「洞性不整脈」で突然死することはある?主な症状や原因も医師が徹底解説!
洞性不整脈とは?Medical DOC監修医が洞性不整脈・症状・原因・なりやすい人の特徴・突然死・心電図の特徴・放置するとどうなるか?・治療法などを解説します。
監修医師:
小鷹 悠二(おだかクリニック)
目次 -INDEX-
「洞性不整脈(どうせいふせいみゃく)」とは?
心臓は血液を送り出すポンプの働きをしています。上の部屋である左右の心房と、下の部屋である左右の心室が連動して動くことで、効率的に血液を全身に送り出しています。
心房・心室は、心臓の筋肉に対する電気刺激によって連動して動きます。この電気刺激は、心臓の上部にある洞結節→房室結節(心房と心室の中継点)→左右の心室へと伝わります。
洞性不整脈は、この刺激電動系の洞結節の興奮の異常・変動などにより生じます。
このような洞性不整脈は、呼吸や不安・緊張、アルコールなど、様々な要因で引き起こされることが多く、若年者でも見られやすいです。
基本的に、多くの場合は病的ではないことがほとんどであり、症状も伴わず、治療も必要としないことが多いです。他にも、脈が通常よりも早くなる洞性頻脈、ゆっくりとなる洞性徐脈といったものもあります。
洞性頻脈は、緊張や運動後、飲酒などで認めやすく、正常な人でも見られます。ただ、中には発熱や貧血、甲状腺機能亢進症などの全身性疾患によって出現することもあるため、注意が必要です。
洞性徐脈は、脈が1分間に50回以下となる状態ですが、運動をしている人や若年者では見られやすいです。通常は病的ではないことが多いですが、めまいなどの症状を伴う場合や、高度の徐脈となる場合(1分間に40回以下)などでは、洞不全症候群として治療が必要となることもあります。
洞性不整脈の代表的な症状
無症状
基本的に、洞性不整脈は呼吸変動や緊張などにより、生理的な反応として認められるだけのことが多く、症状を伴わないことが大半です。
めまい・ふらつき、失神
脈がゆっくりになりすぎると、心臓から全身の臓器へ送られる血液の流れが低下するため、脳の血液循環が低下してしまい、めまいやふらつき、ひどいと失神などの症状を引き起こすことがあります。
動悸、胸の違和感・苦しさ、胸痛
脈の変動が大きい場合や、病的な原因(貧血や甲状腺機能異常、発熱など)で脈の異常が出現している場合には、動悸や胸の違和感・苦しさなどの症状を伴うことがあります。
息切れ、疲れやすさ
脈が乱れることで、心臓から全身への血液の供給が不十分になると、息切れや疲れやすさなどの症状が出現することがあります。
洞性不整脈で突然死することはある?
基本的に、洞性不整脈は命にかかわることはありません。ただし、発熱や感染症、高度の脱水・貧血、甲状腺機能異常などの全身性疾患による影響で病的な頻脈になっている場合には、原因となる疾患によって命の危険を伴うことはありえます。
洞性不整脈の主な原因
呼吸変動
通常の人でも、呼吸による脈の変動を認めます。
深く息を吸うと脈が速くなり、息を吐くと脈がゆっくりとなる、呼吸変動があります。
この呼吸変動が、通常よりも少し目立つ方が一定数おり、そういった方が健診などで洞性不整脈と指摘されることが多いです。
緊張・不安
不安や緊張による交感神経や副交感神経の働きによって、脈拍数の変動が出現しやすくなり、それにより洞性不整脈の原因となることもあります。
アルコールやカフェイン
アルコールやカフェインの働きによっても、脈が速くなりやすくなることや、変動が大きくなりやすくなることがあります。
洞性不整脈になりやすい人の特徴
若年者
若年者の方が、心臓の電気刺激の頻度が変化しやすく、洞性不整脈を起こしやすいことが知られています。
アルコールやカフェイン摂取が多い人、喫煙者
アルコールやカフェインは、交感神経の興奮を増強することで脈が速くなりやすくなります。喫煙では、肺からの酸素の取り込みに障害をきたすため、脈拍を増やすことで体への酸素供給を保とうとする生体反応がおこるため、頻脈傾向となり易くなります。
神経質、緊張しやすい人
不安や緊張などによって、迷走神経が興奮しやすい状態では、脈の変動が大きくなりやすいことが知られており、洞性不整脈を起こしやすくします。
生活リズムが乱れている人
疲労や睡眠不足、不規則な生活リズムなどによって、交感神経や副交感神経の働きに異常が生じてしまうと、洞性不整脈が出やすくなるとされています。
洞性不整脈を発症すると心電図にどのような特徴が現れる?
通常の状態では、心電図の波形はP波、QRS波、T波の3つの波形が、一定の間隔で規則的に繰り返されます。
洞性不整脈では、3つの波形は出現しますが、脈の間隔が変動し、一定ではなくなります。
正常の場合でも呼吸や緊張などによって脈の間隔の変化は出現していますが、洞性不整脈の場合にはこの間隔の変動が通常より目立つ状態となります。
洞性不整脈を放置するとどうなる?
基本的に、洞性不整脈自体は病的なものではないことが大半であり、放置しても問題ないことが多いです。
ただし、脈が速くなる洞性頻脈や、脈が遅くなる洞性徐脈では、原因や程度によっては治療が必要となることもあります。
洞性不整脈の治療法
基本的には洞性不整脈は治療が不要なことが多いですが、洞性不整脈に伴う症状が出現する場合や、高度の頻脈・徐脈がある場合には治療が必要となることがあります。
生活リズムや生活習慣の改善
慢性的な疲労やストレス、睡眠不足、過度の飲酒といった、生活リズムや生活習慣の乱れが洞性不整脈の原因となることが多いため、このような生活習慣を改善することが大切です。
具体的には、以下のような点に気を付ける必要があります。
- ・十分な睡眠をとる
- ・バランスよく、3食の食事をとる
- ・過度のストレスを避ける(ストレスの発散をする)
- ・過度の飲酒や食べ過ぎなどを避ける
- ・禁煙
- ・適度な運動
- ・適切な体重の維持
原因疾患に対する治療
発熱や貧血、脱水、甲状腺機能亢進症などでは、脈が速くなる頻脈が出現しやすくなります。このような場合には、原因となる疾患の治療が重要となります。
投薬治療
症状を伴い、はっきりした原因疾患がない洞機能の異常の場合、脈拍を調整する治療薬を検討することもあります。
その場合には、脈拍を速くする作用がある薬剤の使用や、脈拍を抑える作用の薬剤などが使用されることがあります。
「洞性不整脈」についてよくある質問
ここまで洞性不整脈について紹介しました。ここでは「洞性不整脈」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
洞性不整脈を発症した場合、何科を受診したらよいですか?
小鷹 悠二 医師
まずは循環器内科を受診し、病的な不整脈や、治療が必要な原因疾患がないかどうかを確認する必要があります。
心電図や血液検査、24時間心電図、心臓超音波検査などが行われることが多いです。
ストレスが原因で洞性不整脈を発症することはありますか?
小鷹 悠二 医師
ストレスや過度の緊張、不安などは、交感神経や副交感神経といった自律神経の働きに異常をきたしやすいため、洞性不整脈の原因となりやすいです。
20代で洞性不整脈を発症することはありますか?
小鷹 悠二 医師
若年者の方が自律神経の興奮の変動が起きやすく、運動・労作などに伴って脈拍の変動も出やすいため、洞性不整脈を認めやすくなります。
編集部まとめ
洞性不整脈は健診で指摘されることが多いですが、基本的には症状がない場合には病的ではないことが大半です。
しかし、めまいやふらつき、動悸などの症状がある場合や、極端な頻脈や徐脈(脈拍が1分間で100回以上や40回以下が持続する場合)には治療が必要な場合や、原因となるような疾患がある可能性があるため、注意が必要です。
そのため、健診などで指摘があった際には、一度は循環器内科医を受診して相談することをお勧めします。
「洞性不整脈」と関連する病気
「洞性不整脈」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
以上のような病気が原因となっていることもあります。
「洞性不整脈」と関連する症状
「洞性不整脈」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- めまい、ふらつき
- 失神
- 動悸
- 胸部違和感、胸痛
- 息切れ
- 疲れやすさ
洞性不整脈では、症状がない場合のほとんどが病的ではありません。
しかし、上記のような様々な症状がある場合や、極端に脈拍数が早いあるいは遅い場合には治療が必要な場合も多く注意が必要です。早めに医療機関を受診してください。