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「心不全で亡くなる時」に現れる症状はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

 公開日:2024/04/17
「心不全で亡くなる時」に現れる症状はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

心不全で亡くなる時、どんな症状が現れる?Medical DOC監修医が心不全で亡くなる時に現れる症状・原因・心不全を発症しやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

プロフィールをもっと見る
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「心不全」とは?

心不全とは心臓の機能が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなって、生命を縮める病気です。症状がよくなっても完全に治ったわけではなく、悪化や改善をくりかえしながら、徐々に進行する病気です。軽症の心不全は、動いた時に息切れや全身倦怠感などの症状が現れることはありますが、安静により日常生活に大きな影響を与えることが少ない状態です。中等症の心不全は、息切れや全身倦怠感などの症状が顕著に現れ、日常活動に影響を与えることが多い状態です。重症の心不全は、心臓の機能が著しく低下しているため、息切れや全身倦怠感などの症状で苦しみ自発的な行動がほぼできない状態です。多くの場合、薬物療法に加えて機械的補助装置が必要になることが多く、最終的には心臓移植などが検討されます。

心不全で亡くなる時に現れる症状

心臓は全身に血液を送るポンプです。心不全はこのポンプの働きが弱ってしまい全身に血液を送ることができなくなる疾患です。亡くなる時はこのポンプがほぼ止まった状態になるので全身に血液を送ることができなくなり様々な症状が現れます。詳しく解説していきます。

息切れや息苦しさ

特徴的な症状として、呼吸が浅く速くなる、空気が入ってこないようで苦しい、仰向けに寝ることができないなどがあります。すぐにできる処置として、上半身を起こして安静にすることが重要です。急激に悪化する場合は緊急性が高いので救急車を要請し循環器科や救急医療への搬送を依頼しましょう。

むくみや体のだるさ

むくみは、足背や足前部に現れはじめ、体重増加を来すこともあります。体のだるさは悪化すると日常活動に支障をきたします。すぐにできる処置として、むくみが現れた場合は、足を高くして横になることが効果的です。急激に悪化し動けなくなった場合は緊急性が高いので、救急車を要請し循環器科や救急医療への搬送を依頼しましょう。

食欲不振や吐き気

心臓のポンプ機能が低下して消化器に血液が充分に行き届かなくなり胃腸の働きが低下したためです。処置として、少量の食事や水分の摂取を回数にわけて摂ることや消化しやすい食品を選ぶことが助けとなります。本症状は緊急性を要することは少ないですが経過観察が重要です。

動悸やめまい

心臓のポンプ機能が低下して体に十分な酸素や栄養が行き届かなくなったためです。症状が悪化すると心臓の鼓動の速さや強さが増し、頭がクラクラする症状が現れます。すぐにできる処置として、安静のうえ、深呼吸のうえリラックスを促します。水分摂取による脱水予防も重要です。このような症状が起きた場合は緊急性が高いことが多く、救急車を要請し循環器科や救急医療への搬送を依頼しましょう。

意識レベルの低下や失神

心臓のポンプ機能が低下して脳への血流が不十分になったためです。意識レベルの低下は、傾眠から意識喪失まで幅広い症状を呈します。すぐにできる処置として、安全な場所に患者を移動させ、足を上げて寝かせることで脳の血流増加をめざします。しかしながら、このような症状は緊急性が極めて高く、速やかに救急車を要請し循環器科や救急医療への搬送を依頼しましょう。

心不全を発症する原因

主な原因として、冠動脈疾患、弁膜症、不整脈などがあります。これらの疾患によって心臓のポンプ機能が低下します。他には、高血圧や糖尿病をはじめとする生活習慣病、ウイルスが心臓に感染する心筋炎、ホルモン異常である甲状腺疾患、遺伝的要因が原因となることもあります。

冠動脈疾患

冠動脈疾患は、代表的な心不全の原因です。冠動脈が狭窄または閉塞することにより心臓の筋肉への血液の供給が減少してしまう疾患です。そのため、心臓の筋肉に供給される酸素や栄養素が不足することにより心臓のポンプ機能が低下して心不全を引き起こします。このような状態が急激に起こると胸部圧迫感、胸痛、息切れなどの症状が出現し苦しむことになります。心筋梗塞や不安定狭心症などを考えなければなりません。いずれの疾患も致命的であり、早期処置が必要で緊急性が高いため循環器科を受診しましょう。

弁膜症

心臓を仕切っている弁が固くなったり、閉じが悪くなったり、開きが悪くなったりする疾患です。このため、心臓内の血液の流れが妨げられるため心臓が正常に機能しなくなり心不全を引き起こします。初期症状は障害が起きた弁によって異なりますが、一般的には、息切れ、全身倦怠感、むくみ、脈の乱れなどの症状が出現します。こういった症状が認められた時は循環器内科を受診することが大切です。

不整脈

不整脈は心臓のリズムが正常でない状態です。そのため、心臓は不規則な拍動となり全身への血液の供給が十分でなくなります。この影響で心臓の筋肉が徐々に障害され、心不全が発症します。不整脈は経過観察でよいものから死に至る可能性があるものまで、さまざまなものがあります。無症状の方も多いですが、初期症状として動悸、脈が飛ぶ感じ、脈が不規則などを感じる方もいます。不整脈を指摘されたら循環器内科を受診して今後の指示をもらいましょう。

心不全を発症しやすい人の特徴

冠動脈疾患、心筋症、弁膜症などの心臓疾患が既往にある方は要注意です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病、喫煙、肥満、運動不足などの不健康な日常生活もリスク要因となります。その他、加齢や遺伝的要因も関わることがあります。

不摂生な生活

健康的な生活習慣を維持している人は心不全になりにくいです。バランスの取れた食事、定期的な運動、適切な体重維持、禁煙、適度なアルコール摂取が基本です。また、生活習慣病因子である、血圧や血糖、脂質のコントロールに留意することも重要です。定期的な健康診断を利用することも効果的です。

男性

性差で心不全発症に違いがあります。男性が女性よりも心不全発症年齢が若いです。また、男性は女性よりも冠動脈疾患による心不全が多いとされています。一方、女性は男性よりも高血圧による心不全が多いことが知られています。理由として、男女間でのホルモン、体格、喫煙率、高血圧や脂質異常症などの罹患率などの違いとされています。また、女性は男性よりも心筋梗塞後の心筋回復が早いなども関わっているとされています。日常生活を送るうえでの参考としてください。

肥満

肥満は心不全発症のリスクです。体格指数(kg で表示した体重を m で表示した身長の 2 乗で除した値)は18.5~24.9が正常範囲です。この値が1 増すごとに、男性では 5%、女性では 7%、心不全のリスクが増加します。理由として、肥満になると高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めること、睡眠時無呼吸症候群を起こしやすいことなどがかかわっているとされています。適正体重維持に心がけましょう。

心不全の予防法

基本は健康な生活習慣の維持です。バランスの取れた食事や定期的な運動を実践し肥満を避けることです。喫煙を避け、適度なアルコール摂取に心がけることも実践しましょう。健康診断を利用して、血圧や血糖、脂質をチェックして正常範囲内に維持することも予防に役立ちます。

食事療法

食事療法として最も重要なのは塩分制限です。過剰な塩分は循環する血液量を増やし心臓の負担が増加するからです。塩分摂取量は6~8g/日程度に控えるよう心掛けましょう。

定期的な運動

有酸素運動や筋力トレーニングを継続することで心臓と血管の健康を維持し、心不全のリスクを減少させます。また、禁煙や適度なアルコール摂取、ストレス管理も重要です。十分な睡眠を確保し、リラックスする時間を持つことも心臓の健康に良い影響を与えます。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸の摂取が有効です。オメガ3脂肪酸を豊富に含む食品は、くるみや青魚(サバ、イワシ、マグロなど)があります。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などが代表的な物質です。オメガ3脂肪酸は抗炎症効果、血管内皮機能改善などの多面的な作用により心筋が変性することを抑え、心筋機能が改善することが報告されています。心臓を保護する作用があり心不全の予防となります。

ストレス管理

ストレス管理も重要です。ストレスは交感神経を活性化させ、血圧や心拍数を上げるため心臓の負担を増加させます。自分なりのリラックス法を見つけましょう。深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法があります。

血圧管理

血圧管理を徹底しましょう。高血圧が長期間続くと心臓に負担がかかり心不全になりやすくなるからです。家庭での血圧を測定してチェックしましょう。診察室血圧でしたら140/90 mmHg未満、家庭血圧でしたら135/85 mmHg未満が目標値です。生活習慣を改善しても目標血圧に達しない場合は薬物療法を検討しましょう。

「心不全で亡くなる時」についてよくある質問

ここまで心不全で亡くなる時について紹介しました。ここでは「心不全で亡くなる時」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心不全で亡くなる時、呼吸や息苦しさのような症状はありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

高い確率でみられます。心臓のポンプ機能が低下し十分な酸素を体に送れなくなるためです。重症化すると、症状悪化により苦しむことになります。最終的に、徐々に呼吸が弱まり、呼吸停止に至ることがあります。

心不全の余命・生存率について教えてください。

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

症状の重症度や年齢、治療法などによって大きく異なります。しかし、一般的には軽症の場合は適切な治療により長期間生存可能とされています。そして、中等症の場合は5年生存率約50%、重症の場合は5年生存率約20%と言われています。

編集部まとめ

心不全は、症状がよくなっても完全に治ったわけではなく、悪化や改善をくりかえしながら徐々に進行し死に至る病気です。心不全で亡くなる時は、様々な症状が出現し苦しみ、緩和ケアが必要な場合もあります。従って、心不全にならないための予防が重要です。食事、運動、嗜好、ストレスに注意して健康的な日常生活を送りましょう。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にすでに罹患している場合もあるかと思われます。その際は、良好なコントロールを目標に医療機関を受診し適切な指導を受けることをお勧めします。

「心不全で亡くなる時」と関連する病気

「心不全で亡くなる時」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

心不全の原因となる病気には、このようなものがあります。息苦しさや胸痛、動悸などの症状がある場合には、医療機関を受診しましょう。

「心不全で亡くなる時」と関連する症状

「心不全で亡くなる時」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 呼吸困難
  • 浮腫
  • 食欲不振
  • 全身倦怠感

心不全は予防が大切な疾患です。健康的な生活習慣および生活習慣病をしっかり管理することが大切です。

この記事の監修医師

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