「尿酸値が高いと現れる症状」はご存知ですか?高くなりやすい人の特徴も解説!
公開日:2025/06/03

尿酸値が高いと現れる症状とは?Medical DOC監修医が尿酸値の基準値や高くなる原因・高くなりやすい人の特徴・考えられる病気・尿酸値を下げる食べ物や予防法などを解説します。

監修医師:
村上 友太(東京予防クリニック)
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医師、医学博士。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
2011年福島県立医科大学医学部卒業。2013年福島県立医科大学脳神経外科学入局。星総合病院脳卒中センター長、福島県立医科大学脳神経外科学講座助教、青森新都市病院脳神経外科医長を歴任。2022年より東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医、健康経営エキスパートアドバイザー。
目次 -INDEX-
尿酸値とは?
私たちの体は、エネルギーを使うときに「プリン体」という物質を分解し、「尿酸」という老廃物を作ります 。尿酸は通常、血液によって腎臓に運ばれて、尿として体の外へ排出されます 。ところが、何らかの原因で尿酸が体内で過剰に作られたり、腎臓からの排出がうまくいかなくなったりすると、血液中の尿酸値が上がってしまいます 。この状態を「高尿酸血症」と言います。 高尿酸血症になっても、ほとんどの場合、初めのうちは症状がありません。そのため、健康診断などで初めて指摘される方も多いです。しかし、放っておくと痛風や腎臓病など、色々な病気を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。尿酸値の基準値
血液中の尿酸の濃度は、性別や年齢によって多少の差がありますが、一般的には以下の基準値が用いられています。 男性: 7.0 mg/dL以下 女性: 6.0 mg/dL以下 この基準値を超えると高尿酸血症と診断されます。特に、8.0 mg/dL以上になると、痛風発作のリスクが高まるとされており、より注意が必要です。9.0 mg/dL以上では、痛風発作のリスクが著しく高まるだけでなく、腎臓への負担も大きくなるため、積極的な治療が推奨されます。尿酸値が高くなる原因
高尿酸血症の原因は一つではなく、いろいろな要因が複雑に関係しています 。大きく分けると、尿酸が過剰に作られる場合と、腎臓からの尿酸の排出が滞る場合、またはその両方が重なる場合があります。プリン体の過剰摂取
プリン体は、レバー類、魚卵、ビールなどに多く含まれています 。これらの食品を摂りすぎると、体内で尿酸が多く作られ、尿酸値が上がる可能性があります。アルコールの過剰摂取
アルコールは、体内で尿酸が作られるのを促進し、さらに腎臓からの尿酸の排出を妨げる働きがあります 。特にビールはプリン体も多く含むため、飲みすぎには注意が必要です。肥満
肥満も尿酸値の上昇と深く関係しています 。体重が増えると、細胞の活動が活発になり、プリン体の産生が増えるため、尿酸値が上がります 。また、肥満の方は腎臓からの尿酸の排出も低下しやすいため、尿酸値が高くなりやすいと考えられています。尿酸の排泄低下
尿酸は通常、腎臓から尿として排出されますが、腎機能の低下や特定の薬(利尿剤など)の使用によって、尿酸の排出が妨げられ、尿酸値が上昇する場合があります。尿酸値が高いと現れる症状
関節の痛み(痛風発作)
突然、激しい関節の痛み、腫れ、熱感、赤みなどが現れます 。特に夜間から明け方にかけて起こりやすいです 。我慢できないほどの痛みであることが多く、歩くのが困難になることもあります 。 これは、高尿酸血症が長く続くと、関節に尿酸塩の結晶がたまり、炎症が起こるためです。プリン体の摂りすぎ、アルコールの飲みすぎ、肥満などが原因となることが多いです。痛みが出たときは、まず安静にして、痛むところを冷やしてください。水分を十分に摂ることも大切です 。市販の痛み止めを使うことも考えて良いでしょう。 痛みがひどい場合は、内科、リウマチ科、整形外科などを受診しましょう 。受診時には、いつから、どこが、どのように痛むのかを詳しく伝えてください。腰痛、わき腹の痛み(尿路結石)
突然、激しい腰やわき腹の痛みが出ることがあります 。痛みが波のように襲ってくることが多く、吐き気や嘔吐、冷や汗を伴うこともあります 。血尿が見られることもあります 。 これは、尿中の尿酸濃度が高くなり、尿酸塩の結晶が尿の通り道にできて詰まることで起こります 。水分不足や高尿酸血症が原因となることが多いです。 症状が出たときは、安静にして水分を多めに摂ってください。痛みが強い場合は、市販の痛み止めを使用しても構いませんが、効果がない場合は医療機関を受診しましょう 。 激しい痛みや発熱、排尿困難などの症状がある場合は、内科や泌尿器科を受診してください。むくみ、倦怠感(腎臓病)
足や顔のむくみ、疲れやすい、だるい、食欲不振などの症状が現れることがあります 。進行すると、尿量の変化や貧血などが起こることもあります 。初期には自覚症状が少ないことが多いですが、 むくみや倦怠感の症状が出現した際には、安静にして塩分摂取を控えめにしましょう。 症状が改善しない場合は、内科や腎臓内科を受診してください。健康診断で腎機能の異常を指摘された場合は、自覚症状がなくても受診することをお勧めします。尿酸値が高くなりやすい人の特徴
プリン体の多い食事を好む
レバー類、魚卵、肉類、干物、ビールなどを頻繁に摂取する方は、プリン体の摂取量が多いので尿酸値が高くなりやすい傾向があります。アルコールをよく飲む
特にビールはプリン体も多く含むため、尿酸値を上げやすいです。日本酒や焼酎なども、アルコールの代謝過程で尿酸の産生を促進したり、排出を抑制したりする可能性があります。肥満傾向にある
肥満、特に内臓脂肪が多い方は、インスリン抵抗性により腎臓からの尿酸排出が低下しやすく、尿酸値が高くなる傾向があります。水分摂取量が少ない
水分摂取量が少ないと、尿量が減少し、尿酸が体外へ排出されにくくなります。「尿酸値が高い」状態の特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「尿酸値が高い」に関する病気を紹介します。 どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。高尿酸血症
高尿酸血症は、血液中の尿酸の値が7.0mg/dLを超えた状態を指します 。尿酸は、プリン体という物質から作られ、通常は尿や便として排出されます。しかし、尿酸が過剰に作られたり、排出が滞ったりすると、血液中の尿酸値が高くなります。高尿酸血症は、痛風や尿路結石、腎臓病などの原因となることがあります。 対処法は、食生活の改善(プリン体の摂取制限、アルコール制限など)、適度な運動、水分摂取など、生活習慣の改善です 。これらの対策を行っても尿酸値が改善しない場合は、薬物療法が検討されます。 健康診断などで尿酸値が7.0mg/dLを超えていると指摘された場合は、一度内科を受診して相談しましょう。特に、尿酸値が8.0mg/dL以上で腎臓病、高血圧、肥満、糖尿病などを合併している場合や、9.0mg/dL以上の場合は、薬物療法を含む早期の治療が勧められます。痛風
痛風は、高尿酸血症が原因で、関節に尿酸塩結晶が沈着し、急性の炎症を引き起こす病気です 。突然、足の親指の付け根などに激しい痛み、腫れ、熱感、発赤などが現れます。 急性期の場合には、安静、冷却、薬物療法(非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチンなど)を行います 。慢性期の場合には、生活習慣の改善や尿酸降下薬による治療で、尿酸値をコントロールすることが重要です。 関節に突然の激しい痛みや腫れが出現した場合は、早めに内科や整形外科、リウマチ科を受診しましょう。尿路結石
尿路結石は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に石ができる病気です 。尿中の成分が結晶化し、結石となることで、尿の流れが妨げられ、激しい腰痛や腹痛、血尿などの症状を引き起こします。高尿酸血症は、尿路結石の危険因子の一つです。 対処法は、自然排石が可能な場合は、水分摂取や排石を促す薬物療法を行います。結石が大きい場合は、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡手術などの治療が必要になることがあります。 突然の激しい腰痛や腹痛、血尿などの症状が現れた場合は、早めに内科や泌尿器科を受診しましょう。尿酸値の上昇を抑える、予防する食べ物・食生活
尿酸値の上昇を抑えるためには、食生活の見直しが重要です。水分を十分に摂取する
1日に1.5〜2リットル以上の水分を摂取することで、尿の生成が促進され、尿酸の排泄を助けます 。特に、水やお茶など糖分を含まない飲料を積極的に摂取しましょう 。低プリン食を心がける
プリン体の多い食品の摂取を控え、プリン体の少ない食品を積極的に摂りましょう 。 具体的な食品としては、豆腐、納豆、牛乳、ヨーグルト、野菜、海藻、きのこなどが挙げられます。 一方、プリン体を多く含む食品(摂取を控えるべき食品)は、レバー、白子、あんこうの肝酒蒸し、干物、ビールなどが挙げられます。尿をアルカリ化する食品を摂る
野菜、海藻、きのこなどは、尿をアルカリ性にする働きがあります 。尿がアルカリ性になると、尿酸が尿に溶けやすくなり、排出されやすくなります。 具体的な食品としては、野菜(キャベツ、レタス、ブロッコリーなど)、海藻(わかめ、昆布、ひじきなど)、きのこ(しいたけ、しめじなど)などが挙げられます。牛乳や乳製品を摂取する
牛乳などに含まれるカゼインやアミノ酸は、尿酸の排出を促進する作用があります 。 低脂肪や無脂肪の牛乳、ヨーグルト、チーズなどがおすすめです。DASH食や地中海食
DASH食は高血圧の改善や予防を目的とした食事ですが、野菜、果物、ナッツ、低脂肪乳製品、全粒穀類、豆類を多く摂取し、食塩、甘味飲料、肉類の摂取を減らす食事内容となっています。 地中海食は地中海沿岸地域の伝統的な食事スタイルですが、野菜、果物、ナッツ、豆類、全粒穀物を毎日摂取し、魚を週に2回程度摂取する一方で、肉類、甘味、菓子類の摂取を減らす食事内容です。 DASH食や地中海食は、いずれも尿酸値を下げる効果があることが報告されていますので、参考にすると良いでしょう。「尿酸値が高いと現れる症状」についてよくある質問
ここまで尿酸値が高いと現れる症状について紹介しました。ここでは「尿酸値が高いと現れる症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
高尿酸血症の初期症状について教えてください。
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
高尿酸血症の初期には、ほとんど自覚症状がありません 。そのため、健康診断などで初めて指摘されることが多いです 。しかし、高尿酸血症が続くと、痛風発作や尿路結石などを発症する可能性があります 。
編集部まとめ 尿酸値が高い場合には、食事の見直しを!
尿酸値が高い状態が続くと、痛風などの関節の炎症や、尿路結石、腎臓病など、様々な病気を引き起こす可能性があります 。 特に、痛風発作は、激しい関節の痛みを伴い、日常生活に大きな支障をきたすことがあります 。 健康診断などで尿酸値が高いと指摘された場合は、放置せずに、生活習慣の改善や医療機関への受診を検討しましょう 。 早期発見・早期治療が重要です。「尿酸値」の異常で考えられる病気
「尿酸値」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。 各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。内科の病気
- 高尿酸血症
- 痛風
- 慢性腎臓病
- メタボリックシンドローム
整形外科の病気
- 痛風関節炎




