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消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)の症状・原因・治療方法について

 更新日:2023/03/27

消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)(読み方:しょうかせいかいよう(い・じゅうにしちょうかいよう))とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)とは

消化性潰瘍とは、胃や十二指腸に深い傷ができることを指します。その原因は、ピロリ菌によるものが大部分で、次に非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)によるものがあります。
引用:「患者さんと家族のための消化性潰瘍ガイドブック」日本消化器病学会
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/pdf/02_kaiyou.pdf

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
潰瘍とは、表面を覆う粘膜が何らかの理由により欠損した状態を言います。欠損する箇所により胃潰瘍や、十二指腸潰瘍といわれたりします。

消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)の症状

消化性潰瘍で最も一般的な症状は、軽度から中等度の痛みです。この痛みは一般的に、差し込むような痛み、焼けつくような痛み、うずく痛み、ヒリヒリする痛み、ときには空腹感と説明され、通常は胸骨のすぐ下に発生します。通常は食事や制酸薬により軽減します。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/胃炎と消化性潰瘍/消化性潰瘍

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
消化性潰瘍に特異的な症状はありません。上記の症状を認めた場合でも、胃がんなどの悪性腫瘍や、胃周囲の臓器の病気(胆嚢や膵臓など)の可能性もあります。

消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)の原因

潰瘍が生じるのは、胃や十二指腸の粘膜の正常な防御・修復メカニズムが弱まり、粘膜が胃酸による損傷を受けやすくなった場合です。
消化性潰瘍で群を抜いて最も一般的な原因は以下の2つです。

・胃のヘリコバクター・ピロリ感染
・非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の使用

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/胃炎と消化性潰瘍/消化性潰瘍

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
正常な胃や十二指腸は、胃酸や消化液などの攻撃因子と、粘膜などの防御因子のバランスが取れている状態です。薬物(痛み止めや血をさらさらにする薬、ステロイドなど)やストレスなどによりそのバランスが崩れると、びらんやさらに潰瘍が発生するとされています。

消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)の検査法

医師が消化性潰瘍を診断する手順としては、患者さんの自覚症状を考慮して、上部消化管のバリウム検査や内視鏡検査を用いることが多いです。

引用:「患者さんと家族のための消化性潰瘍ガイドブック」日本消化器病学会
https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/pdf/02_kaiyou.pdf

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
一般的には症状に応じて、主に上部消化管内視鏡検査を行い、出血の有無や悪性腫瘍の有無、ピロリ菌感染の判定をすることが非常に大切です。胃がんの場合も潰瘍と似た形態をとることもあり、生検による確認や、時間を空けての再検査などが必要な場合も多いです。
消化性潰瘍の診断の際、ピロリ菌感染の有無は治療方針に大きくかかわっており非常に大切です。ピロリ菌陽性の場合、その後に除菌できれば潰瘍の再発はまれになりますが、ピロリ菌陰性の場合や、除菌ができなかった場合は再発のリスクが非常に高く、潰瘍が治癒した後も、再発予防のために維持療法を薦める場合もあります。

消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)の治療方法

・抗菌薬
・胃酸分泌抑制薬
・制酸薬
・ときに手術 

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/胃炎と消化性潰瘍/消化性潰瘍

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント

治療に関しては、まずできるだけ早期に内視鏡検査を行い、出血の有無、悪性疾患の有無を判定します。出血を認める場合には、内視鏡的に止血術を行います。出血がない場合には、現在の内服薬、ピロリ菌の有無に応じて治療を選択していきます。NSAIDsなどの内服がある場合は可能な範囲で中止、その上で消化性潰瘍の場合背景にピロリ菌感染がある場合にはピロリ菌除菌を、ピロリ菌陰性の場合には制酸薬などでの内服治療+生活指導が中心となります。(NSAIDsなどの内服が出来ない場合は、ピロリ菌の有無にかかわらず、制酸薬などでの内服治療+生活指導が中心となります。)

●ピロリ菌について

ピロリ菌は約3×0.5μmの大きさのらせん状をした細菌で、4~8本の鞭毛をもつ細菌です。日本人の感染者は多く全国民の約半数が感染しているとされており、また加齢にともなってピロリ菌保菌者は増えていきます。感染経路は、人から人への経口感染(口から口)や井戸水などの水からの感染がほとんどで、多くが5歳までの幼少時に感染するとされています。
ピロリ菌が胃に感染すると慢性胃炎と呼ばれる持続的な炎症を引き起こし、年齢とともに胃粘膜の萎縮が次第に進み、胃粘膜の炎症が持続して、胃がんの発生リスクが高くなったり、急性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因となります。
実際に、ピロリ菌に感染すると、まったくピロリ菌に感染したことがない人に比べ、胃がんのリスクが上がったり、消化性潰瘍の再発率を上昇させる要因になります。特に若年者(〜60歳台)においては除菌治療をおすすめしております。
ただし、除菌治療によりピロリ菌が消失し胃がんの発生リスクは減少しても、一度進んだ胃粘膜の萎縮は残るため、元々ピロリ菌がいない方に比べると、胃がんの発生頻度が高いことが分かっています。そのため、除菌後も胃がんの発生が見られないかどうか1年に1回の定期的な胃内視鏡検査が重要となってきます。


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