不整脈の一種であり、さまざまな病気や症状と関連しています。そして、心房細動は、血管内に血栓が出来やすくなる疾患です、血栓が血流に乗って臓器に運ばれると、脳梗塞などの重篤な疾患を引き起こすことがあります。そのため、健診などで心房細動が指摘された場合は、早めに循環器科を受診しましょう。
「心房細動」と関連する症状
「狭心症」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
心房細動は自覚症状が無いことも多い疾患です。脈の乱れが起こった際は、早めに循環器科を受診してください。