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「悪性リンパ腫を治療しない」とどうなるかご存知ですか?進行した場合の症状も解説!

 公開日:2024/02/03
「悪性リンパ腫を治療しない」とどうなるかご存知ですか?進行した場合の症状も解説!

悪性リンパ腫とは?悪性リンパ腫を治療しないとどうなるのでしょうか?本記事では悪性リンパ腫を治療しないとどうなるのかについて以下の点を中心にご紹介します。

  • ・悪性リンパ腫とは
  • ・悪性リンパ腫の症状
  • ・悪性リンパ腫の生存率

悪性リンパ腫を治療しないとどうなるのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫は、免疫系の一部を形成するリンパ球が異常に増殖する疾患として認識されています。
この疾患は、リンパ系組織やリンパ節外組織(節外器官)といったリンパ球が存在する場所で発生します。

悪性リンパ腫は、大きく分けてホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の二つに分類されます。
非ホジキンリンパ腫は、さらにがん化したリンパ球の種類により、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫に細分化されます。
非ホジキンリンパ腫は、日本人の悪性リンパ腫の大部分、約90%以上を占めています。

悪性リンパ腫の主な症状には、リンパ節の腫大、発熱、体重の減少、夜間の発汗などがありますが、これらの症状は必ずしも特定の疾患を示すものではありません。
また、リンパ腫の発症原因は完全には解明されていませんが、リンパ球内での遺伝子異常や免疫系の機能不全が一部の原因とされています。

悪性リンパ腫を治療しないとどうなるのか

悪性リンパ腫は、免疫系の一部であるリンパ球ががん化する病気で、悪性リンパ腫の進行速度と治療の必要性は病型や病期によります。
治療を受けない場合、悪性リンパ腫は体内で進行し、全身にさまざまな症状を引き起こす可能性があります。

中悪性度のリンパ腫は、診断直後の死亡率が高く、治療をしないと数週間から数カ月で命に関わる可能性があります。
しかし、適切な治療を受けることで完治する可能性もあります。

一方、低悪性度のリンパ腫は進行が遅く、治療効果もありますが、再発率が高いといわれています。
低悪性度のリンパ腫は、症状が乏しく、放置されることがあります。
しかし、再発が多いため、長期的な観察と管理が必要です。

したがって、悪性リンパ腫を治療しないと、病状が進行し、全身的な症状が現れ、最終的には生命を脅かす可能性があります。

悪性リンパ腫のステージについて

悪性リンパ腫のステージについて解説します。

Ⅰ期

悪性リンパ腫は、リンパ系組織に発生するがんの一種で、悪性リンパ腫の進行度はステージとして表現されます。
ステージはⅠからⅣまであり、それぞれがんの広がりを示しています。

ステージⅠ期の悪性リンパ腫は、病変が1つのリンパ節群または1つの非リンパ組織に限定されている状態を指します。
この段階では、がんは比較的初期であり、他の部位への広がりは見られません。

Ⅱ期

ステージⅡ期の悪性リンパ腫は、横隔膜を境にして、その上または下の一方に限定した二つ以上のリンパ節領域、または所属リンパ節病変と関連する単独リンパ外の限局性病変が存在する状態を指します。
この段階では、がんは初期から中期にかけて進行しており、他の部位への広がりは限定的です。

Ⅲ期

悪性リンパ腫のステージⅢ期は、がんの進行が一定の範囲を超え、体の特定の部分に広がっている状態を指します。
具体的には、横隔膜を境に上半身側と下半身側の両側のリンパ節領域に病変が認められる状態を指します。

このステージでは、がん細胞が体の一部から他の部分へと広がり、リンパ系を通じて移動しています。
この段階では、がんはまだ全身に広がっていない可能性がありますが、治療はより複雑で困難になる可能性があります。

Ⅳ期

悪性リンパ腫のステージⅣ期は、病気の進行が最も進んだ状態を示します。
この段階では、リンパ系以外の部位に病変が広がっていることが特徴的です。
具体的には、リンパ節以外の臓器や骨髄、血液に病変が広がっていることが多く、また、最初にガンが発生した部位から遠くのリンパ節まで転移している状態を指します。

悪性リンパ腫のステージ別生存率

悪性リンパ腫のステージ別生存率を以下で解説します。

Ⅰ期

ステージⅠ期の悪性リンパ腫は、病気がまだ限定的な範囲に存在し、体の一部のリンパ節のみに影響を及ぼしています。
この段階では、病気は比較的早期に発見され、治療の可能性が高いと考えられます。

5年生存率は、特定の疾患を持つ人々が5年後までに生き残る確率を示す指標です。
悪性リンパ腫のステージⅠ期の5年生存率は、一般的には約70%から90%と報告されています。
しかし、これはあくまで一般的な数値であり、具体的な生存率は患者様の年齢、全般的な健康状態、リンパ腫の種類など、さまざまな要素によって変動します。

Ⅱ期

ステージⅡ期の悪性リンパ腫は、特定の領域を超えて広がった状態を指します。
ステージⅡまでの悪性リンパ腫の治療成功率は高く、5年生存率は約80%から90%と報告されています。
これは、この段階ではがんがまだ体の限定的な領域に存在し、適切な治療により制御可能であることを示しています。

Ⅲ期

ステージⅢ期の悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫の場合、5年生存率は約65%から80%の範囲にあり、非ホジキンリンパ腫の場合は約50%から70%となります。

ステージⅢ期の生存率は、ステージⅡと比較すると顕著な変化が見られます。
これは、病状が進行し、体内の複数の領域に影響を及ぼしていることを示しています。
この段階では、迅速な治療の開始が極めて重要となります。

Ⅳ期

ステージⅣの悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の5年生存率はそれぞれ約40-65%、約50-65%となります。

一方で、生存率が徐々に低下しているとはいえ、ステージⅢと比較して平均余命に大きな変化は見られません。
これは、病状の進行にもかかわらず、適切な治療とケアにより、患者様の生活の質と期間を維持することが可能であることを示しています。

進行した場合の症状

病状が進行すると、体にはさまざまな変化が現れます。
以下では、一般的な症状が進行した場合の症状について詳しく解説します。

寝汗をかく

悪性リンパ腫の進行に伴い、全身に影響を及ぼす症状が出現することがあります。
その中の一つが「寝汗」です。
これは、特に夜間に過剰な発汗が見られる現象で、「B症状」として知られる悪性リンパ腫の典型的な症状の一つです。

寝汗は、体ががん細胞と闘う過程で生じる炎症反応や代謝の変動によって引き起こされると考えられています。
大量の寝汗は、患者様に不快感をもたらし、睡眠の質を損なう可能性があります。
対策として、生活習慣の整備、ストレスの軽減による自律神経の調整、快適な室温や寝具の選択など、環境を整えることが推奨されています。

体重減少

悪性リンパ腫は、体重の減少を引き起こすこともあります。
この体重減少は、がん細胞が大量のエネルギーを消費し、必要なエネルギーが増えること、そして正常な代謝が妨げられることによるものです。
さらに、悪性リンパ腫によって引き起こされる疲労感や食欲不振が、栄養摂取を減らし、結果的に体重減少を引き起こします。

体重減少への対策としては、栄養補給とエネルギー消費の減少があります。
食事が困難になった患者様に対しては、経腸栄養(胃にチューブを挿入して栄養素を供給)や点滴による栄養補給が行われます。
エネルギー消費の減少とは、エネルギーを浪費しているがん細胞を減らすこと、つまり、悪性リンパ腫そのものへの治療を指します。

「悪性リンパ腫」についてよくある質問

ここまで悪性リンパ腫を紹介しました。ここでは「悪性リンパ腫」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

悪性リンパ腫を治療しないと、どのように症状が進行しますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球が異常に増殖し、リンパ節などで腫瘍を形成する血液のがんの一種です。
治療を受けない場合、症状は次第に進行します。
初期段階では、リンパ節の腫れやしこりが比較的早く現れることがあります。
リンパ節の腫れやしこりは、首、わきの下、足の付け根などのリンパ節が多い部分で特に見られます。
悪性リンパ腫が進行すると、腫れやしこりが広がり、全身に症状が現れることがあります。主な全身症状には、発熱、体重の減少、激しい寝汗(盗汗)が挙げられます。
さらに、腫瘍が大きくなると、気道、血管、脊髄などが圧迫され、気道閉塞、血流障害、麻痺などの症状が現れることもあります。

悪性リンパ腫を治療しない場合、生存率や余命はどうなりますか?

甲斐沼孟医師甲斐沼 孟(医師)

悪性リンパ腫は、リンパ系の細胞が異常に増殖することにより発生する血液がんの一種です。
治療を行わない場合の生存率は、病型、病勢(病気の進行速度)、病期(病気の進行度)により大きく異なります。
悪性リンパ腫は、その種類や進行度により、治療の効果が大きく異なります。
例えば、病期で分けると、限局期(ステージⅠ〜Ⅱ)の5年生存率は約70〜90%、進行期(ステージⅢ〜Ⅳ)では約40〜60%となります。
これは、病気が進行するにつれて治療の困難さが増すためです。
また、悪性リンパ腫の種類によっても生存率は異なります。ホジキンリンパ腫の5年生存率は約90%、非ホジキンリンパ腫の場合は約70-90%とされています。

編集部まとめ

ここまで悪性リンパ腫についてお伝えしてきました。悪性リンパ腫についての要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・悪性リンパ腫とは、免疫系の一部を形成するリンパ球が異常に増殖する疾患である
  • ・悪性リンパ腫の症状として、リンパ節の腫れやしこり、発熱、体重の減少、激しい寝汗などが挙げられる
  • ・悪性リンパ腫の生存率は、ステージⅠ〜Ⅱの5年生存率は約70〜90%、ステージⅢ〜Ⅳでは約40〜60%とされている

「悪性リンパ腫」と関連する病気

「悪性リンパ腫」と関連する病気は1個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科

悪性リンパ腫と同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

「悪性リンパ腫」と関連する症状

「悪性リンパ腫」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 無痛性腫脹
  • 疲労感
  • 夜間の発汗
  • 体重減少
  • 食欲不振

これらの症状が当てはまる場合には、悪性リンパ腫などの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師