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「卵巣がんの予防法」はご存知ですか?症状についても解説!【医師監修】

 公開日:2024/10/14
卵巣がんの予防法|早期発見のための症状・対策法を解説

卵巣がんは女性にとってつらい選択を迫られる病気です。治療を行っても妊娠が望めなくなり、苦しむ患者さんも少なくありません。

このような問題に直面したくないと思うのは当然の気持ちです。そのためには卵巣がんを予防し、発症した際の早期発見が重要です。

この記事では、卵巣がんの予防する具体的な対策を紹介します。早期発見するために意識しておきたい症状もまとめているので、参考にしてみてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣に発生する悪性腫瘍が卵巣がんです。
卵巣は子宮の両脇にある親指大程の楕円形をした臓器で、女性ホルモンのエストロゲン・プロゲステロンを分泌します。エストロゲンは月経のたびに放出される女性にとって大切なホルモンですが、過剰に作用すると卵巣がん・乳がんを含む婦人科系の疾患を引き起こします。
卵巣腫瘍は大きく上皮性腫瘍・性索間質性腫瘍・胚細胞腫瘍に分けられ、卵巣がんは90%以上が上皮性腫瘍です。閉経後の45歳〜65歳頃に発症しやすく、2019年には約130,000人の患者さんが卵巣がんと診断されました。
治療では初めに手術を行い、進行度に応じて放射線治療・薬物療法が検討されます。

卵巣がんの予防法

卵巣がんを予防するためには、患者さんがご自身の身体の状態を知ることが重要です。予防に役立つ2つの方法を紹介します。

婦人科で検診を受ける

卵巣がんは発症過程が不明な点が多く、明確な予防法がないのが現状です。とはいえ、がんの予防・早期発見で特に大切なのはがん検診です。
ただし、卵巣がんを指針とする検診はなく検診しても簡単にはみつからないため、各自で早めに医療機関を受診する必要があります。
なお、卵巣がんの検診にはエコー検査・腫瘍マーカー検査などが挙げられます。1〜2年に1回の子宮頸がん検診の際に合わせて、エコー検査も受けておくとよいでしょう。ご希望の方は、腫瘍マーカーの測定も受けられます。
残念ながら、卵巣がんの検診が早期発見・早期治療につながるという明確なエビデンスはありません。とはいえ、身体の状態を正しく把握し健康への意識を高めるためにも、定期的に検診を受けることをおすすめします。

遺伝カウンセリングを受ける

卵巣がん患者さんの約10%は遺伝的要因が関係しているとみられており、特にBRCA1遺伝子・BRCA2遺伝子の変異があると発症リスクが高まります。そのため遺伝カウンセリングを受け、自身の遺伝子情報を前もって知ることも予防に有効です。
遺伝カウンセリングは日本人類遺伝学会と日本遺伝カウンセリング学会が認定する、臨床遺伝専門医か認定遺伝カウンセラーが行います。
遺伝子診療部・臨床遺伝科などの部門がある大学病院や高度医療施設を受診してください。

卵巣がんを早期発見するために知っておきたい症状

病気は予防していても防ぎ切れない場合があるため、発症した際に早期発見できるかが治療後の生活を分ける大きなポイントです。
意識しておきたい卵巣がんにみられる5つの特徴を解説します。

症状に乏しく早期発見が難しい

卵巣がんは大半が進行期に発見されます。これは卵巣が骨盤腔内にあって初期症状が出にくく、患者さん自身が異変を感じにくいためです。痛みや不正出血のようなわかりやすい症状がみられず、初期段階での早期発見が難しいです。
その特徴からサイレントキラー(無言の殺人者)とも呼ばれています。

下腹部のしこり・ハリ

腫瘍が小さいうちは卵巣が腫れていてもほとんどわかりません。しかし腫瘍が大きくなってくると、下腹部にしこりが触れる場合があります。
また、腹部の臓器を覆う腹膜に転移すると腹水が溜まり、量に応じてお腹が前に突き出るように膨らんでいく症状もみられます。
このようなお腹にハリを感じる腹部膨満感は、早い段階から生じやすいです。

食欲不振

腹水が溜まる量が増えていくと、腹膜によって覆われている小腸や肝臓などの臓器が圧迫されます。これにより、食欲不振や吐き気が起こります。腹部膨満感は食後に生じやすく、すぐに満腹に感じて食事量が減ったり食事が摂れなくなったりするでしょう。
体重は減少しているのにお腹のハリは変わらず、むしろ増大していると感じる場合は危険な状態と考えられます。

頻尿・便秘

卵巣がんの腫瘍は、直径20cm以上と巨大になることさえあります。腫瘍が大きくなるにつれ膀胱を圧迫してしまい、頻尿が起こりやすくなるでしょう。患者さんによっては排尿時に痛みを感じることもあります。
また腫瘍が直腸を圧迫すると、便秘をはじめとする消化器系の症状も生じます。

足のむくみ

がん腫瘍はリンパ管の圧迫や静脈の還流障害を起こす場合もあります。その結果、足のむくみが生じやすくなるでしょう。卵巣がんでは栄養状態が悪くなり腹水も起こることから、さらに足がむくみやすくなると考えられます。
むくみは婦人科系のがんでみられやすい症状です。

卵巣がんを予防するための対策法

普段の生活のなかでも、卵巣がんの予防につながる行動を取るよう意識するのは大切です。
以下に挙げる3つの対策法を生活に取り入れてみてください。

規則正しい生活をする

卵巣がんに限らず、がん予防には規則正しい生活が効果的です。がん発生の原因は、主に次のような点にあると考えられます。

  • 喫煙
  • 過度な飲酒
  • 肥満
  • 運動不足

これらの要素は、生活習慣の見直しで改善できます。喫煙・暴飲暴食を避けてバランスのよい食事を心がけ、適度な運動を日常的に行いましょう。
特に肥大した内臓脂肪からはエストロゲンが過剰に産生・分泌されるため、閉経後の肥満には注意が必要です。
具体的には、BMI(脂肪指数)30以上は危険域です。栄養バランスや食べる量、運動によってBMIをコントロールしてください。

低用量ピルを使用する

現代の女性は昔よりも生涯で経験する月経回数が多く、月経のたびにエストロゲンが分泌されることで卵巣がんの発症率が上がっています。そのため、低用量ピルで排卵を抑えるのが効果的とされていています。
低用量ピルは子宮内膜を長期にわたり薄く一定に保ち、月経量・月経痛を減少できる製剤です。
服用中止後も10年以上予防効果が継続すると報告されており、継続的な使用でさらにリスクを下げられるでしょう。

子宮内膜症などの症状にかからない

子宮内膜症は女性の10人に1人がかかる症状で、月経痛・腰痛・慢性骨盤痛などさまざまな痛みを引き起こし、不妊症や卵巣がんのリスクを高めます。
さらに、子宮内膜症によるチョコレート嚢胞に対して手術が行われた症例では、全体の3.4%が卵巣がんを合併していたとの報告があります。
つまり、子宮内膜症とそれに付随する症状にかからないよう予防することが、卵巣がんの予防にもつながると考えられるでしょう。
子宮内膜症のサインは重度の月経痛のため、寝込む程に痛みが強い方や痛みが増していると感じる方は、我慢せず早急に婦人科を受診してください。

卵巣がんの予防についてよくある質問

ここまで卵巣がんの予防法・症状・対処法などを紹介しました。ここでは「卵巣がんの予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

卵巣がんの検診は自覚症状がなくても受けられますか?

馬場 敦志医師

検診とは、症状がない健康な人を対象に行われるものです。つまり、自覚症状がない状態で受けていただけます。卵巣がんの場合、明確な自覚症状がみられてから検査を行うのでは手遅れになる可能性が高いです。早めに一度は検診を受けるとともに、なるべく定期的な検診を心がけてください。

卵巣がんの予防で出産や授乳は効果的ですか?

馬場 敦志医師

妊娠中や出産後の授乳が継続されている間、排卵は停止します。1人の赤ちゃんを産むと妊娠から授乳期間終了まで、合わせて約2年の間排卵が停止する計算です。排卵が停止されるとエストロゲンの分泌も抑えられるため、出産・授乳は卵巣がんの予防に効果があると考えられます。この点は、実際に出産回数が多い女性には卵巣がん患者さんが少ないことからみても明らかです。

編集部まとめ

この記事では卵巣がんの予防に関する情報を中心に解説しました。卵巣がんは自覚症状に乏しい疾患ですが、日頃の意識によって防げる可能性があります。

ご自身がかかりやすい傾向にあるかに関わらず、予防・早期発見のために定期的に検診を行うようにしましょう。

そして、規則正しい生活で健康を保つことも欠かせません。このような予防法を取り入れて、大切な人との喜びにあふれる生活を末永く続けてください。

卵巣がんと関連する病気

「卵巣がん」と関連する病気は5個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

子宮・卵巣周辺に生じる婦人科の病気は、進行すると不妊症を引き起こしたり、子宮を摘出して妊娠が望めなくなる恐れがあります。
なるべく予防・早期発見のための行動を心がけるようにしましょう。

卵巣がんと関連する症状

「卵巣がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

卵巣がんは腹部から足にかけて症状がみられるものの、初期段階では症状に乏しいのが特徴です。
患者さん自身が発見するのは難しいため、医療機関での定期的な検査をおすすめします。

この記事の監修医師