「不整脈の症状」はご存知ですか?初期症状・セルフチェック法も医師が解説!
不整脈の症状にはどんな症状がある?Medical DOC監修医が不整脈の症状・チェック法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
監修医師:
丸山 潤(医師)
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター
目次 -INDEX-
「不整脈」とは?
不整脈とは、心臓の脈拍が正常とは異なるリズムになっている状態です。
不整脈には、脈が飛ぶほか、脈が1分間に50回以下でゆっくり打つ徐脈、1分間に100回以上脈を打つ頻脈があります。
めまい、動悸、息切れなどの症状が現れ、重症の場合は突然死に至ることもあります。
また、脈が飛ぶ状態の代表例として期外収縮があり、これは不整脈で受診される方の約9割を占めるといわれています。
期外収縮は年齢とともに見られる生理的な不整脈であることが多く、健康な人にも起こります。
経過観察で良い場合が多いですが、症状の強さや頻度によっては治療が必要となることもあります。
不整脈の中には緊急性がなく放置しても問題のないものがある一方、命に関わる不整脈もあります。
以下に代表的な症状や日常で気を付けるべきことなどを解説していきます。
不整脈の代表的な症状
動悸
心臓がドキドキしたり、バクバクしたりと鼓動に不快感を覚える症状です。主に脈が飛ぶ感じがする期外収縮や頻脈の時に自覚します。
動悸は低血糖や甲状腺の異常、ストレスや緊張など、心臓の病気以外でも見られることがあります。
動悸を感じたら、まずは落ち着いて深呼吸をしましょう。リラックスすると副交感神経が優位となり動悸が治ることがあります。
また、対処法の一つとして、息を止めたり、冷たい水を飲んだり、といった迷走神経刺激と呼ばれる方法が紹介されていることがありますが、これらの方法は自己判断で行わず、まず医療機関を受診し、勧められた場合に行うべきでしょう。
動悸が頻繁に起こる場合や、息苦しい、胸が痛いといった症状を伴う場合は、循環器内科を受診しましょう。動悸が強い場合や、意識が朦朧としたりする場合は早急に救急外来を受診してください。
めまい
頭がふらふらしたり、ぐるぐる回ったりする感覚を指します。
不整脈により心臓から送られる血液の量や圧力が低下することで脳に十分な血液が届かず、酸素不足によってめまいをきたすことがあります。
めまいを感じた時は、まずは安全な場所で座る、横になるなどの対処を取り、少し様子を見ましょう。
不整脈によるめまいの場合、専門は循環器内科です。
めまいが強くて立てなくなったり、意識を失ったりするような場合はすぐに救急車を呼んでください。
吐き気
不整脈による吐き気は頻脈の際は、心臓のポンプ機能が空回りして、血液が十分に全身に送り出せなくなることで起こります。
吐き気が月に何回も起きたり、他の症状を伴ったりしている場合は循環器内科を受診してください。特に失神を伴う場合は緊急性が高いため、救急外来を受診しましょう。
すぐに病院へ行くべき「不整脈の症状」
ここまでは不整脈の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
気を失うことがある場合は、循環器内科へ
失神とは、一過性の意識消失が起こり、その後自然に意識が回復する現象のことです。
意識が回復した後は無症状のことが多く、結果として命に関わる病気の発見が遅れてしまうことがあります。
ストレスや痛みなどで自律神経が乱れておこる神経調節性失神、立ちくらみが典型的な症状の起立性低血圧、そして心臓の病気が原因で起こる心原性失神など、さまざまな種類があります。
神経調節性失神や起立性低血圧によって起こる失神は危険性がそれほど高くない失神と考えられている反面、心原性失神は突然死につながる危険性の高い失神です。
ご自身の失神の原因やその危険度を正しく知るためにも、失神の症状が出た際は速やかに循環器内科を受診してください。
受診・予防の目安となる「不整脈の症状」のセルフチェック法
- ・平常時でも動悸やめまいが起きる場合
- ・脈が飛ぶ感じがする場合
- ・胸に違和感や不快感がある場合
- ・意識が一瞬遠くなる場合
- ・目の前が一時的に暗くなる場合
不整脈の予防法
ストレスを溜めない
ストレスは自律神経を乱し、心臓に負担がかかり不整脈を引き起こす可能性があります。
ストレスの解消法は人それぞれですが、暴飲暴食やアルコールなどでストレスを紛らわせる行為は更に健康状態を悪化させるおそれがありますので控えましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠の不足も自律神経の乱れを招きます。
睡眠不足になると、交感神経が活性化しやすくなり、心拍や血圧が高くなって不整脈に至る可能性が高まります。
1日の睡眠時間は7~8時間が理想的です。併せて、睡眠の質を保つために就寝前にはパソコンやスマートフォンの画面から発せられるブルーライトを避けることや、睡眠時に明かりを落とすことがおすすめです。
地中海食を取り入れる
地中海食と呼ばれる食事が、不整脈の予防に効果的と言われています。
具体的には魚や緑黄色野菜、豆類を多く摂り、油を用いる際はオリーブオイルがおすすめです。
これらの食材はビタミン、マグネシウム、オメガ3多価不飽和脂肪酸を多く含み、不整脈の予防や再発防止が期待できます。
なお、マグネシウムの摂り過ぎは腎臓に負担をかけるため、腎臓に持病のある方などは注意が必要です。
薬やサプリメントで補う場合は医師に相談しましょう。
適度な運動を行う
不整脈の予防に適度な運動は効果があるとされています。運動によって心臓の筋肉が強化され、血流が改善されるため、心臓の健康全般が向上します。また、適度な運動はストレス解消になる他、体重管理にも役立ち、高血圧、糖尿病、高脂血症などの心臓に悪影響を及ぼす可能性のある疾患のリスクも減らすことができます。
ただし、重要なのは「適度な」運動であるということです。過度な運動は逆に心臓に負担をかけ、不整脈を引き起こす可能性もあるため、自分に合った運動量と強度を見極めることが重要です。
心疾患の指摘をされていない方であれば30分ほどの有酸素運動がおすすめです。心疾患の治療中の方の場合はかかりつけの先生と相談し運動量を検討しましょう。
飲酒や喫煙を控える
飲酒、喫煙は不整脈のリスクを高めます。
過度の飲酒は心拍や血圧を上昇させ、喫煙の際に体内に取り込まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させます。
どちらも心臓に負担がかかり、不整脈を誘発する可能性があります。特に、不整脈の一種である心房細動は飲酒、喫煙の影響が大きいとされています。
禁酒・禁煙がベストですが、完全に断つことが難しければ、量を減らす、間隔を空けるなど工夫してみてください。
「不整脈の症状」についてよくある質問
ここまで不整脈の症状を紹介しました。ここでは「不整脈の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
不整脈を疑う初期症状を教えて下さい。
丸山 潤(医師)
不整脈を疑う初期症状には、動悸、胸の苦しさ、軽いめまい、脈が飛ぶような感じなどがあります。症状が強くなってきたり、意識が飛びそうになったりする場合は危険な不整脈の可能性もあるため、なるべく早く受診しましょう。
初期の不整脈は無症状のこともあり、健康診断などで判明する場合もあります。そのような場合でも原因を明らかにするために受診をおすすめします。
不整脈の症状が現れた場合、やってはいけないことはありますか?
丸山 潤(医師)
不整脈の症状が現れた場合は、パニックにならずにまずは落ち着いて深呼吸をしましょう。また、激しい運動などの心臓に負荷のかかる動作は控えてください。アルコールや煙草、カフェインなどの刺激物も控えるようにすることが大切です。
編集部まとめ
不整脈の原因はさまざまであり、緊急性の低いものから命に関わるものまであります。
不整脈が疑われる症状の原因は心臓の問題だけではなく、ストレスやメンタル面から出現する場合もあります。日頃から適度な運動とバランスの取れた食事、ストレスへの対処や定期的な健康診断で自身の状態を健康に保つように意識しましょう。
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「不整脈の症状」と関連する病気
「不整脈の症状」と関連する病気は★個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
内分泌科の病気
呼吸器科の病気
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 睡眠時無呼吸症候群
薬剤・物質関連の病気
- 薬剤の副作用(抗不整脈薬、抗精神病薬、抗菌薬など)
- アルコールやカフェインの過剰摂取
その他の疾患の病気
- 電解質異常(低カリウム血症など)
不整脈の症状はさまざまです。健康な人でも年齢を重ねればある程度は出てくる可能性があります。多少脈が飛ぶことがあっても問題ないことが多いですが、動悸や胸痛、吐き気、意識消失などを伴う場合は軽視せずに循環器内科を受診しましょう。
「不整脈の症状」と関連する症状
「不整脈の症状」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
不整脈の症状とよく似たこれらの症状は、他の病気に由来するものもあります。自己診断せず、医療機関を受診し適切な診断を受けるようにしましょう。