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「心筋梗塞」を発症すると体のどこに「痛み」を感じるの?初期症状も医師が解説!

 公開日:2024/09/05
「心筋梗塞」を発症すると体のどこに「痛み」を感じるの?初期症状も医師が解説!

心筋梗塞を発症すると体のどこに痛みを感じる?Medical DOC監修医が心筋梗塞の初期症状・痛みを感じる部位・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

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北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「心筋梗塞」とは?

心筋梗塞とは、心臓の筋肉に酸素を供給する血管である冠動脈が閉塞し、心臓の筋肉が壊死する疾患です。胸の痛み、胸部圧迫感、冷汗などの症状が現れます。命に関わる緊急性の高い疾患であり、迅速な診断と治療が必要です。治療には、血栓を溶かす薬物療法、閉塞した動脈を広げる経皮的冠動脈インターベンション(PCI)があります。その他、外科的治療である冠動脈バイパス術もあります。

心筋梗塞の前兆となる初期症状

早期発見・治療が予後に大きく影響するので、初期症状を知っておくことは非常に重要です。以下が代表的な症状です。

胸の痛み

心筋梗塞の最も一般的な症状です。左側胸部を中心とする、胸が締めつけられるような感じ、重石が乗っかっているような感じ、焼けるような感じなど、感じ方は人さまざまです。一般的に、20分以上続くことが多く、安静や運動に関わらず起こります。安静にしても、ニトログリセリンを服用しても、症状が改善しないことが特徴です。これらの症状が起きた際は、緊急性が高いので、できるだけ早期に内科や循環器科を受診して下さい。救急車による搬送を考慮することも重要です。

左腕、肩、顎などの痛み

胸の痛みに加えて、左腕、肩、顎などに痛みや痺れが広がることがあります。放散痛と言います。これらの痛みは、筋肉痛や関節痛と誤解されることがたびたびあります。継続する場合は、他の疾患との鑑別が必要なので、早期に内科や循環器科を受診して下さい。

冷や汗

冷汗が起こり、継続する場合は要注意です。交感神経系が過度に緊張するためです。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。緊急性が高い場合が多く、早期に内科や循環器科を受診して下さい。

心筋梗塞を発症すると体のどこに痛みを感じる?

主な部位は胸部ですが、他の身体部位にも広がることがあります。以下に、主要な部位をまとめます。

胸部

最も典型的な部位で左側に起きることが多いです。痛みばかりではなく、胸が締めつけられるような感じ、重石が乗っかっているような感じ、焼けるような感じ、など人さまざまです。一般的に、20分以上続きます。安静や労作に関係なく起こります。また、狭心症の発作を改善する薬である、ニトログリセリンを使用しても改善しません。緊急性が高く、早期の治療が必要な場合が多いため、できるだけ早期に内科や循環器科を受診して下さい。

左腕と左肩

胸部の症状と共に、左腕に痺れや痛みを感じたり、 左肩に痛みや重だるさを感じたりすることがあります。放散痛といいます。筋肉痛や関節痛と誤解されることがたびたびあります。継続する場合には、他の疾患との鑑別が必要です。内科、循環器科、整形外科を受診して下さい。

胸部の症状と共に、 顎の痛みを感じることがあります。放散痛といいます。歯の痛みや顎関節症と誤解されることがあります。継続する場合には、鑑別診断を必要としますので、内科や循環器科を受診して下さい。

背中

背中の上部に痛みを感じることがあります。これも放散痛の1つです。背中の筋肉痛や脊椎の疾患と誤解されることがあります。継続する場合は、鑑別診断が必要です。内科、循環器科、整形外科を受診して下さい。

胃部

胃痛や胃部不快感が起こることがあります。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。これも、放散痛の1つです。食道、胃、十二指腸などの消化器疾患と誤解されることがしばしばあります。継続する場合は、鑑別診断を要しますので、内科、消化器科、循環器科を受診して下さい。

心筋梗塞の主な原因

心臓の筋肉に血液を供給する冠動脈の閉塞で心筋梗塞は起こります。冠動脈を閉塞させる原因(危険因子)は、高血圧、高脂血症、糖尿病が代表的です。以下に各々の要点を説明します。

脂質異常症

脂質異常症は、血中のLDL-コレステロールや中性脂肪が高い状態です。LDL-コレステロールが高いと、余分なLDL-コレステロールが血管の内壁に溜まり、血管内に瘤のようなものを形成します。これを、プラークといいます。プラークは血管内腔を狭め、さらに、破れて血栓を形成することで冠動脈を閉塞させ心筋梗塞を起こします。一方で、HDL-コレステロールはプラークの形成を抑制します。したがって、HDL-コレステロールが低い状態も心筋梗塞の原因となります。これらの異常は動脈硬化の進展を早めますので、血液検査で異常が見つかった場合は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けて下さい。

高血圧

血圧が高い状態が続くと、冠動脈の壁に負担がかかるため、動脈硬化が進みやすくなり、血管を狭くします。加えて、プラークの形成を助長します。心筋梗塞以外の血管疾患の原因ともなります。健診などで異常が見つかった際は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けて下さい。特に、高血圧の初期はほぼ無症状です。そのため、知らず知らずのうちに血管を傷める状態が継続してしまうので要注意です。

糖尿病

高血糖が続くと、動脈の内側にある血管内皮細胞にダメージを与えます。そのため、血管のしなやかさが低下して、血管内壁が傷つき、動脈硬化の進展を助長します。初期の糖尿病は自覚症状を伴うことは少ないので気づかないことが多いです。健診などで高血糖を指摘された場合は、自覚症状の有無に関わらず、内科を受診して適切な指示をもらうことが重要です。

心筋梗塞の予防法

摂取エネルギーを適正にする

食生活において摂取するエネルギーに留意して、適正な体重をめざすことが重要です。一般的に適正な体重は、22×(m換算での身長)2と計算されます。次に、総摂取エネルギーに対して、脂肪の割合は20~25%、炭水化物の割合は50~60%が理想とされています。

脂質の摂取に注意する

脂質の中でも飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取は控えましょう。いずれの物質も、血管を傷めて、動脈硬化の進展を助長します。バター、ラード、ココナッツ油などは、飽和脂肪酸を多く含む食品なので摂取を控えましょう。また、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドを用いた菓子や揚げ物などの加工食品は、トランス脂肪酸を多く含む食品なので要注意です。

運動

予防のためには、有酸素運動(ウオーキング、ジョギング、自転車など)がお勧めです。強度は、中等度を目標にして、毎日30分以上(少なくとも週に3日)運動しましょう。中等度の運動の目安は、自覚的に「きつい」と感じない程度で、運動時の心拍数が100~120拍/分となる程度とされます。ただし、50歳以上の方は100拍以内にするとよいでしょう。人によって運動強度の感じ方は異なりますので、自分の自覚症状に合った運動強度を実践することが重要です。

「心筋梗塞の痛み」についてよくある質問

ここまで心筋梗塞の痛みなどを紹介しました。ここでは「心筋梗塞の痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心筋梗塞を発症しても痛みを感じないことはありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

無痛性心筋梗塞は無痛性心筋虚血の1つです。胸の痛みが出ない代わりに、息切れ、疲労感、胃部不快感、吐き気、冷や汗などが起こることがあります。病態として、以下のようなものが考えられています。
① 心臓に起きた虚血の範囲が狭かったり、程度が軽かったりして、痛みを感じない場合
② 痛みの閾値が上昇することにより、本来感じるはずの痛みがわからなくなった場合
などが原因として考えられています。高齢者、糖尿病患者、女性にみられることが多いです。無痛性心筋梗塞は、通常の心筋梗塞と同様に危険であり、早急な対応が必要です。心筋梗塞=胸の痛みは必ずしも当てはまらないことがあり注意を要します。

編集部まとめ

心筋梗塞は、胸の痛みが主症状ですが、胸部以外にも症状が起きる、緊急性の高い疾患です。迅速な診断と早期の治療がなにより重要です。発症には、悪い生活習慣が大きく関わります。生活習慣を改善して、予防に努めましょう。

「心筋梗塞」と関連する病気

「心筋梗塞」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

呼吸器科の病気

消化器科の病気

整形外科の病気

心筋梗塞と似た症状を呈する疾患は多いです。経過をみてよいものから、緊急性を要するものまでさまざまです。鑑別を要しますので、医療機関を早期に受診することをお勧めします。

「心筋梗塞」と関連する症状

「心筋梗塞」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状は心筋梗塞以外の疾患でも起こります。命に関わる疾患も多いです。早めに医療機関を受診して、病気の鑑別、および治療の有無を診断してもらうことが極めて重要です。

この記事の監修医師