「女性で尿酸値が高くなる原因」はご存知ですか?高くなると現れる症状も医師が解説!

女性の尿酸値が高い原因とは?Medical DOC監修医が症状や考えられる病気・対処法・予防が期待できる食べ物などを解説します。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
尿酸値とは?
尿酸値とは血液中の尿酸の値で、プリン体という物質が体内で代謝された後に残るものです。プリン体は細胞の構成成分で、生命活動に欠かせないものです。
ほとんどの食べ物はプリン体を含んでいて、食べ物を摂取することでプリン体を体内に取り込んでいますが、体内のプリン体の8割は体内で産生されています。
尿酸値が高くなる原因は、プリン体の過剰摂取や体内での尿酸の産生過剰、または尿酸の排泄力が低下することによって、体内の尿酸のバランスが崩れるためです。
尿酸値が7.0mg/dL以上となった時に高尿酸血症と診断されます。
尿酸の産生や排泄に影響を与える要因は、食事・飲酒量・飲水量などの生活習慣や肥満や高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病などです。
女性が健康診断などで尿酸値が高い診断される原因
女性ホルモンのエストロゲンは尿酸の排泄を促す作用があります。更年期や閉経すると女性ホルモンの分泌が減少し、尿酸が排泄されにくくなることが尿酸値が高くなる原因です。
過剰飲酒・肥満・エネルギーやプリン体の過剰摂取や運動不足など、尿酸値が高くなる食事や生活習慣も尿酸値が上がる原因になります。
肥満
肥満があると体内で尿酸を過剰に産生すること、尿酸の排泄を低下させることが原因で尿酸値が高くなります。
肥満は尿酸値が高くなるだけでなく、高血圧や糖尿病など、動脈硬化を進行させるリスク因子になります。
尿酸値の高値や肥満を指摘されたら、早めに内科を受診しましょう。
過剰飲酒
アルコールの摂取は尿酸の産生を促進させる作用と、尿酸の排出を抑制する作用があります。
特にビールはプリン体を含んでいるため、飲酒量が多くなるにつれてプリン体の摂取量も多くなります。
アルコールの過剰摂取は尿酸値が高くなるだけでなく、痛風発作や高血圧などの病気を発症するリスク因子です。
尿酸値の高値を指摘され、飲酒の習慣がある場合は早めに内科を受診しましょう。
プリン体の過剰摂取
肉類や魚や、プリン体を多く含むレバーや白子などの摂取が多いと食品からのプリン体の摂取が過剰になり、体内の尿酸のバランスが崩れて尿酸値が上がる原因になります。
プリン体を多く含む食べ物は脂質やエネルギーが多いため、尿酸値が高くなるだけではなく、肥満や脂質異常症のリスク因子です。
尿酸値の高値を指摘され、肥満や脂質異常症も指摘された場合は早めに内科を受診しましょう。
女性で尿酸値が高いと現れる症状
女性で尿酸値が高いと現れる症状は、初期の段階ではほとんどありません。
尿酸値が高い状態が続くと、痛風関節炎や尿路結石などの合併症を起こし、痛みなどの症状が現れる場合があります。
足の親指の腫れと痛みがある
足の親指の付け根が突然赤く腫れて痛みを伴う症状が現れた場合は、痛風発作の可能性があります。尿酸の結晶が関節にたまり炎症を起こすことが原因で症状が現れます。
症状が現れたら速やかに内科や整形外科を受診しましょう。
すぐに医療機関を受診できない場合は、患部を冷やす、禁酒するなどの処置で症状が緩和される場合があります。
背中が痛い
背中や脇腹の痛みや血尿などの症状が現れた場合は、尿路結石の可能性があります。
尿が酸性の状態では結石ができやすいため尿路結石の原因になります。
症状が現れたら速やかに泌尿器科を受診しましょう。激しい痛みが続くようなら救急要請してください。
たんぱく尿や血尿
尿酸値が高い状態が続いていて、たんぱく尿・血尿などの症状が現れたら、痛風腎の可能性があります。腎臓で尿酸が結晶となり腎臓に炎症を生じることが原因です。
症状が進行すると慢性腎臓病となる場合があります。
尿酸値の高値や腎機能の低下を指摘されたら、症状が現れる前に早めに腎臓内科を受診しましょう。
体にこぶのようなものができる
手や耳や足の指などにこぶのようなものが現れた場合、痛風結節の可能性があります。
関節の周りや皮膚の下に尿酸の結晶が沈着することが原因で起こります。
症状が現れたら速やかに内科や整形外科を受診しましょう。
高血圧
尿酸値が高いと高血圧を合併しやすく、特に女性・肥満者・若年者にその傾向が強いです。
尿酸値が高く肥満があると、インスリン抵抗性が生じます。インスリン抵抗性があるとナトリウムの再吸収や交感神経を亢進させるため血圧が上がりやすくなります。
血圧が高い状態が続く場合は内科や循環器科を受診しましょう。
「女性の尿酸値」で気をつけたい病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「女性の尿酸値」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
高尿酸血症
高尿酸血症は、体内での尿酸産生が過剰になる・プリン体の過剰摂取・尿酸の排泄低下が原因で体内の尿酸のバランスが崩れた状態です。診断基準は尿酸値が7.0mg/dL以上です。
肥満の解消・適正量の飲酒・十分な水分摂取・プリン体の摂取制限など食生活の修正により、尿酸値の低下が期待できます。
高血圧など生活習慣病や腎臓病などがある場合は必要に応じて薬物療法も行います。
健康診断などで尿酸値の高値を指摘されたら内科を受診しましょう。
痛風
痛風は関節に尿酸結晶がたまって炎症を起こし、足の親指などに突然激痛や発赤などを伴う痛風発作が起こった後の状態です。慢性的な高尿酸血症が原因です。
高尿酸血症と同様の生活改善を行い、発作が持続している間は禁酒します。
食生活の改善などで尿酸値が低下しない場合は薬物で治療を行います。
痛風発作の疑いがある場合は整形外科や内科を受診しましょう。
尿路結石
尿路結石は、結石の場所により腎結石・尿管結石・膀胱結石と呼ばれます。
尿路の通過障害や感染など原因はさまざまあります。
症状は現れない場合もありますが、背中や脇腹に激痛を生じる、血尿が出るなどです。
高尿酸血症や痛風があると、シュウ酸カルシウム結石の形成を促進し、尿路結石の発現頻度が増えます。
再発予防として、1日2000mL以上の飲水・バランスのとれた食事・プリン体の摂取を控えるなどの食事療法や適度な運動など生活習慣の改善を行いましょう。
治療は7mm未満の小さい結石であれば飲水を促し自然排出を狙います。しかし、結石が大きく、自然排石を期待できない場合には結石粉砕術や内視鏡手術などの治療を検討します。
尿酸値が高く、症状がある場合はすみやかに泌尿器科を受診しましょう。
メタボリックシンドローム
内臓脂肪型肥満と高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の合併があると、心・脳血管疾患の発症リスクが高まります。このような病態がメタボリックシンドロームです。
診断基準に高尿酸血症は含まれませんが、尿酸値が高いほどメタボリックシンドロームの発症頻度も増加します。
食べ過ぎや運動不足など生活習慣を修正し、体重を減らすことでメタボリックシンドロームや肥満に関連して発症する生活習慣病の改善効果が期待できます。
メタボリックシンドロームを指摘されたら、生活習慣を修正し体重を減らしましょう。治療が必要な場合があるため、内科の受診することをおすすめします。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は腎臓の機能の低下や腎臓の障害が3ヶ月以上持続した状態です。心血管疾患の発症リスクが高まります。
慢性腎不全の主な原因は高尿酸血症・高血圧・糖尿病などの生活習慣病や喫煙などです。
減塩するなど食事の管理や禁煙など生活習慣の改善を行うことで、慢性腎臓病の進行の抑制が期待できます。
高尿酸血症や腎機能の低下を指摘されたり、むくみ・倦怠感・夜間尿などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。
女性の尿酸値が高い場合の対処法
女性ホルモンが減少すると尿酸値が高くなりやすいですが、男性と同じように食べ過ぎや飲み過ぎの習慣は女性も尿酸値が上がる原因になります。
尿酸値が高い場合の対処法は肥満の解消や食事や生活習慣の改善をしましょう。
肥満があれば解消しましょう
肥満度が高くなるにつれて、尿酸値が高くなる傾向があります。体重を減らすことによって、尿酸値の低下が期待できます。
BMIが25以上ある場合、現体重より少しでも体重を減らしましょう。
BMIの計算式
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
普通体重:BMI18.5~24.5
肥満:BMI25以上
例)165cm、60kgの場合、BMIは22になります。
60(kg)÷1.65(m)÷1.65(m)=22
節酒しましょう
アルコールは体内で代謝される際に、プリン体の分解が亢進するため、尿酸値が上がりやすくなります。
アルコールの中でもビールは、プリン体を含みます。摂取量が多いとプリン体の摂取量も多くなるため、ビールは他のアルコールよりも尿酸値を上げやすいです。
1日の摂取量の目安
・日本酒なら1合
・ビールなら350〜500ml(メーカーによりプリン体の含有量が異なります。)
・ウィスキーなら60ml
プリン体を摂りすぎないようにしましょう
プリン体を過剰に摂取すると、尿酸の産生が促進され尿酸値が高くなります。痛風や尿路結石を発症するリスク因子にもなります。
プリン体の摂取は1日400mg未満になるようにしましょう。
プリン体は肉や魚・レバーや白子などに多く含まれています。プリン体の含有量が多くない場合でも、一度に多く摂取するとプリン体の摂取が多くなってしまうため、摂取量にも注意しましょう。
果糖を控えましょう
果糖は体内で代謝される際に、プリン体の分解が亢進するため尿酸値が上がりやすくなります。
果糖を含む飲み物はジュース類だけでなく、糖入りコーヒーや紅茶・スポーツドリンクなど甘味がある飲み物に多く含まれます。摂取を控えましょう。
有酸素運動をしましょう
運動は消費エネルギーを増やし、肥満の解消やメタボリックシンドロームの改善によって尿酸値を低下させる効果が期待できます。
激しい運動では尿酸の産生が亢進・尿酸の排泄が低下するため、尿酸値が上がりやすくなります。
尿酸値を下げる効果が期待できる運動は、歩行やジョギングなどの有酸素運動を習慣的に行うことがおすすめです。
尿酸値の上昇を抑える、予防する食べ物・食生活
尿がアルカリ化されると、尿酸が尿に溶けやすくなり排泄量が増加します。乳製品や野菜、海藻の摂取は尿をアルカリ化し、加えて十分な水分摂取をすると尿酸が排出されやすくなり、尿酸値の上昇を抑える効果が期待できます。
肥満の解消や尿酸値が上がりやすい食べ物の制限などと合わせて食生活に取り入れることがおすすめです。
牛乳や乳製品を摂取しましょう
牛乳や乳製品は尿をアルカリ化する作用や、尿酸を排出する作用があります。
また、ヨーグルトはプリン体の吸収を抑制する作用があります。
しかし、脂質が多いため、低脂肪や無脂肪の牛乳やヨーグルトの摂取がおすすめです。
野菜を多く摂りましょう
野菜は尿をアルカリ化する作用があり、尿酸が尿に溶け排出されやすくなります。
野菜はビタミンCが豊富な食材です。ビタミンCの摂取量が多いほど尿酸値が低い傾向にあります。
カラーピーマンやブロッコリーはビタミンCを多く含みますが、他の野菜にもビタミンCを含みます。色々な野菜を毎食取り入れることがおすすめです。
海藻を多く摂りましょう
海藻は尿をアルカリ化する作用があり、尿酸が尿に溶け排出されやすくなります。
ひじきやわかめなどの摂取がおすすめです。
DASH食・地中海食を取り入れましょう
DASH食や地中海食は尿酸値を下げる効果があると、日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインで推奨されています。
・DASH食は果物・野菜・ナッツ・低脂肪乳製品・全粒穀類・さや豆類を多く摂り、食塩・甘味飲料・肉類摂取を減らした食事です。
・地中海食は果物・野菜・ナッツ・豆類・全粒穀物・乳製品を毎日、魚を週に2回程度、肉類、甘味、菓子類の摂取を減らした食事です。
十分な水分補給をしましょう
十分な水分補給は尿量を増やし、尿酸の排出を促します。
1日2000mLの尿量になるような飲水が目標とされています。
水・お茶など糖を含まない飲み物やレモン水など尿をアルカリ化する飲み物がおすすめです。
心臓病・腎臓病などで飲水制限の指示がある場合は主治医の指示に従ってください。
「女性の尿酸値が高い原因」についてよくある質問
ここまで女性の尿酸値が高い原因について紹介しました。ここでは「女性の尿酸値が高い原因」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
女性で痛風を発症した場合の初期症状について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
女性で痛風を発症した場合の初期症状は、突然足の親指の付け根が赤く腫れて痛みを伴う症状が現れます。多くの場合が足の親指に症状が現れますが、ひざやくるぶしや足の甲に症状が現れる場合もあります。
尿酸を排出するにはどんな水分を補給するといいですか?
伊藤 陽子(医師)
尿酸を排出するには水やお茶など糖が加えられていない水分やレモン水など尿をアルカリ化する水分の摂取がおすすめです。
1日2000mLの尿量になるように水分補給をしましょう。
尿酸値を下げるフルーツについて教えてください。
伊藤 陽子(医師)
チェリーは尿酸値を下げる効果があるという研究報告があります。
チェリーに含まれるポリフェノールが、尿酸を生成する酵素の働きを抑制するためといわれています。
編集部まとめ:女性の尿酸値が高い場合は食事や生活習慣を見直しましょう
女性は更年期や閉経などで女性ホルモンの分泌が減少すると、尿酸の排泄が低下し尿酸値が上がりやすくなります。
肥満や食べ過ぎ・過剰飲酒などの食習慣や運動不足などの生活習慣も尿酸値が高くなる原因です。
尿酸値が高くても初期の段階では症状が現れないことが多いですが、高い状態が持続すると痛風や腎臓病など合併症を発症するリスクになります。
尿酸値の高値を指摘されたら、生活習慣の見直しや医療機関を受診しましょう。
「女性の尿酸値」の異常で考えられる病気
「女性の尿酸値」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
整形外科の病気
腎臓内科の病気
- 腎臓病
泌尿器科の病気
内科の病気
- メタボリックシンドローム
- 高尿酸血症
循環器科の病気
女性の尿酸値の異常で考えられる病気は、尿酸値が高いことが原因で発症する合併症が考えられます。肥満も尿酸値に影響し、尿酸値が高いほどメタボリックシンドロームの発症頻度が増加する傾向にあります。