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「口角炎」ができたら「胃がん」を疑うべき?口角炎ができる原因も医師が解説!

 公開日:2025/11/30
「口角炎」ができたら「胃がん」を疑うべき?口角炎ができる原因も医師が解説!

口角炎ができたら胃がんを疑うべき?Medical DOC監修医が口角炎ができる原因・続く原因・初期症状・なりやすい人の特徴・予防法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

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佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「胃がん」とは?

胃は体のみぞおちの辺りにある臓器です。口から摂取した食べ物や飲み物は食道を通り、胃へ運ばれます。胃の主な役割は、食べ物をためて少しずつ消化し、腸に送り出すことです。
この胃の粘膜にがんが発生することを胃がんと言います。胃がんが発生しても、通常初期には症状がみられることは少ないです。しかし、胃がんが進行すると、みぞおちの痛みや、消化管運動が低下することで吐き気や食欲不振が生じ、胃がんの表面から出血することで貧血になったりするようになります。
胃の不調により、栄養の吸収が上手くいかなかったリ、食事量が減ることで栄養障害が起こると口角炎がみられることもあります。この記事では、胃の不調、特に胃がんと口角炎の関連についてお話しします。

口角炎ができたら胃がんを疑うべき?

口角炎とは、口の両端にある口角に炎症が起き、赤く腫れたり、ひび割れたりする状態です。口角炎の原因はさまざまありますが、胃の調子が悪いことで栄養の吸収不良が生じ、口角炎がみられることもあります。しかし、口角炎があるからと言って、胃がんを疑う根拠とはなりません。
口角炎に伴い胃の痛みや吐き気、食欲低下が1週間以上持続する場合には何かしらの胃の病気が起こっている可能性があり、消化器内科で相談することをお勧めします。

口角炎ができる原因

口角炎はさまざまな病態が原因となり起こります。ここでは、口角炎ができる原因について解説いたします。

感染症

カンジダという真菌やブドウ球菌という細菌の感染が原因となって口角炎が起こることがあります。これらの感染は、体力がなかったリ、免疫や抵抗力が低下しているときに起こりやすいです。口角炎がすぐに治らない時には、感染症に対しての治療が必要な場合もあります。皮膚科を受診して相談しましょう。

栄養不足

ビタミンB群(ビタミンB2、B6、B12)の不足で口角炎に起こりやすくなります。ビタミンB群を多く含む食品としては、レバー、鶏肉、卵、カツオ、貝類などが挙げられます。これらの食品を積極的に摂取することがすすめられますが、他にも重要な栄養素もあるため、偏らずバランスよく食事を摂ることが大切です。

乾燥・物理的刺激

唇の乾燥は口角炎を起こす原因としても多いです。唇をなめる癖がある場合、一時的に潤ったように感じても、唇の油分が減りその後にかえって乾燥してしまいます。この時に、傷ができたり、口を開いたときに亀裂を生じたりします。リップクリームやワセリンを使用して唇全体を保湿するようにしましょう。

胃がんの前兆となる初期症状

胃がんは、症状が出にくいことが多いです。特に初期ではほとんど症状がありません。進行した際に以下のような症状がみられることがあります。このような症状が持続する場合には消化器内科を受診して相談をしましょう。

みぞおちの痛み、不快感

胃がみぞおちの辺りにあるため、胃がんが進行していくとこの部位での不快感や痛みを感じることも多いです。一時的な痛みであれば良いですが、持続する場合には胃の病気の可能性があります。胃がんの可能性も考えられるため、みぞおちの継続する痛みがある場合には消化器内科で相談をしましょう。

吐き気

胃がんを含めた、胃の病気がある場合、吐き気や嘔吐の症状がみられることも多いです。ムカムカするような症状がつづいたり、吐き気が出る場合には消化器内科で相談をしましょう。急性胃腸炎などで一時的に吐き気が出ることもあります。消化の良いものを摂取しても、1週間以上症状が持続する場合には、消化器内科の受診をお勧めします。

食欲不振

胃がんが進行すると、次第に食欲が低下することがあります。食欲がない、体重が減ってきたなどの症状が続く場合には消化器系の病気の可能性が高いです。早めに消化器内科を受診しましょう。

貧血

胃がんの表面から少しずつ出血すると、次第に貧血がみられることもあります。便の色は見た目では変化がなく、気が付かないことも少なくありません。健康診断などの血液検査で貧血が進行している場合、内科や消化器内科で相談をするのが良いでしょう。胃や大腸などの消化管からの出血の可能性もあります。

胃がんになりやすい人の特徴

ヘリコバクターピロリの感染

ピロリ菌の感染は胃がんの危険因子です。ピロリ菌が陽性の人では、胃がんのリスクが少なくとも5倍以上となっていることが報告されています。
ピロリ菌を除菌することで、胃がんの発生を抑制することが分かっています。しかし、除菌をしても完全に危険性が無くなるわけではないため、定期的に胃がん検診を行いましょう。

喫煙する人

喫煙は胃がんの危険因子です。非喫煙者と比較して、喫煙者では胃がんのリスクは1.6倍上昇すると報告されています。喫煙は様々ながんでの危険因子となるため、なるべく早くに禁煙することがすすめられます。

アルコール多飲

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今までの研究で日本人男性において、一日一合以上の飲酒が胃がんのリスクとなる事が分かっています。また、飲酒量が増えるほど、このリスクが上昇することも報告されています。女性では、飲酒する人が少ないため、はっきりとした差が出ませんでしたが、同様にリスクがあると考えられ、注意が必要です。アルコールの摂取は一日一合までの適量としましょう。

高塩分食、塩蔵食品をよく食べる人

高塩分食は胃がんのリスクとなる事が知られています。また、塩分そのものだけではなく、塩蔵食品は、塩蔵の過程で生成されるニトロソ化合物が胃がんのリスクを上昇させると考えられています。日本人は塩分摂取量が多いです。なるべく減塩を心がけましょう。

胃がんを予防する可能性の高い食べ物・食生活

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バランスの良い食事

野菜や果物を積極的に摂取すると胃がんのリスクが低くなる可能性があると考えられています。なるべくバランスの良い食事を摂るようにしましょう。

禁煙・節酒

喫煙、アルコールの多飲は胃がんのリスクとなります。このため、禁煙、節酒を心がけることが大切です。これは胃がんだけではなく、さまざまながんや生活習慣病の予防にもつながります。

減塩食

高塩分食や塩蔵食品が胃がんのリスクであるとわかっています。このため、塩分を控える食事をすることがすすめられます。

胃がんの予防法

ピロリ菌の除菌

ピロリ菌の感染は胃がんにおける最大のリスクと考えられています。ピロリ菌の感染に気がついたら、除菌をすることがすすめられます。除菌をすることで胃がんへの進行を抑える効果があるため、ピロリ菌の感染が分かった場合には、除菌を検討しましょう。

適正な体重の維持・適度な運動

日本人男性において、BMI27以上で胃がんのリスクが上昇することが報告されています。また、女性の胃がんでは身体活動量が多いほど胃がんのリスクが低下する傾向が報告されています。現在のところ、全体での胃がんとの因果関係ははっきりしていません。しかし、他のがんでのリスクを考えると、適正体重を保ち適度な運動を行うことがすすめられます。

定期的な検診

特に胃がんの危険因子がある方や、ピロリ菌の感染を指摘されたことがある方では、除菌を行っていても定期的に胃がん検診を行うことがすすめられます。早期に発見をすることが、生存率にも大きく関係します。

「口角炎と胃がん」についてよくある質問

ここまで口角炎と胃がんなどを紹介しました。ここでは「口角炎と胃がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃の調子が悪いと口角が荒れたりするのでしょうか?

和田 蔵人和田 蔵人 医師

胃の調子が悪いことで、食物の栄養の吸収が悪くなったり、食欲が低下して栄養分をとれなくなったりすることで口角が荒れることがあります。ビタミンB群(ビタミンB2、6、12)などの不足が口角炎を起こすことがあると言われています。しかし、口角炎の原因は栄養障害だけではありません。乾燥や感染などそのほかの原因である事も多いため、他に原因が無いかを考えてみることも大切です。口角炎が悪化した場合には、皮膚科で相談をして原因を確認すると良いでしょう。

まとめ 口角炎の症状は胃がんで起こるとは限らない!

口角があれていると、胃の調子が悪いのではないかと考える方も多いのではないでしょうか?確かに、胃腸の不調で栄養の吸収が悪くなり、結果的に口角炎が起こることもあります。しかし、乾燥や感染など他に原因がある事も多いです。まず、口角炎が持続し、悪化する場合には皮膚科で相談をしてみましょう。また、栄養の吸収が悪い、食欲がないことで口角炎が起こっていることもあります。胃のむかつきがある、痛みがあるなど消化器症状が伴う場合には消化器内科で相談をしてみると良いでしょう。口角炎が胃がんの症状とは言えませんが、重要なサインとなっている可能性もあるため、持続する場合、悪化する場合には皮膚科もしくは、消化器症状があれば消化器内科を受診して相談をしましょう。

「胃がん」と関連する病気

「胃がん」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系、内科系

胃がんと症状が似ている病気として以上のようなものが挙げられます。症状のみでは病気を区別することができません。気になる症状がある場合には、消化器内科を受診しましょう。

「胃がん」と関連する症状

「胃がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 吐き気・嘔吐
  • みぞおちの痛み
  • 食欲不振
  • 体重減少
  • 便に血が混ざる

胃がんは初期では症状があまりないことが多いです。進行すると以上のような症状がみられますが、どれも胃がん特有の症状ではありません。気になる症状があれば消化器内科を受診しましょう。

この記事の監修医師