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「直腸がんの手術後の生活」はどう過ごせばいいかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2024/01/13
「直腸がんの手術後の生活」はどう過ごせばいいかご存知ですか?【医師監修】

直腸がんの手術後の生活についてご存じですか?
本記事では、直腸がんの手術後の生活について以下の点を中心にご紹介します!

  • ・直腸がんの手術の種類
  • ・直腸がんの手術後の生活
  • ・直腸がんの手術後の後遺症

直腸がんの手術後の生活について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

そもそも直腸がんとは?

直腸がんとは、大腸の一部である直腸に発生する悪性腫瘍のことです。直腸がんは、以下のような特徴を持ちます。
直腸がんの原因は明らかではありませんが、食生活や遺伝的要因などが関係していると考えられています。直腸がんは、大腸の粘膜にできる良性のポリープががん化する場合と、正常な粘膜から直接発生する場合があります。しかし、早期の段階では自覚症状がないことも多いです。直腸がんの診断には、大腸内視鏡検査や画像検査が行われます。直腸がんの治療法には、手術、化学療法、放射線療法などがあります。基本は手術で、がんの部分と周囲のリンパ節などを切除します。化学療法や放射線療法は、手術の前後に行われることがあります。直腸がんの予後は、患者さんの年齢や体力、がんの進行度や位置などによって異なりますが、早期に発見されれば健康を取り戻せる可能性が高くなります。

直腸がんの原因

直腸がんは、直腸の粘膜にできるポリープと呼ばれる良性の突起が、長期間放置されることで悪性化することが多いです。ポリープの発生には、遺伝的な要因や食生活、喫煙、肥満などの生活習慣が関係しています。
遺伝的な要因として、家族性大腸腺腫症やヘレディタリー・ノンポリポーシス・コロン・キャンサー(HNPCC)などの遺伝性の病気がある場合、直腸がんの発症リスクが上がります。
食物繊維やビタミンなどを多く含む野菜や果物を摂ることは、直腸がんの予防に役立ちます。逆に、肉類や加工肉、動物性脂肪などを多く摂ることは、直腸がんの発症リスクを高めます。
タバコに含まれるニコチンやタールなどの有害物質は、直腸の粘膜にダメージを与えて、がんの発生を促進します。喫煙は、肺がんや食道がんなどの他のがんの原因にもなります。
肥満は、インスリン抵抗性や炎症などの状態を引き起こして、がんの発生を促進します。肥満は、乳がんや子宮がんなどの他のがんの原因にもなります。
直腸がんの原因は、まだ完全には解明されていません。直腸がんの発症には、上記のような要因の他にも、細菌やウイルスなどの感染や、免疫系の異常などの要因が関係している可能性があります。直腸がんの原因の判明率は、約50%程度と推定されています。

直腸がんの症状

直腸がんは、直腸の粘膜にできるポリープが悪性化することで発生するがんです。直腸がんの症状は、がんの進行度や位置によって異なりますが、代表的なものは排便障害、腹痛や腹部膨満感などです。

直腸がんの初期症状は、自覚しにくいことが多いです。最も多い症状は、便に血が混じることです。これは、がんの表面が出血しやすいためです。しかし、便に血が混じることは、痔や炎症性腸疾患など他の病気でも起こりますので、見分けが難しい場合があります。そのほかに、貧血の症状として、めまいやふらつき、倦怠感などが現れることもあります。

直腸がんが進行すると、便の通過が妨げられることで、排便障害が起こります。便秘や下痢、排便時の痛みや違和感、便意の不完全感などがあります。また、がんが周囲の臓器やリンパ節に広がると、腹痛や腹部膨満感、体重減少、食欲不振などが起こります。さらに、がんが肝臓や肺などに転移すると、黄疸や腹水、呼吸困難などが起こります。

直腸がんの症状は、他の病気と重なることが多く、見過ごされやすいことがあります。また、症状が出ない場合もあります。そのため、定期的ながん検診や大腸内視鏡検査を受けることが、早期発見につながります。もし、便の異常や排便障害などの症状がある場合は、自己判断せずに、早めに医師に相談しましょう。

直腸がんの手術

直腸がんを手術で治療する場合、その術式にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは主な術式を4つご紹介します。

直腸局所切除術

直腸がんが早期で、肛門に近くない場合に行われる手術です。内視鏡を使って、直腸の内側からがんを取ります。肛門は温存されるため、人工肛門は必要ありません。手術の負担は小さく、入院期間も短いですが、がんの切除が不十分な場合や再発する場合があります。そのため、切除した組織の病理検査や定期的な内視鏡検査が必要です。

前方切除術

直腸がんが進行していて、肛門に近くない場合に行われる手術です。腹部を切開して、がんの部分と周囲のリンパ節を切除します。腸管の切断端を縫い合わせて、肛門から便が出るようにします。肛門は温存されるため、人工肛門は必要ありません。手術の負担は大きく、入院期間も長いですが、がんの切除が十分にできることが多いです。手術後に化学療法や放射線治療を併用することもあります。

括約筋間直腸切除術

直腸がんが肛門に近いが、肛門括約筋にまで広がっていない場合に行われる手術です。腹部を切開して、直腸と内肛門括約筋を切除します。外肛門括約筋は温存します。腸管の切断端を肛門に縫い合わせて、肛門から便が出るようにします。肛門は温存されるため、人工肛門は必要ありません。手術の負担は大きく、入院期間も長いですが、肛門の機能を保てることが特徴です。手術後に化学療法や放射線治療を併用することもあります。

直腸がん手術後の生活

直腸がんの手術を受けた後は、生活にどのような変化が起こるのでしょうか。注意点を良く理解した上で、対策していきましょう。

食事

手術後は、消化の良いものを少量多回に分けて食べることが大切です。食物繊維や油の多いものは、腸の動きを悪くするので避けましょう。また、水分や塩分の補給も忘れないようにしましょう。退院後は、特に食事の制限はありませんが、食べ過ぎないことやバランスの良い食事を心がけましょう。お酒は節度を守って飲めますが、薬物療法中は控える必要があります。

排便習慣

手術後は、排便の回数や量、形、色などが変わることがあります。直腸がんの手術では、人工肛門(ストーマ)を作る場合もあります。人工肛門のある人は、ストーマ装具の交換やケアを行う必要があります。また、人工肛門のない人でも、便意のコントロールが難しくなることがあります。下着の中にパッドを敷いたり、替えの下着を持ち歩いたりすることをおすすめします。便秘や下痢で悩む場合は、医師や看護師に相談しましょう。

運動

手術後は、早期から体を動かすことが回復に役立ちます。散歩やストレッチなどの軽い運動から始めて、徐々に行動範囲を広げていきましょう。腹筋を使う激しい運動は、数カ月間は控える必要があります。運動は、体調や体力に合わせて無理のない範囲で行いましょう。

手術後の生活において心がけるべきこと

手術後は、定期的に通院して検査を受けることが必要です。検査は、がんの再発や転移を早期に発見するためのものです。検査の頻度や内容は、がんの進行度や治療法によって異なりますが、一般的には、血液検査や画像検査(CT検査など)、大腸内視鏡検査などが行われます。検査の目安となる期間は、5年間です。また、禁煙や適度な飲酒、バランスの良い食事、適度な運動など、規則正しい生活を送ることも、再発の予防につながります。

直腸がん手術と後遺症

直腸がん手術の後遺症として、排便機能障害、性機能障害、腹部の痛みや膨満感などがあります。排便機能障害は、直腸が切除されたり、肛門括約筋が損傷したりすることで、便意のコントロールが難しくなったり、便の回数や量が増えたり、便失禁や便秘などが起こったりします。性機能障害は、手術で自律神経が傷ついたり、精巣や卵巣などの生殖器を切除したりすることで、勃起障害や射精障害、性欲の低下や性交痛などが起こったりします。腹部の痛みや膨満感は、手術で腸管の通りが変わったり、腸の動きが乱れたりすることで、ガスや便がたまったり、腸閉塞などが起こったりします。

直腸がん手術の後遺症の対処法として、食事や薬物療法、リハビリテーション、人工肛門の作成などがあります。食事は、消化の良いものを少量多回に分けて食べたり、食物繊維や油の多いものを避けたり、水分や塩分の補給をしたりすることが大切です。薬物療法は、便をやわらかくしたり、腸の動きを調整したり、痛みや炎症を抑えたりするために使われます。リハビリテーションは、骨盤底筋や肛門括約筋を鍛えたり、バイオフィードバック療法や仙骨神経刺激治療などを行ったりすることで、排便機能や性機能の改善を目指します。人工肛門は、肛門を切除したり、排便機能が回復しなかったりする場合に、腹壁に開口した腸管から便を排出するために作られます。

「直腸がん手術後の生活」についてよくある質問

ここまで直腸がん手術後の生活を紹介しました。ここでは「直腸がん手術後の生活」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

直腸がんの手術後の食事は?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

直腸がんは、早期に発見されれば、内視鏡治療や手術で改善する可能性が高くなります。しかし、がんが深くまで浸潤していたり、リンパ節や他の臓器に転移していたりする場合は、改善が難しい場合もあります。直腸がんの完治の定義は、手術から5年間再発しないこととされています。

手術後いつ頃から普通の生活に戻れるのでしょうか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

退院後の治療やリハビリテーションなどによって異なります。手術の負担が小さく、合併症がなく、退院後の治療が必要ない場合は、退院後すぐに普通の生活に戻れることもあります。しかし、手術の負担が大きく、合併症があったり、退院後の治療が必要な場合は、普通の生活に戻るまでに数か月から半年程度かかることもあります。
手術後の生活に戻るためには、手術後の食事、排便、運動、通院などに注意することが大切です。食事は、消化の良いものを少量多回に分けて食べたり、食物繊維や油の多いものを避けたり、水分や塩分の補給をしたりすることが大切です。排便は、人工肛門のケアやパッドの使用などに注意することが大切です。運動は、散歩やストレッチなどの軽い運動から始めて、徐々に行動範囲を広げていくことが大切です。通院は、定期的に検査を受けて、がんの再発や転移を早期に発見することが大切です。

編集部まとめ

⚫︎まとめ
ここまで直腸がんの手術後の生活についてお伝えしてきました。
直腸がんの手術後の生活の要点をまとめると以下の通りです。

  • ・直腸がんの手術には直腸局所切除術、前方切除術、直腸切除術、括約筋間直腸切除術などがあり、状況に応じて術式が選択される。
  • ・直腸がんの手術後は、食事内容、排便事情、運動には注意が必要であり、定期的に通院して検査を受けることも重要である。
  • ・直腸がん手術の後遺症として、排便機能障害、性機能障害、腹部の痛みや膨満感などがある。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

「直腸がん」と関連する病気

「直腸がん」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

直腸がんと同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

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関連する症状

これらの症状が当てはまる場合には、直腸がんなどの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

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