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「パーキンソン病の治療薬」にはどんな副作用があるかご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2026/01/15
「パーキンソン病の治療薬」にはどんな副作用があるかご存知ですか?医師が解説!

Medical DOC監修医がパーキンソン病治療薬の種類・副作用・飲み忘れた場合・その他の治療法などを解説します。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

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熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「パーキンソン病」とは?

パーキンソン病は、脳の中で運動を調整する役割をもつ「ドパミン」という神経伝達物質が不足することで、手足のふるえや動作の遅れ、筋肉のこわばり、歩きにくさといった症状が現れる病気です。中高年以上に多くみられ、ゆっくりと進行していくのが特徴です。現在の医療では根本的に完治させる方法はまだありませんが、薬物療法・リハビリ・手術を組み合わせることで症状を大きく軽減できるようになっています。特に薬物療法は治療の中心であり、患者さんの日常生活を支える大切な役割を担っています。

パーキンソン病治療薬の種類

パーキンソン病に対する薬物療法には、大まかに9つのグループの治療薬が用いられています。以下では、その中でもよく用いられる治療薬について解説します。

L-ドパ

L-ドパは、パーキンソン病治療の中心となる薬です。体内で不足しているドパミンを直接補う働きがあり、最も効果的に運動症状を改善します。服用後の効果がはっきり分かりやすい点が特徴で、多くの患者さんでふるえや歩きづらさが軽減します。一方で、長期間使用すると効き目が揺らぎやすくなることがあり、その調整が治療のポイントになります。

ドパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストは、脳のドパミン受容体を刺激することで、ドパミンが働くのと同じような効果を発揮する薬です。作用が比較的長く、L-ドパの効果を補う目的や、初期から使用して症状の安定を図る目的で用いられます。L-ドパほど即効性はありませんが、効果の持続性に優れており、また、徐放製剤や貼付剤などの剤形もあり、治療の幅を広げる薬剤です。

モノアミン酸化酵素B(MAOB)阻害薬

MAOB阻害薬は、脳内でドパミンを分解する酵素を抑えることで、残っているドパミンをできるだけ長く働かせる役割を持つ薬です。単独で使用しても効果がありますが、L-ドパと併用することで薬の効き目が持続し、症状の波を整えることに役立ちます。ジスキネジアや幻覚、不眠などには注意が必要です。

アマンタジン

アマンタジンは、ドパミンの放出を助けるほか、興奮性神経伝達物質の働きを調整することで、ふるえや筋肉のこわばりを改善します。また、L-ドパ治療でみられる不随意運動(ジスキネジア)を抑える効果が期待できる点も特徴です。ただし、幻覚やむくみなどの副作用に注意が必要です。

抗コリン薬

抗コリン薬は、神経伝達物質アセチルコリンの作用を弱めることで、ふるえを中心とした症状を改善します。比較的若い患者さんで有効性が高い一方、高齢者では認知機能への影響が大きくなることがあるため慎重な使用が求められます。

パーキンソン病治療薬の副作用

薬物療法はとても効果的ですが、副作用が生じることがあります。以下では、代表的な症状と対処法、受診の目安について解説します。

消化器症状

吐き気や食欲低下、胃部不快感などがみられることがあります。特にL-ドパやドパミンアゴニストで多く、服薬のタイミングを食後にするだけで軽減することもあります。それでも続く場合は薬の調整が必要です。主治医や消化器内科に相談しましょう。急激な嘔吐や脱水がある場合には早めの受診が勧められます。

不整脈・動悸

L-ドパの服用によって、まれに循環器系の副作用が起こることがあります。例えば、心臓がドキドキする、脈が乱れるといった症状です。胸の痛みや息苦しさを伴う場合は循環器内科の受診が必要です。急激な症状の悪化があれば救急受診を検討しましょう。

ジスキネジア

体が勝手に動くような不随意運動で、主にL-ドパの長期使用に関連します。症状が出始めたら、薬の量や投与間隔を微調整したり、アマンタジンを併用したりすることで改善を図ります。自宅でできる対処法は限られるため、症状を感じたら早めに主治医へ相談しましょう。

ウェアリングオフ

薬の効き目が次の服薬前に弱まってしまう状態を指します。動作が再び重くなる、歩きづらさが強まるなどの波が現れるのが特徴です。薬の調整や他剤の追加で改善が期待できます。突然悪化する場合は受診を急ぎましょう。

幻覚

特にドパミンアゴニストやアマンタジンで起こりやすく、人物や動物の幻視がみられることがあります。軽度であれば経過を見ながら薬を調整しますが、日常生活に支障が出る場合は早めの受診が必要です。家族が気づくケースも多く、周囲の方のサポートが大切です。

パーキンソン病治療薬を飲み忘れるとどうなる?

パーキンソン病の患者さんにとっては、薬を決められた時間に飲む必要があります。
投薬スケジュール通りに薬を飲まない場合、症状が急激に悪化することがあります。L-ドパは特に影響が大きく、飲み忘れにより症状が急に戻ることもあります。例えば、振戦の悪化や筋肉のこわばりの増強、平衡感覚の喪失、混乱、興奮、コミュニケーションが困難になるといった症状があります。特に、L-ドパやドパミンアゴニストといったドパミン系刺激薬の中止や減量は、悪性症候群を引き起こす可能性もあります。悪性症候群は、主に向精神薬の開始や中断、再開などによって高熱や意識障害、筋強直(筋肉に力が入り硬直すること)、横紋筋融解といった重篤な症状をきたすものです。
もしパーキンソン病の治療薬を飲み忘れていた場合は、思い出した時点で、次の服薬時間との間隔を考慮しながら主治医の指示に従いましょう。自己判断で2回分をまとめて飲むのは危険な場合があります。

パーキンソン病の主な治療法

パーキンソン病を根本的に治す治療法は現時点ではまだありません。そのため、パーキンソン病の治療の考え方としては、症状を改善する対症療法となります。
基本的な戦略としては、薬物療法で不足したドパミンを補い、必要であれば手術療法も行います。さらに、リハビリテーションもこれらの治療に加えて行うことで、症状のさらなる改善やQOLの向上が期待できます。

薬物療法

まずは脳神経内科で診断を受け、薬物療法による症状コントロールを行います。外来で調整可能なことが多く、入院は通常必要ありません。しかし、パーキンソン病が進行してきたりした場合の薬物調整目的の入院では、1ヶ月ほどかかる場合もあります。加えて、リハビリテーションも同時に行われることがあります。経過に応じて定期的に通院し、症状の変化に合わせて薬を調整します。

運動療法

理学療法士によるリハビリで、筋力維持や姿勢改善、歩行訓練を行います。運動はパーキンソン病の進行抑制にも効果が示されており、治療には欠かせない要素です。

作業療法

食事や着替え、家事などの日常生活動作をスムーズに行えるよう、専門の作業療法士が介入します。入院・外来どちらでも実施可能で、患者さんの生活のしやすさを高めます。

音楽療法

一定のリズムに合わせて体を動かすことで歩行リズムを整え、運動症状の軽減に役立つことがあります。専門施設やリハビリ病院で行われ、楽しみながら継続できる点も魅力です。

手術療法

薬やリハビリテーションで十分な効果が得られない場合、脳の特定部位を刺激する「脳深部刺激療法(DBS)」が選択肢となります。入院が必要ですが、安全性も高く、症状が大きく改善することがあります。術後は刺激の調整のために通院が続きます。

「パーキンソン病の薬」についてよくある質問

ここまでパーキンソン病の薬について紹介しました。ここでは「パーキンソン病の薬」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

パーキンソン病に一番効果的な薬について教えてください。

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

最も効果が分かりやすい薬はL-ドパです。症状改善の即効性が高く、多くの患者さんで中心的な役割を担います。ただし、年齢や生活スタイル、副作用の出方により最適な薬は異なります。ドパミンアゴニストやMAOB阻害薬などを組み合わせることで、症状の安定を図ることが重要です。

まとめ

パーキンソン病は進行性の病気ですが、現在は複数の薬剤や治療法を組み合わせることで、日常生活を大きく改善することが可能です。薬にはそれぞれ特徴があり、効果も副作用も異なります。症状の変化をこまめに共有し、主治医と相談しながら最適な治療バランスを見つけていくことが大切です。飲み忘れや副作用が気になる場合も、一人で抱え込まず、早めに医療機関へ相談しましょう。

「パーキンソン病」と関連する病気

「パーキンソン病」と関連する病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科系

  • 進行性核上性麻痺(PSP)
  • 大脳皮質基底核変性症(CBD)
  • 多系統萎縮症(MSA)
  • 薬剤性パーキンソニズム
  • 脳血管性パーキンソニズム
  • レビー小体型認知症(DLB)
  • アルツハイマー病

精神科系

内科系

パーキンソン病に関連する病気としては、パーキンソン病でみられる症状(パーキンソニズム)を呈するものや、またパーキンソン病に合併しておこるものがあります。

「パーキンソン病」と関連する症状

「パーキンソン病」と関連している、似ている症状は20個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 振戦(手足のふるえ)
  • 筋強剛(筋肉のこわばり)
  • 無動(動作の遅れ)
  • 姿勢保持障害(バランスの崩れ、転倒しやすい)
  • 小刻み歩行(すり足歩行)
  • すくみ足(歩き出しや方向転換の困難)
  • ジスキネジア(不随意運動)
  • ウェアリングオフ(薬の効果が切れると症状悪化)
  • 自律神経障害(便秘・排尿障害・起立性低血圧)
  • 嗅覚低下
  • 睡眠障害(レム睡眠行動障害、不眠)
  • 不安症状
  • 認知機能低下(パーキンソン病認知症)
  • 幻視・幻覚
  • 倦怠感(疲れやすさ)
  • 小声(声が小さくなる)
  • 書字障害(小字症)
  • 体の痛み(筋肉・関節の痛み)
  • ヨダレが出やすい(嚥下障害)

パーキンソン病は運動症状だけでなく、非運動症状も多くみられるため、総合的な治療やケアが重要です。

この記事の監修医師