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糖尿病予防に効果的なのは有酸素運動・無酸素運動どっち? 実施推奨タイミングとは?

 公開日:2023/07/26
糖尿病予防に効果的なのは有酸素運動・無酸素運動どっち? 実施推奨タイミングとは?

糖尿病予防には運動が効果的です。では、なぜ運動をすることは糖尿病の予防に効果的なのでしょうか? 血糖値やインスリンと呼ばれるホルモンの作用に影響を与える可能性があるといいます。そこで、どんな運動をいつ行うことが糖尿病予防に適しているのか、食事と運動のタイミングで意識すべきことや注意点はどのようなことなのかについて理学療法士の相澤さんに詳しく解説して頂きました。

相澤 郁也

監修理学療法士
相澤 郁也(理学療法士)

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2015年、国家公務員共済組合連合会吉島病院に就職し臨床に従事。2020年、千葉の三咲内科クリニックに招聘。現在は糖尿病患者の運動指導をおこない、糖尿病の発症・重症化予防に貢献。糖尿病に関する多くの研究業績をもつ。2022年、広島大学大学院医歯薬保健学研究科保健学専攻博士課程前期修了。日本糖尿病療養指導士、代謝認定理学療法士、日本糖尿病理学療法学会広報委員会委員、全国臨床糖尿病医会関東・北日本コメディカルの会世話人、千葉県糖尿病対策推進会議世話人。

運動が糖尿病予防にもたらす効果

運動が糖尿病予防にもたらす効果

編集部編集部

糖尿病予防に運動が効果的な理由は何ですか?

相澤 郁也さん相澤さん

2型糖尿病は遺伝因子、生活環境要素、加齢などによって、血糖値を下げる働きをするホルモンであるインスリンの分泌不全やインスリン抵抗性(血中にインスリンが存在していても、十分に作用しない)が引き起こされることで発症します。このインスリン抵抗性は運動によって改善する(下がる)ことがわかっています。また、インスリン抵抗性が下がることで、膵臓がインスリンを多く分泌しなくて済むようになり、膵臓の健康を保つことができます。よって、運動は糖尿病予防に効果的だと言われています。

編集部編集部

運動が血糖値やインスリン抵抗性にどのような影響を与え、2型糖尿病発症リスクをどのように減少させるのですか?

相澤 郁也さん相澤さん

運動をすることで筋肉がエネルギーとして血液中の糖を利用するため、血糖値を低下させます。また、運動をすることで内臓などに溜まった脂肪を減らし、インスリン抵抗性を改善させます。両者の改善によって、より血糖値を低下させる能力が高くなることで血糖値を下げる効率が良くなります。くわえて、運動で糖を筋肉に取り込む時には糖輸送単体(GLUT4)が働きますが、運動によって糖輸送単体(GLUT4)は増えるので、糖がエネルギーとして多く利用されるようになります。これらの働きによって運動は2型糖尿病の発症リスクを下げると言われています。

糖尿病予防に効果的な運動の種類

糖尿病予防に効果的な運動の種類

編集部編集部

2型糖尿病予防に最適な運動の種類はどのようなものですか?

相澤 郁也さん相澤さん

有酸素運動筋力トレーニングが最適です。有酸素運動は、長時間継続して行える運動を指します。有酸素運動の例としてウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの活動が挙げられます。無酸素運動(筋力トレーニング)とは、筋力・筋量を向上させることを目的に行われる運動のことであり、例として、自分の体の重さを使った運動(スクワットや踵上げなど)やダンベルや重錘(じゅうすい)を使った運動などがあります。

編集部編集部

有酸素運動と無酸素運動はどちらが有効ですか?

相澤 郁也さん相澤さん

どちらも有効です。短期的な効果を考えると全身の筋肉を利用することで多くの血糖を利用する有酸素運動の方が有効ですが、長期的な効果を考えた時には、無酸素運動が有効と言えます。筋肉は体内で糖を利用する臓器の中でも最も多くの利用率を誇るため、筋肉が増えることは、糖を利用する臓器が増えるということになり、血糖を利用する効率が良くなります。

編集部編集部

予防のための運動をする際に注意すべき点はありますか?

相澤 郁也さん相澤さん

運動を初めたばかりのころはやる気満々で、「毎日1時間は必ず運動をしよう」「天気が悪くても体調が悪くても運動しよう」と無理をしてしまいがちですが、そういう人は何らかの原因で運動ができなかった日が続いてしまったときに、ピタッと運動をやめてしまうといったことが多い印象です。また、これまで運動をしていなかった方が急に無理をして運動することでケガに繋がってしまい、運動を続けられなくなることもあります。予防において最も大事なことは、”運動を継続すること”です。自分のペースで無理なく開始して、徐々に予防のための理想的な運動を行えるようにすると良いと思います。

糖尿病予防に効果的な運動量やタイミング

糖尿病予防に効果的な運動量やタイミング

編集部編集部

週に何回、どのくらいの時間運動すればいいですか?

相澤 郁也さん相澤さん

有酸素運動と無酸素運動に分けて説明します。有酸素運動は、1回20分以上を週に3〜5回(できれば毎日)行うことが勧められています。1回に20分以上続けて歩くことが難しい場合には、5分歩くことを4回行うなど、細切れに行うことならできるのではないでしょうか。それでも効果はあります。また、無酸素運動は、“時間”よりも“回数”で考える必要があります。筋力トレーニングは、10回(2〜3セット)を週に2〜3回を目標に行うことが勧められています。

編集部編集部

運動を行なうにあたって1日の中で最適な時間帯はありますか?

相澤 郁也さん相澤さん

食後30分後〜2時間の間に運動をすることが最適とされています。また、食後2時間よりも30分後に近い方が食後の高い血糖値を下げる効果があるとされているため、可能であれば食後30分後から運動を行えることがベストです。ただし、これはあくまで理想で、何よりも運動を継続することが最も大事ですから、難しければ自分の生活の中で実践可能な時間帯で行うことを優先してください。

編集部編集部

ちなみに食後すぐだと良くないのですか?

相澤 郁也さん相澤さん

血糖値は主に食事を摂取することで上昇します。そして運動は、血糖値を急性的に低下させることから、食事で上がった血糖値を低下させるために、食後に行うことが特に有効であるとされています。運動を行うと、筋肉に血液を回すために消化器系などの臓器の血流を減らすように体が働きます。しかし、食後すぐに運動をしてしまうと、食べ物の消化や栄養の吸収のために必要な血流が筋肉に回ってしまいます。そのため、食後30分は空ける必要があります。

編集部まとめ

運動は2型糖尿病の発症リスクを低下させ、血糖値やインスリン抵抗性に良い影響を与えるとのことでした。有酸素運動、無酸素運動が共に有効で、実施する時間も意識することでより効果的である一方で、何よりも継続することが重要であると改めて認識することができました。

この記事の監修理学療法士