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「AYA世代の女性に多いがん」は「乳がん」や「子宮頸がん」?【医師監修】

 公開日:2024/08/18
「AYA世代の女性に多いがん」は「乳がん」や「子宮頸がん」?【医師監修】

AYA世代(15歳から39歳)の女性にとって、がんは重大な健康リスクです。特に乳がんや子宮頸がんなど、この年齢層で発症しやすいがんの早期発見が生存率を高めるため、定期的な検診の重要性を理解することが必要です。

本記事では、AYA世代の女性がかかりやすいがんについて以下の点を中心にご紹介します。

  • ・そもそもAYA世代とは
  • ・AYA世代のがんの特徴
  • ・AYA世代のがん患者さんの課題

AYA世代の女性がかかりやすいがんについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

そもそもAYA世代とは

AYA世代(Adolescent and Young Adult)は、主に15歳から39歳までの若者を指します。この年代は思春期から若年成人期にかけての重要な時期で、生理的および心理的な変化が盛んに起こります。

AYA世代のがんの特徴

AYA世代のがんは、15歳から39歳の若年層に発症するがんであり、この世代のがんは発症率や種類に年齢による差異が見られます。この世代をさらに細分化すると、15歳から19歳(A世代)、20歳から29歳(YA世代前半)、そして30歳から39歳(YA世代後半)と区分されます。

A世代では、白血病、生殖細胞由来の胚細胞腫瘍・性腺腫瘍、リンパ腫、脳腫瘍、骨腫瘍などのがんが主になります。これらは少年期に発症しやすい稀少がんとして分類されるとされています。
YA世代前半の20代では、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍と甲状腺がんが増加し、白血病は減少傾向にあります。また、子宮頸がんの発症例も見られ始めます。
YA世代後半の30代では、特に女性において乳がんや子宮頸がんの発症率が高くなり、大腸がんや胃がんなどの消化器がんも増加するため注意が必要です。

AYA世代の女性に多いがん

AYA世代の女性にはどのようながんがあるのでしょうか?主ながんの種類について以下で詳しく解説します。

乳がん

乳がんは女性にとって一般的ながんの一つで、AYA世代の女性にも見られます。このがんは主に乳腺の組織、なかでも乳管から発生することが多く、約90%の乳がんが乳管がんです。一方で、小葉がんと呼ばれるタイプもあり、これは全体の約5〜10%を占め、小葉の組織から発生します。
乳がんの初期症状としては、乳房のしこりが現れますが、それ以外にも乳房にくぼみが現れる、乳頭や乳輪のただれ、乳房の形の非対称性、乳頭からの分泌物などが挙げられます。さまざまな重篤な症状を引き起こし、生命を脅かすこともあるため、定期的な検診と早期診断が重要です。

子宮頸がん

子宮頸がんは、子宮の下部である子宮頸部に発生するがんで、AYA世代の女性にも見られるがんの一つです。子宮頸がんは、がん化する前の段階である子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)や上皮内腺がん(AIS)を経て発展します。

子宮がんのうち、約70%が子宮頸がんであり、以前は40~50歳代に発症のピークが見られましたが、現在では20~30歳代の若年層でも増加しており、30代後半で発症率が高くなっています。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種が推奨されており、定期的な検診を通じた早期発見が重要です。

甲状腺がん

甲状腺がんは、甲状腺組織内の異常な細胞増殖により発生します。多くは甲状腺の結節性変化から悪性化するもので、AYA世代の女性に多く見られます。
甲状腺がんは、初期段階では自覚症状がほとんどないことが多く、進行すると喉の違和感や声のかすれ、飲み込みにくさなどが現れることがあります。進行が速いタイプでは、喉の圧迫感や痛み、呼吸困難を伴うこともあります。

甲状腺の異常は、超音波検査などにより偶然発見されますが、良性の結節と悪性の結節を区別するためには、さらに詳細な検査が必要です。良性の場合は経過観察を行いますが、悪性の疑いがある場合や症状がある場合は、手術を含む治療が考慮されます。

脊髄腫瘍

原発性脊髄腫瘍は、脊髄やその周囲の組織から発生する腫瘍であり、良性と悪性の両方が存在します。脊髄内部から発生する腫瘍は全体の約三分の一を占め、髄液の流れを遮断し、空洞症と呼ばれる状態を引き起こすことがあります。しかし、ほとんどの原発性脊髄腫瘍は、脊髄を覆う髄膜など脊髄に隣接する細胞から発生します。
髄膜腫と神経線維腫はこのタイプの代表例であり、主に良性です。これらの腫瘍は脊髄または神経根を圧迫し、背中の痛み、感覚低下、筋力低下、進行性の麻痺、尿失禁や便失禁などの症状を引き起こすことがあります。

一方、続発性脊髄腫瘍は、ほかの部位で発生したがんが脊椎や脊髄に転移したものであり、常に悪性です。これらの腫瘍は、脊髄や神経根を外側から圧迫し、激しい痛みやそのほかの神経学的症状を引き起こします。脊髄腫瘍の診断にはMRI検査や脊髄造影CTが利用され、早期発見と適切な治療が重要です。

AYA世代のがん患者さんの課題

AYA世代のがん患者さんには、治療面と環境面での課題があります。その課題について以下で見ていきましょう。

治療面

AYA世代のがん治療には、いくつかの課題があります。この年齢層のがん患者さんの数が少ないため、治療法の開発が遅れており、十分な臨床試験が行われにくい現状があります。また、若年層はしばしば自身の仕事や日常生活を優先し、健康問題を軽視する傾向にあるため、治療の遅れにつながることもあります。
AYA世代特有のがんの場合、標準治療が確立されていないことも少なくないため、臨床試験や治験に参加することで新しい治療法を試すことが一つの選択肢となります。これらの研究段階の医療は、新しい薬剤や治療法の効果と安全性を確認するために重要ですが、適切な医療機関で行う必要があります。

このように、AYA世代のがん治療は多くの課題を抱えていますが、適切な対応により改善される可能性があります。

環境面

AYA世代のがん患者さんは、多くの環境的課題に直面しています。思春期のがん患者さんは、心身の成熟と親からの自立過程中にありますが、がん治療により学業や就労が遅れることが多く、人生設計の変更が必要になることがあります。若年成人では、がん治療が仕事や子育て、介護など日常生活に影響を及ぼし、精神的ストレスや不安を引き起こします。
加えて、がん治療は不妊のリスクを伴うため、生殖機能への影響を考慮する必要があります。また、AYA世代には小児や高齢者向けの公的支援制度が適用されないため、治療に伴う経済的負担が重くなります。

これらの問題に対処するために、多くの医療機関ではサポーティブケアチームと協力して、院内外のネットワークを活用し、緩和医療や妊孕性温存など、患者さん一人ひとりのニーズに合わせた治療計画を提供しています。

AYA世代のがんについてよくある質問

ここまでAYA世代のがんを紹介しました。ここではAYA世代のがんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

AYA世代のがんの生存率を教えてください。

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

AYA世代のがん生存率は、がん種によって異なります。例えば、甲状腺がんは5年実測生存率が99.4%、10年で98.8%と極めて高い生存率を示しています。一方で、肺・気管支がんは5年生存率が46.3%、10年で38.8%と低い生存率です。
脳・脊髄腫瘍の5年生存率は83.5%、10年では77.8%となっており、時間の経過と共に生存率が下がる傾向にあります。子宮頸がんでは、5年生存率が88.6%、10年で87.2%と高い生存率を維持しています。

がんを早期発見するためにできることはありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

がんを早期に発見するためには、定期的ながん検診を受けることが重要です。がんは初期段階で自覚症状が現れにくいため、検診による早期発見が治療成功の鍵となります。さらに、健診を通じて自身の健康状態を把握し、がんの危険因子に気付けます。生活習慣の見直しもがん予防に寄与しますが、それだけでは限界があるため、検診参加が求められます。

まとめ

ここまでAYA世代の女性がかかりやすいがんについてお伝えしてきました。AYA世代の女性がかかりやすいがんについての要点をまとめると以下の通りです。

  • ・AYA世代(Adolescent and Young Adult)は、主に15歳から39歳までの若者のこと
  • ・AYA世代のがんは、発症率や種類に年齢による差異が見られる
  • ・AYA世代のがん治療は多くの課題を抱えているが改善される可能性がある

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aya世代のがんと関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

小児科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

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