「血圧の上がり下がりが激しい原因」はご存じですか?対処法も医師が徹底解説!

メディカルドック監修医が血圧の上がり下がりが激しい原因・症状・対処法や予防法などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
血圧とは?
血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が血管を押す圧力のことです。心臓が収縮して押し出された時にかかる血管に最も強い圧を収縮期血圧と言います。また、心臓が拡張したときの最も低い圧が拡張期血圧です。動脈硬化の進行などが原因となり、血圧が上昇します。診察室での血圧測定で、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。
血圧が上がったり下がったりする原因
血圧はさまざまな原因で上がったり、下がったりします。代表的な原因について解説いたします。
動脈硬化
血管に動脈硬化がすすむと弾力性が無くなり、血圧が変動しやすくなります。例えば、寒い脱衣所では血圧が上昇し、入浴時に温まると急激に血圧が低下するようなヒートショックと呼ばれる現象は、動脈硬化が強い人で起こりやすいです。気温の変動などに注意し、脳卒中や心筋梗塞などが起こらないように気をつけなければなりません。
ホルモンの異常
甲状腺ホルモンや副腎から分泌されるホルモンの異常があると、血圧の変動が起こりやすいです。甲状腺機能亢進症や原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などの病気が挙げられます。特に褐色細胞腫では、発作性に血圧が上昇する症状がみられ、この時に頭痛、動悸、発汗などがみられます。副腎にカテコラミンを分泌する腫瘍が発生することが原因です。このような、急激な血圧上昇や動悸、発汗などがみられる場合にはホルモン異常が疑われるため、内科を受診して相談しましょう。
自律神経失調症
自律神経とは、体温調整、心拍数、血圧、消化などの生命活動を維持するために必要な機能を調整している神経です。この自律神経は、意思とは関係なく働きます。緊張状態で主に働く交感神経と、体がリラックスしているときに働く副交感神経の2つから成り立ち、この2つの神経がバランスをとりながら働いています。血圧の調整にもこの自律神経が影響しており、強いストレスなどで自律神経のバランスが崩れると血圧が変動しやすいです。この状態を自律神経失調症と言います。自律神経失調症の時には、血圧が下がりすぎて立ちくらみがおこったり緊張が強くなると血圧が上昇したり、動悸が強くなるような症状がみられます。
血圧の上がり下がりが激しいとどんな症状が現れる?
血圧の変動が激しいと、どのような症状が現れるでしょうか?血圧が上がった時、下がった時、それぞれ特徴的な症状がみられることがあります。
頭痛
血圧が上昇すると、頭痛や頭が重いといった症状がよくみられます。急な血圧の上昇により脳の血流量が増えたことにより起こっている症状です。さらに症状が進行すると、高血圧性脳症と言い、めまいや吐き気などがみられることもあります。このような頭痛が起こる時には、血圧を下げる治療が必要である場合が多いです。早急に内科、循環器内科を受診しましょう。
立ちくらみ
急に立ち上がった時に血圧が急激に下がったり、立ち上がった時に脳への血流が一時的に減少するために目の前が暗くなったり、ふらつきが起こります。このような症状が立ちくらみであり、脳性貧血とも言います。
吐き気
血圧が上昇し、頭痛を起こしさらに進行すると吐き気がおこることもあります。このような場合には、高血圧性脳症を起こしていることも考えられ、早急に循環器内科を受診する必要があります。また、逆に血圧が低くなり、ふらつき、嘔気が出ることも少なくありません。血圧が低い場合には、横になりしばらく安静にして様子を見ましょう。血圧低下が持続する場合には循環器内科を受診して相談してください。
意識障害
高血圧に伴い、意識障害がみられることもあります。この場合には、高血圧性脳症が疑われ、緊急の治療が必要です。救急要請をしましょう。
一方で、血圧低下に伴い意識を失ってしまうこともあります。いずれの場合にも、精密検査が必要です。意識障害が起こる場合には、救急要請をして詳しく調べてもらいましょう。
動悸
血圧が上昇しても、低下しても動悸の症状を伴うことは少なくありません。血圧の変化に伴い動悸の症状がある場合、不整脈を合併していることも考えられます。血圧の変動と動悸が頻繁に起こる場合には早めに循環器内科を受診してください。
血圧の上がり下がりが激しい人の特徴
血圧の変動が激しい人では、脳卒中や心筋梗塞などの脳血管障害が起こりやすいです。そのため、どのような人が血圧の変動が激しいか理解し、血圧が上昇しないように気をつけましょう。
生活習慣病
糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、動脈硬化を引き起こします。動脈硬化が起こると、血管の弾力性が失われ硬くなり血圧が変動しやすくなります。生活習慣病がある方では、食事、運動などに気を付けてください。生活習慣の改善のみでは不十分な場合には、治療を行うことで動脈硬化の進行が防げます。
不安が強い
不安が強いと、血圧が上昇しやすいです。なるべくリラックスして、血圧が変動しないようにしましょう。
怒りっぽい
怒った時には、血圧が上昇します。怒りっぽい人は、血圧が上昇しやすいです。なるべくリラックスし感情の起伏が激しくならないようにしましょう。
自律神経失調症
自律神経のバランスが崩れている方では血圧の変動が起きやすいです。いわゆる自律神経失調症と呼ばれますが、過労やストレスなどがかかることで発症しやすいと言われています。過労に気を付け、十分な睡眠をとるようにして自律神経失調症とならないようにしましょう。
血圧の上がり下がりが激しい際の対処法
血圧の変化が激しい場合、基本は循環器内科を受診して指示を仰ぎましょう。ここでは医療機関を受診する前の、対処について解説します。しかし、一時的な対処法ですので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
寒暖差をなくす
血圧は室温や外気などの温度の変化で変動することが多いです。急に寒いところへ行くと、血圧が上昇します。なるべく血圧を変動させないために、室温などができるだけ変化しない様にしましょう。
リラックスする
緊張したり、不安を感じたり、怒こったりといった感情の変化で血圧は容易に上昇します。感情の変化をコントロールすることは難しいですが、なるべくリラックスして血圧が変動しないようにしましょう。
ゆっくりと立ち上がる
立ち上がる時に血圧が低下しやすい方では、ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。また、倒れない様に、何かにつかまりながら立ち上がることも良いでしょう。
血圧の変動を予防・抑える方法
室温を一定にする
前述のように気温の変動は血圧に影響を及ぼしやすいです。なるべく気温の差がない様にすることは大切です。特に入浴の際に脱衣所や浴室などの気温の変化により、血圧が上昇し脳血管障害を起こすこともあり、注意をしなければなりません。
ストレスをためない
過労やストレスにより血圧は上昇します。なるべくストレスをため込まないようにし、しっかりと休息をとるようにしましょう。
十分な睡眠をとる
睡眠不足は血圧をあげる原因となります。十分な睡眠をとるようにしましょう。
減塩・バランスの良い食事を摂る
塩分を多く摂ると血圧が上昇しやすくなります。また、野菜などカリウムを多く摂ることは塩分の排泄を促進し、血圧を低下しやすくします。血圧を安定させるためには、減塩と野菜を多めとしたバランスの良い食事が勧められます。
禁酒・禁煙
飲酒、喫煙は血圧を上昇させます。血圧が不安定である時にはなるべく飲酒・喫煙をしないようにしましょう。
「血圧の上がり下がりが激しい」についてよくある質問
ここまで血圧の上がり下がりが激しい場合について紹介しました。ここでは「血圧の上がり下がりが激しい」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血圧が上がったり下がったりする場合、どんな病気が考えられますか?
伊藤 陽子(医師)
血圧の変動が激しい場合、さまざまな病気が考えられます。生活習慣病などが原因で動脈硬化が進行した場合にも、血圧の変動は起こりやすいです。また、副腎ホルモンや甲状腺ホルモンの異常でも血圧の変動が起こることが多いです。特に、褐色細胞腫では、発作性に血圧が上昇することがあります。これらの病気がないか調べるために、早めに循環器内科を受診しましょう。
まとめ 血圧が変動する時には循環器内科を受診しよう
血圧が変動しやすい場合、さまざまな病気が考えられます。最も多い原因として、動脈硬化が考えられます。動脈硬化は生活習慣病が原因となり、進行しやすいです。生活習慣病をもつ場合には、生活習慣を改善し、動脈硬化が進行しないように気をつけましょう。また、このほかにもホルモンの異常や自律神経失調症などの原因で血圧の変動が起こることもあります。血圧の変動が激しいことに気がついたら、循環器内科を受診して相談しましょう。
「血圧」の異常で考えられる病気
「血圧」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器系の病気
内科系の病気
婦人科系の病気
血圧が変動しやすい病気はさまざまです。上記の様な病気が代表として挙げられます。しかし、血圧が急激に上昇する場合には、脳卒中などの病気のリスクとなります。早急に血圧のコントロールをすることが大切です。早めに循環器内科で相談をしましょう。




