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「夜間以外でのブルーライトカット眼鏡の着用は必要ナシ」眼科医が語るブルーライトのウソ・ホント

公開日:2021/12/12  更新日:2021/12/10

「パソコン作業をする時は、ブルーライトカット眼鏡を使用した方がいい」という説が散見されます。その一方で「ブルーライトカット眼鏡は不要」や「子どもには使わせない方がいい」という反対意見も耳にします。一体、何が正しい情報なのでしょうか。今回は眼科医である「新馬場眼科」の芳賀先生に、ブルーライトが及ぼす体への影響について解説していただきました。

芳賀剛

監修医師
芳賀 剛(新馬場眼科 院長)

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山梨医科大学(現・山梨大学)医学部卒業。その後、山梨大学医学部附属病院勤務医、加納岩総合病院眼科医長、おおたけ眼科古淵医院院長を務める。2016年東京都品川区に「新馬場眼科」を開院。大学病院時代より、一般眼科診療以外に弱視や斜視の診察治療にも注力する。子どもからお年寄まで、地域の人たちがいつでも安心して受診できる眼科を目指している。

「ブルーライト」が悪者はウソ?

「ブルーライト」が悪者はウソ?

編集部編集部

まずは、ブルーライトについて教えてください。

芳賀剛芳賀先生

私たちの目に見える光のことを「可視光線」といいますが、ブルーライトもそのうちの1つです。光には波長があるのですが、ブルーライトは可視光線の中でも波長が短く、強いエネルギーを発しています。ブルーライトは太陽光からも発せられていますし、パソコンやスマホのディスプレイからも出ています。

編集部編集部

「ブルーライトは目に悪い」という話をよく聞きます。

芳賀剛芳賀先生

「ブルーライトを長時間浴びることで、目の疲れや睡眠に影響が出る恐れがある」という指摘が一部であるようですね。これは、ブルーライトの波長は短いため、角膜や水晶体を透過して網膜まで到達してしまうのが理由とされています。そのため、目に悪いのではないかと心配されているのです。

編集部編集部

たしかに、スマホやパソコンを見続けると目がチカチカしたり、乾燥したり、疲れたりします。

芳賀剛芳賀先生

パソコンなどの使い過ぎによってドライアイや目のかすみ、焦点が合わないといった症状を訴える人も少なくありません。しかし、それらは「ブルーライト」が原因というより、「画面との距離」が原因であると考えられています。つまり、至近距離でモニターを凝視し続けることで目に負担が生じ、様々な症状が現れているのです。

編集部編集部

ブルーライトは関係ないということですか?

芳賀剛芳賀先生

現在、ブルーライトとの関係はまだ明らかになっていません。実際、パソコンやスマホのディスプレイから発せられるブルーライトは極々微量で、目に悪影響を及ぼすほど強くないと考えます。

編集部編集部

夜にパソコンやスマホを使うと、ブルーライトの影響で眠れなくなるという話もありますよね?

芳賀剛芳賀先生

ブルーライトの影響も考えられますが、どちらかといえば交感神経の影響の方が大きいでしょう。パソコンやスマホからたくさんの情報が入ることにより、交感神経が活性化して興奮状態に切り替わってしまい、眠りにつけなくなるのです。近年、そうしたことによる睡眠障害のお悩みは、非常に増えています。

ブルーライトの役割とは?

ブルーライトの役割とは?

編集部編集部

結局のところ、ブルーライトは体に悪影響を及ぼすものではないと?

芳賀剛芳賀先生

悪者のように扱われがちなブルーライトですが、むしろ、人間にとって必要な役割も果たしています。例えば、ブルーライトが網膜に届くことで、体内時計が整います。朝になって太陽の光を浴びると、すっきりと目が覚め、脳が働き出しますよね。これは、太陽光に含まれるブルーライトの働きです。ブルーライトの影響で体内時計がリセットされ、脳と体を活性化させています。

編集部編集部

そうだったのですね。ほかにもありますか?

芳賀剛芳賀先生

ブルーライトには、体温を上昇させたり、ホルモンを分泌させたりする働きもあります。ブルーライトは体内時計以外にも、体温やホルモンバランスを調整して、人間が活動できるように生体機能をコントロールする役割も担っているのです。

編集部編集部

つまり、ブルーライトは有害ではないということですか?

芳賀剛芳賀先生

日中に関しては、あまり気にしすぎる必要はないでしょう。ただし、夜間にパソコンやスマホを使うときには、注意が必要です。先ほど、夜間にパソコンやスマホを使うと睡眠障害を起こしやすいというお話をしました。多くの場合、交感神経が活性化することが原因ですが、それに加えてブルーライトの影響で体内時計を狂わせてしまう可能性もあります。総じて、夜間のパソコンやスマホの使用は睡眠障害の原因になり得るので、控えた方がいいということですね。

「ブルーライトカット眼鏡」は必要?

「ブルーライトカット眼鏡」は必要?

編集部編集部

ブルーライト対策として、「ブルーライトカット眼鏡」が市販されていますよね。

芳賀剛芳賀先生

最近はブルーライトが子どもに与える影響を考慮して、「子どもにブルーライトカット眼鏡を装着させよう」という動きが目立っています。しかし、その動きに対して「装着を推奨する根拠はなく、むしろ発育に悪影響を与えかねない」と日本眼科学会や日本近視学会などの学会が明言しています。※

※「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」
https://www.gankaikai.or.jp/info/20210414_bluelight.pdf

編集部編集部

どのような理由があるのでしょうか?

芳賀剛芳賀先生

ブルーライトよりも波長が短い光に「バイオレットライト」というものがあります。このバイオレットライトは目に必要な光とされ、「近視の抑制効果がある」ということが明らかになりました。しかし、ブルーライトカット眼鏡によって、バイオレットライトまでカットされてしまうのです。そのため、「ブルーライトカット眼鏡の使用は近視を加速するのではないか」と危惧されています。近視を防ぐためにも、子どものうちはブルーライトカット眼鏡を装着せずに屋外で遊び、バイオレットライト、つまり太陽の光を浴びる習慣をつけるのがいいと思います。

編集部編集部

その一方、ブルーライトカット眼鏡の使用で、目の疲れが軽減されたという人もいます。

芳賀剛芳賀先生

たしかに、ブルーライトカット眼鏡を使用している人のなかには、眼鏡の効果を実感している人もいます。もしかすると、ブルーライトカット眼鏡の効果ではなく、色のついた眼鏡のレンズによって取り込む光量が減った結果、目の疲れを軽減させたのかもしれません。ただし、そうだとすれば、ディスプレイの輝度を下げることでも同様の効果が得られるということになりますよね。正直なところ、ブルーライトカット眼鏡の効果は曖昧で、疑問を唱える専門家もいます。

編集部編集部

そうなると、どのようにブルーライトカット眼鏡を活用すればいいのでしょうか?

芳賀剛芳賀先生

まず、子どもに対しては、安易にブルーライトカット眼鏡を使用させない方がいいでしょう。また、大人の場合でも、長時間のパソコンやスマホなどの使用で目が疲れたときは、ブルーライトカット眼鏡を装着するよりも目を休める方が有効です。ただし、日没以降にパソコンやスマホを使うのであれば、体内時計の乱れを防ぐためにブルーライトカット眼鏡を装着するのはアリだと思います。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

芳賀剛芳賀先生

「ブルーライトカット眼鏡を使えば目に負担がかからない」や「疲れ目が回復する」と過信しすぎるのは、かえってリスクです。それよりも、「目が疲れたら休息を取る」、「連続して長時間使用しない」など、普段から目を守ることに意識を向けましょう。とくに子どもの場合は、健康的な目の成長を考えて、ブルーライトカット眼鏡の使用は控えた方がいいかもしれません。

編集部まとめ

ブルーライトの善悪論については諸説あるそうですが、必ずしも体に悪影響を及ぼすというわけではなさそうです。とくに、パソコンやスマホなどのディスプレイの光は、太陽光に比べて微々たるものです。また、ブルーライトカット眼鏡に頼って疲れ目の解消を図るよりも、しっかりと休息をとる方が効果的とのことでした。ただし、夜間にブルーライトを浴びると体内時計が狂う可能性が考えられるので、ブルーライトカット眼鏡で対策するのは有効な手です。

医院情報

新馬場眼科

新馬場眼科
所在地 〒140-0001 東京都品川区北品川2-23-2 RESIDENCE SHINAGAWA 2F
アクセス 京急本線「新馬場駅」 徒歩3分
診療科目 眼科