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「心筋梗塞と心不全の違い」はご存知ですか?症状や原因も医師が徹底解説!

 公開日:2025/03/19
「心筋梗塞と心不全の違い」はご存知ですか?症状や原因も医師が徹底解説!

心筋梗塞と心不全の違いとは?Medical DOC監修医が心筋梗塞と心不全の違い・原因・症状・予防法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

大沼 善正

監修医師
大沼 善正(医師)

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昭和大学医学部卒業。昭和大学病院、関東労災病院を経て、現在はイムス富士見総合病院勤務。総合内科専門医、循環器専門医、不整脈専門医、医学博士。

「心筋梗塞」とは?

冠動脈(心臓に酸素や栄養を供給している動脈)の内壁に付着していたコレステロールが破綻し、血栓が形成されることで、血管が詰まり心筋が壊死する病気です。心筋梗塞を発症すると胸痛、胸部圧迫感・絞扼感などの症状を起こし、不整脈や心不全などの合併症も引き起こすため、速やかな治療が必要となります。

「心不全」とは?

心臓の働きに障害が起き、心臓が血液を送り出すポンプとしての機能を正常に果たせなくなった結果、息切れ、呼吸困難、むくみなどを起こす病気です。心臓弁膜症、狭心症、心筋梗塞、心筋症など様々な原因で生じます。

「心筋梗塞」と「心不全」の違いとは?

心筋梗塞は心臓を栄養する血管が詰まり、心筋が壊死する病気です。
心不全は心臓の働きが悪くなることで息切れやむくみなどが生じる病気です。
心不全はさまざまな原因で発症し、その理由は様々です。心筋梗塞は心不全の原因と一つと言えます。

心筋梗塞の主な原因

高血圧症

高血圧が続くと血管内皮機能に障害が起こり、動脈硬化が進行します。高血圧は初期の段階では無症状であり、血圧の高い状態が続くと、めまい、ふらつきなどの症状を起こします。
そのため症状が出る前の段階で治療を行うことで、動脈硬化進展を予防できます。内科にて治療を行いましょう。

脂質異常症

不規則な食生活、糖分や脂質の摂取過多、運動不足などにより生じます。症状が出ず、緊急性もないことから放置されることも多い病気ですが、内科を受診し、食事、運動療法を行い、必要に応じて適切な薬物療法を行います。

糖尿病

インスリン分泌細胞そのものの影響でインスリン(血糖値を下げるホルモン)が出なくなる1型糖尿病、インスリンの相対的不足、感受性不足によって起こる2型糖尿病があります。症状としては喉の渇き、水分を多くとりたくなる、頻尿、倦怠感などがあります。1型糖尿病の場合はインスリン注射が必要です。2型糖尿病の場合はまず食事、運動を見直す必要があります。内科、糖尿病内科にて治療を行います。

心不全の主な原因

狭心症、心筋梗塞

狭心症や心筋梗塞により心臓の筋肉がダメージを受け、心機能が低下することにより生じます。胸痛、胸部圧迫感・絞扼感(しめつけられる感じ)などの症状があります。胸痛が15分以上持続し改善しない場合は心筋梗塞を発症していることがあるため、救急外来を受診し、速やかに治療をすることが必要となります。

心臓弁膜症、高血圧症

心臓の弁が固くなり狭窄を起こしたり、弁がうまく閉じないことにより逆流を起こしたりする病気です。高1血圧症は塩分過多の食事などにより血圧の高い状態が持続する病気です。弁膜症、高血圧症があると心臓の筋肉に持続的な負荷が加わり、心機能機能に障害を起こします。弁膜症が重症の場合は、胸痛、息切れ、胸部圧迫感を起こしますが、軽度~中等度の場合は多くは無症状です。高血圧に関しても症状がないことが多く、健康診断で定期的なレントゲン、心電図などを行い、異常を指摘された場合には、症状がなくても心エコー検査などで精査をする必要があります。循環器科を受診しましょう。

心筋症

心筋症は肥大型心筋症、拡張型心筋などがあり、心臓の筋肉が変性することにより、心臓の収縮力、拡張能力に障害を起こす病気です。無症状も多いですが、胸痛、息切れ、動悸などの症状を起こすことがあります。原因は遺伝的な要素も多く、ご家族で心筋症と診断された方がいる場合は健康診断で定期的に検査を行うことが必要です。

不整脈

急に脈が速くなったり、遅くなったりする病気です。遅すぎても速すぎても心臓に負担となり、いずれも心不全の原因となります。脈が遅くなる時には、脳へ行く血流が低下することによりめまい、ふらつき、意識消失などを起こし、速くなる時には動悸、胸の不快感が出現します。今までにないめまい、ふらつきを覚えたり、動悸を繰り返したりする場合には循環器科を受診しましょう。

心筋梗塞の代表的な症状

胸痛、胸の圧迫感

運動や安静に関わらず、胸痛、胸の圧迫感を起こすことがあります。狭心症の場合は休んでいるだけで5~10分程度で改善しますが、心筋梗塞の場合は症状が持続することが特徴です。突然の激しい胸痛、胸の圧迫感、15分以上続く胸部症状がある時には救急外来、循環器科を速やかに受診しましょう。

心窩部の痛み

心筋梗塞の症状として、心窩部(みぞおち)の痛み、胃のムカつき、吐き気などを感じることがあります。食後や空腹時に多い場合は、消化器科を受診しましょう。
ご高齢の方、女性、糖尿病の人は、胸痛ではなく、心窩部の痛みのような胸痛以外の症状を感じることがあります。そのような方で、高血圧、脂質異常症、喫煙者、ご家族で心筋梗塞の既往があるなど動脈硬化リスクが高い人は、注意が必要です。消化器科でも改善しない上記のような症状は、循環器科受診をお勧めします。

左腕、肩、のど、あご、歯の痛み

左腕、方、のど、あご、または歯に痛みを感じることがあります。見た目でわかるような腫れがなく、運動や歩行中などに上記の痛みを繰り返し感じる場合には、放散痛(関連痛)の可能性があります。放散痛は、心臓が原因でもその周辺の皮膚や筋肉の痛みを心臓の痛みであると、脳が誤認識してしまう症状です。痛みを繰り返す場合には、循環器科を受診しましょう。

心不全の代表的な症状

呼吸困難

夜間寝ているときなどに、突然息苦しくなり、呼吸ができなくなる症状です。心不全による呼吸困難は、急速に進行する可能性があるため、速やかに救急車を要請し、救急外来を受診するようにしましょう。

息切れ

体を動かしたり、運動したりしたときなどに、息がすぐにあがる、呼吸が深く吸えないなどの症状です。休んで深呼吸をすることで改善できることがあります。まずは内科的な疾患が隠れているため、一般内科を受診し、症状が改善しない場合は循環器科を受診しましょう。

むくみ

心不全の症状として、足のむくみを感じることが多くあります。具体的には、手のむくみとしては指輪が入りづらい、足のむくみとしては脛や足の甲を押したときに戻らない、靴がきつくて履きづらいなどです。むくみだけでは緊急性はありませんが、呼吸困難、息切れなどの症状もある場合は、循環器科を受診しましょう。

心筋梗塞・心不全の予防法

禁煙

タバコによる心臓の血管に対する影響として、血管内皮機能障害、酸化ストレス、血小板凝集、炎症などがあります。血管の壁が傷つきやすくなり、血液も固まりやすくなります。そのため心筋梗塞の予防には禁煙が望ましいとされています。心筋梗塞などの動脈硬化疾患を予防することで、心不全予防にもつながります。

高血圧、糖尿病治療

高血圧を治療することで、心臓の負担がとれ、心不全予防につながります。高血圧、糖尿病治療に加え、減塩などの食事療法と合わせて行うことが効果的です。糖尿病が心臓の筋肉に直接ダメージを与えることで心不全発症することもあるため、糖尿病治療そのものも、心不全発症予防に重要です。

減量、食事療法

塩分を控えることで、むくみ予防となり、心不全の発症も予防します。高血圧症も改善できるため、心筋梗塞、心不全療法の発症予防となります。動脈硬化を予防するためには、食事カロリーを控えることが重要ですが、ご高齢の心不全の人では低栄養で心不全が悪化することが言われています。そのため、心筋梗塞の予防には炭水化物を控え、コレステロール、動物性たんぱく質も抑えることが必要ですが、心不全の場合は、栄養不足にならないようしながら、減塩を中心としたバランスの良い食事を心がけるようにしましょう。

「心筋梗塞と心不全の違い」についてよくある質問

ここまで心筋梗塞と心不全の違いなどを紹介しました。ここでは「心筋梗塞と心不全の違い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心筋梗塞を発症しやすい人の特徴について教えてください。

大沼 善正大沼 善正 医師

心筋梗塞は動脈硬化によって引き起こされる病気です。そのため、禁煙、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、肥満などの人は心筋梗塞を発症しやすいと言えます。また一度心筋梗塞を発症した人も薬を中断、生活習慣改善をしないことにより再発の可能性が高くなります。生活習慣病の一種であるため、適切な食事、定期的な運動が心筋梗塞の予防となります。

編集部まとめ

心筋梗塞、心不全はいずれも致命的になり得る疾患です。とくに寒い時期は血管が収縮し血圧が高くなりやすく、心筋梗塞、心不全ともに起こりやすいため注意が必要です。
普段の生活習慣に気をつけ、胸痛、胸部圧迫感、息切れ、むくみなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、検査・治療を行うことが重要となってきます。
適切な治療を行うことで発症した後も日常生活、仕事に支障なく過ごすことも十分できますので、定期的な健康診断や内服治療を行うようにしましょう。

「心筋梗塞と心不全」と関連する病気

「心筋梗塞と心不全」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

心筋梗塞が原因で心不全に陥るケースがよくみられます。生活習慣病の発症予防や悪化予防で、心筋梗塞の発症する可能性は低くすることができるため、まずは普段の生活習慣を見直すようにしてください。

「心筋梗塞と心不全」と関連する症状

「心筋梗塞と心不全」と関連している、似ている症状は9個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

心臓の病気の症状は胸部だけではなく全身にみられます。疑わしい症状がある場合には、早めに医療機関を受診して検査を受けることをお勧めします。

この記事の監修医師