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「コーヒーで緊張型頭痛」を和らげることはできる?医師が徹底解説!

 公開日:2025/08/08
「コーヒーで緊張型頭痛」を和らげることはできる?医師が徹底解説!

コーヒーで緊張型頭痛を和らげることはできる?Medical DOC監修医が緊張型頭痛の症状・原因・なりやすい人の特徴・治し方・予防法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

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「緊張型頭痛」とは?

頭痛は、誰もが一度は経験する身近な症状です。その中でも、一番多いのが緊張型頭痛です。肩や首のこりに伴って、頭を「ハチマキで締め付けられるような痛み」や「重い感じ」が特徴で、日本人の約5人に1人が日常的に経験していると言われています。一般的に、命に関わるような危険な頭痛ではありませんが、しょっちゅう起こるようになると、生活の質を大きく下げてしまう可能性があります。

コーヒーで頭痛を和らげることができる?

コーヒーに含まれるカフェインは、脳に働きかけて頭痛を和らげる効果が期待できます。しかし、その効果は少し複雑で、人によってはかえって頭痛を悪化させてしまうこともあります。

血管を収縮させる(縮み込ませる)作用がある

カフェインには、血管をキュッと収縮させる(縮める)作用があります。実は、片頭痛(へんずつう)のように、脳の血管が広がることが原因で起こる頭痛の場合、カフェインで血管が縮まることで痛みが軽くなることがあります。
また、カフェインは、市販の痛み止め(鎮痛剤)の効果をアップさせることも知られています。実際に、カフェインが配合されている市販の痛み止めもたくさんありますよね。これは、カフェインが痛み止めの成分が体に吸収されやすくしたり、脳の中で痛みの信号が伝わるのを抑えたりする働きがあるからだと考えられています。
さらに専門的な話をすると、カフェインにはアデノシンという物質の働きを邪魔する作用があります。アデノシンは、脳の中で神経の動きを抑えたり、血管を広げたりする働きを持つ物質です。カフェインがこのアデノシンの働きを邪魔することで、脳の興奮性を高めたり、血管を縮めたりする効果が生まれます。これが、頭痛が楽になることにつながる可能性があるのです。

ストレスを少し減らす効果がある

緊張型頭痛は、仕事や人間関係などの精神的なストレスや、長時間同じ姿勢でいることによる身体的なストレスが原因で、首や肩の筋肉がこり固まり、血の巡りが悪くなることで起こると考えられています。カフェインには、一時的に気分をスッキリさせたり、集中力を高めたりする効果があるため、軽いストレスを和らげるのに役立つ可能性もゼロではありません。ただし、これはあくまで間接的な効果であって、頭痛の根本的な原因を治すものではない、という点にご注意ください。

コーヒーが原因で頭痛を悪化させてしまう原因

一方で、コーヒーが頭痛を悪化させてしまう可能性も指摘されています。特に、カフェインを摂りすぎたり、急に飲むのをやめたりすることが問題になることがあります。

カフェインの離脱症状

毎日たくさんのコーヒーを飲んでいる人が、急にカフェインを摂るのをやめると、カフェイン離脱性頭痛と呼ばれる頭痛が起こることがあります。これは、カフェインによって縮まっていた脳の血管が、カフェインが体内からなくなると、反動で一気に広がってしまうことで生じると考えられています。

利尿作用

カフェインには、おしっこを出す量を増やす利尿作用(りにょうさよう)があります。カフェインを摂りすぎると、体から水分が失われやすくなり、脱水症状(だっすいしょうじょう)を引き起こすことがあります。体が水分不足になると、頭痛の原因になることもあるので、特に汗をかきやすい夏場などは注意が必要です。

不安や不眠を招く可能性

カフェインは、人によっては不安な気持ちになったり、眠れなくなったりすることがあります。緊張型頭痛は、精神的なストレスや睡眠不足で悪くなりやすい傾向があるので、カフェインによる不安や不眠が、結果的に頭痛をさらに悪化させてしまう可能性も考えられます。

緊張型頭痛の代表的な症状や特徴

緊張型頭痛は、日常生活で多くの人が経験する一般的な頭痛です。その症状や特徴をよく知っておくことで、適切に対処したり、病院に行くタイミングを見極めたりするのに役立ちます。

締め付けられるような、重い痛み

緊張型頭痛の主な症状は、頭の両側や後頭部、首筋にかけて「締め付けられるような痛み」、あるいは「重い感じ」です。「ハチマキをきつく巻かれているよう」と表現する人もいます。痛みの強さは、軽く感じる場合から、そこそこ辛いと感じる場合まで様々で、日常生活に支障が出るほどではないことが多いです。しかし、慢性化してしょっちゅう起こるようになると、集中力が続かなくなったり、ずっと不快感が続いたりすることがあります。
すぐにできる症状の落ち着かせ方には、以下のようなものが挙げられます。
・温める:首や肩を温めることで、筋肉の緊張が和らぎ、血行が促進されます。蒸しタオルや温かいシャワーなどが有効です。
・ストレッチ:首や肩、肩甲骨周りのストレッチを行うことで、筋肉の凝りをほぐします。
・安静にする:痛みが強い場合は、静かな場所で横になるなどして安静にすることで、症状が落ち着くことがあります。
・市販の鎮痛剤:アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの市販の鎮痛剤も有効な場合があります。ただし、漫然とした使用は避けるべきです。

吐き気や嘔吐、光や音に対する過敏性はない

緊張型頭痛は、体を動かしても、痛みがひどくなることはあまりありません。むしろ、軽い運動やストレッチをすることで痛みが和らぐこともあります。また、片頭痛と違って、吐き気や嘔吐(おうと)、光や音に過敏になる(まぶしい、音がうるさく感じる)といった症状は、通常は伴いません。もしこれらの症状がある場合は、緊張型頭痛以外の別の種類の頭痛(片頭痛など)の可能性も考える必要があります。

緊張型頭痛の主な原因

緊張型頭痛は、様々な要因が複雑に絡み合って起こると考えられています。その主な原因を知っておくことで、頭痛を予防したり、対処したりするのに役立ちます。

精神的ストレス

最も大きな原因の一つは、精神的なストレスです。仕事のプレッシャーや人間関係、家庭での悩みなどが積み重なると、私たちの体の調子を整える自律神経(じりつしんけい)のバランスが乱れてしまいます。すると、首や肩の筋肉が緊張しやすくなり、頭への血の巡りが悪くなることで、痛みを引き起こす物質が放出されると考えられています。

首や肩の筋肉の負担、眼精疲労

身体的なストレスも重要な原因です。長時間のデスクワークや、スマートフォンをずっと見ているといった悪い姿勢は、首や肩の筋肉にとても大きな負担をかけます。特に、猫背(ねこぜ)や、首の骨のカーブがまっすぐになってしまうストレートネックといった姿勢は、重い頭を支える首の筋肉に常に負担がかかるため、緊張型頭痛が起こりやすくなります。また、目の疲れ(眼精疲労)も首や肩の筋肉の緊張につながり、頭痛の原因となることがあります。

不規則な生活リズム

睡眠不足や不規則な生活リズムも、緊張型頭痛を引き起こす原因となります。十分に眠れないと、自律神経のバランスが崩れて、筋肉の緊張がなかなか取れなくなります。また、食事の時間がバラバラだったり、運動不足だったりすることも、体全体の調子を崩し、頭痛が起こるリスクを高める可能性があります。

緊張型頭痛になりやすい人の特徴

緊張型頭痛は誰にでも起こりうるものですが、特定の傾向を持つ人がより発症しやすいと考えられています。
一般的に、女性に多く見られる傾向があります。これは、女性ホルモンの影響や、男性に比べて筋肉量が少ないことなどが関係している可能性が指摘されています。年齢層としては、特に20代から50代の、仕事や家事で忙しい世代に多く見られます。体型による明確な特徴は少ないですが、首や肩に負担がかかりやすいなで肩の人や、普段から姿勢が悪い人は注意が必要です。

長時間のデスクワークやスマートフォンの使用

長時間同じ姿勢でパソコン作業をしたり、スマートフォンを使ったりすることで、首や肩の筋肉がこり固まりやすくなります。

運動不足

体を動かす機会が少ないと、血の巡りが悪くなり、筋肉の緊張が慢性化しやすくなります。

睡眠不足

十分な睡眠が取れないと、筋肉が回復する時間がなくなり、疲労がたまりやすくなります。

ストレスを抱え込みやすい性格

完璧主義だったり、真面目すぎたりする性格の人は、ストレスをため込みやすく、それが体の症状として頭痛に現れることがあります。

冷え性

体が冷えると、血の巡りが悪くなり、筋肉がこり固まりやすくなります。

緊張型頭痛の治し方

緊張型頭痛の治療は、痛みを和らげるだけでなく、根本的な原因に対処することも大切です。
頭痛の症状が頻繁に起こる、だんだん悪くなっている、市販薬が効かなくなってきた、日常生活に支障が出ているといった場合は、専門の病院を受診することを検討してください。専門の診療科としては、脳神経外科や神経内科が適切です。

薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): 「エヌセイズ」と読みます。これは、一般的な痛み止めのことで、イブプロフェンやロキソプロフェンなどが処方されます。痛みを抑える効果があります。
筋弛緩薬(きんしかんやく): 筋肉の緊張を和らげるお薬です。
抗うつ薬(こううつやく): 慢性的に続く緊張型頭痛の場合、少量のお薬が痛みのコントロールに有効なことがあります。これは、気持ちを楽にする作用だけでなく、痛みの信号が脳に伝わる道を調整する作用によるものです。

非薬物療法

理学療法(りがくりょうほう): マッサージや温める治療(温熱療法)、電気を流す治療(電気療法)などを用いて、首や肩の筋肉の緊張をほぐし、血の巡りを良くします。
ストレッチ: 自宅でできる首や肩、肩甲骨周りのストレッチの仕方を教えてもらえます。
姿勢の改善: 正しい姿勢を意識したり、机や椅子の高さ、パソコンの位置など、作業環境を見直すことも重要です。
ストレスマネジメント: ストレスの原因を見つけて、それに対処する方法を学んだり、深呼吸や瞑想(めいそう)など、リラックスできる方法を取り入れたりすることも効果的です。
認知行動療法(にんちこうどうりょうほう): 長く続く痛みに対して、痛みの感じ方やそれに対する考え方、行動のパターンを変えることで、痛みを和らげる治療法です。

緊張型頭痛の予防法

緊張型頭痛は、日々の生活習慣を見直すことで、頭痛が起こるのを防いだり、症状を軽くしたりすることができます。

姿勢の改善

デスクワーク中やスマートフォンを使っている時など、長時間同じ姿勢を取り続ける場合は、こまめに休憩を挟み、ストレッチを行うようにしましょう。正しい姿勢を意識して、椅子の高さやパソコンの位置なども、自分に合ったものに調整することが大切です。

適度な運動

ウォーキングや軽いジョギング、水泳など、無理のない範囲で有酸素運動を続けることで、全身の血の巡りが良くなり、筋肉の緊張が和らぎます。特に、首や肩周りの筋肉をほぐすストレッチや、ヨガ、ピラティスなども効果が期待できます。

十分な睡眠

質の良い睡眠をしっかりとることで、心と体の疲れが回復し、筋肉の緊張も和らぎます。毎日決まった時間に寝起きするように心がけたり、自分に合った寝具を見直したりすることも大切です。

ストレスマネジメント

ストレスは緊張型頭痛の大きな原因となります。趣味に没頭したり、リラックスできる時間を作ったり、信頼できる人に相談したりするなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。

栄養素の摂取も意識した食事

ビタミンやミネラルをたっぷり含む食事を心がけましょう。特に、マグネシウムというミネラルは筋肉の働きに関わっており、不足すると筋肉が緊張しやすくなることがあります。

体を温める

体が冷えると、血の巡りが悪くなり、筋肉がこり固まりやすくなります。お風呂にゆっくり浸かって体を温めたり、寒い時期は防寒対策をしっかり行ったりすることで、血行を促進し、筋肉のこりを防ぐことができます。

水分補給

体が水分不足になると、頭痛の原因となることがあります。のどが渇く前に、こまめに水を飲むようにしましょう。

カフェインの摂取量に注意

コーヒーは適量であれば良いですが、飲みすぎるとかえって頭痛を悪化させる可能性があります。特に寝る前にカフェインを摂ると、眠りの質が悪くなることがあるので控えましょう。

飲酒量の調整

アルコールは血管を広げる作用があり、頭痛を引き起こすことがあります。適量を心がけましょう。

「緊張型頭痛とコーヒー」についてよくある質問

ここまで緊張型頭痛とコーヒーについて紹介しました。ここでは「緊張型頭痛とコーヒー」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

コーヒー以外で緊張型頭痛の痛みを和らげる飲み物はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

コーヒー以外で痛みを和らげる飲み物としては、温かいハーブティーや生姜湯などが挙げられます。ハーブティーに含まれるカモミールやペパーミントは、気持ちを落ち着かせたり、リラックスさせたりする効果が期待できます。生姜湯は体を温め、血の巡りを良くする作用があります。これらの飲み物は、リラックス効果も期待でき、筋肉の緊張を和らげる助けになるでしょう。ただし、あくまで「補助的なもの」であり、頭痛の根本的な治療にはならない、ということをご理解ください。

頭痛を和らげるためにコーヒー摂取に向かない方はいますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

はい、いらっしゃいます。 まず、以前にカフェイン離脱性頭痛を経験したことがある方は、コーヒーの量に注意が必要です。普段からたくさんのカフェインを摂っている方が、急にやめると頭痛が悪化する可能性があります。 次に、カフェインに敏感な方です。少量のカフェインでも動悸(ドキドキする)、不安感、眠れないなどの症状が出る方は、頭痛が悪化する可能性があります。 また、胃腸が弱い方も注意が必要です。カフェインは胃酸の分泌を促すため、胃の不快感や胸焼けを引き起こすことがあります。 最後に、睡眠障害がある方は、カフェインがさらに眠りの質を悪くする可能性があるため、特に夕方以降の摂取は控えるべきです。

編集部まとめ

緊張型頭痛は、多くの人が経験する身近な頭痛ですが、その症状や原因は様々です。コーヒーに含まれるカフェインは、一時的に頭痛を楽にする効果が期待できる一方で、飲みすぎたり、急にやめたりすると、かえって頭痛を悪化させてしまうこともあります。
一番大切なのは、ご自身の頭痛がどんな時に起こりやすいのか、どんな特徴があるのかをよく知ることです。そして、それに合わせた対処法を見つけることが大切です。日々の生活習慣を見直したり、ストレスを上手に発散したりすること、そして、もし症状が辛い場合は、迷わず専門のお医者さんに相談することが、緊張型頭痛を改善し、快適な毎日を送るためのカギとなります。頭痛に悩まされている方は、ぜひ一度、脳神経外科や神経内科を受診して、適切な診断と治療を受けることを強くお勧めします。

「緊張型頭痛」と関連する病気

「緊張型頭痛」と関連する病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

精神科・心療内科の病気

整形外科の病気

眼科の病気

緊張型頭痛は、精神的な状態や体の姿勢、目の疲れなど、様々な要因が絡み合って起こることが多いです。もし、頭痛だけでなく、気分の落ち込みや不眠、体の痛みなど、他の症状も気になる場合は、関連する専門医に相談することも大切です。

「緊張型頭痛」と関連する症状

「緊張型頭痛」と関連している、似ている症状は10個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 首や肩のこり
  • 後頭部から首筋の張り
  • 集中力の低下
  • だるさ
  • 寝つきの悪さ
  • 背中がつる
  • 目の奥が痛い

緊張型頭痛は、単なる頭の痛みとしてだけでなく、首、肩、背中、目など、体の様々な部分の不調として現れることがあります。これらの症状は、体の緊張や血行不良のサインでもあるため、頭痛を和らげるためには、全身の状態に目を向けることが大切です。

この記事の監修医師