「膵臓がん」の進行スピードはご存知ですか?受診した方が良い症状も医師が解説!

メディカルドック監修医が膵臓がんの進行スピード・進行すると現れる症状・進行が早い原因・検査・治療・早期発見方法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
目次 -INDEX-
「膵臓がん」とは?
膵臓がんは、膵臓にできるがんの一種です。膵臓は胃の後ろに位置し、消化液を分泌したり、血糖値を調節するホルモンを分泌したりする重要な臓器です。高齢者になるほど膵臓がんの発症率は高くなる傾向があり、70代では特に注意が必要です。50代や40代でも発症する可能性はありますので、油断は禁物です。膵臓がんは早期発見が難しく、進行すると治療が困難になるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
膵臓がんの進行スピードはどれくらい?
膵臓がんの進行スピードは、がんの種類、大きさ、場所、患者の年齢や全身状態などによって異なります。一般的に、膵臓がんは進行が早い癌と言われています。膵臓がんは、ステージ0からステージIVまでの4段階に分けられます。ステージが進むにつれて、がんの大きさが増し、周囲の臓器やリンパ節への転移が起こります。ステージIVでは、肝臓や肺など、遠くの臓器に転移している状態です。
早期の膵臓がん(ステージ0、ステージI)では、自覚症状がほとんどないため、発見が遅れることが多いです。ステージが進むにつれて、腹痛、黄疸、体重減少などの症状が現れます。高齢者の場合、これらの症状が他の病気と間違われやすく、発見が遅れる可能性があります。
膵臓がんの進行スピードが早い原因
早期発見が難しい
膵臓は体の奥深くに位置しているため、早期の膵臓がんは画像検査などでも発見が難しいです。また、初期段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断などで偶然発見されるケースが多いです。高齢者の場合、健康診断を受ける機会が減ったり、症状を自覚しにくかったりするため、さらに発見が遅れる可能性があります。
健康診断などで膵臓がんの異常を指摘された場合、精密検査を受けるようにしましょう。高齢者の場合は、家族や介護者が付き添って受診すると良いでしょう。受診する診療科は消化器内科や胃腸科が専門となります。緊急性は低いですが、放置すると進行する可能性があるため、早めに受診しましょう。
浸潤・転移しやすい性質
膵臓がんは、周囲の臓器やリンパ節、血管などに浸潤しやすい性質があります。また、比較的早期から肝臓や肺など、遠くの臓器に転移する可能性があります。進行がんの場合は、症状が急速に悪化する可能性があるため、早急に受診しましょう。受診する診療科は、消化器内科や胃腸科となります。しかし、進行がんの場合は、専門的な治療が必要となるため、がん診療連携拠点病院などへ紹介されることもあります。
初期症状や特徴的な症状が少ない
膵臓がんが早期発見しにくい大きな理由の一つに、初期段階では自覚症状がほとんど現れないことが挙げられます。膵臓は胃の後ろに隠れるように位置しており、周囲には様々な臓器が存在します。そのため、がんが小さいうちには、他の臓器を圧迫したり、機能を阻害したりすることが少なく、体に異変を感じにくいのです。体の表面からも膵臓を触ることはできません。
たとえ症状が現れたとしても、それは腹痛や食欲不振、体重減少など、他の病気でも起こりうる一般的な症状であることが多いです。そのため、これらの症状を膵臓がんと結びつけにくく、医療機関を受診するまでに時間がかかってしまうケースも少なくありません。
このように、膵臓がんは初期症状に乏しく、特有の症状も少ないため、早期発見が非常に難しいがんと言えるでしょう。膵臓がんの症状を疑った場合には消化器内科、胃腸科を受診しましょう。特に、家族歴がある場合には早めに相談をすることをお勧めします。膵臓がんが確定された場合には、全身治療ができる病院へ紹介となることもあります。
膵臓がんが進行するとどんな症状が現れる?
腹痛
膵臓がんが進行すると、みぞおちや背中に痛みを感じることがあります。痛みは持続性があり、夜間や食後に強くなる傾向があります。ストレスや生活習慣の乱れによる胃腸炎などと間違われやすいので注意が必要です。このほかにも腹痛を起こす病気として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胆石症などが考えられます。このため、症状のみでは区別がつきません。
すぐにできる処置としては、痛み止めを服用することが挙げられますが、痛みが強い場合、持続する場合には早めに医療機関を受診することをお勧めします。受診する診療科としては、消化器内科、胃腸科です。
黄疸
膵臓がんが胆管を圧迫すると、黄疸が現れます。黄疸は、皮膚や白目が黄色くなる症状です。また、尿が濃くなる、便が白っぽくなるなどの症状もみられる場合もあります。この症状がみられた場合、膵臓がん以外にも胆石症、肝炎、胆管炎などが考えられます。黄疸は胆道系が閉塞している可能性が高いため、緊急性が高いと言えます。黄疸を放置すると重篤な状態になる可能性がありますので、早急に医療機関を受診してください。
体重減少
膵臓がんが進行すると、食欲不振や消化吸収障害が起こり、体重が減少することがあります。このような症状がみられた場合には、消化の良いものを食べる、栄養バランスを意識するようにしましょう。膵臓がんやその他のがん、甲状腺機能亢進症などの可能性も考えられ、体重減少のみでは区別がつかないため詳しい検査が必要です。内科もしくは消化器内科を受診して相談してみましょう。原因不明の体重減少がある場合は、早めの受診が必要です。
背部痛
膵臓がんが背中の神経を圧迫すると、背中に痛みを感じることがあります。まずは痛み止めを服用して様子を見ますが、背中の痛みが長期間続く場合は、早めに受診しましょう。背部痛がある場合、膵臓がん、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、急性腰痛症などが考えられます。受診する診療科としては消化器内科、胃腸科、整形外科が良いでしょう。痛みが非常に強い場合は、救急車を呼ぶか、すぐに病院を受診しましょう。
膵臓がんの検査法
血液検査
血液検査では、腫瘍マーカー(CA19-9など)を測定することで、膵臓がんの可能性を調べます。高齢者の場合、他の疾患の影響で腫瘍マーカー値が上昇することがあるため、注意が必要です。消化器内科、胃腸科で採血を行います。入院の必要はありません。
画像検査
消化器内科、胃腸科、放射線科でCT、MRI、超音波検査を行い、膵臓の状態を詳しく調べます。通常は外来で検査を行いますが、場合によっては入院が必要な場合があります。入院期間は数日です。
内視鏡検査
内視鏡検査では、内視鏡を口や鼻から挿入し、食道、胃、十二指腸を観察します。膵臓がんが疑われる場合は、超音波内視鏡検査を行い、胃や十二指腸の壁越しに膵臓や胆道を至近距離で詳しく調べます。通常外来で検査を行うことが多いですが、超音波内視鏡検査の場合は、入院が必要な場合があります。入院が必要な場合は、1〜2泊程度です。
膵臓がんの治療法
手術療法
膵臓がんの治療法として、最も効果的なのは手術です。消化器外科で入院し、手術を行います。手術では、がんを切除します。入院期間は手術の内容や患者の状態によって異なりますが、数週間〜1ヶ月程度です。術後は、早期離床や呼吸訓練などのリハビリを行います。
化学療法
腫瘍内科、消化器外科で化学療法を行います。ステージⅠ以上の膵臓がんの場合は手術に先行して術前化学療法、手術後には生存率を延長させるために術後補助化学療法を行うことが推奨されています。また、手術ができない場合や、手術後に再発した場合には、全身化学療法を行います。
抗がん剤の種類や患者の状態によって異なりますが、入院が必要な場合があります。入院が必要な期間は、抗がん剤の種類や患者の状態によって異なります。詳しくは主治医に確認をしてください。
放射線療法
膵臓がんの放射線治療には、治療の効果を高めることを目的とした化学放射線療法と症状緩和を目的とした放射線治療の2つがあります。通常放射線治療科で放射線療法を行います。化学放射線療法は放射線治療と化学療法を組み合わせた治療法です。化学療法と組み合わせることで治療の効果を高めることが期待でき、局所進行切除不能膵臓がんに対する標準治療の1つです。症状緩和を目的とした放射線療法は手術ができない局所進行切除不能膵臓がんや、遠隔転移がある場合に、痛みを和らげるために行われることがあります。
膵臓がんの早期発見法
定期的な健康診断
膵臓がんは、早期発見が難しいがんですが、定期的な健康診断を受けることで、早期発見の可能性を高めることができます。健康診断では、血液検査、尿検査、腹部超音波検査などの画像検査などを行います。
腹部超音波検査
腹部超音波検査は、膵臓がんの早期発見に有効な検査方法です。腹部超音波検査は、痛みを伴わず、体に負担の少ない検査です。侵襲が少ないため、膵臓がんが疑われた場合、まず超音波検査で膵臓の異常がないかを確認することが多いです。しかし、腸管ガスなどの影響で膵臓全体の観察ができないこともあり、観察が不十分となることもあります。
腫瘍マーカー検査
腫瘍マーカー検査では、血液検査で血液中の腫瘍マーカー(CA19-9など)を測定します。健康診断で行われる血液検査項目には入っておらず、人間ドックで行われることが多い検査です。腫瘍マーカー検査は、保険診療ではがんの診断を補助する役割で、腫瘍マーカーの上昇だけをもってがんと診断することは通常ありません。
「膵臓がんの進行スピード」についてよくある質問
ここまで膵臓がんの進行スピードについて紹介しました。ここでは「膵臓がんの進行スピード」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
膵臓がんはどれくらいの年数で進行していく疾患なのでしょうか?
齋藤 雄佑監修医
膵臓がんの進行スピードは、がんの種類やステージ、患者さんの状態によって大きく異なり、具体的に何年でがんになるという回答をするのは難しいです。一般的に、膵臓がんは進行が早い癌と言われています。早期の段階では自覚症状がほとんどないため、発見が遅れることも多く、診断時にはすでに進行しているケースがあることは前述の通りです。しかし、近年では、検査技術の進歩や治療法の開発により、早期発見・早期治療が可能になってきています。そのため、定期的な健康診断や、気になる症状がある場合は早めに医療機関を受診することが大切です。
まとめ
膵臓がんは早期発見が難しく、進行すると治療が困難ながんです。しかし、早期発見できれば、手術によって完治が期待できます。膵臓がんの進行を予防するためには、禁煙、節酒、バランスの取れた食生活、適度な運動など、健康的なライフスタイルを心がけることが大切です。また、定期的な健康診断を受けることで、早期発見の可能性を高めることができます。
「膵臓がん」と関連する病気
「膵臓がん」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
膵臓がんと関連する病気はさまざまです。臓器の場所が近いことにより似たような症状がみられることがあります。腹痛や黄疸、背部痛、体重減少など気になる症状がみられる場合には、消化器内科で相談をしましょう。
「膵臓がん」と関連する症状
「膵臓がん」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
膵臓がんのサイン
- 黄疸
- 腹痛
- 背部痛
- 体重減少
- 食欲不振
これらの症状は膵臓がんの症状として見られます。しかし、そのほかの病気でも同じ症状がみられることがあり、症状のみでは区別がつきません。これらの症状が持続する場合には腹部の何かしらの病気の可能性があります。消化器内科を受診して相談しましょう。


