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「びまん性大細胞型b細胞リンパ腫」とは?症状や受診科目についても解説!

 更新日:2023/03/27
「びまん性大細胞型b細胞リンパ腫」とは?症状や受診科目についても解説!

びまん性大細胞型b型細胞リンパ腫は、首や足などのリンパ節が腫れたことで気がつく場合や、気持ち悪さや息苦しさなどを調べた結果、明らかとなる病気です。
自覚症状は他の病気でも出やすい症状が多いために、なかなか気がつかない病気ですが、血液がんの1種のため、少しでも違和感を覚えたら医療機関を受診するようにしましょう。
今回はびまん性大細胞型b型細胞リンパ腫の症状や検査、治療法についてご紹介します。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫とは、どのような病気なのでしょうか?

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫は、血液がん(造血器腫瘍)の1種です。代表的な血液がんとしては、白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫があります。
びまん性大細胞型b細胞リンパ腫は悪性リンパ腫に分類され、血液がんの中でも最も頻度が高い疾患とされています。

悪性リンパ腫は、大きくホジキンリンパ腫と、非ホジキンリンパ腫の2種類に分類されますが、多くが非ホジキンリンパ腫であり、びまん性大細胞型b細胞リンパ腫も非ホジキンリンパ腫の1つです。

悪性リンパ腫は、白血球の中に含まれるリンパ球ががん化する病気です。普段、リンパ球は、リンパ管とよばれる管の中を流れており、体内に侵入した細菌などの異物と戦うよう備えています。リンパ管は、身体の大きな血管のそばにあり、首や脇、胸やお腹、そして足にあるのです。
そのため、びまん性大細胞型b細胞リンパ腫となりリンパ球ががん化すると、全身のあらゆるところでさまざまな症状を引き起こす特徴があります。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の症状とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の症状は、どのようなものでしょうか?

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫は、全身にあるリンパ節で発生するため、その症状は多様です。その多様な症状は、局所症状と全身症状の大きく2つに分けられます。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の局所症状とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の局所症状はどのようなものでしょうか?

リンパ節は身体の外側に近いところにあるため、首や脇、足の付け根などに病気ができた場合は、硬いものが触れるようになります。また、両肺を隔てるようにある縦隔という場所のリンパ節に病気が発生すると、病気が大きくなるにつれて、呼吸が苦しくなったり、食べ物が飲み込みづらくなったりもするのです。

腸の周りにもリンパ節があり、そこで病気が発生し大きくなると、腸自体が圧迫されるため、お腹が痛くなることもあります。身体の中に発生した病気が、神経を圧迫することで、腕や足に麻痺が生じる場合もあります。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の全身症状とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の全身症状はどのようなものでしょうか?

リンパ管の中にあるリンパ球ががん化するため、リンパ管のあるさまざまな場所で症状を引き起こしますが、リンパ管以外の場所でも症状を引き起こす場合があります。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫が、肝臓や腎臓などの臓器で増殖することで、肝機能の異常や腎機能の異常を引き起こすことがあるのです。また、骨髄という血液を作り出す場所に侵入すると、血液を作り出す能力が低下し、免疫機能が低下するため、感染症になりやすくなります。

さらに、脳に入り込むことで、頭痛や吐き気などの症状が出る場合もあります。またリンパ管を通じて全身に運ばれたびまん性大細胞型b細胞リンパ腫が出す信号により、夜間に寝汗を大量にかいたり、体重が減ったり、熱が出たりと、全身に症状が出ます。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の受診科目

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫が疑われる場合、何科を受診すればいいのでしょうか?

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫をはじめとする血液がんの専門は血液内科のため、血液内科を受診するのが良いでしょう。ただし、大きい病院に行かないと、血液内科がない場合も多く、紹介状(診療情報提供書)がない状態で、いきなり受診することも難しいのが現状です。そのため、まずは近くの内科を受診し、びまん性大細胞型b細胞リンパ腫が疑われる症状について、医師に相談するようにしましょう。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の検査とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の検査とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫が疑われる場合、どのような検査を行いますか?

まず採血を行い、びまん性大細胞型b細胞リンパ腫が発現したり、進行したりすることにより肝機能や腎機能が低下していないかを調べます。また病気の進行に伴い上昇するLDH(乳酸脱水素酵素)、β2ミクログロブリンなどを検査します。

採血だけではなく、画像検査であるCT検査やMRI検査も行い、具体的に、どこに病気が発生しているか、どの程度進行しているかを調べます。最終的には、病気が発生しているリンパ節に直接針を刺して、その組織を調べる生理・病理検査を行い、びまん性大細胞型b細胞リンパ腫かどうかを判断します。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫の治療方法は

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫はどのように治療が行われるのでしょうか?

びまん性大細胞b細胞リンパ腫は血液がんの1種のため、抗がん剤による治療(化学療法)が行われます。具体的には、悪性リンパ腫に対する標準的な化学療法として、CHOP療法という、3種類の抗がん剤(ビンクリスチン、エンドキサン、アドリアマイシン)と副腎皮質ホルモンを加えた治療が行われます。

抗がん剤だけではなく、副腎皮質ホルモンを加える理由としては、副腎皮質ホルモンの作用にリンパ球を傷害するというものがあり、がん化したリンパ球を治療する目的で投与されるのです。

特にびまん性大細胞型b細胞リンパ腫の場合、化学療法+副腎皮質ホルモンによるCHOP療法だけではなく、そこに分子標的薬であるリツキシマブを加えたR-CHOP療法が行われるのが一般的です。このリツキシマブは、B細胞由来のリンパ腫のほとんどに発現するCD20という分子を攻撃するのが特徴です。

化学療法に加えて、放射線治療を組み合わせて行う場合もあります。化学療法により、びまん性大細胞型b細胞リンパ腫を治療することができるのですが、目に見えない病気がまだ残っている可能性があるためです。そうした微細な病気をしっかりと治療するために、放射線治療が行われます。

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫に対する治療の副作用とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫に対する治療の副作用とは

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫に対する治療の副作用は何かありますか?

CHOP療法による副作用として、消化器症状(吐き気や嘔吐、便秘)、だるさやしびれ、時に発熱などもあります。また、目に見えない副作用として、骨髄抑制といって、血液の成分である白血球や赤血球、血小板が減少したり、肝臓の機能や腎臓の機能が低下したりする可能性があります。

そのため、感染症にかかりやすくなったり、貧血症状が出たりする場合があります。治療開始となる際、医療者からしっかりと説明があるため、それを良く聞き注意事項を守るようにし、気になるような症状がある場合は、必ず医療者に相談するようにしましょう。

編集部まとめ

びまん性大細胞型b細胞リンパ腫は、他の病気でも生じうるような、多様な症状が出る病気のため、はじめは気づきにくいことも多くあります。しかし、血液がんの1つのため、油断し様子を見てしまうことで治療の遅れにもつながる可能性があるのです。
少しでも気になるような症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師