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「女性で尿蛋白が多くなる原因」はご存知ですか?医師が”考えられる病気”も解説!

 公開日:2026/01/15

女性の尿蛋白と指摘されたときの原因は何かご存じですか?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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女性が健康診断で「尿蛋白」を指摘されたときに考えられる原因と対処法

健康診断で尿検査の異常、特に尿蛋白の異常があった場合、腎臓病の可能性が考えられ注意が必要です。しかし、女性の場合には尿蛋白がみられた場合に、腎臓病以外の原因も考えられます。
ここでは、尿蛋白がみられた場合において、女性特有の原因について詳しく解説いたします。

生理中、生理前後に尿蛋白と指摘されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

生理の時には、経血が尿に混じる可能性が高いです。この時に尿検査を行うと、潜血が陽性となることが多いですが、蛋白も陽性となる事も少なくありません。
月経時には、血液中の蛋白成分や膣の分泌物が尿に混じってしまうことも多く、このため試験紙法の尿検査で蛋白が陽性と反応してしまうからです。見た目では、経血が混じっていないように見えても採尿時に少量混じってしまうだけでも反応するため、正確な判断ができないです。生理中、生理前後3,4日程度は尿検査を避けることをお勧めします。
生理中の尿検査では正確な判断ができません。生理後3,4日目以降で再度尿検査を行い、判断をするようにしましょう。
また、生理前であっても膣からの分泌物の影響や、ホルモンのバランスにより一時的に尿蛋白が陽性となる事もあります。一回だけの尿検査ではなく、何度か検査を行い持続して尿蛋白が陽性となっているかを確認しましょう。

妊娠中に尿蛋白と指摘されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

妊娠中は、通常時より循環血液量が増加し、また胎児の老廃物も一緒に処理しなければならないため母体の腎臓への負担が増加します。そのため、通常より尿蛋白が漏れ出やすくなり、一時的に少量の尿蛋白がみられることも少なくありません。一時的であれば、経過をみても良いですが、持続的に尿蛋白が観察され、高血圧を伴うような場合には妊娠高血圧症候群の可能性もあるため、主治医に相談をしましょう。

更年期に尿蛋白と指摘されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

エストロゲンには腎臓の保護作用があると報告されています。このため、閉経により腎臓病のリスクが上昇することが分かってます。更年期では、エストロゲンの働きが低下し、腎臓病の合併をしやすいです。
また、エストロゲンは心保護作用もあると言われています。閉経前後で急激に血圧が上昇することも少なくありません。高血圧は腎臓病発症のリスクとなり、尿蛋白を合併しやすくなる可能性も考えられます。このような原因で更年期では、尿蛋白がみられやすいと言えます。

健康診断の尿検査結果の見方と再検査が必要な「尿蛋白」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断の「尿蛋白」の基準値と尿検査結果の見方

尿検査で尿蛋白が1日150mg以上となる場合、異常と診断します。しかし、これは尿の蛋白を定量検査で詳しく測定しなければなりません。一般的な健康診断では、試験紙法で尿の蛋白濃度を測定します。
試験紙法では、(-)~(4+)までで判定されます。

判定 - ± 2+ 3+ 4+
尿蛋白濃度 15mg/dL未満 15mg/dL以上 30mg/dL以上 100mg/dL以上 300mg/dL以上 1g/dL以上

一般的に、尿蛋白濃度が30mg/dL以上で陽性と判断しますが、±であっても異常がある事もあり注意が必要です。

健康診断の「尿蛋白」の異常値・再検査基準と内容

試験紙法で尿蛋白が±以上である場合、再検査が勧められます。希釈された薄い尿の場合には、尿蛋白が多く出ていても±と判定されることもあるためです。逆に脱水状態で尿が濃くなっている場合には、陽性であっても一日あたりの尿蛋白が150mg以下の正常であることもあります。
試験紙法で尿蛋白の異常がみられた場合には、定量検査を施行することが多いです。この定量検査で尿蛋白と尿中のクレアチニンの濃度の比を用いて一日当たりの尿蛋白量を推算します。この検査で尿蛋白量が0.15g/gCr以下であれば正常と判断されます。

「尿蛋白」で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「尿蛋白」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

慢性糸球体腎炎

腎炎は、腎臓の糸球体に炎症が起こり、壊れていく病気です。慢性糸球体腎炎はゆっくりとした進行で糸球体に炎症が起こり、尿蛋白や血尿で発見されることが多いです。原因はさまざまであり、原因を調べるためには腎生検と言って、腎臓に針を刺し一部の組織を採取して顕微鏡で検査して診断します。
IgA腎症は慢性糸球体腎炎の中でも日本で最も多い腎炎です。そのほかにも微小変化型ネフローゼ症候群や膜性腎症など慢性糸球体腎炎の原因となる腎炎のタイプはさまざまです。また、膠原病などが原因となり腎炎をきたすこともあります。このような腎炎の原因を調べ、治療方針を決定するために腎生検を行います。
尿蛋白や血尿がみられる場合、腎臓内科で相談をしましょう。

糖尿病関連腎臓病性腎症

糖尿病の患者さんで①30mg/gCr以上野アルブミン尿など含めた腎障害の指標、②eGFR60mL/min/1.73m2未満のいずれかが3か月以上持続し、慢性腎臓病と診断され、臨床的に糖尿病がその主な原因と考えられる場合に糖尿病性腎臓病(DKD)と診断されます。
DKDは糖尿病による高血糖が持続することで生じる重要な腎臓の合併症であり、神経障害、網膜症と合わせて3大合併症と言われています。典型的な経過としては、10年以上の糖尿病歴、持続するアルブミン尿が増加し、蛋白尿と腎機能の低下をきたして末期腎不全に至ることが多いです。DKDは新規の透析患者の原因疾患として最も多く、注意をしなければならない疾患の一つです。DKD進行を防ぐために、糖尿病の早期発見、治療が重要となっています。健康診断や血液検査で血糖値の高値を指摘されたら、早めに内科を受診しましょう。

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は、3.5g/日以上の尿蛋白が第一の必須条件であり、その結果に起こる低アルブミン血症(3.0g/dL以下)が第二の必須条件となっています。この2つの所見を認めることがネフローゼ症候群の診断の必須条件です。また、その他の参考所見として、浮腫、脂質異常症を認めることが多いです。
ネフローゼ症候群はさまざまな腎臓病が原因となり発症します。微小変化型ネフローゼ症候群や膜性腎症などの糸球体腎炎に伴うものや糖尿病関連腎臓病、アミロイド腎症などが原因として挙げられます。ネフローゼ症候群を認められた場合には、腎生検を施行して、病理所見を観察し、発症の原因を特定します。原因により治療法が異なるため、腎生検での原因の特定は非常に大切です。
全身のむくみがみられた場合、早めに内科もしくは腎臓内科を受診して相談をしましょう。

膠原病

膠原病に伴い、腎炎を合併することも少なくありません。例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)に伴う腎炎は、ループス腎炎と言われます。SLEの患者さんでは免疫の働きに異常を生じ、自分自身の体を攻撃するようになり、この結果全身に炎症が起こるようになります。皮膚の発疹や関節痛、発熱、倦怠感がみられ、内臓も障害されることもすくなくありません。特に腎臓は障害されやすく、半数以上でループス腎炎がみられると言われています。腎炎の初期では、蛋白尿や血尿がみられ、進行すると腎機能障害を合併し時に透析が必要となる事もあります。ステロイド薬や免疫抑制剤を使用して治療を行い、適切に治療を行うことで、進行を防ぐことが可能です。
このほかにもANCA関連血管炎や抗糸球体基底膜腎炎、関節リウマチ、シェーグレン症候群、全身性強皮症などさまざまな膠原病に腎臓病を合併します。膠原病を持つ方で、尿所見の異常や腎障害を認めた場合には主治医に相談をしましょう。

「尿蛋白」を指摘されたときの改善法は?

尿蛋白を指摘された場合、まずは再検査などで腎臓病があるかを確認しなければなりません。尿蛋白の異常が認められ、腎臓病であると診断された場合、まずは塩分を控えるようにしましょう。1日6g未満の塩分制限が勧められます。腎機能の低下を伴う場合には、蛋白の制限が勧められることもあります。腎臓病の原因と腎機能障害の程度、尿蛋白の量により食事の制限が異なります。自己判断せず、腎臓内科を受診して自分に必要な食事療法について聞いてみることが大切です。
また、尿蛋白を指摘された場合、激しい運動の後や風邪など体調不良時に行った尿検査であれば、激しい運動をさけ体調を整えて再度検査を行うと良いでしょう。一時的な蛋白尿であれば、再検査で改善することも多いです。

「女性の尿蛋白の原因」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「女性の尿蛋白の原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

女性が尿蛋白で指摘される原因は何でしょうか

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

女性では、生理前後や生理中、また妊娠中に異常がなくとも一時的に尿蛋白がみられることが多いです。また、女性では膀胱炎をおこしやすく、この時にも血尿とともに蛋白尿もみられることもあります。しかし、腎臓病に伴う蛋白尿であることも多いです。異常がないと自己判断せず、内科もしくは腎臓内科を受診して調べましょう。

尿蛋白を改善するにはどうしたら良いでしょうか

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

蛋白尿の原因により異なりますが、生理前後や生理中であることが原因であればこの時期を避けて再検査をしましょう。運動直後や体調不良が原因となっている可能性があれば、激しい運動を避け体調を整えてから再検査をしましょう。膀胱炎が原因と考えられる場合には、水分をとり、必要であれば抗生剤での治療をして膀胱炎が改善した後に再検査を行ってください。腎臓病に伴う尿蛋白であれば、蛋白尿が持続します。この場合には、腎臓内科を受診して相談をしましょう。

風邪が治った後や生理後の尿検査は尿蛋白陽性になりやすいですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

風邪をひいているときや治った直後には尿蛋白が陽性となりやすいです。体調が十分に回復してから再検査をしましょう。生理直後も蛋白が陽性となる事が少なくありません。生理が終わってから3、4日たってから再検査をすることをお勧めします。

女性で健康診断で尿蛋白が見つかった場合何科の病院でどんな治療が必要ですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

尿蛋白が見つかった場合、まず内科か腎臓内科を受診して再検査を行いましょう。再検査でも尿蛋白が出ている場合には、腎臓内科で尿蛋白の原因を調べる必要があります。

まとめ 女性で尿蛋白の原因は生理やぼ膀胱炎の可能性もあり注意!

女性の尿蛋白陽性の指摘は、男性と異なり生理の影響、妊娠の影響なども考えなくてはなりません。また、女性で多い膀胱炎に伴う尿蛋白がみられることもあります。このため、異常ではなくとも、一時的に尿蛋白を指摘されることも少なくありません。
しかし、問題ないだろうと放置しておくと腎臓病があった場合に病状が進行してしまうことも考えられます。腎機能の低下は症状がないことが多く、気がついたときには、かなり腎機能が低下していることも多いです。腎臓病が慢性的に進行した場合、改善が難しい病気です。そのため、早期に発見して治療を行い、進行を防ぐことが非常に大切です。
尿蛋白を指摘された場合、まずは再検査で尿蛋白が持続しているかをきちんと調べましょう。

「尿蛋白」で考えられる病気と特徴

「尿蛋白」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

泌尿器・腎臓系

内分泌代謝系

循環器系

膠原病系

産婦人科系

  • 妊娠

尿蛋白がみられる原因の一部をあげました。このほかにもさまざまな病気が考えられます。また、生理中や運動直後など、病気でなくとも尿蛋白がみられることも多いです。尿蛋白がみられたら、内科や腎臓内科を受診して再検査を行いましょう。

「尿蛋白」に関連する症状

「尿蛋白」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 浮腫
  • 尿潜血
  • 尿が泡立つ
  • 体重増加

尿蛋白に関連して、浮腫や尿の泡立ち、体重増加の症状がみられることも多いです。また、尿蛋白と同時に潜血もみられる可能性もあります。これらの異常がある場合、腎臓病の可能性が高いです。腎臓内科を受診して相談をしましょう。

この記事の監修医師