「血圧を下げる食べ物」はご存知ですか?血圧が高くなる原因も医師が解説!
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血圧を下げる食べ物とは?Medical DOC監修医が血圧を下げる食べ物・飲み物や高くなる原因・予防法・血圧が高いと診断された場合に気をつけたい病気などを解説します。
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監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
血圧とは?
血圧とは心臓から送り出された血液が血管の壁にかかる圧力のことです。血圧は自律神経やホルモンの働きによって調節されています。
診察室で収縮期140mmHg以上、拡張期90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。
収縮期血圧とは、心臓が収縮して血液を送り出す時に動脈にかかる圧力で、拡張期血圧とは、心臓が拡張したときに血管の陰にかかる圧力です。
血圧が高いとどうなる?
血圧が高い状態が続くと、血管が硬くなる動脈硬化が進行しやすくなります。動脈硬化が進行すると血管が多い臓器(脳・心臓・腎臓・眼など)に合併症が起こりやすくなります。
血圧が高くなる原因
血圧が高くなる原因は、加齢・肥満・食事や運動などの生活習慣・過度の飲酒・喫煙などさまざまです。腎臓病や睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因になる場合もあります。
食塩の摂取が多い
ナトリウムは体に必要なミネラルの一つです。ナトリウムは食品から食塩として摂取されます。食塩を過剰に摂取すると血液量が増えるため、血圧が上がります。これに加え、食塩の過剰摂取により腎臓に負担がかかり腎臓の機能が低下することも血圧が上がる原因の1つです。
健康診断で高血圧を指摘されたり、外食や中食が多い・濃い味が好き・汁物や麺類などの摂取が多いなど、食塩の摂取が多い食生活の習慣があれば早めに内科を受診しましょう。
肥満症
内臓脂肪蓄積型の肥満は、インスリンの効きを悪くして高インスリン血症をきたします。これは血糖値や血圧の上昇の原因となります。また、脂質異常症なども引き起こし、動脈硬化を進行させるため注意が必要です。
健康診断で腹囲が増えていたり、大幅に体重が増加している場合は適切なカロリー摂取、運動、減量を心がけましょう。
多量飲酒の習慣
多量飲酒の習慣は高血圧の原因になります。
また、アルコールには食欲を増強する作用があり、過食につながります。また、食べ過ぎによって食塩の摂取過剰にもなります。
飲酒の習慣があり、健康診断で高血圧を指摘された場合は内科を受診しましょう。
腎臓病
腎臓は血圧を調節する機能があります。腎臓の機能が低下すると、水分や塩分を適切に排泄できず体液量が過剰となります。このため、血圧が上がりやすくなります。
健康診断などで高血圧や腎機能の低下を指摘されたら、早めに腎臓内科を受診しましょう。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は眠っている間も交感神経が優位に働くこと、呼吸が止まり体内の酸素が不足することで心臓や血管に負担がかかることなどが原因で血圧が高くなります。
健康診断などで高血圧を指摘され、いびき・日中の眠気・朝の頭痛などの症状があれば、耳鼻科や呼吸器内科を受診しましょう。
血圧を下げる可能性の高い食べ物・食生活
カリウムやマグネシウムなどの栄養素を多く含む食べ物は血圧を下げる可能性の高い食べ物です。
米国で提唱された、高血圧の予防・改善に推奨されているDASH食やDASH-Sodium(DASH食と減塩食を合わせたもの)は血圧を下げる可能性が高い食事です。
DASH食とは、野菜・果物・低脂肪の乳製品・多価不飽和脂肪酸などが多く、飽和脂肪酸とコレステロールが少ない食事法です。
野菜や果物
生野菜や果物などに多く含まれるカリウムはナトリウムを排出する働きがあります。
ほうれん草や春菊などの野菜類・じゃがいもやさつまいもなどの芋類・バナナなどの果物に多く含まれています。
カリウムを多く含む野菜・果物・いも類ランキング(食品100g中)
野菜 | カリウム(mg) |
---|---|
ほうれんそう | 690 |
にら | 510 |
小松菜 | 500 |
春菊 | 460 |
西洋かぼちゃ | 450 |
果物 | カリウム(mg) |
---|---|
アボカド | 590 |
バナナ | 360 |
温室メロン | 340 |
キウイ | 300 |
プルーン(生) | 220 |
いも類(加工品を除く) | カリウム(mg) |
---|---|
さといも | 640 |
いちょういも | 590 |
ながいも | 430 |
じゃがいも | 420 |
さつまいも | 380 |
大豆製品
納豆・豆腐・豆乳などの、大豆製品は血圧の調整に必要なミネラルのマグネシウムや、ナトリウムを排出する働きがあるカリウムを多く含む食品です。
カリウムを多く含む大豆製品ランキング(食品100g中)
大豆製品 | カリウム(mg) |
---|---|
蒸し大豆 黄大豆 | 810 |
挽きわり納豆 | 700 |
豆乳 | 190 |
絹ごし豆腐 | 150 |
木綿豆腐 | 110 |
魚介類
魚に多く含まれるn-3系脂肪酸には血圧を下げる作用があるとされています。
n-3系脂肪酸は、青魚(サバやイワシ)・サーモンなど脂質の多い魚などに多く含まれます。
乳製品
牛乳・ヨーグルトなどに含まれるカルシウムには血圧を下げる作用があるとされています。
海藻類やきのこ類
食物繊維はナトリウムを排出する働きがあります。海藻はマグネシウム・カリウム・食物繊維を多く含む食品です。しめじなどのきのこ類にはカリウム・食物繊維が多く含まれます。
カリウムを多く含む海藻類ランキング(食品100g中)
海藻類 | カリウム(mg) |
---|---|
刻み昆布 | 8200 |
ひじき(乾) | 6400 |
削り昆布 | 4800 |
血圧を下げる可能性の高い飲み物
カリウムやカルシウムなどを含む飲み物は血圧を下げる効果が期待できます。飲み物の血圧を下げる効果については解明されていない部分も多いです。飲み物の摂取だけはなく、減塩・節酒・禁煙など生活習慣の改善にも取り組みましょう。
緑茶
緑茶に含まれるポリフェノールのカテキンは血圧を下げる作用があるとされています。
しかし、緑茶はカフェインを含むため飲み過ぎには注意しましょう。
コーヒー
コーヒーに含まれるポリフェノールのクロロゲン酸は血圧を下げる作用があるとされています。
しかし、コーヒーはカフェインを多く含むため飲み過ぎには注意しましょう。
ココア
ココアに含まれるポリフェノールは血管を広げ、血圧を下げる作用があるとされています。ココアはカリウム・マグネシウム・カルシウムも含みます。
調整ココアは砂糖などが添加されているため、純ココアがおすすめです。エネルギーがある飲み物のため、大量に摂取しないようにしましょう。
豆乳
豆乳はマグネシウムやカリウムを多く含むため、血圧を下げる可能性がある飲み物です。
調整豆乳は砂糖などが添加されているため、無調整豆乳がおすすめです。エネルギーがある飲み物のため、大量に摂取しないようにしましょう。
牛乳
牛乳はカルシウムを多く含むため血圧を下げる可能性がある飲み物です。
牛乳は飽和脂肪酸を多く含むため、低脂肪や無脂肪の牛乳がおすすめです。エネルギーがある飲み物のため、大量に摂取しないようにしましょう。
血圧の上昇を抑えるための予防法
血圧が上昇する原因になるのは、食事や過度の飲酒や喫煙などの生活習慣です。高血圧を予防するために、生活習慣の見直しをしましょう。
1日6g未満の減塩食にしましょう
減塩食にすることで降圧効果が期待できます。目標は1日6g未満です。
米国心臓病学会/米国心臓病協会の2017年のガイドラインによると、一日のナトリウム摂取量を1000mg(食塩換算で約2.5g)減らすことで降圧効果があるとされています。1日6g未満の達成が難しくても、現状より少しでも食塩の摂取を減らすことをおすすめします。
食塩はさまざまな食べ物に含まれています。栄養成分表示の確認を習慣化しましょう。
肥満があれば解消しましょう
現状体重から3%以上の体重減少で、降圧効果が期待できます。BMIが25以上の肥満の方は、まずは体重の3%減量を目標にしましょう。
BMIの算出式
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
例)160cmで65kgの場合
BMI=65kg÷1.6m÷1.6m=25.4
飲酒量を適量にしましょう
1~2週間の節酒を継続することで降圧効果が認められます。推奨量の達成が難しい場合は、現状より少しでも節酒しましょう。
高血圧治療ガイドライン2019では、1日当たりの純アルコール量で男性20〜30g以下、女性10〜20g以下の摂取制限が推奨されています。
純アルコール20g相当一覧
種類 | 度数 | 量 |
---|---|---|
ビール | 5% | 500mL |
酎ハイ | 7% | 350mL |
ワイン | 12% | 200mL |
日本酒 | 15% | 170mL |
焼酎 | 25% | 100mL |
ウイスキー | 43% | 60mL |
運動をしましょう
運動すると血圧降下作用があります。
高血圧治療ガイドライン2019では、速歩やスロージョギングなどの有酸素運動を定期的に(毎日30分以上または週180分以上)行うことを推奨しています。
禁煙しましょう
喫煙は交感神経を刺激することや酸化ストレスの影響で血圧を上げる作用があります。
1本吸うと15分以上持続して血圧を上昇させます。
慢性的な喫煙は動脈硬化の進行や、脳卒中や心疾患発症のリスクです。高血圧や脳・心疾患の発症予防のために禁煙をおすすめします。
健康診断・血液検査で「血圧が高い」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「血圧が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
高血圧
高血圧とは慢性的に血圧が高い状態です。
食塩摂取過剰・肥満・過剰飲酒・喫煙などが主な原因になります。
慢性的な高血圧は動脈硬化を進行させ、脳卒中・心疾患・腎臓病を発症するリスク因子です。
食塩制限・肥満の解消・節酒などの食事療法や禁煙など生活習慣を改善することで降圧効果が期待できます。必要に応じて薬物療法を行います。
健康診断などで高血圧を指摘され、家庭での血圧も繰り返し基準値を越える状態が続く場合は早めに内科を受診しましょう。
動脈硬化
動脈硬化とは血管の弾力の低下や、血管が厚くなって血管内が狭くなった状態です。
動脈硬化は脳卒中・心疾患・腎臓病などを発症する原因になります。
動脈硬化が進行する主な原因は高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病や加齢や喫煙などです。進行を抑えるには、動脈硬化の原因となる生活習慣の改善が必要です。
健康診断などで高血圧などの生活習慣病を指摘されたら、早めに一般内科を受診しましょう。
慢性腎臓病
慢性腎不全とは腎臓の機能の低下が3ヶ月以上持続した状態です。
肥満症・高血圧・糖尿病・高尿酸血症などの生活習慣病や喫煙などが発症の主な原因です。
食事療法は食塩・たんぱく質・カリウムなどの制限を腎機能低下のレベルに合わせて行います。
血圧のコントロールなど症状に応じて薬物療法を行います。
腎臓の機能は一度低下してしまうと改善が難しいため、早期の治療が重要です。
健康診断で高血圧や腎機能の低下を指摘されたり、むくみ・貧血・夜間尿などの症状がある場合は早めに腎臓内科を受診しましょう。
脳卒中
脳卒中とは脳の血管の閉塞や脳の血管が破裂して脳の細胞が障害を受ける病気です。高血圧や動脈硬化が主な原因です。
脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と脳の血管が破れて起こる脳出血・くも膜下出血があります。
脳卒中の予防は肥満の解消・禁煙・節酒など生活習慣の改善と、生活習慣病があればその治療を行います。脳卒中を発症した場合の治療法は薬物療法や手術です。
半身のまひやしびれ・ろれつが回らない・立てないなどの症状があれば早急に救急要請をしましょう。
心筋梗塞
心筋梗塞とは、動脈硬化が進行して血管が閉塞し、心臓に血液が十分に届かなくなり、心臓の細胞の壊死が起こる病気です。
血栓を薬で溶かすことや、血管を広げたり新しい血管を作る手術などの治療法があります。
再発予防のために高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病の改善や必要に応じて薬物療法を行います。
10分以上続く激しい胸痛や呼吸困難、吐き気、嘔吐などの心筋梗塞を疑う症状の場合は早急に救急要請をしましょう。
「血圧を下げる食べ物」についてよくある質問
ここまで血圧を下げる食べ物について紹介しました。ここでは「血圧を下げる食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
血圧を下げるのに一番良い食べ物について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
カリウム・食物繊維はナトリウムを排出する働きがあります。これらを多く含む、生野菜・果物・海藻類・いも類などは血圧を下げる可能性があります。
食塩を過剰に摂取していると排出が追いつかないため、減塩を意識したうえでカリウムや食物繊維を多く含む食べ物を積極的に摂ることをおすすめします。
血圧をすぐに下げる食べ物・飲み物はありますか?
伊藤 陽子(医師)
食品は良い効果も悪い効果もゆっくり現れるため、すぐに血圧を下げる食べ物や飲み物はありません。減塩食・肥満の解消・節酒・禁煙などの生活習慣の見直しをしましょう。
高血圧の方が控えた方がいい食べ物について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
食塩や飲酒量を控えましょう。食塩やアルコールの過剰摂取は血圧を上げる原因です。減塩食や飲酒の制限をすることで降圧効果が期待できます。
編集部まとめ 血圧が高いと診断されたら減塩しよう
血圧が高い状態が続くと、動脈硬化の進行や腎臓病や脳卒中などの合併症を招くリスクが高まります。
減塩・飲酒量を減らす・禁煙など生活習慣の見直しが必要です。
血圧を上げてしまう病気を発症している可能性もあります。
健康診断で指摘されたり、家庭での測定で血圧が高い状態が続く場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。
「血圧」の異常で考えられる病気
「血圧」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
循環器科の病気
- 心不全
- 冠動脈疾患
腎臓系の病気
- 慢性腎臓病
- 糖尿病性腎症
呼吸器科の病気
眼科の病気
内分泌系の病気
血圧が高くなる原因は食事や運動などの生活習慣の乱れ・遺伝・加齢・喫煙などさまざまです。高血圧は動脈硬化の進行や合併症を招くリスクになります。高血圧以外の病気が隠れている場合もあるため、症状がないからと放置せずに医療機関を受診しましょう。