「くも膜下出血の原因」となる可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が解説!
くも膜下出血の原因とは?Medical DOC監修医がくも膜下出血の原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。
監修医師:
中川 龍太郎(医療法人資生会 医員)
目次 -INDEX-
「くも膜下出血」とは?
くも膜下出血とは、脳出血の一種で、脳の表面の血管が破れて出血してしまい、くも膜下腔というスペースに出血が拡がった病気です。
くも膜下出血は、発症した人の1/3は死亡し、1/3は何らかの後遺症が残り、残る1/3だけが社会復帰できるという、非常に重篤な病気です。発症してから治療するのではなく、できるだけ発症しないようにする予防策が重要になります。
今回の解説で、くも膜下出血に至る原因を知り、適切に予防しましょう。
くも膜下出血の主な原因
脳動脈瘤
くも膜下出血の原因のほとんどは脳の動脈にできた瘤(こぶ):脳動脈瘤の破裂です。この脳動脈瘤は、存在するだけでは何も症状はありません。しかし一度破裂すると、くも膜下出血に至ります。出血によって髄膜が刺激され、経験したことのない頭痛や嘔吐、脳が圧迫されることによる意識障害、麻痺などの神経障害を引き起こします。
経験したことのない激しい頭痛を突然感じた際は、すぐに救急要請することを勧めます。またご自身や身の回りの方がそのような状況になった際は、救急要請をした後、できるだけ安静にするようにしてください、具体的にはタオルなどで目を覆う、大きな音が入らないようにするなど、余計な光刺激や音による刺激がないようにしましょう。
受診すべき診療科は脳神経外科です。原因となっている血管の位置によって、開頭手術やカテーテル手術などが適応になります。
高血圧
くも膜下出血の原因として、高血圧も挙げられます。高血圧は血管に過剰な圧力がかかった状態で、あまりにも高くなると血管が破れてしまい、破裂させることがあります。また先に述べた脳動脈瘤と合わさって、さらにくも膜下出血のリスクを高めます。
高血圧自体も自覚症状はほとんどありません。それゆえに皆さん気付きにくく、健診などで指摘されても、「特に症状はないから」と放置してしまいがちです。しかし、出血のリスクは高い状態が続いていますので、確実な対応が求められます。
高血圧だけでは緊急性はありませんので、近隣の内科などかかりつけ医を受診して、普段から適切な血圧になるように治療しましょう。
頭部外傷
くも膜下出血の原因として、頭部外傷も挙げられます。頭部外傷とは、その名の通り頭に何らかの力が加わって、外傷をおってしまった状態です。頭部外傷にも軽症から重症まで程度があり、ちょっとしたたんこぶができる程度のものから、頭蓋内に出血を起こすものまでさまざまです。
どれくらいの怪我だったか、どれくらいの外からのエネルギーが加わったかといった外傷の程度も重要になりますが、本人の年齢や持病、内服薬なども考慮すべき要因です。
例えば、高齢で抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を内服している方であれば、同じ怪我をおったとしても、より重症になる可能性は高いと言えます。
頭部外傷によって怪我した部分だけでなく、頭蓋内でも出血が起こっている場合(くも膜下出血)、頭痛や吐き気・嘔吐、麻痺やけいれんなどの症状が出ることがあります。
このような症状が頭部に怪我をしてから時間が経って出現した場合は、緊急性が高いため早急に医療機関を受診しましょう。受診すべき診療科は脳神経外科です。
抗血栓薬内服
くも膜下出血のリスクを高める要因として、抗血栓薬を内服していることも挙げられます。抗血栓薬とは、血栓ができないようにする薬、ざっくり言えば「血をサラサラにする薬」です。通常、血液には出血が起きた際に血を止めるための、止血機能が備わっています。抗血栓薬はこの止血機能に作用して、血が固まりにくい状態にする薬です。脳梗塞を過去に発症したことがある方や、心房細動という不整脈を患っている方は、血栓ができやすい状態なので、血が固まりにくい状態にして脳梗塞、心筋梗塞といった病気を予防する必要があります。
しかし、この薬にはリスクもあります。血栓ができにくくなる、血をサラサラにする、というと聞こえはいいですが、実際は何も内服していない状態よりは出血しやすい傾向になります。当然このお薬は、将来的に出血しやすくなるリスクと、血栓症(脳梗塞や心筋梗塞など)になるリスクを天秤にかけて、後者の方が大きいと判断された場合に開始されます。
重要なことは、この薬を飲んでいるから危険だ、というわけではなく、「飲んでいない人よりは出血のリスクがあること」を理解し、仮に出血性の病気が疑われた際は、医療機関側に正しく伝えることです。
これまでご紹介したように、くも膜下出血を疑われるような状況になった際は、的確に飲んでいる薬を伝えるようにしましょう。何を飲んでいるかでその後の治療方針が変わる可能性があるためです。
繰り返しになりますが、抗血栓薬を飲んでいるから危険!というわけではないことは覚えておいてください。
血管異常
くも膜下出血の原因として、血管異常も挙げられます。特に脳動静脈奇形(AVM: Arteriovenous Malformation)という病気が代表的です。この病気は、本来直接つながることのない脳内の動脈と静脈が、血管異常として直接つながっているものです。通常、動脈から静脈への血流は毛細血管を通るため、血圧は自然にゆっくり下がります。しかしAVMの場合ではこの緩衝システムが無いために、血液が異常に高速かつ高圧力で静脈に流れ込みます。
これによって血管壁に過度の負担をかけ、血管が破れ出血する(くも膜下出血)原因になります。
AVMは先天的な要因によるものが多いのですが、その存在が明らかになるのは出血やその他の症状(けいれんや手足の麻痺)が現れたとき、あるいは偶然検査で見つかるケースが多いです。
AVMが発見された場合は、脳神経外科という専門科での診断と治療が必要になります。治療の選択肢として経過観察、手術、カテーテル治療などがありますが、その適応基準は患者さんごとの背景によってさまざまですので、まずは専門医を受診しましょう。
くも膜下出血になりやすい人の特徴
女性
くも膜下出血になる人の男女比は1:2と女性の方が多いことが報告されています。また体型としては、肥満体型と発症率の逆相関が報告されています。つまり肥満体型の方がくも膜下出血の発症率が低い、痩せ型の方がくも膜下出血の発症率が高い、ことが分かっています。(これはあくまで相関関係であり、痩せていることが必ずくも膜下出血を引き起こしたり、太っていることがくも膜下出血のリスクを下げる、という因果関係の証明ではないことに注意してください。)
ただ、痩せている女性の方は、他の方より発症する可能性が高いと捉えて、意識するきっかけにするのは良いと考えます。該当する方は以降で解説する予防策を心がけてください。
高血圧
高血圧を保有している人は、そうでない人よりもくも膜下出血に2.8倍なりやすいことが報告されています。高血圧に至るような生活習慣の方は注意が必要です。具体的には
- ・味付けの濃い、塩分量の多い食事を日常的に摂取している
- ・過剰なストレスが常にかかる状態である
- ・健康診断で高血圧を指摘されながら、放置している
などです。このような状態に該当する方は、くも膜下出血になりやすい人と言えます。
心当たりのある方は生活習慣を見直して、かかりつけ医を受診してください。
喫煙
喫煙者は、そうでない人よりも1.9倍くも膜下出血になりやすいことが報告されています。さらに先ほど紹介した高血圧も保有している場合は、そのリスクはさらに高まるとされています。
過度な飲酒
過度な飲酒を習慣的に行う人は、そうでない人よりも4.7倍もくも膜下出血になりやすいことが報告されています。
さらに先ほど紹介した喫煙者でもある場合は、そのリスクがさらに高まるとされています。ここでの過度な飲酒とはどれくらいの量かと言いますと、1週間で純アルコール150g以上とされています。アルコール度数5%のビールロング缶1本で約20gですので、休肝日なしで毎日1本以上飲めば、それだけで150gには達してしまうということになります。
肝機能のことを考えて休肝日をもうけるとともに、アルコール摂取の総量にも注意しましょう。週に1回休肝日があったとしても、それ以外の日に大量の飲酒を行えば当然アルコール摂取量は危険な数値になるからです。
くも膜下出血の予防法
血圧管理
先述の通り、高血圧はくも膜下出血のリスクを大きく上昇させますので、血圧を適切に管理することが予防につながります。
一般的には塩分過多の食生活が高血圧につながりますので、塩分量を控えた食生活が推奨されます。ただしすでに収縮期血圧が常に160mmHgを超えている場合は、早めに高圧薬による治療を開始することが望ましいです。こういった際は食生活改善の効果が出るのを待つ前に、早急に医療機関を受診しましょう。
禁煙
これまでご紹介した通り、喫煙も大きなリスク因子の一つです。効果的な対処法は禁煙につきます。禁煙によって、くも膜下出血だけでなく、脳梗塞や脳内出血、心筋梗塞や狭心症など、あらゆる血管病変のリスクが低下します。またほとんどの癌では喫煙がリスクとなっており、禁煙によって癌を発症するリスクを下げることができます。
逆に喫煙者が禁煙することによる健康上のデメリットはありません。よく余計にストレスが溜まるから体に良くない、と主張する人もおられますが、禁煙によるストレスよりも圧倒的に体に負担をかけているのが喫煙です。
くも膜下出血だけでなく、あらゆる病気を未然に防ぐためにも禁煙を強くおすすめします。
節酒
先述の通り、アルコールの過剰摂取はくも膜下出血の大きなリスク因子になります。対策としてはアルコールの総摂取量を抑えることが重要です。以前は適量のアルコール摂取は血管の病気のリスクを下げると言われていましたが、現在では摂取した分だけ疾患リスクは増大することが報告されています。
理想は飲酒自体もストップすることですが、くも膜下出血の原因と対策という観点では、節酒が推奨される手段ということになります。
脳ドック
脳ドッグとはMRIやエコーなどの画像診断を使用して、脳に関わる疾患の診断や、そのリスクの評価を行う、健康診断の一種です。脳ドッグでは、これまでご紹介した脳動脈瘤やAVMなどの血管異常や、狭窄部位(脳血管の中で異常に狭くなってしまっている部位)、脳腫瘍、認知症などの疾患が発見されることがあります。
くも膜下出血の原因として挙げた脳動脈瘤もAVMも、普段は自覚症状がないことが多く、脳ドッグで見つかるということもよく見られます。これらの病気の存在を確認しているかどうかが、その後のリスク管理に非常に役立ちますので、定期的な脳ドッグ受診を勧めます。
「くも膜下出血の原因」についてよくある質問
ここまでくも膜下出血の原因・予防法などを紹介しました。ここでは「くも膜下出血の原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
くも膜下出血の原因となる可能性の高い食べ物を教えてください。
中川 龍太郎(医師)
特定の食べ物がくも膜下出血のリスクを上げるというものはありませんが、一般的に塩分量の多い食事をすると高血圧につながります。間接的にはくも膜下出血のリスク増大にも関わっていると言えるでしょう。
くも膜下出血の原因にストレスは関係ありますか?
中川 龍太郎(医師)
過剰なストレスは日常的な高血圧につながりますので、くも膜下出血の原因に関係しています。
女性でくも膜下出血を発症した場合、どんな原因が考えられますか?
中川 龍太郎(医師)
女性のくも膜下出血の原因として考えられるものは、男性と比較して大きく変わるわけではありませんが、特に妊娠中では妊娠高血圧であったり出産時の陣痛やいきみなどから、くも膜下出血を発症する可能性は0ではありません。
過労が原因でくも膜下出血を発症しますか?
中川 龍太郎(医師)
過労が原因でくも膜下出血を発症することも、原因として否定はできません。これまでご紹介したように、過剰なストレスは高血圧につながるためです。
編集部まとめ
今回はくも膜下出血の原因とその予防策について解説しました。脳ドッグで原因となる血管異常の有無を確認して、その上で適切な生活習慣を心がけることが重要です。ぜひ取り組んでみてください。
「くも膜下出血の原因」と関連する病気
「くも膜下出血の原因」と関連する病気は3個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
脳神経科の病気
- 脳動脈瘤
- 脳動静脈奇形
内科の病気
くも膜下出血の原因と関連する病気は上記が考えられます。特に血管異常(脳動脈瘤や脳動静脈奇形など)の存在を検診で確認しておくことが重要です。ぜひ一度、脳ドックを受診してください。
「くも膜下出血の原因」と関連する症状
「くも膜下出血の原因」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
くも膜下出血の症状と考えられるものは上記が挙げられます。くも膜下出血は非常に重篤な病気です。何かおかしいと感じ、これらの症状に当てはまる場合は、早急に救急要請してください。