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「LDLコレステロールの基準値」とは?下げる可能性の高い食べ物も医師が解説!

 公開日:2025/08/14

LDLコレステロールの基準値とは?Medical DOC監修医がLDLコレステロールが高くなる原因・低くなる原因・LDLコレステロールを下げる食べ物・予防法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。

コレステロールとは?(悪玉LDL/善玉HDL)

コレステロールは、私たちの体にとって必要不可欠な脂質(脂肪分)の一種です。細胞膜の構成成分となったり、ホルモンや胆汁酸の材料になったりするなど、生命維持に欠かせない役割を担っています 。ホルモンは体の機能を調節する物質、胆汁酸は脂肪の消化吸収を助ける物質です。コレステロールは、主に肝臓で作られますが、食事から摂取もされます。血液中では、リポたんぱく質という粒子と結合して全身に運ばれます。コレステロールには、LDLコレステロールとHDLコレステロールの2種類があり、それぞれ異なる働きをしています。

善玉コレステロール(HDLコレステロール)

HDLコレステロールは、血管壁や血液中に溜まった余分なコレステロールを回収し、肝臓へ運ぶ役割を担っています。つまり、血管を掃除してくれるようなイメージです。HDLコレステロールが増えると、血管壁にコレステロールが蓄積するのを防ぎ、動脈硬化を抑制する効果が期待できます 。 この働きから、HDLコレステロールは「善玉」コレステロールと呼ばれています。

悪玉コレステロール(LDLコレステロール)

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身の細胞に運ぶ役割を担っています。細胞は、LDLコレステロールを材料にして、細胞膜やホルモンなどを作ります。しかし、LDLコレステロールが血液中で過剰になると、血管の内壁にコレステロールが蓄積し、血管が硬く狭くなる動脈硬化を引き起こす原因となります 。 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な疾患を引き起こすリスクが高まります。そのため、LDLコレステロールは「悪玉」コレステロールと呼ばれています。

LDLコレステロールの基準値

LDLコレステロールの基準値は、日本動脈硬化学会が作成している「動脈硬化性疾患ガイドライン2022年版」で以下のように定められています。
140mg/dl以上:高LDLコレステロール血症
120~139mg/dl:境界型高コレステロール血症

男女別・LDLコレステロールの基準値

女性は、男性と比較してコレステロール値が変わりやすいことが分かっています。女性ホルモンであるエストロゲンは、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす作用があります。エストロゲンの分泌が盛んな若い女性は、LDLコレステロールが低い傾向にあります。しかし、女性は更年期を迎えてエストロゲンの分泌量が減少すると、コレステロールのバランスが崩れてLDLコレステロールが増えやすくなります。そのため、閉経後の女性は、動脈硬化のリスクが高まることが知られています。男性は、加齢とともに徐々にLDLコレステロール値が上昇する傾向があります。

年齢別・LDLLコレステロールの基準値

加齢に伴い、男女ともにLDLコレステロール値は上昇する傾向にあります。 これは、加齢に伴い、コレステロールの代謝能力が低下するためと考えられています。特に女性は、閉経後にエストロゲンの分泌が減少することで、LDLコレステロールが上昇しやすくなります。高齢者は、動脈硬化が進んでいる場合が多く、LDLコレステロールが高いと、心筋梗塞や脳卒中などのリスクがさらに高まるため、注意が必要です。

LDLコレステロールが高くなる原因

LDLコレステロールが高くなる原因は、主に生活習慣と遺伝、そして女性の場合は更年期などのホルモンバランスの変化が考えられます。

食生活の変化

コレステロールを多く含む食品を摂りすぎると、血液中のLDLコレステロールが増えてしまいます。コレステロールは、肉類、卵黄、乳製品などに多く含まれています。また、コレステロールだけでなく、飽和脂肪酸を多く含む食品の摂りすぎも、LDLコレステロールを増加させる要因となります。飽和脂肪酸は、バター、ラード、肉の脂身などに多く含まれています。これらの食品を日常的に多く摂取する食生活は、LDLコレステロール値を上昇させ、脂質異常症や動脈硬化のリスクを高める可能性があります。食生活の乱れが原因である場合は、食事内容を見直すことが大切です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えめにしましょう。

運動不足

運動不足も、LDLコレステロールが高くなる原因の一つです 。 適度な運動は、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす効果があります。HDLコレステロールには、血管壁や血液中に余ったコレステロールを肝臓に戻す働きがあるため、運動不足によってHDLコレステロールが減ると、LDLコレステロールが増えてしまいます。特に、デスクワーク中心の生活を送っている方や、普段からあまり体を動かす習慣がない方は、注意が必要です。 運動不足が原因の場合は、適度な運動習慣を身につけることが大切です。ウォーキングや水泳などの有酸素運動を継続することで、LDLコレステロールの改善が期待できます。

遺伝的要因

家族性高コレステロール血症は、遺伝子の変異によって起こる病気で、LDLコレステロールが高くなりやすいことが特徴です 。 生まれつきLDLコレステロールを処理する能力が低いため、若い頃からLDLコレステロールが高く、動脈硬化が進みやすいとされています 。 家族性高コレステロール血症を放置すると、若年性心筋梗塞などのリスクが高まるため、早期発見・早期治療が重要です。家族性高コレステロール血症が疑われる場合は、内科や循環器内科を受診しましょう。

ストレス

強いストレスを受けると、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌量が増加します 。 コルチゾールには、LDLコレステロールを増やす働きがあるため、慢性的なストレスにさらされていると、コレステロールが高くなることがあります。ストレスは、自律神経の乱れや食生活の乱れにもつながりやすく、間接的にもLDLコレステロールに悪影響を与える可能性があります。ストレスが原因の場合は、ストレスの原因を特定し、解消することが重要です。

更年期

女性は、更年期になるとコレステロールが高くなることがあります。これは、女性ホルモンであるエストロゲンが、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす作用を持っているためです。更年期になるとエストロゲンの分泌量が急激に減少するため、コレステロールのバランスが崩れ、LDLコレステロールが増えやすくなります。更年期の女性は、動悸、ほてり、発汗、イライラなど、さまざまな症状を経験することがありますが、コレステロール値の変化もその一つです。更年期によるコレステロール値の上昇が心配な場合は、婦人科や内科を受診して相談しましょう。更年期の症状と合わせて、コレステロール値の変動について医師に伝えると、適切なアドバイスや治療を受けることができます 。

LDLコレステロールが低くなる原因

LDLコレステロールが低くなる原因は、必ずしも悪いものばかりではありません。しかし、極端に低い場合は、何らかの疾患が隠れている可能性もあるため、注意が必要です。

栄養不足

LDLコレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁酸の材料となる重要な物質です。そのため、極端な食事制限や偏った食生活による栄養不足は、LDLコレステロールの低下を招くことがあります。特に、ダイエット中の方や、食が細くなっている高齢者は、注意が必要です。栄養不足の状態が続くと、体に必要なコレステロールが不足し、様々な不調を引き起こす可能性があります。栄養不足が疑われる場合は、内科を受診して栄養状態の評価や食事指導を受けることをお勧めします。日頃の食生活について詳しく医師に伝え、必要な検査やアドバイスを受けるようにしましょう。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンには、コレステロールの代謝を促進する作用があるため、甲状腺機能亢進症になるとLDLコレステロールが低下することがあります。甲状腺機能亢進症の代表的な症状としては、動悸、体重減少、発汗過多(はっかんかた)、手の震えなどがあります。甲状腺機能亢進症が疑われる場合は、内分泌内科を受診しましょう。動悸や体重減少、発汗過多など、甲状腺機能亢進症に伴う症状があれば、医師に伝えるようにしましょう。

慢性炎症

慢性感染症や炎症性疾患も、LDLコレステロールの低下を引き起こすことがあります。これらの疾患によって、コレステロールの代謝が変化したり、栄養状態が悪化したりすることが原因と考えられています。原因となっている感染症や炎症性疾患に応じて、適切な診療科を受診して相談するのが良いと思います。

吸収不良症候群

吸収不良症候群は、クローン病や潰瘍性大腸炎などの腸の病気によって、腸からの栄養素の吸収がうまくいかない病気です。脂質の吸収も妨げられるため、LDLコレステロールが低下することがあります。吸収不良症候群の代表的な症状としては、下痢、体重減少、貧血などがあります。下痢や体重減少など、吸収不良に伴う症状があれば、医師に伝えるようにしてください。

遺伝性疾患

まれに、遺伝性の病気がLDLコレステロールの低下を引き起こすことがあります。これらの病気は専門的な検査が必要となるため、医師の指示に従って適切な医療機関を受診しましょう。遺伝性疾患が疑われる場合は、専門医のいる大学病院や総合病院を受診しましょう。家族歴などを詳しく医師に伝えることが大切です。

LDLコレステロールを下げる可能性の高い食べ物・食生活

オメガ3系脂肪酸

青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸(EPA、DHAなど)には、LDLコレステロールを下げ、動脈硬化を防ぐ働きがあります。オメガ3系脂肪酸は、血液中の中性脂肪を減らす作用や、血管を拡張して血流を改善する作用も期待できます。サバ、イワシ、サンマ、アジなどに多く含まれます。

大豆製品

納豆や豆腐、豆乳などの大豆製品には、LDLコレステロールを下げる効果が期待できます。大豆に含まれるイソフラボンという成分には、抗酸化作用や血管を強くする作用があり、動脈硬化の予防に役立つと言われています。また、納豆に含まれるナットウキナーゼという成分は、血液中のLDLコレステロールを下げる働きがあることがわかっています。

食物繊維

食物繊維は、腸内でコレステロールを吸着し、便として体の外へ排出する働きがあります。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、どちらもLDLコレステロールを下げる効果が期待できます。野菜、きのこ、海藻類、果物、豆類、穀物などに多く含まれます。

植物油

オリーブオイルや大豆油などの植物油に含まれる不飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを下げる働きがあります。特に、オリーブオイルに含まれるオレイン酸は、HDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らす効果が高いと言われています。一方、バターや肉の脂身に含まれる飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを増加させます。普段使う油を植物油に変え、飽和脂肪酸の摂取を控えるようにしましょう。

LDLコレステロールの上昇を抑えるための予防法

コレステロールの摂取量を減らす

LDLコレステロールを上昇させないためには、コレステロールの摂取を控えるようにしましょう。鶏卵、魚卵などの卵類や、レバーなどの内臓類はコレステロールを多く含む食品です。完全に避ける必要はありませんが、普段の食事で摂取しすぎないように心がけましょう。

飽和脂肪酸の摂取を抑える

飽和脂肪酸は、血中コレステロールを上昇させる作用があります。肉類の脂身、バター、ラード、生クリームなどは飽和脂肪酸が多く含まれるため、控えるようにしましょう。調理方法を工夫することも大切です。例えば、揚げ物ではなく、蒸し料理や煮込み料理を選ぶなど、油の使用量を減らすようにしましょう。

適正体重の維持

肥満はLDLコレステロールを上昇させるリスクがあります。内臓脂肪の蓄積は、動脈硬化を促進する悪玉物質を増やし、善玉物質を減らすことが知られています。肥満の方は、バランスの取れた食事と適度な運動によって、体重を減らすようにしましょう。 無理なダイエットは、栄養不足を招く恐れがあるため、医師や栄養士に相談しながら、健康的な減量を目指しましょう。

定期的な運動

定期的な運動習慣として、1日30分以上、週3回以上を目安に運動する習慣をつけると良いでしょう。難しければ休日だけで良いので週150分以上行うようにしましょう。ウォーキングなどの、軽く汗をかく程度の有酸素運動が効果的です。

食物繊維の摂取

食物繊維の摂取は、腸内環境を整え、コレステロールの吸収を抑える効果を高めます。主食を白米から玄米や麦ごはんに変えるだけでも、食物繊維の摂取量を増やすことができます。毎日の食事に野菜や果物、海藻などの食物繊維を積極的に取り入れましょう。

「LDLコレステロールの基準値」についてよくある質問

ここまでLDLコレステロールの基準値について紹介しました。ここでは「LDLコレステロールの基準値」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

瘦せている(太っていない)のにLDLコレステロールが高い原因について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

LDLコレステロールが高い原因は必ずしも肥満だけではありません。女性は、女性ホルモンの影響でコレステロールの値が大きく変動します。そのため、痩せていてもLDLコレステロールが高くなってしまうことがあります。また、コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品を摂りすぎると、LDLコレステロールが高くなることがあります。例えば、揚げ物や加工食品、スナック菓子などを頻繁に食べていると、痩せていてもコレステロール値が高くなることがあります。このような食生活に心当たりのある方は、食事の内容を見直してみるのも良いかもしれません。

LDLコレステロールがどれくらい高いと注意が必要ですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

日本動脈硬化学会によると、LDLコレステロールが140mg/dl以上になると、高LDLコレステロール血症と診断されます。140mg/dlを超えている場合は、生活習慣の見直しや医療機関への受診を検討しましょう。

まとめ 生活習慣の見直しでコレステロールをしっかり管理!

LDLコレステロールは、増えすぎると血管の弾力性を低下させ、動脈硬化を進行させる原因となります。動脈硬化は、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気を引き起こす危険因子です。しかし、適切な食事療法や運動療法、生活習慣の改善などを行うことで、LDLコレステロール値をコントロールし、これらのリスクを減らすことができます。健康診断などでLDLコレステロール値の異常を指摘された場合は、放置せずに、早めに医療機関を受診し、医師の指導のもと適切な対策を講じることが大切です。

「LDLコレステロール」の異常で考えられる病気

内科の病気

  • 低LDLコレステロール血症
  • 家族性高コレステロール血症

循環器内科の病気

脳神経系の病気

健康診断で指摘されるコレステロール値の異常は、自覚症状がないので放置しがちとなりますが、動脈硬化性の変化は徐々に進んでしまい、結果的に重篤な病気を発症する原因となってしまいます。バランスの取れた食事、運動習慣を身につけるなどの対策によって、コレステロール値を改善することができますが、数値の改善が見られない場合には、医療機関への受診をお勧めします。

この記事の監修医師