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「卵巣がん」を発症すると体のどこに「痛み」を感じるの?症状も解説!

 公開日:2024/05/17
「卵巣がん」を発症すると体のどこに「痛み」を感じるの?症状も解説!

卵巣がんは乳がんや子宮頸がんに並ぶ、女性特有のがんの一つです。ところが市町村で行われるがん検診に卵巣がん検診は含まれておらず、卵巣がんの対策は個人に委ねられています。

また、卵巣がんが進行すると痛みを感じることがあり、痛みがきっかけで卵巣がんに初めて気付くケースも少なくありません。痛む場所によっては、卵巣がんを疑いましょう。

この記事では、卵巣がんの痛みの場所について詳しく解説します。卵巣がんの具体的な症状や検査方法なども併せて紹介するので、女性の方は参考にしてみてください。

馬場 敦志

監修医師
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)

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筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。

卵巣がんとは?

卵巣がんとは、卵巣にできる女性特有の悪性腫瘍です。卵巣は下腹部の中央にある子宮の両側に位置し、親指の第一関節程の大きさで、女性ホルモンの分泌に関わっています。
卵巣がんは、年齢が上がる程発症リスクが高くなり、乳がん・卵巣がんの既往がある家族がいる人は注意が必要です。また、卵巣がんの症状は自覚しにくいため、進行してから見つかることがほとんどです。
卵巣がんの原因は判明しておらず、日常での対策はむずかしいでしょう。それゆえに定期的な検査の実施や、わずかな体調の変化に気付くことががんの早期発見につながります。

卵巣がんの痛みの場所について

卵巣がんの痛みは、腹部や腰部に発生する場合があります。卵巣がんは進行すると、がんが大きくなり、周辺の臓器や器官に広がっていきます。
なお、腹部の臓器をおおう腹膜などにがんが広がることを腹膜播種といい、腹水(お腹に水が溜まること)を引き起こす原因の一つです。腹水によってお腹周りの痛みだけでなく、お腹のハリや吐き気などの不快な症状を引き起こすため、卵巣がんを発見するきっかけになるでしょう。
また、原因は不明ですが卵巣腫瘍が破裂したり、捻れたりすると下腹部に激しい痛みが出ます。がんが大きく腫れていることが関係しているため、強い痛みが出る前に早めの治療が必要です。

卵巣がんの症状は?

卵巣がんの初期では自覚症状がほとんどありません。しかし、がんがある程度進行すると個人差はありますが、自覚症状が出るようになります。
なお、がんの進行度はがんの大きさや広がりの程度で決まり、ステージ1〜4期で表され、数字が大きくなる程がんは進行しています。がんが進行しても卵巣がん特有の症状はありませんが、徐々に不快な症状が現れるため、わずかな症状の変化に気付けるかどうかで卵巣がんの早期発見につながるでしょう。

初期症状が出にくくサイレントキラーと呼ばれる

卵巣がんは初期症状が出にくく、本人も知らないままがんが進行する特徴があります。ひっそりと、がんが体を蝕んでいく様子からサイレントキラーとも呼ばれており、卵巣がんが発見されたときにはステージ3期・4期の進行がんであることがほとんどです。

腹部のハリ・不快感

卵巣がんが進行すると、腹部のハリ・不快感が出ることがあります。がんに限らず、腸内細菌のバランスの乱れや偏った食生活・運動不足などが原因でお腹に空気が溜まり、同様な症状が出ることもあるでしょう。
食生活の見直しや適度な運動習慣を実施し、なおも腹部のハリ・不快感が持続する場合は卵巣がんの可能性があります。

食欲不振・体重減少

卵巣がんの進行によって食欲不振の症状が現れます。食欲不振が続くと体に必要な栄養が不足するため、体重減少につながります。食欲不振は卵巣がんに限らず、がん患者さんの半数に現われ、進行がんの場合はさらに割合が増えるそうです。

腰痛

腰痛は卵巣がんの進行で引き起こされる痛みの一つです。痛みの原因はがんが腹膜まで広がり、腹水の症状が続くためです。
なお、腰痛が出るかどうかは個人差があり、お腹のハリや下腹部の不快感などの症状だけで済む場合もあります。

頻尿・便秘

卵巣がんが大きくなると周囲の臓器や器官を圧迫するようになるため、頻尿・便秘症状を引き起こすことがあります。卵巣の周囲には膀胱や大腸などの臓器があり、がんの大きさや広がりの影響を受けやすいといえるでしょう。

脚のむくみ

がんが進行して大きくなると、体液貯留により脚のむくみが出ます。原因は大きくなったがんがリンパ管を圧迫したり、静脈の流れを悪くしたりすることです。血液の流れが悪くなれば重力で下半身に体液が溜まり、脚のむくみにつながります。

腹水

腹水は卵巣がんが進行した結果生じる症状の一つです。卵巣がんのような悪性腫瘍が原因で起こる腹水のことを悪性腹水といい、がんのなかでも卵巣がんに起こりやすいといわれています。主な症状はお腹のハリ・腹痛・食欲不振などです。衣服のウエストがきつく感じる場合は腹水が原因の可能性があるため、受診することをおすすめします。

卵巣がんが疑われる場合に行われる検査

卵巣がんが疑われる症状がある場合、症状はないけれど定期的な検査をしたい場合は、がんの有無を確認するための検査が4種類あります。なお、卵巣がんは進行した状態で見つかることが多く、ほかの臓器に転移している可能性があることを考慮して複数の検査を実施します。がんを見逃すことがないように、徹底した検査が大切です。

触診・内診・直腸診

卵巣がんの症状には腹部のハリやしこりなどがあり、医師による触診・内診・直腸診でがんの有無を確認します。触診は腹部、内診は膣から入れた指先の感触で子宮や卵巣に異常がないか調べる検査です。
直腸診は直腸に指を入れることで、卵巣周囲にある直腸に異常がないか確認します。指で触れることで腫瘍の大きさや硬さ知ることができ、悪性か良性なのかの判断材料になります。

画像診断

画像診断とは超音波・X線・磁気などを利用し、体内の状態を画像化する検査のことです。画像化することで、がんの発生部位や形などを正確に把握できます。卵巣がんの画像診断では、主に超音波検査・CT検査・MRI検査の3つです。それぞれ目的に応じた検査を実施します。
例えば、超音波を使った超音波検査では、卵巣の状態を把握する目的です。X線が使われたCT検査では、転移の有無を調べるためです。なお、磁気を使ったMRI検査ではCT検査では確認できなかった骨盤の内部まで撮影できます。
しかし、ペースメーカーを装着した患者さんにはできない検査であるため、持病などがあれば事前に医師に伝えておきましょう。

病理検査

病理検査は切除した卵巣の一部や腹水に含まれる細胞を調べて、悪性腫瘍かどうか判断するための検査です。病理検査は細胞診と組織診に分けられ、それぞれ検査の目的が異なります。
細胞診では卵巣がんの症状の一つである腹水を皮膚から針を刺して採取し、腹水のなかにがん細胞が含まれるか検査します。
組織診では手術の際に、どこまで切除する必要があるか判断するために事前に卵巣の一部を切除して調べる検査です。組織診によって良性・境界悪性・悪性などを知ることができ、細胞診よりも精度が高いため確定診断することができます。

血液検査

血液検査ではがん特有の腫瘍マーカーを調べる検査です。腫瘍マーカーとは、がんの種類毎に作られる特有のたんぱく質などの物質です。
卵巣がんでは血液中にCA125という物質が作られ、その数値を調べます。なお、がんの有無がわかるだけですので、場所の特定はほかの画像診断で調べる必要があります。

卵巣がんの痛みについてよくある質問

ここまで卵巣がんの症状・検査などを紹介しました。ここでは「卵巣がんの痛み」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

卵巣がんで痛みが出た場合かなり進行していると考えられますか?

馬場 敦志医師

痛みが出る場合、進行している可能性が高いです。卵巣がんが神経に浸潤した場合、痛みを伴うことがあります。特に腹膜には痛みを感じる部位があるため、腹膜播種によって痛みが生じる場合は多いです。腹膜播種はステージ3期以降に起こり、進行がんの分類に移行しているため、卵巣がんでは進行している可能性が高いです。

がん性疼痛について詳しく教えてください。

馬場 敦志医師

がん性疼痛とはがんに関わる痛みの総称で、がんと診断された患者さんの約20〜50%の人にみられます。例えば、がんの転移により腹水が溜まることで生じる腹痛やがん治療で行う化学療法の副作用などです。なお、進行がんの場合はさらに痛みを感じる患者さんの割合が増える傾向があり、痛みをコントロールすることががん治療の課題といえます。

編集部まとめ

本記事では、卵巣がんの痛みや症状・検査などを解説しました。卵巣がんは自覚症状が出にくく、気付いたときには進行していることがほとんどです。

気付くきっかけは腹部や腰部に起こる痛みです。しかし、痛みが起こる頃にはがんの進行はかなり進んでいると考えられます。

たとえ、がんが進行しても痛みや吐き気などの症状が出ない場合があるため、発見が遅れることも少なくありません。

卵巣がんを早期で発見するためには日頃から体調変化を意識し、原因を追究することが大切です。原因不明の痛みや食欲不振などの症状があれば早めに受診しましょう。

卵巣がんと関連する病気

「卵巣がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

卵巣がんは年齢が上がるにつれて、発症リスクが高まるといわれています。年齢が重なるにつれ、生理の数が増えることが原因と考えられているためです。それゆえ、女性ホルモンが関わる疾患にも影響があると考えられるでしょう。また、遺伝も発症に関係しているといわれ、女性疾患である乳がんや子宮頸がんを発症した家族がいる方は注意が必要です。

卵巣がんと関連する症状

「卵巣がん」と関連している、似ている症状は5個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

卵巣がんは進行すると、日常で起こりうる症状が出る程度で特有の症状はほとんどありません。そのため症状の変化があった場合は、なぜそのような症状が起きたのかを言及するようにしてください。思い当たる症状がなければ、早めに医師に相談しましょう。

この記事の監修医師