目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「大腸がんの予防法」はご存知ですか?予防する食べ物も医師が徹底解説!

「大腸がんの予防法」はご存知ですか?予防する食べ物も医師が徹底解説!

 公開日:2024/05/30
「大腸がんの予防法」はご存知ですか?予防する食べ物も医師が徹底解説!

大腸がんの予防法とは?Medical DOC監修医が大腸がんの予防法・原因・予防する食生活などを解説します。

和田 蔵人

監修医師
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)

プロフィールをもっと見る
佐賀大学医学部卒業。南海医療センター消化器内科部長、大分市医師会立アルメイダ病院内視鏡センター長兼消化器内科部長などを歴任後の2023年、大分県大分市に「わだ内科・胃と腸クリニック」開業。地域医療に従事しながら、医療関連の記事の執筆や監修などを行なっている。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会肝臓専門医、日本医師会認定産業医の資格を有する。

「大腸がん」とは?

大腸がんとは、大腸(結腸・直腸)に発生するがんのことです。2019年のがん統計において、罹患率では男女ともに2位であり、現在とても多いがんといえます。近年の生活習慣の変化により、大腸がんの発症は増加しており、発症を予防するための対策が必要です。
今回は大腸がんの予防法・原因などについて解説をいたします。

大腸がんの予防法

大腸がんの予防には生活習慣の見直しが有効と言われています。大腸がんを予防するための注意点についてお話しします。

禁煙

喫煙は大腸がんのリスクです。喫煙する人は、吸わない人と比較し1.4倍大腸がんの発生率が上昇するという報告がされています。タバコをやめた人でも、大腸がんのリスクは1.3倍と上がります。このため、タバコを吸わない方が大腸がんの発生を抑えられ、また現在吸っている人でも禁煙することが予防につながると言えるでしょう。

節酒

お酒の飲みすぎも大腸がんの危険因子です。男性では、アルコールの摂取量が1日平均2合以上の方は飲酒しない人に比べて大腸がんの発生率が2.1倍に上昇するとの報告がされています。お酒に含まれるエタノールが分解されてできたものが、アセトアルデヒドです。このアセトアルデヒドが分解される際に出る活性酸素が、DNAの合成や修復に必要な葉酸を壊してしまうことで癌が起こりやすくなると考えられています。お酒を多く飲むことで、大腸がんが発生しやすくなることが分かっており、1日当たり1合以下の適量での飲酒が勧められます。
また、喫煙をする方ではさらに気を付けなければいけません。男性で1日2合以上の飲酒と煙草を吸う人はたばこもお酒も飲まない人に比べて大腸がんの発生率は3倍でした。節酒と禁煙が大切です。
女性ではお酒と大腸がんの関係性は、はっきりとした結果が出ませんでした。しかし、これは男性と比較して飲酒量が少ない人が多いためと考えられ女性でも過剰の節酒は大腸がんの危険性が高くなると思われます。女性でも、節酒を心がけましょう。

適正体重を保つ

肥満も大腸がんのリスクとして考えられています。男性でBMI27kg/m2以上の人では、BMI25 kg/m2以下の人と比較して大腸がんのリスクの上昇が認められました。これは、肥満によって血液中の「糖を低下させるホルモン」である「インスリン」の効きが悪くなるため、高インスリン血症をきたしやすくなります。また、これに伴いインスリン様成長因子も高くなり、これが大腸がんの発生に関係していると言われています。
また、運動をすることも大腸がん予防に効果があると言われており、運動を取り入れ適正体重を保つことが大切です。

加工肉や赤身肉の過剰摂取をやめる

今までの研究から赤身肉や加工肉の過剰摂取が大腸がんの原因となることが分かっています。日本人は元々肉類の摂取量は欧米と比べると少ないため、日常的な量であれば問題はないと言われています。しかし、過剰に摂取することで大腸がんのリスクが上がるため、食べすぎに気をつけましょう。

食物繊維を多くとる

野菜や果物の摂取に関しては、大腸がんと関連するはっきりとした結果は出ていません。しかし、胃がんでも予防効果が認められており、少なくとも食物繊維を多く含む野菜、果物などを多くとりバランスの良い食事をすることが肥満を予防することにもつながります。大腸がんの予防においても気を付ける生活習慣の一つとして考えても良いでしょう。

大腸がんの主な原因

遺伝的原因

大腸がんは、家族の病歴と関係があると言われています。生まれつき遺伝子に変異を持つことで、大腸がんや大腸ポリープができやすい家系があります。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、若いころから大腸がんになりやすく注意が必要です。

飲酒・喫煙

先にお話ししたように、平均2合以上の大量の飲酒、喫煙は大腸がんのリスクとなります。特に両方が重なると、危険性が増すこともわかっており、これらの危険因子をなるべく積み重ねないようにすることが大腸がんの予防で必要であると言えます。

肥満

男性ではBMI27 kg/m2以上の肥満はがん大腸がんの危険因子です。肥満となると高インスリン血症となりやすくなり、このため大腸がんが発生しやすくなると考えられています。適正体重を保つことが、大切です。

食生活

大腸がんは食生活と影響していると言われています。例えば、赤身肉や加工肉を食べすぎることは、大腸がんの危険因子です。また、カロリーを摂りすぎて肥満となることも大腸がんの原因となり得ます。多く取りすぎないように気をつけましょう。

大腸がんを予防する食べ物・食生活

大腸がんを予防するためには、今までお話しした大腸がんの原因となる生活習慣に気をつけなければなりません。最後に今一度、大腸がんを予防するための食生活をまとめます。

バランスの良い食事

赤身肉や加工肉の過剰摂取は控えましょう。また、食物繊維を多くとり、カロリーを摂りすぎないようにしましょう。バランスの良い食事を摂ることが大切です。

運動・適正体重を保つ

運動をすることは、大腸がんの予防につながります。日常的に運動をすることを心がけましょう。また、適正体重を保つことも重要です。食事と運動で肥満とならないように気をつけ、適正体重を保つようにしましょう。

定期的な大腸がん検診

禁煙すること、また1日1合以下の適度な飲酒にとどめる事も重要です。喫煙をしている方は一日でも早く禁煙することをお勧めします。また、適度な飲酒にとどめ、バランスの良い食事を楽しみましょう。

「大腸がんの予防」についてよくある質問

ここまで大腸がんの予防法などを紹介しました。ここでは「大腸がんの予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんの予防に効果的な運動はありますか?

和田 蔵人和田 蔵人 医師

身体活動量と大腸がんの発生率を比較した日本の研究では、筋肉労働や激しいスポーツなどを行った群で結腸がんのリスクが最も低下したとの結果でした。しかし、1日3時間以上立ったり歩いたりしている群でも結腸がんのリスクの低下がみられています。世界的にも、運動量の増加が結腸がんを予防することは確実です。運動をすることが、肥満の予防、胆汁酸の分泌抑制、腸管運動の促進による便秘の解消などに繋がり大腸がんの発生を抑える効果があると言われています。
今までの研究からは、運動量が多い方が大腸がんのリスクを減らせると考えられますが、いきなり激しい運動を行うことは難しいです。肥満の予防も含め、散歩や軽いジョギングなどの有酸素運動から始めてみるのはいかがでしょうか?生活習慣病の予防には、一日30分程度の運動を週3回以上からお勧めすることが多いです。まず、この程度の運動から開始してみましょう。

大腸がんを予防するためにどのような整腸剤を摂取すればいいでしょうか?

和田 蔵人和田 蔵人 医師

大腸がんを予防するために、腸内環境を整え排便状況を改善させることはお勧めです。しかし、どのような整腸剤が大腸がんに効果があるかというはっきりとした報告はありません。また、一部の乳酸菌飲料に含まれるL.カゼイ・シロタ株は、大腸腺腫のがん化を抑制する効果があると報告されています。自分に合ったものを選び、排便状況の改善を図ることが大切です。

編集部まとめ

大腸がんは近年増加傾向のがんです。この理由は、日本人の食生活の変化によるものが大きいと考えられます。昔と比較し、赤身肉や加工肉の摂取量が増えてきたことや、野菜などの食物繊維の摂取量の減少、肥満の増加などが影響していると思われます。大腸がんを予防するためには、食事をバランスよく食べ、過食しない、また禁煙、節酒などの食生活の見直しが有効です。また、日常に運動を取り入れ、肥満を防ぎ大腸がんにならないように気をつけましょう。

「大腸がんの予防」と関連する病気

「大腸がんの予防」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内分泌代謝科の病気

内科の病気

  • 肥満

「大腸がんの予防」と関連する症状

「大腸がんの予防」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 体重の増加
  • 運動不足

大腸がんは生活習慣の乱れや運動不足、肥満などと関連しています。このため、生活習慣を見直し、運動をして適正体重に保つことが大腸がんを予防するために非常に重要です。また、腹痛や血の混ざった便など症状がある場合には、早めに消化器内科を受診しましょう。

この記事の監修医師