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「女性のLDLコレステロール」は何歳から要注意?「基準値」やなりやすい病気も解説!

 公開日:2026/03/03
「女性のLDLコレステロール」は何歳から要注意?「基準値」やなりやすい病気も解説!

女性のLDLコレステロールの基準値とは?メディカルドック監修医が年代で数値が変動しやすい理由や異常値で注意したい病気と対処法とともに解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とは?

まずは、LDLコレステロールについて基本的な内容を押さえておきましょう。

LDLコレステロールとは?

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)とは、中性脂肪やHDLコレステロール(善玉コレステロール)とともに、血液中に含まれる脂質の一種です。
何らかの原因によって血液中のLDLコレステロールが過剰になると、血管の壁に余計な脂質が貼りつき、動脈硬化の原因となります。動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞といった重い病気のリスクとなるため、LDLコレステロールの適切なコントロールが大切です。

LDLコレステロールとHDLコレステロール・中性脂肪の違い

LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の違いは、以下のとおりです。

脂質の種類 主なはたらき 過不足による影響
LDLコレステロール(悪玉) 肝臓から全身にコレステロールを運ぶ 過剰なコレステロールを血管の壁に付着させる。高いと動脈硬化が進みやすくなる。
HDLコレステロール(善玉) 血管の壁に付いたコレステロールを肝臓に運ぶ 低いと動脈硬化が進みやすくなる。
中性脂肪 体内のエネルギー源になる。保温、内臓の固定などをおこなう。 高いと肥満や心筋梗塞のリスクとなる。

※各コレステロールの主なはたらきは、それぞれ「LDL」「HDL」のものを記載しています。三つの脂質がバランス良く保たれている状態が、体にとって理想的といえます。

LDLコレステロールは血液検査で分かる?

LDLコレステロールは、医療機関や健康診断でおこなう一般的な血液検査で分かります。
基本的には直接LDLコレステロールを測定する場合には食事時間に影響されず、空腹で採血をする必要はありません。しかし、検査の条件によっては10時間ほどの絶食が指示されるケースもあるため、検査前の注意事項を必ず守るようにしましょう。

女性のLDLコレステロール値が年代とともに変動する理由

ここからは、女性のLDLコレステロールと年齢について、見ていきましょう。

女性ホルモンとコレステロール代謝の関係

女性ホルモンのエストロゲンは、LDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールを増加させるはたらきがあります。
若い女性が脂質異常症になりにくいのは、エストロゲンによる作用と考えられています。

加齢・閉経に伴う代謝の変化とコレステロール値への影響とは

更年期以降は、女性もLDLコレステロールが上がりやすくなります。これは、LDLコレステロールの上昇を抑えていたエストロゲンの分泌が年齢と共に減少することが影響すると考えられています。
また、加齢によって運動量が低下すると筋肉量が減り、基礎代謝量やエネルギー消費量が低下しやすくなる点もコレステロール値上昇に影響を与えがちです。閉経前後の女性は、健康診断でのLDLコレステロールに注意を向けることをおすすめします。

10代~50代女性と高齢者(60~70代)のLDLコレステロール基準値の違い

10代〜50代と60代以降で、LDLコレステロール基準値に違いはありません。LDLコレステロールの基準値は、140mg/dl未満です。
ただし、70代、特に75歳以上になるとLDLコレステロールを下げるための運動療法や食事療法により、体に必要な栄養が不足するおそれが高まります。体力や食事の個人差も大きくなるため、一人ひとりの状態を見て、主治医はLDLコレステロールの目標値を設定しています。

血液中のLDLコレステロール値が高いことによる健康リスクとは?

血液中のLDLコレステロールが高いと、なぜ問題になるのでしょうか。ここからは、LDLコレステロールが高い状態を放置するリスクについて紹介します。

LDLコレステロールが高いと現れる症状とは?

LDLコレステロールが高くても、自覚症状は基本的にありません。そのため、LDLコレステロールの高さに気付かず、知らないうちに動脈硬化が進行するのが特徴です。
「黄色種」と呼ばれるコレステロールによる白〜黄色の隆起が手の甲や瞼などに見られる方もいますが、出ない方も少なくありません。
動脈硬化が進んで重い病気を発症すると、脳梗塞ではひどい頭痛や半身の麻痺、心筋梗塞ではしめつけられるような強い胸の痛みや圧迫感が現れます。

LDLコレステロールが高くても症状がなければ放置していい?経過観察の目安

LDLコレステロールが高い場合、放置してはいけません。放置すると脳梗塞や心筋梗塞などのリスクが大きく上がり、もし発症するとその後の生活の質が大きく低下するおそれが高いためです。
自覚症状が無いからといって、自己判断での経過観察は危険です。必ず早めに内科を受診しましょう。

健康診断の「LDLコレステロール」の見方と再検査が必要な数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断の「LDLコレステロール」の基準値と結果の見方

LDLコレステロールの基準値は、140mg/dl未満です。この数値を上回ると、血液中の過剰なLDLの影響で脳や心臓、血管などの重い病気になるリスクが上昇するため、治療が必要とされます。
LDLコレステロール値が高いほど冠動脈疾患にかかりやすくなるとされており、女性の場合30mg/dl上昇するごとにリスクが1.25倍になるとされています。
ただし、140mg/dl未満であっても安心できないケースもあります。120~139mg/dlは「境界域高LDLコレステロール血症」とされ、脳や心臓などの病気のリスクを高める因子(高血圧・糖尿病・喫煙など)を持つ方は、治療が必要と判断される場合もあります。
健康診断で「要再検査(C判定)」「要精密検査・要治療(D判定)」が出た場合は、必ず医療機関を受診して再検査を受けましょう。

健康診断の「LDLコレステロール」の異常値・再検査基準と内容

健康診断でLDLコレステロールの異常値である140mg/dl以上であった場合、受診して再検査を受けることになります。放置せず、できるだけ早めに内科や循環器内科で再検査を受けましょう。
代表的な再検査の内容は、以下のとおりです。

検査方法 概要
血液検査 採血し、血液中のコレステロールやTG(トリグリセライド:中性脂肪)の量、血糖値、腎機能などを調べる
超音波検査 超音波を使ったエコー検査で、首や足などの血管の詰まり具合を調べる

かかる費用は検査内容によって異なるため、受診先の医療機関に金額の目安を問い合わせるのが安心です。
再検査の結果と持病の有無、年齢や生活習慣などによって、生活習慣の改善指導で様子を見るか、すぐに薬物治療を開始するかが判断されます。

健康診断の「LDLコレステロール」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「LDLコレステロール」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脂質異常症

脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール(悪玉)が増えすぎたりHDLコレステロール(善玉)が不足したりして、血液中の脂質のバランスが崩れる病気です。
主な原因には、過剰な脂質の摂取や運動不足、ストレスなどが挙げられます。また、女性の場合は閉経によって女性ホルモンが減少すると発症しやすくなります。治療の基本は、生活習慣の改善と薬物療法です。基本的には自覚症状が無いため、健康診断で異常を指摘されたらかかりつけの内科や循環器内科を受診しましょう。

動脈硬化症・動脈硬化

動脈硬化症は、心臓から血液を送り出す「動脈」の弾力性が失われたり、内部が狭くなり血流がスムーズに流れなくなったりする病気です。
LDLコレステロールの高い状態や高血圧、糖尿病、喫煙、飲酒などがリスク因子となります。治療の基本は、リスクとなる持病の治療や生活習慣の改善です。健康診断で異常を指摘された場合は、かかりつけの内科や循環器内科を受診しましょう。

狭心症・心筋梗塞

狭心症や心筋梗塞は、心臓を囲む冠動脈が動脈硬化によって狭くなったり、完全に詰まったりすることにより、心臓に栄養や酸素が不足する病気です。LDLコレステロールが高い状態は、狭心症や心筋梗塞のリスクを上昇させます。どちらも症状は胸の痛みや息苦しさです。狭心症は数十秒から数分程度で症状が治まりますが、心筋梗塞は時間がたっても症状は治まりません。また、心筋梗塞の方が強い胸の痛みがあらわれます。
とくに心筋梗塞は、発症してからどれだけ早く治療を開始できるかがその後の予後に関わります。強い胸の痛みが現れたら迷わず救急車を呼び、専門的な治療を受けられる医療機関を受診しましょう。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が途絶え、周囲の組織が壊死する病気です。代表的な症状は、半身まひやしびれ、言語障害や意識障害などです。血中のLDLコレステロールが高いと血管が詰まりやすくなるため、リスクが上昇します。
脳梗塞の治療は、血栓を溶かす薬を使う、カテーテルを血管に通して血流を回復させるなどです。どちらの治療法も発症してから早い時期でないと十分な効果が得られないため、気になる症状が現れたらすぐに救急車を呼び、専門的な治療を受けられる脳神経外科を受診しましょう。

「LDLコレステロールが高い時」の正しい対処法・改善法は?

LDLコレステロールの高さを改善する方法について、解説します。

LDLコレステロールを改善する食生活とは?

飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身や乳製品の摂りすぎを控え、不飽和脂肪酸を多く含む青魚や食物繊維の多い野菜や海藻、大豆類などを意識して取り入れましょう。肉は脂身の少ない赤味肉を選び、お菓子の食べすぎも避けます。減塩を心がけたうえで、古くからの日本食を意識するのもおすすめです。

LDLコレステロールを改善する運動法は?

LDLコレステロールを運動で改善するには、1日合計30分以上の運動を毎日(少なくとも週3回以上)続けるのが望ましいとされています。「中程度以上」とされる、通常の速度のウォーキングかそれ以上の強度の運動がよいのですが、運動習慣がない方は散歩や掃除、自転車での買い物など、軽いものから取り組むのもよい方法です。数ヶ月単位で根気良く続けるようにしましょう。

LDLコレステロールの治療で薬物療法を検討し始めるタイミングはいつ?

生活習慣の改善に取り組んでもLDLコレステロール値に変化が見られない場合は、薬の使用を検討します。3ヶ月が一つの目安となりますが、糖尿病や高血圧などの持病、肥満がある方は、早い段階で薬物療法を始めるケースも珍しくありません。

「女性のLDLコレステロールの基準値」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「女性のLDLコレステロールの基準値」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

女性の年代別でLDLコレステロール値が変動する理由はなんでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

主な原因は、加齢にともなう女性ホルモン(エストロゲン)の減少と基礎代謝の低下です。閉経が近づいてエストロゲンの分泌が低下すると、エストロゲンによるLDLコレステロールを下げる効果が弱まるため、自然と数値が上がりやすくなります。実際に、令和6年に厚生労働省がおこなった調査によると、血清LDLコレステロールが160mg/dl以上と高い値にある女性の割合は、40代では6.4%であるのに対し、50代女性では14.9%と2倍以上に急上昇していました。毎年の健康診断を習慣づけ、LDLコレステロール値が高い場合は内科で相談しましょう。

LDLコレステロールで薬の服用が必要になる値はいくつでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

LDLコレステロールで薬の服用が必要になる数値は、その方の持病や生活習慣などによって異なります。持病や生活習慣などから動脈硬化、冠動脈疾患になるリスクが高いと判断された方は、リスクの低い方よりもLDLコレステロール値をしっかりと管理するため、早めに治療を開始します。具体的には、リスクの高い方は120mg/dl以上、リスクの低い方は160mg/dlという管理目標値が一つの目安となるでしょう。ただし、実際に薬を開始するタイミングは個人の状況によって異なるため、主治医に確認してみてください。

更年期以降でLDLコレステロール値を下げる運動は何が良いでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

LDLコレステロールが気になる更年期以降の方におすすめの運動は、ウォーキング(やや速足)、ゆっくりとしたジョギング、水泳です。膝や腰への不安がある方は、水中でのウォーキングもおすすめです。1日あたり合計30分以上を週3回以上(できれば毎日)おこなうのが望ましいとされています。ただし、運動習慣のない方がいきなり激しい運動をすると、ケガをする可能性もあります。無理のない範囲から始めて、少しずつ時間や強度を上げていきましょう。

まとめ 「女性のLDLコレステロール基準値」は年齢が上がったら注意しよう!

女性は、閉経によるエストロゲンの低下によってLDLコレステロールが上がり、基準値を上回りがちです。LDLコレステロール値が高くても自覚症状はほぼありませんが、放置すると動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞などの重い病気になるリスクが上昇します。
医療機関では、食事や運動などの生活習慣指導をおこない、必要によってはLDLコレステロール値を下げる薬を処方します。
健康診断でLDLコレステロールが高かった場合、放置せずに必ず内科を受診しましょう。

「LDLコレステロール」の異常で考えられる病気

「LDLコレステロール」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

循環器系

脳神経系

代謝内分泌系

LDLコレステロールが高い状態を放置すると、動脈硬化が進んで心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。検診で指摘されたら、必ず受診して適切な治療を受けましょう。

「LDLコレステロール」の異常で考えられる症状

「LDLコレステロール」から医師が考えられる症状は4個ほどあります。
各症状の詳細についてはリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

LDLコレステロールの異常による症状

上記の症状は、LDLコレステロールが高い状態が続いて動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞などがあらわれた際の症状です。もし当てはまる症状があらわれたらすぐに救急車を呼び、一刻も早く専門的な治療を受けましょう。

この記事の監修医師