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生活習慣病に潜む大病へのリスク、検診の重要性を考える【熊本市 しおや内科・内視鏡クリニック】

 更新日:2023/03/27

生活習慣病に潜む大病へのリスク、検診の重要性を考える
生活習慣病に潜む大病へのリスク、検診の重要性を考える

健康診断の結果から「要検査」を伝えられたけど、病院に行かずに放置している人は少なくない。「まだ若いから大丈夫」「自覚症状もないし平気」などと勝手に判断するのは大間違い。そのまま放っておくことで大病にかかるリスクが高まり、がんに発展する可能性もあるという。「しおや内科・内視鏡クリニック」の塩屋院長に、そんな生活習慣病の実態と検査の重要性について伺った。

Doctor’s Profile
塩屋公孝(しおや きみたか)
しおや内科・内視鏡クリニック 院長

熊本大学医学部卒業後、熊本大学医学部附属病院 第二内科に入局。その後、大学病院及び関連病院、済生会熊本病院消化器病センター、医療法人鶴友会 鶴田病院 消化器内科を経て、2019年1月にしおや内科・内視鏡クリニックを開業。2020年1月から21年3月まで、済生会熊本病院 消化器病センター非常勤医師を務める。

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検査は早めに! 自覚症状が出てからではもう遅い

健康診断などで高血圧やコレステロール値の高さや貧血などを指摘される方も多いと思いますが、要検査を伝えられても医療機関を受診しない人は少なくありません。先生はどういう理由からそういったケースが起こると思われますか?

まず、受診をされる方は、主に30代や40代など比較的若い方が多いですよね。いわゆる働き盛りの年代の方が大半なので、仕事で平日の休みが取れないなど、物理的に病院に行けないといったことが考えられます。
加えて「自分は若いから大丈夫」と、危機感を抱けない人も多いため、病院に足が向かないといったところも理由のひとつになっているのではないでしょうか。

検査は早めに! 自覚症状が出てからではもう遅い

ちなみに、近年はコロナを警戒して病院に行かないという人も多いそうですね

健康診断の要検査に限らず、コロナ禍以降は医療機関への受診率は下がっています。医療機関に行くとコロナにかかってしまうのではないかという意識があるのか、あまり差し迫った事情でなければ医療機関に行きたくないという人は多いようですね。

もちろん、どの病院でもコロナ対策はしていると思いますが、貴院ではどのような対策を取られているのでしょうか?

当クリニックでは、コロナの可能性がある発熱外来はプレハブを設けてそこで受診していただくようにしています。また、専用のスタッフも配備しており、それ以外の患者さんと完全に動線を分けて対応しております。発熱がある方と一切交わることなく受診していただくことが可能です。

なるほど、それなら安心して受診できますね。では、健康診断で要検査を伝えられた方について、医療機関にかからず放置をしておくとどのような症状が出てくるのでしょうか?

たとえば、高血圧を放置しておくと動脈硬化が進み、「狭心症」や「心筋梗塞」「大動脈解離」といった怖い病気に発展するリスクが高まります。また糖尿病では、初期段階から放っておくと、インシュリン注射を使わないといけないレベルにまで悪化してしまいます。

検査は早めに! 自覚症状が出てからではもう遅い

それは怖いですね。それぞれの病気に自覚症状などはあるのでしょうか?

人によっては頭痛がするというような症状を訴える方もいらっしゃいますが、まったく自覚症状が出ない方がいるのも事実です。また糖尿病についても、「尿蛋白が出れば尿が泡立つ」とは言いますが、それは一般の方が見て判断できるようなものではありません。
自覚症状が出てしまったときはある程度病気が進行している状態なので、「自覚症状がないからこそ受診すべき」ということが言えるのではないでしょうか。

生活習慣病予防の第一歩。まずは体重増加を要チェック

生活習慣病予防の第一歩。まずは体重増加を要チェック

よく見られる生活習慣病にはどのようなものがありますか?

近年で多いのは、高血圧症と高脂血症(脂質異常症)ですね。

高脂血症(脂質異常症)とはどういった病気なのでしょうか?

血液中の脂の濃度と中性脂肪(コレステロール)が高い、いわゆる“血液ドロドロ”という状態です。その結果、脳梗塞など大きな病気へ発展するリスクが高まってくる生活習慣病です。

そういった生活習慣病にかかるのには、どのような原因がありますか?

複数の要因がありますが、ひとつには食生活の欧米化が問題になっているといえます。外食産業が発達し、生活習慣が乱れがちになる人が増えたことも高脂血症が増加している要因ではないでしょうか。

生活習慣病になりやすい人は、どういう状況なのでしょうか?

やはり外食が多い方とか、肥満の方がなりやすいですね。ちなみに、生活習慣病というのは、複数の疾患を併せて持つ可能性が高いのも特徴です。生活習慣はすべての病気とリンクしていますので、単独の病気というよりも重複しているケースが多いですね。

より一層、自分がどんな病気を持っているのか、早いうちに把握しておきたいですね。そうした生活習慣病の治療法としてはどういった方法がありますか?

病気の程度や生活習慣病の種類にもよりますが、まずはご自身の生活習慣を改善していくことです。それだけでは追いつかないケースには、薬物療法を使いながらコントロールするといった感じで治療を行います。

では、特に生活習慣で気をつけるべき点についても教えてください

やはり体重をなるべく増やさないことですね。右肩上がりの体重増加を避けて、体型を保つように努力していただきたいものです。
30代はそうでもないかもしれませんが、40代や50代は代謝が落ちてくるので体重維持が難しく、それに比例してあらゆる疾患も増えていきます。ですから、普段から体重を維持することを心がけて生活をすることが何よりも大切です。

先生は来院した患者さんにどのような指導をされていますか?

まずは生活習慣改善をわかりやすくまとめた冊子をお渡しして、じっくりと説明していきます。その後は経過観察を行いますが、どうしても薬を漫然と飲むだけだとドロップアウトしてしまう方もいらっしゃいますので、「〇月までにはこのくらいの数値を目指しましょう」といった具合に目標を共有しながら、進めていくようにしています。

生活習慣病予防の第一歩。まずは体重増加を要チェック

定期的な検診こそが重大な病気の早期発見のカギ

定期的な検診こそが重大な病気の早期発見のカギ

検診といえば、代表的なのが俗に胃カメラと呼ばれる胃内視鏡検査ですね。貴院ではどのような内視鏡検査を行なっていますか?

当クリニックでは経口内視鏡に加え、鼻から入れる経鼻内視鏡に対応しています。また、大腸内を診る大腸内視鏡検査も行っています。

胃カメラというと「苦しそう」といったイメージがあります。やはり嘔吐反応などはあるのでしょうか?

まず当クリニックでは全身麻酔を行い、苦痛の少ない胃内視鏡検査を徹底しています。ただ、嘔吐反応は人によって異なりますので、スタッフの声がけを意識したり、麻酔をかけ始めて内視鏡を開始するまでの時間を工夫したりすることで、なるべく嘔吐反応が少なくすむように心がけています。

胃内視鏡検査ではどのようなことがわかりますか?

いろいろなことがわかりますが、もっとも大切なことは早期胃がんを発見できるという点です。現代は、早期で見つけたがんは胃内視鏡で治療ができる時代なので、胃を切る必要がありません。早期胃がんは自覚症状がまったく出ないからこそ、定期的に検査を受けていただきたいというのがわれわれ内視鏡医の願いですね。

そのほかに、どんなことがわかりますか?

今話題になっているピロリ菌がいるかどうかも診ることができます。ピロリ菌がいる人は胃がんの発症リスクが高まってしまうのですが、内視鏡で胃の粘膜を観察することで、ピロリ菌がいそうな胃袋の特徴を見つけることができ、ピロリ菌を殺す治療へとスムーズにつなげることができます。

検査の結果はどのくらいでわかるのでしょうか? また費用についても教えてください

検査結果はその日のうちにわかります。麻酔から目が覚めるのが15~20分後なので、すぐに結果を説明できるようになっています。
費用については、胃内視鏡だと12,000円くらい、大腸内視鏡だと16,000円ほどです。大腸内視鏡検査は2~3年に一度でも大丈夫ですが、胃内視鏡検査は1年に一度を目安に受けていただきたいと思います。実際にがんになってしまうとさまざまなことが犠牲になってしまいますし、それに比べればこの費用は安いのではないでしょうか。健康への自己投資と思って、ぜひ積極的に受けていただきたいですね。

定期的な検診こそが重大な病気の早期発見のカギ

内視鏡検査に対するマイナスイメージを持っている方も多くいると思いますので、ぜひこの機会に受けていただきたいですね

そうですね。実は、日本人とアメリカ人を比べたときに、日本人のほうが大腸がんで命を落とす人が3倍多いのです。アメリカの人口は日本の3倍なのに、それに比べてこの結果です。
大腸内視鏡は肛門からカメラを入れるというハードルがあります。アメリカ人はそうした大腸内視鏡検査に対して抵抗がなく、逆に日本人は恥じらいなどがあって検査をためらう人が多いからかもしれません。ですから、がんを早期発見して治療するためには、大腸はもちろん、胃についても定期的な検診は必要だということですね。

なるほど、よくわかりました。それでは最後に読者へのメッセージをお願いします

少しでも健康に不安がある方は、ためらいなく医療機関を受診してください。当クリニックでは、新たにCTを導入するなど、より精密な受診と治療を可能にしています。内視鏡に限らず、内科全般的に対応していますので、何か気になることがあれば気軽にご相談ください。

編集部まとめ

健康診断の「要検査」、これは生活習慣病の黄色信号です。このサインを見逃してしまうと「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」など大きな病気にかかるリスクが高まります。症状が出ないうちに手を打っておかないと、高齢になったときに足元を救われ、普通に生活することすら困難になります。働き盛りの若いうちに治療をし、健康な体を維持することは、後の人生への大きな投資になるのではないでしょうか。この記事を読んで少しでも不安がよぎった方は、すぐに医師に相談してみましょう。

しおや内科・内視鏡クリニック

医院名

しおや内科・内視鏡クリニック

診療内容

内科一般 消化器内科 内視鏡検査 便秘外来 など

所在地

熊本県熊本市南区江越2-10-10

アクセス

JR豊肥本線「平成」駅より車で4分

この記事の監修医師