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「脳卒中の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

 公開日:2023/12/06
「脳卒中の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

脳卒中の前兆となる症状とは?Medical DOC監修医が脳梗塞の前兆となる症状・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「脳卒中」とは?

脳卒中とは、脳の血管がつまったり破れたりすることで起こる脳血管障害のことです。脳卒中には、脳梗塞や脳出血、クモ膜下出血などがあります。この脳卒中を発症してしまうと脳組織にダメージが加わるため重大な後遺症を残したり、命に関わる事態に陥ったりしてしまいます。2022年のデータでは、脳卒中は癌や心臓病、老衰に次いで死因の4位、介護を要する原因の1位となっています。脳卒中には前兆が訪れる場合と全く予兆がない場合とがありますが、特徴的な前兆の場合には速やかに治療を開始することで、発症を予防したり、もし発症しても後遺症を軽減したりすることが可能となります。

脳卒中の前兆となる初期症状

脳卒中の警告サインを見逃さないことが、重篤な脳卒中を防ぐ鍵となります。ここでは、特に注意すべき初期症状をいくつかご紹介します。

一時的に半身がしびれる、力が入りにくい

一時的に身体の(左右どちらか)半身がしびれる、力が入りにくくなるという症状は、脳卒中の前兆の可能性があります。喋りづらい、箸がうまく持てない、口から水が漏れるなどもよく見られる症状です。これは脳卒中の中でも脳梗塞の前兆として見られ、一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる病気です。
TIAは、一時的に脳に血流が流れなくなり、手足の麻痺など脳梗塞と同じ症状が一時的に続いて24時間以内に自然に消失する病態です。通常は30分以内に消失することが多いです。 TIAの原因と症状は脳梗塞と同じですが、TIAはある程度時間が経つと症状が完全に消失し、恒久的な脳障害を残さない点で脳梗塞と異なります。
TIAはその後に脳梗塞を発症する可能性が高いことが知られています。「ちょっと手が動かしにくかったけど、すっかり良くなったから、まあいいや」と油断してはいけません。すぐに脳神経内科もしくは脳神経外科を受診して治療を受けるようにしてください。

頭痛

くも膜下出血を発症した方の20%で、発症前に頭痛が出現していることが知られています。これは警告頭痛と呼ばれ、くも膜下出血発症の数日から数週間前に発生することがあります。警告頭痛は痛みがそこまで強くないとされています。さらに、その性状は片頭痛のように脈を打つようなズキズキとする痛みのこともあるため、実際には頭痛だけであるとくも膜下出血の警告頭痛であるのかどうかを見分けることが難しいかもしれません。
多くの場合、1分以内にピークに達し24時間以内に消失します。すでに少量ながらくも膜下出血が始まっている状態とも考えられるため、くも膜下出血で起こりうるめまい、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。頭痛以外にも一緒に何らかの症状がある場合には、警告頭痛の疑いが強まります。警告頭痛かもしれないと思った場合はすぐに医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は脳神経内科もしくは脳神経外科です。

肩こり・首筋の痛み

肩こりや首筋の痛みは、日常よく自覚する症状であり、多くは筋肉の緊張が原因になりますが、もし急に症状が出現したり様子を見ても改善しなかったりする場合には、椎骨動脈解離という病気も考慮する必要があります。椎骨動脈とは椎骨動脈という首の後ろから脳につながる血管の構造内が裂けてしまう病気である可能性もあります。椎骨動脈解離という状態になると、突然首が痛くなったり、肩こりがひどくなったりすることがあります。椎骨脳底動脈解離は放置すると血管内が詰まってしまい脳梗塞を発症することがありますが、自覚症状や診察だけでは判断がつかず、MRIや造影CTなどの画像診断が必要です。
肩こりや首こりの症状が、スポーツでの素早い首振りや、首周りの無理なストレッチの後に悪化している場合は、一度脳神経内科もしくは脳神経外科を受診して検査をしてもらうのが良いでしょう。

すぐに病院へ行くべき「脳卒中の前兆」

ここまでは脳卒中の前兆となる症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

神経症状を伴って意識を失った場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

前述の頭痛や片麻痺など、どの症状であっても自覚したらすぐに病院へ行くべきですが、意識消失があった場合も注意する必要があります。一時的に意識を失ってすぐに目を覚ました場合は心臓や自律神経由来の「失神」の可能性が高いのですが、神経症状を伴う場合には脳卒中の前兆である可能性も考えられます。くも膜下出血に伴う意識消失の場合、目を覚ましてからもどことなくぼーっとしていたり、頭痛を伴っていたりします。失神であっても速やかに医療機関を受診すべきですが、もし目を覚まさない、もしくは目を覚ました後もいつもと様子が違う場合は脳卒中を疑い、救急車を呼びましょう。

受診・予防の目安となる「脳卒中の前兆」のセルフチェック法

  • ・一時的にろれつがまわらない、言葉が突然出にくくなる場合
  • ・一時的に身体の半分がしびれる、動かしにくいなどの症状がある場合
  • ・いつもと違う頭痛がする、吐き気がする場合

脳卒中の前兆となる症状を予防する方法

不整脈の治療

脳卒中の中でも脳梗塞では、不整脈が原因で起こる心原性脳塞栓症というものがあります。なかでも、心房細動という不整脈は注意が必要で血栓(血の塊)ができる原因として頻度が高いと言われています。これは、脈の乱れによって心房(心臓の部屋の一部)内の血液がよどんでしまい血栓ができてしまうためと言われています。この血栓が脳血管に飛んでいき詰まってしまうと脳梗塞になってしまうのです。そのため、心房細動があれば早めの治療が望まれます。
脈が飛ぶことや鼓動を強く感じるといった動悸には治療を必要としないことも多いのですが、自覚症状のない不整脈も存在するため、健診やスマートウォッチなどの心電図で不整脈を検知された場合には、一度循環器内科を受診して精密検査をしておくことをお勧めます。

禁煙・節酒

喫煙は心疾患や脳血管疾患の大きな危険因子であることが知られており、禁煙は非常に大切です。また、飲酒についても「1日平均3合以上」お酒を飲む人は、「時々(月に1〜3回)飲む」人に比べて、1.6倍脳卒中になりやすいとの報告があり、節酒も脳卒中予防に有効です。

運動

適切な運動は、血圧のコントロールやその他の生活習慣病の予防にもつながります。ウオーキングなどの軽い有酸素運動でも良いので、運動を継続する習慣が大切です。

高血圧症や脂質異常症、糖尿病に注意する

健康診断などで血圧やコレステロール値、血糖の異常を指摘された場合は、高血圧症や脂質異常症、糖尿病の可能性があるため注意が必要です。これらの病気は、動脈硬化をはじめとした血管病変の原因となります。また、動脈硬化は血管の破裂や血栓形成を引き起こす可能性があります。バランスの良い食事を摂るように工夫しましょう。塩分を控えめにすることで血圧を下げる効果、野菜や果物に含まれる食物繊維をしっかりとることでコレステロール値を下げる効果があることが知られています。また、食べ過ぎないように気をつけることも重要です。

「脳卒中の前兆」についてよくある質問

ここまで脳卒中の前兆となる症状・予防法などを紹介しました。ここでは「脳卒中の前兆」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

女性の脳卒中の前兆となる症状にはどんな特徴がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

女性は妊娠、経口避妊薬の使用、ホルモン補充療法など脳梗塞を発症する危険因子にさらされる機会が多いことが知られています。閉経した後に女性ホルモンであるエストロゲンの働きが低下して、コレステロールや血圧が高くなりやすいため注意が必要です。
妊娠や経口避妊薬の使用は、血栓塞栓症になるリスクが高まることが知られています。脳血管に血栓が詰まると、脳梗塞や脳出血の原因となります。経口避妊薬を使用しているときは、喫煙を行うと脳梗塞のリスクが非常に高まるため禁煙を行う必要があります。

脳卒中の前兆となる症状にめまいや頭痛はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

はい。めまいは脳梗塞の前兆である一過性脳虚血発作の症状として、頭痛はくも膜下出血の前兆である警告頭痛の症状として出現することがあります。

脳卒中を疑う特徴的ないびきはありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

脳卒中を発症して意識障害の症状が出現すると、舌の根元が気道に落ち込むことによっていびきを生じます。このような場合には声をかけても目が覚めない可能性があります。すぐに救急車をよんで受診するようにしてください。

編集部まとめ

脳卒中の前兆の代表的な症状を解説しました。
脳卒中には脳梗塞や脳出血、くも膜下出血というように種類は異なるのですが、いずれも脳血管の異常で発症する病気であり、神経症状が出現します。頭痛やめまいなどは普段でも自覚することはありますが、脳卒中やその前兆である場合には通常よりも激しく急に起こる症状であることが特徴となります。脳卒中はすぐに治療を行うことで救命率が上がり、後遺症も軽くなる可能性があるので、異常を感じたらすぐに病院を受診するようにしましょう。

「脳卒中の前兆」と関連する病気

「脳卒中の前兆」と関連する病気は14個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

内科の病気

脳卒中は、めまいなど普段感じる不快な症状が前兆になる病気です。ただし、脳腫瘍や前庭神経炎など脳卒中とは別の疾患でも、同様の症状が起こる可能性があります。

「脳卒中の前兆」と関連する症状

「脳卒中の前兆」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 肩がこる
  • 頭痛
  • 身体の半分に生じる痛み、しびれ
  • 意識障害

脳卒中の前兆となる症状には、このような症状があります。肩がこる、頭痛などは普段自覚する不快な症状と似ていることもありますが、突然現れる、急に症状が悪化した場合には、脳卒中が原因である場合もありますので、早めに医療機関を受診してください。

この記事の監修医師