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「陥凹型大腸がん」の3つの症状はご存知ですか?大腸がんとの違いも医師が解説!

 公開日:2025/09/22
「陥凹型大腸がん」の3つの症状はご存知ですか?大腸がんとの違いも医師が解説!
陥凹型大腸がんとは?メディカルドック監修医が陥凹型大腸がんと大腸がんの違い・症状・原因・なりやすい人の特徴・検査法・治療法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
齋藤 雄佑

監修医師
齋藤 雄佑(医師)

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日本大学医学部を卒業。消化器外科を専門とし、現在は消化器外科、消化器内科、産業医を中心に診療を行っている。現在は岩切病院、永仁会病院に勤務。
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。

「陥凹型大腸がん」とは?

大腸がんは、その発生部位や進行度だけでなく、肉眼的な形態によっても様々なタイプに分類されます。その一つに「陥凹型大腸がん」と呼ばれるものがあります。陥凹型大腸がんは、病変の表面が周囲の正常な粘膜よりも窪んでいるような形態を呈するがんです。特に「陥凹型早期大腸がん」という概念も存在し、早期の段階であっても病変が粘膜表面から窪んでいることが特徴とされています。陥凹型病変は、一見すると小さく見えたり、見逃されやすかったりすることもありますが、その形態的な特徴から、特に注意を要するタイプの一つと認識されています。

「陥凹型大腸がん」と「大腸がん」の違いとは?

大腸がんは、その肉眼形態によって大きくいくつかのタイプに分けられます。例えば、粘膜から盛り上がった「隆起型」、比較的平坦な「表面型」、そして周囲の粘膜より窪んだ「陥凹型」などです。これらの肉眼形態分類は、がんの深さ(壁深達度)や広がりを予測し、適切な治療法を選択するために重要な情報となります。「陥凹型大腸がん」は、この大腸がんの肉眼形態分類の一つであり、病変の中心部が凹んでいる特徴を持つがんです。他の隆起型や表面型の大腸がんと比較して、陥凹型は病変が早期の段階であっても、すでに粘膜の下層へと深く浸潤している(進行している)可能性がある点が重要視されることがあります。これは、窪んだ形態のために、見た目の大きさが小さくても、実際には進行している場合があるためです。このように、陥凹型大腸がんは、大腸がんという大きな枠組みの中の特定の肉眼形態を指し、その形態的な特徴が診断や治療において特別な注意を必要とする点で、一般的な大腸がんとは区別されます。

陥凹型大腸がんの主な症状

陥凹型大腸がんに特有の症状というものはありません。しかし、大腸がん全般に言えることとして、早期の段階では自覚症状がほとんどない場合が多いとされています。進行するにつれて、様々な症状が現れることがあります。

下血・血便

血便や下血は比較的早期から現れやすい症状の一つです。便に血が混じる、便の表面に血が付着する、あるいはトイレットペーパーに血が付くといった形で気づかれることも少なくありません。また、血液が胃酸と反応して便の色が黒っぽくなる「タール便」として現れることもあります。がんからの慢性的な出血が続くことで、貧血が進行し、疲れやすい、めまいがするといった症状が現れることもあります。これらの症状は、がん以外の病気でも起こりうるため、自己判断はせずに消化器内科を受診することが大切です。

便通異常

便秘と下痢を繰り返す、便が細くなる、便が出しにくいといった便通異常もよく見られます。これは、がんが大きくなることで腸の内腔が狭くなったり、腸の動きに影響を与えたりするために起こります。大腸がんによる症状に対して、ご自身で「すぐにできる処置」や「症状を落ち着かせる方法」は、残念ながら根本的な治療にはなりません。これらの症状は、がん以外の病気でも起こりうるため、自己判断はせずに消化器内科を受診することが重要です。

腹部のしこりや腹痛

腹部にしこりや張りを感じたり、原因不明の腹痛が続いたりすることもあります。これらの症状は、がん以外の病気でも起こるため、自己判断はせずに消化器内科を受診することが非常に重要です。

陥凹型大腸がんの主な原因

陥凹型大腸がんに限らず、大腸がんの発生には様々な要因が関与していると考えられています。陥凹型大腸がんに特徴的なものではなく、大腸がん全般について解説します。

飲酒・喫煙

過度な飲酒、喫煙といった生活習慣も、大腸がんの発生に深く関わっているため、注意が必要です。大腸の粘膜の細胞に遺伝子変異が積み重なることで、がんが発生すると考えられています。欧米での研究報告と比べると、日本人は欧米人に比べ飲酒と大腸がんの関連がより強いことが確認されています。

偏った食生活

環境的な要因として最も重要視されているのが食生活です。特に、牛肉や豚肉などの赤肉や、ハム・ソーセージといった加工肉の過剰な摂取、食物繊維の摂取不足は、大腸がんのリスクを高めることが知られています。高脂肪食により肥満になることが、さらに大腸がんリスクを高めてしまいます。

遺伝子変異

大腸がんの原因としてRAS遺伝子、BRAFV600E遺伝子、そしてミスマッチ修復機能欠損(MSI/MMR)といった遺伝子変異や機能欠損が、がん細胞の増殖や進行に深く関わっています。遺伝子変異や機能欠損は大腸がんの発生や悪性度、治療薬の選択に影響を与える重要な要因です。例えば、KRAS変異やBRAF変異(MSS)がある場合、再発のリスクが高い因子となることが報告されています。一方で、ミスマッチ修復機能欠損がある場合、再発のリスクは比較的低いです。これらの遺伝子異常や機能欠損は、がん細胞の生物学的特性を決定し、それががんの発生や進展の背景にある原因の一つとして考えられます。

陥凹型大腸がんになりやすい人の特徴

過度の飲酒・喫煙者

前述のように過度な飲酒や喫煙者は大腸がんになりやすい人の特徴に当てはまります。逆に言うと適切な飲酒量や禁煙をすることで、大腸がんリスクを下げることができます。自分での取り組みができない場合は、医療機関でご相談ください。

肥満・運動不足

運動不足や肥満もリスクを高めます。特に内臓脂肪が多いタイプの肥満は、がんの発生を促進する物質を体内で作り出すことが分かっています。

遺伝的要因

一般的に大腸がんの家族歴がある方や、リンチ症候群などの遺伝性疾患を持つ方は、大腸がんのリスクが高いことが知られています。大腸がんの家族歴がある方は健康診断や大腸がん検診を積極的に活用しましょう。

陥凹型大腸がんの検査法

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査は、大腸がんの診断において最も重要な検査です。内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察することで、陥凹型病変の有無やその詳細な形態を確認します。内視鏡を行う医師は画像所見から進行度を診断します。内視鏡で病変が発見された場合、その一部を採取して顕微鏡で調べる組織学的検索が必要になることが多いです。これにより、病変が悪性であるかどうかの確定診断が行われます。

画像診断(CT、MRI、PET/CTなど)

大腸内視鏡検査でがんが発見された後、大腸がんのステージの決定のため、リンパ節や他の臓器への転移の有無を確認します。CTやMRI、PET/CTなどの画像診断が用いられます。胸部CTでは肺転移や縦隔・頸部のリンパ節への転移をが無いかなどを検索することが可能です。腹部CT/MRIでは肝転移やその他の腹部再発巣を検索します。PET/CT:再発疑診例における再発部位の検索と確定に有用ですが、定期的なサーベイランスを目的とした検査法としては推奨されていません。

血液検査(腫瘍マーカー)

腫瘍マーカー 血液検査で、CEAやCA19-9といった腫瘍マーカーを測定は、がんの治療効果の評価や再発の早期発見に役立つことがありますが、大腸がんの早期発見のための測定は推奨されていません。診断の確定には組織学的検査が必要です。

陥凹型大腸がんの治療法

内視鏡治療

陥凹型大腸がんが早期の段階である場合、内視鏡治療が選択肢となります。病巣の茎部にスネアをかけて高周波電流で焼灼切除する「スネアポリペクトミー」、粘膜下層に生理食塩水などを局注して病巣を挙上させ、スネアで切除する「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」などがあります。EMRで一括切除できる限界は約2cmとされていますが、病変周囲を切開し粘膜下層を剥離して腫瘍を一括切除する「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」では、2cm以上の大きな腫瘍や線維化を伴う早期がんも一括切除が可能です。ESDは、技術的難易度は高いものの、安全性が向上しています。内視鏡治療は、通常数日間の入院で実施されます。退院後は定期的な経過観察が必要となります。

手術療法

リンパ節転移の可能性が高い場合や、病変が粘膜下層より深く浸潤しているなど、進行している場合には、リンパ節郭清を伴う外科手術が必要です。手術ではリンパ節郭清といって、腫瘍の壁深達度やリンパ節転移の有無に基づき、適切な範囲のリンパ節郭清が行われます。従来の開腹手術に加え、傷が小さく体への負担が少ない腹腔鏡下手術や、より精密な操作が可能なロボット支援手術も選択肢となります。入院期間は手術内容にもよりますが、通常は1週間から数週間程度の入院が必要です。

薬物療法

薬物療法には、手術後の再発を抑制するための補助化学療法と、切除不能な進行・再発大腸がんに対して延命や症状緩和を目的とした全身薬物療法があります。補助化学療法は治癒切除後のStage Ⅲ大腸がんや、再発リスクが高いStage Ⅱ大腸がんに対して推奨されます。切除不能進行・再発大腸がんに対する薬物療法は殺細胞性抗癌薬、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬など、複数の薬剤が使用されることが多いです。遺伝子検査やバイオマーカー検査が実施され、これらの結果に基づいて最適な薬剤が選択されます。薬物療法は、多くの場合、外来通院で実施されますが、入院して行う場合もあります。

「陥凹型大腸がん」についてよくある質問

ここまで陥凹型大腸がんを紹介しました。ここでは「陥凹型大腸がん」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

大腸ポリープが凹んでいるのは危険なのでしょうか?

齋藤 雄佑齋藤 雄佑 医師

大腸ポリープが凹んでいる場合、それは陥凹型病変と呼ばれ、特に早期の段階であっても、病変が進行している可能性を示す重要な所見である可能性があります。通常の粘膜から隆起したポリープと比較して、陥凹型病変は早期から粘膜下層へ深く浸潤していることがあります。それに伴いリンパ節転移のリスクが高い場合があるため、注意が必要です。「大腸癌治療ガイドライン」においても、pT1癌(粘膜下層浸潤癌)の治療方針を決定する際には、そのリンパ節転移リスク因子として、粘膜下層への浸潤距離や組織型、脈管侵襲の有無などが挙げられており、これらの因子を一つでも認める場合は追加手術が弱く推奨されています。

編集部まとめ 陥凹型大腸がんを理解し、予防しよう!

本記事では、大腸がんの特殊な形態の一つである「陥凹型大腸がん」について、その特徴から症状、原因、なりやすい人の特徴、そして検査法や治療法に至るまでを解説いたしました。陥凹型大腸がんは、その病変が粘膜表面から窪んでいる形態を呈し、早期の段階であっても他の形態のがんと比較して粘膜下層への浸潤が進んでいる割合が一定数あるため、特に注意が必要なタイプです。 治療法は、がんの進行度や患者さんの状態に応じて多岐にわたります。リンパ節転移の可能性が低い早期のものであれば内視鏡治療(EMRやESDなど)外科手術(腹腔鏡下手術やロボット支援手術を含む)、そして進行再発がんに対しては薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)放射線療法などが適用されます。これらの治療方針は、遺伝子関連のバイオマーカー検査の結果も踏まえ、個々の患者さんにとって最適なものが選択されます。大腸がんは、早期に発見し適切な治療を行うことで、高い治療効果が期待できる疾患です。特に、症状がない早期の段階で見つけるためには、定期的な大腸がん検診や大腸内視鏡検査が非常に重要です。もし、血便や便通異常、腹痛など、気になる症状が続く場合は、迷わず速やかに消化器内科や消化器外科の専門医を受診し、ご自身の健康状態を確認してください。

「陥凹型大腸がん」と関連する病気

「陥凹型大腸がん」と関連する病気は5個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。 良性の疾患も大腸癌のリスクになるものがありますので、気になることがあれば医療機関でご相談ください。

「陥凹型大腸がん」と関連する症状

「陥凹型大腸がん」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。 各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する症状

大腸がんの症状は様々です。これらの症状が当てはまる方は症状を放置せずに、医療機関で医師にご相談ください。

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