子どもが「甲状腺がん」になると”のどに現れる症状”とは?原因も医師が解説!

甲状腺がんは自覚症状が少なく、発見が遅れてしまうのではないかというイメージを持たれる方も少なくありません。どのような症状が出るのか気になる方もいるでしょう。
多くの場合、自覚症状がなく、しこり以外の症状は見られません。進行すると、症状が現れることが多いです。
甲状腺がんの治療法はステージやがんの性質によって異なります。それぞれどのような治療法があるのでしょうか。本記事では子どもの甲状腺がんの症状や原因、治療法について解説します。

監修医師:
山田 克彦(佐世保中央病院)
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甲状腺がんとは?
甲状腺にできたしこりを甲状腺結節といい、そのうちの悪性の腫瘍が甲状腺がんです。そもそも甲状腺は、のどぼとけのすぐ下に位置し、甲状腺ホルモンを分泌しています。ホルモンの分泌により全身の臓器に作用しており、子どもの成長にも大きく関与しているのです。
甲状腺がんは以下に分類され、特徴や治療法が異なります。
- 乳頭がん
- 濾胞(ろほう)がん
- 低分化がん
- 髄様(ずいよう)がん
- 未分化がん
乳頭がんは甲状腺がんのなかでも90%の割合と一番多く、リンパの流れに乗って転移することが多いですが、進行はゆっくりです。濾胞がんは全体の5%で、乳頭がんに比べリンパ節への転移は少ないとされています。しかし、血液の流れに乗って遠くの臓器に転移する可能性もあります。
低分化がんは全体の1%未満ですが、乳頭がんや濾胞がんと未分化がんの中間的ながんです。髄様がんは1〜2%の割合ですが、悪性度が高く転移しやすいのが特徴です。また、未分化がんは悪性度が高く進行も早いため、症状が顕著に出てくることがあります。
子どもの甲状腺がんの症状
甲状腺がんは自覚症状がないことが多く、検診での発見や進行により症状に気付くことがほとんどです。さらに、子どもは症状を訴えることができず、気付きにくいことがあります。
これから紹介する子どもの症状をみて早期発見、早期治療に努めていきましょう。
しこり
甲状腺がんの多くは、無症状で経過をたどることが多いです。痛みのないしこりを感じることがあり、部位としては前頸部(甲状腺)や側頸部(リンパ節)に触れられます。
嗄声
嗄声(させい)とは声のかすれのことです。甲状腺の裏側にある反回神経ががんにより圧迫され、声帯を動かす機能が損なわれてしまいます。
嚥下障害
嚥下(えんげ)障害とは、食事の際のむせ込みや、飲み込みが障害されることです。甲状腺の周りには気管や喉頭があり、浸潤してきたがんによって障害されているために起きることがあり、飲み込みにくくなります。
誤嚥
上記でもあるような嚥下障害も相まって飲み込みがうまくできず、正常なら食道に入る食事が誤って気管に入ってしまうことがあります。
呼吸困難
大きくなったがんが気管や喉頭に浸潤してくると圧迫されて、呼吸がしづらくなることがあります。
咳嗽
異物を排除しようとする身体の防御反応として咳嗽(せき)が起こります。声帯や気管にがんが浸潤して圧迫することで咳嗽が誘発されます。
血痰
肺などへの転移が認められた場合、痰に血が混じる血痰(けったん)がみられることがあります。
甲状腺がんの原因
甲状腺がんの原因は明らかにされていません。危険因子としては、遺伝による発生が考えられます。髄様がんの場合、約1/3が遺伝性(家族性)であることがわかっているのです。この遺伝子は親から子どもへ50%の確率で遺伝します。髄様がんはがんを引き起こす遺伝子(RET遺伝子)の点突然変異があることが判明しているため、遺伝子診断が可能です。家族に肺がんや甲状腺がんの既往がある方は注意が必要になります。
気になる方は医療機関への検診や相談に行くことも検討しましょう。大人の方でも危険因子はあり、特に19歳以下の大量放射線被曝は明らかな危険因子となっています。
甲状腺がんの治療方法
甲状腺がんの治療法は大きく3つに分けられます。診断されたがんの分類によって治療法が異なるため、それぞれの治療の利点や注意点を知っておくことが大切です。
手術
手術は甲状腺摘出術に加え、頸部リンパ節郭清を行うことがほとんどです。甲状腺全摘術は再発の予防が期待されます。髄様がんの遺伝性でない場合は甲状腺片葉切除術といった、がんのある片側のみ摘出します。利点として、一部でも甲状腺が残っていることで術後にホルモン剤の内服をする必要がないからです。しかし、小さながんが残る場合や再発のリスクがあります。
全症例ではありませんが、なぜ甲状腺の摘出だけではないのかというと、リンパ節の転移が疑われるからです。また、明らかな転移がなかった場合でも予防的に行うことができます。
放射線治療
放射線療法には放射線を身体の中から照射する内照射(放射性ヨウ素内用療法)、身体の外から照射する外照射があります。内照射とは、I-131と呼ばれる放射性ヨウ素のカプセルを内服し、残存甲状腺組織や転移巣の破壊・除去(アブレーション)を目的とした治療です。肺転移では寛解、骨転移では予後改善が期待できます。食事や医薬品、周囲への被爆対策など厳密なスケジュール管理が必要です。
外照射は体外から放射線を照射してがん細胞を焼くという治療法で、手術のみでは治療できない局所再発や遠隔転移に対して行う治療法です。骨転移による痛みの症状緩和目的でも使用されます。
薬物療法
薬物療法には3つに分類されており、以下に示します。
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)抑制療法:TSHは甲状腺を刺激し、ホルモンの分泌を促進します。甲状腺がんの術後は身体が甲状腺ホルモンの不足を補おうとしてTSHをたくさん分泌しようとするのが特徴です。しかし、すでに転移がある場合はTHSの分泌を抑制するために甲状腺ホルモン薬を内服することがあります。
- 分子標的薬:今までの抗がん剤はがん細胞だけでなく正常な細胞にも攻撃してしまう作用がありました。しかし、がんの増殖や転移の過程で必要になる分子だけを攻撃するように開発されたのが分子標的薬です。手術や放射線療法では対応できない甲状腺がんに対して投与されます。
- 化学療法:分化がんに対しては用いられていませんが、未分化がんの術後補助療法として用いられることが多いです。
子どもの甲状腺がんの症状についてよくある質問
ここまで子どもの甲状腺がんの症状や原因・治療法・予後などを紹介しました。ここでは「子どもの甲状腺がんの症状」に関するよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
甲状腺がんの予後について教えてください。
子どもの甲状腺がんの予後は成人と比較しても良好です。子どもの甲状腺がんは発見されたときには進行していることも多く、再発をする場合もありますが、死亡率も低く長期予後は良好という報告があります。
子どもの甲状腺がんで症状が出ないケースもありますか?
大人も子どもも同様に、自覚症状がほとんどないとされています。子どもの場合は気付いたときには進行している場合もあるため、定期的な検診や普段の様子を観察することが重要です。少しでも様子の違いに気付けるよう、コミュニケーションを図ることも大切です。
編集部まとめ
これまで子どもの甲状腺がんの症状や原因、治療法などを解説してきました。子どもの甲状腺がんはほとんど症状がないことが多く、気付いたときには進行していることが多いです。
また、がんの分類によって治療方法が異なるため、子どもと親ががんと向き合い治療していく必要があります。
早期発見、早期治療のためには、普段の子どもの様子や検診が大切です。気になる症状や子どもの異変が見られた場合は、早めに医療機関に相談しましょう。
ただし、子どもの甲状腺がんの発生自体は専門学会が把握している数は年に10件以下で極めて稀な病気ですので、実際にはむしろ以下に述べている他の甲状腺疾患との区別が重要になります。
甲状腺がんと関連する病気
「甲状腺がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
いずれも甲状腺ホルモンの異常が原因の病気で、全身にさまざまな症状が現れることがあります。甲状腺機能が著しく低下、もしくは亢進するために全身症状として現れるからです。甲状腺の病気は甲状腺が腫れること以外は症状から甲状腺の特有の症状ではないため、ほかの病気と間違われることもあります。ホルモン量を測定することで、甲状腺の状態を診てもらいましょう。
甲状腺がんと関連する症状
「甲状腺がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 全身倦怠感(だるい)
- 足のむくみ
- 脈が遅い、もしくは動悸がする
- 体重の増減
甲状腺がんは、通常は症状がほとんどないとされています。甲状腺が障害されることで上記のような症状が現れます。甲状腺の病気によっては症状がまったく異なることもあるため、症状がある場合はしっかりと医師に伝えましょう。




