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「悪性リンパ腫」の治療中に「食べてはいけないもの」はあるの?【医師監修】

 公開日:2024/09/11
「悪性リンパ腫」の治療中に「食べてはいけないもの」はあるの?【医師監修】

悪性リンパ腫の治療中、食事面ではどのようなことに気をつければいいのでしょうか?
本記事では、悪性リンパ腫の治療中に食べてはいけないものについて以下の点を中心に解説します。

  • ・悪性リンパ腫の化学療法が食事に及ぼす影響
  • ・白血球が減っているときに食事で気を付けること
  • ・化学療法中の食事の工夫

悪性リンパ腫の治療中に食べてはいけないものについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

悪性リンパ腫の化学療法が食事に及ぼす影響

化学療法は悪性リンパ腫の治療において、がん細胞の増殖を抑えるために行われますが、正常な細胞にも影響を与えるとされています。そのため、さまざまな副作用が発生する場合があり、なかでも消化管の細胞がダメージを受けると、食事に影響が出る可能性があります。
その多くは、口内炎や食道・胃・腸の変化による食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などとされています。また、味覚や嗅覚の変化も副作用として現れる場合があります。

これらの副作用によって、治療中の患者さんは栄養摂取が困難になる場合があり、体力の消耗が進むため、効率的な栄養摂取が重要となります。そこで、患者さん一人ひとりの症状に応じた食事計画が求められます。例えば、食べやすい食材や調理法、温度の工夫をするなどがおすすめです。

副作用の種類や現れる時期は、使用する抗がん剤や個々の患者さんによって異なりますが、発症時期を予測し対策を講じれば、副作用による苦痛を和らげ、栄養状態の維持に役立ちます。

白血球が減っているときに食事で気を付けること

白血球が減っているとき食事面ではどのようなことに気をつければいいのでしょうか?
以下で詳しく解説します。

調理の際や食事前の感染予防

抗がん剤治療中は白血球が減少し、感染症にかかりやすくなります。そのため、調理や食事前にはハンドソープをよく泡立てて親指や指の間、爪や手首まで丁寧に洗い、流水でしっかり流しましょう。

調理器具の衛生管理も重要です。生肉や魚には細菌が付着している可能性があるため、ほかの生野菜や調理済食品に移らないように調理順序を工夫し、まな板は使い分けるとよいでしょう。プラスチック製のまな板は消毒しやすくおすすめです。

また、スポンジや布巾はよく洗って乾かし、2つ用意して交互に使うと清潔さを保てます。

生ものや賞味期限などに注意

抗がん剤治療中は白血球が減少し、感染リスクが高まるため、生肉や刺身、生野菜、ドライフルーツ、皮の薄い果物、乾燥芋、未検査の自家製漬物、発酵食品や貝類などは避けるべきです。

また、食品は消費期限を確認し、開封後の長期保存は避けましょう。調理した食品は、細菌が繁殖する可能性があるため、約2時間以内に食べることが望ましいです。生野菜は新鮮なものを選び、流水でよく洗い、食事前には必ずうがいを行いましょう。

さらに冷凍食品は室温で自然解凍せず、電子レンジなどを使って短時間で解凍し、一度解凍した食品の再冷凍は避けましょう。

【症状別】化学療法中の食事の工夫

ここでは、症状別の食事の工夫について解説します。

吐き気や嘔吐があるとき

抗がん剤治療後は吐き気や嘔吐などの症状が生じる傾向にあります。この場合は無理せず、食べられるものや食べたいものを選ぶことが大切とされています。

まず、水分と電解質の補給が重要です。嘔吐によって失われた水分やナトリウム、カリウムを補うために、水やお茶、スポーツ飲料、スープ、味噌汁などを摂りましょう。スープや味噌汁の場合は、味付けはシンプルにし、食材は1〜2種類程度に絞るとよいでしょう。
また、一度に大量に食べるのではなく、少量を数回に分けてゆっくりと食べることがおすすめです。

治療前には軽い食事を心がけ、治療後数時間は固形物を控えるようにします。油っこい食事は胃内停滞時間が長くなるため控え、炭水化物の多いご飯、パン、麺類を中心に摂るとよいでしょう。ほかにも、匂いの強い食品や味の濃い料理は吐き気を誘発する場合もあるので注意が必要です。

味覚や嗅覚に変化があるとき

抗がん剤治療や放射線療法により、味覚や嗅覚に変化が生じる場合があります。これは味蕾細胞や神経系の障害、口腔内乾燥、亜鉛欠乏症などが原因とされています。
甘味に過敏な場合は、砂糖やみりんを控え、塩やしょうゆで味付けを濃いめにしましょう。酸味やスパイスを取り入れるのもおすすめです。
苦味を感じる場合は、キャラメルなどで口直しをし、濃いだしの汁物や口当たりのよい料理を試してみてください。

塩味やしょうゆ味が苦く感じる場合は、味噌やだし、香りのよい胡麻や酢を使うとよいでしょう。肉の味が不快な場合は、鶏肉や卵、大豆製品に切り替えます。口内炎がなければ、食前にレモンやフルーツジュースで唾液の分泌を促しましょう。

味を感じない場合は、味付けを濃いめにし、酢の物や汁物、果物を取り入れてみてください。においの強い食品は避け、家族の協力を得るとよいです。味覚や嗅覚は回復することもあるため、無理をせず、体調に応じて少しずつ試してみましょう。

口腔内の痛みや乾燥があるとき

口腔内の痛みや乾燥がある場合、軟らかくて飲み込みやすい食材選びが重要です。牛乳や豆乳、ヨーグルト、アイスクリーム、プリンなど、栄養価の高い食品を取り入れましょう。シチューや、やわらかい煮物、茶碗蒸し、片栗粉でとろみをつけた料理もおすすめです。かたい食材はミキサーで調理しやすくする工夫も有効です。

また、辛い食べ物、生野菜、塩分の強い食べ物、酸味の強い食べ物は控えましょう。代わりに、酸味の少ないバナナ、リンゴ、スイカ、桃などの果物を選ぶとよいです。トーストやフランスパンなどの硬いパンは粘膜を傷つける可能性があるため注意が必要です。

食事を管理するために食事日記を使用しよう

食事日記をつけることで、食習慣を詳しく把握し、健康的な食事管理ができます。具体的には、食べたものや飲んだもの、そしてそのときの気持ちや身体の反応を記録します。食事日記は、やけ食いや食物不耐性の原因を特定する手助けとなります。

悪性リンパ腫の食事についてよくある質問

ここまで悪性リンパ腫の治療中に食べてはいけないものを紹介しました。ここでは悪性リンパ腫の食事についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

悪性リンパ腫の治療中に避けるべき食品は何ですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

悪性リンパ腫の治療中は、加工肉、赤身肉、そしてアルコール類はできるだけ避けましょう。まず加工肉には発がん性物質が含まれており、なかでもホットドッグやベーコンなどには注意が必要です。
また、赤身肉も週に約500グラムまでに制限し、代わりに鶏肉や魚、植物性タンパク質を選ぶことがおすすめです。
さらに、アルコールの摂取は、女性は1日1杯、男性は1日2杯までが目安であり、摂取量は少ないほうがよいとされています。

治療中に栄養不足にならないためにはどうすればよいですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

治療中の栄養不足を防ぐためには、エネルギー摂取が重要です。がんの患者さんは、通常の基礎代謝量に活動レベルに応じた活動係数をかけた値にさらに約1.1〜1.5倍のエネルギー量が必要です。
例えば、55歳の男性で基礎代謝が1400kcal、活動係数が1.2の場合、治療中はさらに1.3倍すると、約2184kcalが必要となります。
栄養をバランスよく摂取するためには、以下の点を考慮しましょう。
まず、エネルギーを補うために、複合炭水化物や健康的な脂肪を含む食品を選びましょう。次に、筋肉維持のために、タンパク質源である鶏肉、魚、豆類の摂取も欠かせません。さらに、ビタミンやミネラルを補うために、さまざまな野菜や果物を積極的に取り入れましょう。
また、食事が困難な場合には、医師や栄養士に相談し、補助食品や栄養補助飲料を利用しましょう。

まとめ

ここまで悪性リンパ腫の治療中に食べてはいけないものについてお伝えしてきました。
悪性リンパ腫の治療中に食べてはいけないものの要点をまとめると以下のとおりです。

  • ・消化管の細胞がダメージを受けることで、食事に影響を与えることがある
  • ・抗がん剤治療中は白血球が減少し、感染症にかかりやすくなる
  • ・食事を管理するためには食事日記がおすすめ

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