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「大腸がんの進行速度」はどれくらいかご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

 公開日:2024/03/21
「大腸がんの進行速度」はどれくらいかご存知ですか?症状も解説!【医師監修】

大腸がんの発生には生活習慣や遺伝的要因が関係しているとされており、その罹患者数は年々増え続けています。

大腸がんは自覚症状があまりないため発症に気付きにくく、症状が現れた時には進行しているケースも少なくありません。

では、大腸がんはどのくらいの速度で病期が進行していくのでしょうか。

今回は大腸がんの進行速度・症状・治療法を解説します。また、大腸がんの早期発見に役立つ検査法も併せて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

大腸がんとは?

大腸がんは大腸に発生するがんで、その多くは腺腫と呼ばれる良性のポリープががん化したものです。しかし、なかには大腸の粘膜から直接発生する場合もあります。
大腸がんの大部分は腺組織と呼ばれる上皮細胞から発生する腺がんです。このほか、扁平上皮がん、腺扁平上皮がんなどの種類があります。
大腸がんの罹患者数は年々増えていて、2019年には全がん罹患数のうち、罹患総数で1位となりました。大腸がんは早期に発見すれば内視鏡で切除可能なうえ、予後も良好です。
しかし、早期では自覚症状に乏しいため、なかなか気が付くことができません。早期の大腸がんを発見するには、便潜血検査や大腸内視鏡検査などの検査を定期的に受けるのがおすすめです。

大腸がんの進行速度は?

大腸がんの病期(ステージ)が進行する速度には個人差があり、数ヵ月から数年程とされています。
大腸がんの主な発生要因である良性ポリープは、大きさが大きくなる程がん化しやすいと考えられており、一般的には5〜10年程でがん化するとされています。そして、発生したがんは数ヵ月から数年かけて病期が徐々に進行していくのです。
大腸の粘膜には痛覚がないため、良性ポリープや早期がんが発生しても自覚症状に乏しく、症状が現れた時には病期が進んでいる場合もしばしばあります。良性ポリープや大腸がんの発生は、生活習慣・遺伝・年齢などが関係します。
特に、40歳以降は大腸がんの発生率が高まるので、定期的に大腸の検査を受けたほうがよいでしょう。

大腸がんの症状

大腸がんは自覚症状に乏しいがんです。早期では症状がほとんど現れないことが多いです。
病期が進行すると、血便やお腹の張りなどの症状が現れる場合があります。大腸がんの症状を以下で詳しく解説します。

早期の段階ではほとんど症状が出ない

早期の大腸がんは症状がほとんど現れないため、見つけるには便潜血検査や大腸内視鏡検査などで調べる必要があります。
自覚症状がなくとも、大腸がん検診などで再検査となった場合には、必ず医療機関を受診して詳しく調べてもらいましょう。

血便

大腸がんの自覚症状の1つに血便があります。血便といっても、必ずしも真っ赤な出血をともなうものではありません。大腸がんが発生した部位によって、血便の色が変わります。
直腸やS上結腸など、肛門に近い箇所の大腸がんから出血した場合には、真っ赤な血便が見られるでしょう。一方、大腸がんの発生箇所が肛門から離れる程血便は暗い赤色になるため、判断が難しくなります。
また、血液が便中に紛れている場合には、自分で発見するのは困難でしょう。血便が出ているか心配な場合には、便潜血検査を受けると判別できます。
血便は痔の症状としてもみられるため、そのまま放置してしまう方もいるかもしれません。しかし、なかには大腸がんが原因の場合もあるので、必ず医療機関で詳しい検査を受けるようにしましょう。

便秘・下痢・便が細くなる

大腸がんの症状として、便通の乱れがあります。急に便秘や下痢を繰り返すようになったり、便が細くなったりといった症状が現れます。
この原因の1つが大腸の機能低下です。大腸は便の水分を吸収して適度な硬さにする働きがあります。大腸がんの影響でこの働きが低下すると、水分吸収がうまくできず下痢となるのです。
また、大腸がんによって腸管内が狭くなると、便秘になったり便が細くなったりします。これらの症状が続く場合には早めに検査を受けましょう。

残便感・お腹の張り

直腸付近に大腸がんが発生し大きくなると、残便感を覚えることがあります。また、大腸がんにより腸管内が狭くなると便やおならが排出されにくくなるため、お腹の張りを感じることがあります。

貧血

大腸がんによって貧血症状が現れる場合があります。大腸がんによって大腸の粘膜が脆くなると、出血が起こります。
慢性的な出血が続くと体内の鉄分が失われるため、貧血症状が起こるのです。また、血液検査でヘモグロビン値が低いと指摘されて、初めて貧血に気付く場合もあるでしょう。
貧血が続く場合には、精密検査を受けるようにしましょう。

腹痛・嘔吐

大腸がんが原因で腹痛や嘔吐などの症状が現れる場合があります。これらの症状の原因は、大きくなった大腸がんが腸管内を塞ぐためです。
腸管内が大腸がんで狭まると、便を押し出すために腸が活発に動くため、腹痛が現れます。
また、大腸がんで腸管内が塞がってしまうと腸閉塞という状態になります。これにより大腸の内容物の流れが滞り、腹痛や嘔吐などの症状が現れるのです。
腹痛や嘔吐などの症状は、大腸がんが大きくなった場合に起こりやすい症状であり、大腸のどの部位にがんが発生していてもみられる症状です。

大腸がんの治療法

大腸がんの主な治療法として、内視鏡治療・外科治療・薬物療法・放射線治療の4つがあります。それぞれの治療法を以下で詳しく解説します。

内視鏡治療

大腸がんの内視鏡治療とは、大腸内視鏡を使ってがんを切除する治療法です。がんが粘膜下層までにとどまり、リンパ節転移の可能性がない早期の大腸がんに適応されます。
内視鏡治療ではスネアや高周波メスなどを使用して大腸がんを切除します。大腸の粘膜には痛覚がないため、切除する時に痛みなどはありません。
大腸がんの大きさや適応される内視鏡治療の種類にもよりますが、日帰りで治療できる場合があります。入院が必要な場合でも、3〜5日程度の短期間の入院で治療可能です。

外科治療

外科治療は手術によって大腸がんを切除する治療法です。内視鏡治療で切除できない1〜3期の大腸がんに適応されます。また大腸がんの4期でも、原発巣や遠隔転移巣の切除が可能な場合には手術が行われます。
大腸がんのスタンダードな外科治療方法は開腹手術です。このほか、腹腔鏡下手術やロボット支援下手術といった方法があります。
外科治療の場合、切除する大腸の箇所によっては、一時的もしくは永久的な人工肛門(ストーマ)の造設を行います。

薬物療法

大腸がんの薬物療法の主な目的は大腸がんの再発予防・大腸がんの切除が難しい場合の症状緩和の2つです。
再発リスクのある2〜3期の大腸がんには、手術後の薬物療法が推奨されています。また、切除が難しい大腸がんの場合には、進行を遅らせて症状を緩和する目的で薬物療法が行われます。

放射線治療

放射線治療は、大腸がんのなかでも主に直腸に発生したがんに用いられる治療法です。手術前にがんの大きさを小さくしたり、手術後の再発を予防したりする目的で放射線治療を行います。
このほか、がんの転移や再発による痛みや吐き気などの症状を抑える目的で使用するケースがあります。

大腸がんの進行速度についてよくある質問

ここまで大腸がんの進行速度・症状・治療法などを紹介しました。ここでは「大腸がんの進行速度」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

結腸がんと直腸がんでは進行速度が違うのですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

結腸がんと直腸がんは、同じく大腸に発生するがんですが、発生部位が異なるため名称が分かれています。しかし、名称の違いが進行速度の違いというわけではありません。がんの進行速度の違いには、がんの種類・患者さんの体質・年齢・遺伝などが関係します。

大腸がんの進行度分類(ステージ)について教えてください。

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

大腸がんの進行度分類(ステージ)は0〜4の5段階に分けられます。

  • ステージ0:がんが粘膜内にとどまる
  • ステージ1:がんが固有筋層にとどまる
  • ステージ2:がんが固有筋層を超えて浸潤している
  • ステージ3:がんの深達度に関わらずリンパ節転移があるもの
  • ステージ4:がんの深達度に関わらず他臓器への転移があるもの

大腸がんの進行度はがんの深達度・リンパ節転移の有無・他臓器への転移の有無により決定します。

編集部まとめ

日本で、大腸がんは年々罹患数が増えているがんです。その発生には生活習慣が関係しているとされています。

肥満・喫煙・飲酒・運動不足といった生活習慣により、大腸がんの発生リスクが高まるとされています。

大腸がんは自覚症状に乏しいうえに、特徴的な症状がありません。そのため、病期が進行するまで気がつかないケースもあるのです。

大腸がんは早期に治療する程予後がよいため、早期発見が大変重要です。

医療機関で便潜血検査や大腸内視鏡検査を受けるなどして、大腸がんの早期発見に役立てましょう。

大腸がんと関連する病気

「大腸がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

上記のような大腸に発生する疾患では、大腸がんと似た自覚症状が現れるケースがあります。症状だけでは疾患の判別が難しい場合もあるので、医療機関で詳しい検査を受けましょう。

大腸がんと関連する症状

「大腸がん」と関連している、似ている症状は8個程あります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

大腸がんで自覚しやすい症状として、血便や腹痛などがあります。しかし、大腸がんに特徴的な症状というものはありません。これらの症状が続く場合には、医療機関で検査を受けるようにしましょう。

この記事の監修医師