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「白血病のあざと普通のあざの違い」はご存知ですか?症状についても解説!

 公開日:2023/11/22
「白血病のあざと普通のあざの違い」はご存知ですか?症状についても解説!

誰しも一度は腕や足をぶつけたときに青あざができた経験があるのではないでしょうか。白血病の症状のひとつにも青あざがあります。

この記事では白血病のあざと普通のあざの違いをはじめ、白血病の症状・原因・治療法や何科へ受診すべきかなどを解説します。白血病の種類には病気の進行が早いものがありますので、気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

白血病のあざと普通のあざの違いとは?

打撲により青あざができることはよくありますが、白血病の場合は打撲した覚えのない場所に青あざができます。
少しの衝撃や排便時のいきみなどにより血管が破れ内出血し、白血病により血が止まりにくくなるため、青あざとなって現れます。また、白血病によって発生する青あざは血小板といわれる血液細胞の減少もかかわっているのです。
血小板には、血液が破れて出血した際に出血した箇所に付着・凝固し、血液の流出を防ぐ役割があります。そのため、血小板が少ない状態で出血をしてしまうと止血がしにくくなってしまい、青あざ等の原因となりますので注意が必要です。

白血病であざが生じるメカニズムについて

血液は骨髄で血液の元となる造血幹細胞が分化し作られていますが、白血病は造血幹細胞が赤血球・白血球・血小板などに正常に変化できず、がん化した細胞が増殖してしまう病気です。
上記で説明している通り血小板は血管が破れたときに破れた箇所に付着・凝固し傷口を塞ぐ役割をしていますが、血小板が正常に作られず減少してしまうため、一度出血すると血が止まりにくくなります。
そのため、内出血や負傷などで血がなかなか止まらずに青あざになることが多くなります。

白血病の原因

白血病の原因は現在もはっきりと解明されていません。
遺伝子の変異によりがん細胞が生まれるため、放射線の大量被ばく・ウイルスへの感染(成人T細胞白血病・バーキッドリンパ腫)・抗がん剤の副作用・遺伝・化学薬品などが原因と考えられていますが、そのような原因に当てはまらない方も発症しています。

他のがんと比べるとどのくらいの頻度か

白血病は他のがんと比べるとあまり頻度は多くなく、罹患率(新たにがんと診断される率)は2019年のデータではがん全体の約1.5%です。しかし、病気が急速に進行する場合が多く、罹患した方の半数ほどが亡くなってしまうため死亡率は高くなっています。

どの年齢層で多いか

50歳ごろまでは人口10万人あたり約4人と横ばいですが、50歳を過ぎると罹患率が上昇し90〜95歳のピークでは男性では人口10万人あたり約56人、女性では約26人となる病気です。
男性の方が罹患率が高いように思えますが、50歳ごろまでは男女の差はあまりありません。
年齢別でみると子供の罹患率は低いですが、急性リンパ性白血病は小児がんでは最も頻度が高いといわれています。

あざ以外の白血病の主な症状

白血病は大きく2つの種類に分けられ、症状の出かたも異なります。

  • 急性白血病
  • 慢性白血病

急性白血病は病気の進行が早いため、青あざをはじめ症状が出やすく自覚しやすいです。一方慢性白血病は病気の進行がゆっくりなため、自覚症状がない方がほとんどです。
また、急性白血病は2つの種類に分けられます。

  • 急性骨髄性白血病
  • 急性リンパ性白血病

急性骨髄性白血病は、骨髄中の骨髄芽球に異常が起き、がん化した細胞が骨髄中で急激に増える病気です。さらに、急性骨髄性白血病は3つに分類されます。

  • 急性前骨髄白血病
  • 骨髄単球性白血病

急性前骨髄白血病は、前骨髄球(骨髄球をさらに細分化した細胞)が異常を起こした場合に起こります。
骨髄単球性白血病は、明確な原因は不明ですが染色体異常・遺伝子変異などにより発症するとされています。
急性リンパ性白血病は、白血球の1種であるリンパ球になるべき細胞に異常が起き、がん化した細胞が骨髄中で無制限に増えてしまう病気です。脳や脊髄などの中枢神経に浸潤しやすく、フィラデルフィア染色体がみられる場合があります。
また、子供に高率で発生するタイプであることが知られています。

倦怠感

赤血球が減少し、貧血になり倦怠感や頭痛が引き起こされます。
病気以外にもストレスや睡眠不足などが原因の場合も​あるため​、倦怠感の症状のみで白血病と判断することは難しいので、他の症状が出ていないか確認することが大切です。

貧血

酸素は赤血球中のヘモグロビンに結びつき全身に運ばれますが、赤血球が減少するため酸素が不足し貧血症状が出てきます。主な貧血症状として立ちくらみ・息切れ・めまい・ふらつき・頭痛・胸の痛み等の症状が見られます。

発熱

正常な白血球の減少により、ウイルスや細菌への抵抗力が弱まり、感染症にかかりやすくなるのも主な症状のひとつです。
感染後も治癒まで時間がかかるので何週間も発熱が続くこともあり、肺炎など重症化する場合もあります。肺炎に重症化した場合、発熱・せき・たん・呼吸困難などの症状が見られます。
しかし、高齢者の場合は肺炎の症状が出にくく食欲不振・意欲低下などが主な症状となり、肺炎と疑いづらくなる場合があるため注意が必要です。

動悸

こちらは貧血が原因で脈が速くなったり、心臓がドクドク鳴っているように聞こえたりします。同時に息切れやめまいが起こる場合もあるので注意しましょう。

出血しやすくなる

白血病は血小板が少なくなるため、切り傷や鼻血などの出血であればかさぶたになりにくく、血が止まりにくいと感じるでしょう。内出血であっても治りづらかったり、気がつかないうちに青あざが増えていたりします。

歯肉出血

歯肉出血も同じで、歯磨きなど少しの刺激でも出血し血小板が血管をすぐ塞ぐことができないため、血が止まりづらくなります

白血病の治療について

白血病の治療では抗がん剤を使用する化学療法がメインです。
化学療法だけでは治療が難しいと判断されれば骨髄移植が行われます。骨髄移植は効果が大きい分リスクも高いため、担当医師と相談のうえ治療が進められます。

化学療法

急性白血病は進行が早く、すぐに治療を始める必要があります。まずは抗がん剤を用いた治療を行いますが、治療方法は3段階に分かれています。

  • 寛解導入療法
  • 地固め療法
  • 維持強化療法

寛解とはがん化した白血病細胞が検査で検出されない状態のことをいいます。
寛解導入療法では強力な抗がん剤を使用し進行を食い止め、症状を緩和させることが目的です。寛解となっても体内に白血病細胞は残っている状態のため、放置すると再発する可能性があります。
そこで地固め療法・維持強化療法を行い、白血病細胞の根治と再発防止を目指します。治療は長期に及ぶことが多く、副作用も大きいため、入院が必要となる場合がほとんどです。

放射線療法

がん細胞に体外から放射線を照射する治療方法です。
この放射線療法は身体の特定部位にできたがん細胞の治療には効果的ですが、白血病の場合がん細胞は血液の流れに沿って全身に広がっているため一般的には行いません。
しかし、骨髄移植する場合は移植前処理で放射線治療を行います。正常な造血幹細胞と白血病細胞どちらも根絶させるため、強力な抗がん剤の投与と合わせて全身に放射線を照射します。

骨髄移植

化学療法では完治が難しい場合に骨髄移植が行われますが、副作用が大きくリスクもある治療方法です。
前述したように移植前処理で自身の造血幹細胞と白血病細胞を減少させたうえで、HLA(人白血球抗原)が一致した兄弟などの血縁者やドナー登録している第三者から骨髄の移植を受けます。
強力な移植前処理や移植した骨髄で作られた血液細胞の免疫反応により患者さんの正常な臓器などにダメージが出る可能性もあります。
しかし、正常な血液が作られるようになると残っている白血病細胞に対して免疫機能がはたらくため、根絶することができる治療方法です。メリット、デメリットどちらも大きいため担当医師と相談しながら治療が進められます。

白血病についてよくある質問

ここまで白血病の症状・原因・治療法などを紹介しました。ここでは「白血病」についてよくある質問について回答します。

白血病に気付くきっかけにはどのようなものがありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

白血病の症状は他の病気や風邪の症状と似ているものも多いですが、ぶつけた覚えがないのに青あざが複数できていたり、発熱が長引いたりする場合は要注意です。
急性白血病の場合は早急な治療が必要ですので、すみやかに血液内科​を​受診しましょう。慢性白血病は自覚症状がない方がほとんどのため、健康診断の血液検査で白血球が異常に増加していると指摘されることで判明するケースが多いです。
定期的に健康診断を受けることが早期発見につながります。

青あざができやすくなる病気には他にどのようなものがありますか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

  • 再生不良性貧血
  • 骨髄異形成症候群
  • 特発性血小板減少性紫斑病

どれも血液に関係した病気で血小板が正常に作られなくなるため、白血病と同じように記憶にない青あざができます。

編集部まとめ

がん全体で見ると罹患率は高くありませんが、急性白血病は急速に病気が進行するため、命に関わる病気です。

慢性白血病もゆっくりではありますが、病気が進行すると自覚症状が出てくる場合もあります。年齢を重ねるにつれ罹患率も上昇するので、青あざをはじめとした自覚症状があればすぐに病院を受診しましょう。

治療は長期にわたり、抗がん剤などの副作用もありますが、治らない病気ではありません。完治を目指すためには早期発見が大切です。

白血病と関連する病気

「白血病」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する病気

血液に関する病気で、白血病と同じような症状が現れることが多く見分けがつきません。健康診断の血液検査で要検査となった場合や、自覚症状が出てきたときはすみやかに血液内科がある専門機関を受診しましょう。

白血病と関連する症状

「白血病の症状」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

上記の症状は白血病以外にも様々な病気が隠れている可能性があります。
自己判断が難しいため、不安があればかかりつけ医に相談してみましょう。

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