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リンデロンやセレスタミンなどの副腎皮質ホルモン剤、褐色細胞腫クリーゼ発現に注意

 更新日:2023/03/27
褐色細胞腫クリーゼ発現に注意 リンデロンやセレスタミンなどの副腎皮質ホルモン剤

厚生労働省は、副腎皮質ホルモン剤として広く使われている「リンデロン」「セレスタミン配合錠」「デカドロン錠」などを褐色細胞腫やパラガングリオーマ患者に用いた場合、予後不良のケースも少なくない「褐色細胞腫クリーゼ」を発現する可能性があるため、慎重な投与等をおこなってほしいという注意喚起をしました。このニュースについて武井先生にお話を伺います。

武井 智昭 医師

監修医師
武井 智昭(医師)

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平成14年慶應義塾大学医学部を卒業。同年4月より慶應義塾大学病院 にて小児科研修。平成16年に立川共済病院、平成17年平塚共済病院(小児科医長)で勤務のかたわら、平成22年北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室にて研究員を兼任。新生児医療・救急医療・障害者医療などの研鑽を積む。平成24年から横浜市内のクリニックの副院長として日々臨床にあたり、内科領域の診療・訪問診療を行う。平成29年2月より横浜市社会事業協会が開設する「なごみクリニック」の院長に就任。令和2年4月より「高座渋谷つばさクリニック」の院長に就任。
日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定 インフェクションコントロールドクター(ICD)、臨床研修指導医(日本小児科学会)、抗菌化学療法認定医
医師+(いしぷらす)所属

厚生労働省がおこなった注意喚起とは?

今回、厚生労働省がおこなった注意喚起の内容について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

今回、厚生労働省がおこなった注意喚起は、2022年5月13日に『「使用上の注意」の改訂について』という文書によっておこなわれました。この文書は、医薬品の品質や有効性、安全性について調査・検討された上で発出されています。文書では、副腎皮質ホルモン剤の「リンデロン」や「セレスタミン配合錠」「デカドロン錠」などを副腎から発生する褐色細胞腫、または副腎外の病変であるパラガングリオーマの患者に対して用いた場合、褐色細胞腫などからの急激なカテコールアミン分泌により高血圧や全身症状、臓器障害が出て、予後不良のケースも少なくない「褐色細胞腫クリーゼ」を発現する可能性があるため、慎重な投与等をおこなってほしいという内容が書かれています。

注意喚起された具体的な薬品は?

今回、注意喚起された具体的な薬品について教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

副腎皮質ホルモン剤の「デキサメタゾン(経口剤)」、多発性骨髄腫狩猟に用いる副腎皮質ホルモン剤の「デキサメタゾン(経口剤)」と「デキサメタゾンパルミチン酸エステル」、副腎皮質ホルモン剤の「デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム(注射剤)」、副腎皮質ホルモン剤の「ベタメタゾン(経口剤)」、副腎皮質ホルモン剤「ベタメタゾン(坐剤)」、「ベタメタゾン酢酸エステル・ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム」、「ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(注腸剤)」、副腎皮質ホルモン剤「ベタメタゾン・d‐クロルフェニラミンマレイン酸塩」、「ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(注射剤)」、抗菌剤の「テイコプラニン」です。詳細な記載については、厚生労働省のページをご覧になるのがいいと思います(https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T220517I0010.pdf)。

褐色細胞腫クリーゼとは?

今回の注意喚起で懸念された褐色細胞腫クリーゼについて教えてください。

武井 智昭 医師武井先生

褐色細胞腫クリーゼは、カテコラミン過剰放出によって血圧や脈拍数が上昇するために頭痛、意識障害などの神経症状が急激に生じる可能性があります。発症急性期での診断が困難であり、急激に全身の状態が悪化する可能性がある内分泌緊急疾患です。急性期治療では、まず薬物療法をおこなって状態を安定させた後に手術をおこないます。

まとめ

厚生労働省は、リンデロンやセレスタミンなどの副腎皮質ホルモン剤について、褐色細胞腫クリーゼ発現に注意するよう呼びかけたことが今回のニュースでわかりました。今後もこうした医薬品の情報については注目する必要がありそうです。

この記事の監修医師