無意識のうちに負担が!? 目にかかる「光ストレス」の対策について教えて！

川端先生

まぶしいと感じる仕組みとしては、光を感じる目のセンサーが強い光を浴びることにより、一瞬で脱色します。しばらくすれば元に戻るものの、脱色している間は目が機能不全に陥るので、いわゆる「ホワイトアウト」の状態に近くなります。例えるなら、「虫眼鏡で光を集める実験」のようなことを網膜にしているわけですから、目にいいわけがありません。

川端先生

強い光に関しては、ストレスになり得ます。光のストレスを「実感型」と「累積型」に分けると把握しやすいでしょうか。「実感型」は、「わっ、まぶしい」といった“その場面での不快”を伴うストレスです。人により感じる度合いが異なるので、感受性の問題ともいえます。環境への慣れもありますしね。

川端先生

そのときは不快と感じなくても、知らず知らずのうちに「目の組織変化が蓄積していく」ストレスのことです。白内障ならレンズの濁りが増していきますし、「加齢黄斑変性（かれいおうはんへんせい）」なら映画のスクリーンに相当する網膜の中心が障害されていきます。

川端先生

白内障の罹患（りかん）率は、50代で約10％、60代で約30％、70代で約半数といわれ、年齢とともに高まっています。「知らず知らず」ということは、「誰にでも起こる可能性がある」ということなので、日頃からの対策が求められますよね。要は、「まぶしい」と思っていなくても、目のストレスがたまり続けているのです。

川端先生

メガネやサングラスで紫外線などの有害光線をカットすることが必要です。夏場や屋外に限らず、「強い日差しを自主的に防御していく」意識が求められます。特に瞳の色が濃い東洋人は、もともとサングラスに相当する機能を目に備えているとも考えられ、光に無頓着な方が多いのです。他方で、瞳の色素が薄い欧米人がサングラスを多用しているのは、実際にまぶしいと感じているからです。

川端先生

それは、「実感型」に関してですよね。本当に怖いのは知らず知らずの「累積型」で、なんとかならないのが問題でしょう。先ほどの白内障と年齢の関係が、事実を物語っています。

川端先生

やはり、紫外線やブルーライトを確実にカットしてくれるレンズのものを推奨します。また、環境に応じてレンズの濃さが変わる「調光レンズ」なら、“かけっぱなし”でも不便を感じません。

川端先生

光ストレスに直接結びつくサプリメントは“ない”と思います。目の疲れに対するサプリメントや目薬は市販されていますけどね。サプリメントに頼るよりも、サングラスをかけたほうが簡便ですし、直接的な実感も得られやすいのではないでしょうか。

川端先生

実際、まぶしさを実感している環境で、累積型のストレスが起きないケースはレアでしょう。ちなみに、テレビや映画などで「光の明滅について注意喚起」しているのは、全く別の観点です。

川端先生

生活リズムが崩れてしまうので本末転倒でしょう。やはり、適度なタイミングで適度に光を浴びることが大切です。夜間に多い、パソコンやスマホによるブルーライトの弊害も報告されています。

川端先生

そうなりますね。世間のサングラスに関する認識を改めていくような風潮に期待しています。現状では、小学校にサングラスをかけていったら、呼び止められますよね。大人の場合でも、「格好つけてるな」といった印象を与えがちです。そうではなく、「目を守ってるね、意識が高いね」という方向に変わっていけば、目の疾患を抑えられるでしょう。「予防としてサングラス」を使用する方が増えることを願います。

川端先生

コロナ禍で散見されたのは、「自分のモラルと反する人への攻撃」です。他人にうつるウイルスと異なり、サングラスは感染しません。サングラスをかけると“楽”だけれども、他人の視線が気になってかけられない。もし、そんな雰囲気があるとしたら、この機に考え直しましょう。