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胃がんの症状や原因、治療法とは?

公開日:2019/01/15  更新日:2022/01/30

胃がんとはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

梅村 将成 医師

監修医師
梅村 将成 医師(市中総合病院)

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自治医科大学医学部卒業。その後市中病院で臨床経験をつみ、現在は市中の総合病院で外科専門医・腹部救急認定医として勤務。日本外科学会、日本消化器病学会、日本腹部救急医学会などに所属。
消化器外科・総合診療医として、がん治療(手術・抗がん剤・緩和治療)を中心に、幅広く内科疾患・救急疾患を診療。小児から高齢者まで、健康に悩みを抱えるすべての患者さんが納得した医療を受けられるよう、専門医と総合医の視点をもって日夜診療に努めている。

胃がんとは

胃がんとは、胃壁の最も内側にある粘膜の層からできるがんのことを指します。何らかの原因で正常な細胞ががん細胞となり、そのがん細胞が徐々に増加することで進行します。

胃がんはどんな症状が現れるの?

胃がんは、早期の段階ではほとんど予兆となる自覚症状がありません。
進行するに従って、徐々に自覚症状が出現していきます。胃痛、心窩部(みぞおち)の不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振、体重減少、便が黒くなる、などが代表的な症状です。また、症状がなくても貧血などの原因を調べていくうちに、胃がんが発覚することもあります。

梅村 将成 医師梅村先生の解説

胃痛や心窩部不快感など、胃がんに見られる自覚症状は、胃がんに特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍の場合でも起こりうるため注意が必要です。

胃がんの進行段階(ステージ)は?

がんのステージを決めるために大切な要素は3つあります。癌の深さ(T因子)、がんの所属リンパ節転移の有無(N因子)、他臓器への遠隔転移(M因子)です。それぞれを総合的に評価しステージ(病期)を判定しています。
T因子はがんの深掘れ具合を判定するものです。胃の壁は内側から、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5層から成り立ちます。がんが発生するのは最も内側にある粘膜ですが、進行するにつれ徐々に外側に深掘れしていきます。どこまで深堀れしているかで進行度が変わります。
N因子はリンパ節への転移の有無で判定します。がんは初期の段階ではリンパ節転移はきたしませんが、進行するにつれてリンパ節転移をきたす確率が高まります。リンパ節転移をきたしているか否か、または、リンパ節転移を生じる場合には転移したリンパ節の個数で進行度を評価します。
M因子は遠隔転移があるかないかで判断します。がんは進行するにつれて、胃を離れて他臓器(肝臓、肺など)に病巣をつくる(遠隔転移)という性質があります。

一般的に早期がん・進行がんの境目は、深掘れの程度が粘膜/粘膜下層で止まっているものを早期がん、固有筋層以下に進展しているものを進行がんと言います。

梅村 将成 医師梅村先生の解説

ステージに関しては早期がん・進行がんという大雑把な分類より、さらに詳細に評価して決定されます。
詳細をお伝えして混乱を招くことがないように、ここでは皆さんが理解しやすいように概要のみをお伝えすることをご留意ください。

ステージⅠA(T1a):がんが発生した粘膜内に収まっているものをいい、最も早期の段階です。この段階ではほとんど自覚症状はないため、検診などで見つかることがほとんどです。治療は内視鏡手術のみで完遂可能です。
ステージⅠA(T1b):上記との違いはがん細胞が、粘膜下層まで進行していることです。早期がんであり、ステージⅠAというステージ分類ですが、標準治療として全身麻酔下での手術が検討される点が大きく異なります。
ステージⅠB:ステージⅠAと異なるのは、がん細胞が固有筋層まで深掘れしている、あるいは、リンパ節転移が出現しているという点です。固有筋層まで進行すると、進行がんと呼ばれる状態になり、胃痛を生じることもあります。
ステージⅡA/ⅡB:ステージⅡになると、がんは漿膜下層まで進行しており、胃痛や心窩部不快感が出現しやすくなります。潰瘍を形成して、出血や内腔狭窄による通過障害をきたす頻度も増えます。
ステージⅢA/B/C:ステージⅢとは、結腸など他臓器への進行を認める、あるいは、多数のリンパ節転移などがある場合です。初期の胃がんはCT検査では判別困難ですが、ステージIIIではCT検査で指摘できるようになります。何かしらの自覚症状の出現も増えます。
ステージⅣ:遠隔転移が出現するものを指します。遠隔転移巣の部位によって出現する所見や症状が異なります。腹水が出現して腹部膨満感が強くなる、肝転移によって黄疸が出現する、肺転移によって呼吸困難感が出現する、などの症状がみられます。

胃がんの原因は?

胃がんの原因としてヘリコバクターピロリ菌感染が有名です。そのほかには塩分過多や喫煙などの生活習慣が挙げられます。特に、中高年ではヘリコバクターピロリ菌の感染率が高いことが知られています。へリコバクター・ピロリ菌感染陽性者の胃がんリスクは陰性者の5.1倍との報告もあります。

梅村 将成 医師梅村先生の解説

ピロリ菌の感染経路ははっきりとわかっていませんが、経口摂取や幼少期の生水(井戸水など)摂取が有力視されています。若年者より中高年以降の方がピロリ菌感染率は高く注意が必要です。

胃がんの検査方法・診断方法は?

どのような症状があるかを詳細に問診・診察し、原因と思われる疾患を鑑別するために検査を行います。胃がんを疑うような症状があった場合には、腫瘍マーカーを含めた血液検査や上部消化管内視鏡(胃カメラ)を行います。
その他に、腹部CT検査を行うことも有用です。胃がんの確定診断には胃カメラで行う細胞検査(病理検査)が必須です。
無症状の胃がんを見つけることは困難ですが、検診は早期胃がんが見つかるきっかけになることがあります。上部消化管内視鏡(胃カメラ)や胃バリウム検査が適した検査です。
血液検査や胃カメラの検査自体は2-3時間もあれば終わりますが、初診時とは別に改めて検査日を設けることが一般的です。

梅村 将成 医師梅村先生の解説

心窩部痛、腹痛、胃もたれなど、何かしら胃の病気を想定するような症状がある場合は内科、消化器内科、外科を受診しましょう。

胃がんの治療方法

梅村 将成 医師梅村先生の解説

胃がんに対する主な治療方法は、手術か抗がん剤を用いた薬物療法です。がんの治療には放射線療法の選択肢もありますが、胃がんに対する治療法としては一般的ではなく特殊な場合にのみ行われています。

手術には2種類あり、内視鏡手術か、全身麻酔を用いた外科手術かです。
内視鏡手術では、一部の早期がんに対してEMR(内視鏡的粘膜切除術)やESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)が行われています。どちらも1週間程度の入院で治療が可能です。
外科手術は、内視鏡手術でとりきれない早期がんや進行胃がんに対して適応のある治療法です。おおよそ1週間から10日程度の入院期間を見込みます。
外科的手術の方法には、開腹手術、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術などの選択肢があります。
がんを完治させることが出来るかどうかに関しては、その進行度によって大きく変わりますが、手術が唯一完治を目指せる治療方法になります。

抗がん剤を用いた薬物療法は、多数の抗がん剤を組み合わせて行います。
その目的としては、
1)手術では治癒が難しい進行・再発がんに対する治療
2)手術後に、手術で取りきれなかったがん細胞を死滅させ再発を予防する術後補助化学療法
3)手術前に、がんが大きいため手術困難な腫瘍をより手術しやすくするために行う術前化学療法
という3つがあります。
どの治療をどのように組み合わせるかは、個々によって異なるためよく主治医と相談してください。

胃がんの予防方法と食事

胃がんにならないための対策として大事なのは食生活を含めた生活習慣を見直すことと、ピロリ菌の除菌です。
日常生活に取り入れられる予防方法は喫煙習慣があれば禁煙する、食事であれば塩分の取り過ぎに気を付けるという点です。

すぐに病院へいくべき?胃がんセルフチェック

胃がんの可能性がある症状は、胃痛、心窩部(みぞおち)の不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振、体重減少、便が黒くなるなどです。
特に症状はないにもかかわらず体重が減っているというときは、胃がんを含む悪性腫瘍の可能性もあります。
胃がんから出血するような時はふらつきなどの貧血症状や、便が黒くなるという症状が出現します。その際はすぐに病院に行きましょう。

もしかして胃がん?初期症状や気になる症状、前兆を解説

ここでは胃がんの初期症状や、胃がんの疑いのある症状、病院へ行くべき目安や対処法などをなどを解説します。

心窩部(しんかぶ)不快感や食欲不振

早期胃がんではほとんど前兆や予兆となる自覚症状がないため、早期発見が困難です。
病院へ行くべき目安は、心窩部不快感や食欲不振が続く場合です。思い当たる原因がない時や、数日様子を見ても改善されないなどの場合は早めに受診しましょう。
胃がんでは、出血が最も急を要します。吐血をするなどの場合はすぐに救急車を呼んでください。

胃がんについてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「胃がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

胃がんの発覚のきっかけとして多い症状はどのようなものですか?

梅村先生梅村先生

胃がんの症状として多いのは胃痛、心窩部(みぞおち)の不快感、胸やけ、食欲不振などです。早期胃がんは自覚症状に乏しいのですが、早期胃がんでもピロリ菌感染による胃炎による心窩部不快感などが出現することもあります。
胃がんの症状なのか、胃炎の症状なのかを区別することは困難ですが、症状がある場合は胃がんを疑って検査を受ける必要性もあります。
進行がんになると、がんの発生部位や進行の度合いによって症状は異なります。胃痛や心窩部不快感が出現するだけではなく、さらに進行すると通過障害によって嘔吐をきたすこともあります。
胃がんを早期発見するには検診を受けることをお勧めします。ピロリ菌感染していれば除菌療法を受け、定期的に胃カメラ検査を受けることなどが有用です。

胃がんの進行速度はどれくらいですか?

梅村先生梅村先生

胃がんの進行速度は人によってまちまちですので一概には言えません。
スキルス性胃がんと呼ばれるタイプの胃がんは、早期発見が困難で進行も早いとされています。初期~末期まではやいとどれくらいの期間で進行するのかという根拠を示すことは困難ですが、臨床経験から1年程度ということもあり得ます。

まとめ

胃がんについて概説しました。胃がんは日本人の死因第3位[um1] に入る悪性腫瘍ですが、早期がんの段階で治療を開始できれば十分完治が望める病気です。
胃がんは早期がんの段階では自覚症状が乏しく、胃がん検診などでないと早期発見は困難です。ぜひ胃がんについて理解し、生活習慣の見直しや検診を受けることを考えてみてください。

胃がんと関連する病気

「胃がん」と関連する、似ている病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

循環器系の病気

  • 心筋梗塞
  • 狭心症

消化器系の病気

心窩部痛/不快感の原因には、消化器疾患以外にも心疾患が隠れている可能性があります。
胃がんの症状と類似した症状を呈しますが、診察だけでは鑑別が困難です。

胃がんと関連する症状

「胃がん」と関連している8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

胃がんの症状は胃・心窩部に起こる症状の頻度が高いです。

【参考文献】

■日本胃癌学会 胃がん取り扱い規約第15版

■国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC Study)

■国立がん研究センター 胃がん