「肝機能検査は何科」で受診できる?正確な結果が出るコツや発見できる病気を解説!

肝機能検査の再検査は何科で受診できる?Medical DOC監修医が検査でわかることや前日・当日の注意点や発見できる病気などを解説します。

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
目次 -INDEX-
肝機能検査とは?
肝機能検査は健診などでの血液検査や腹部エコーなどで行われる肝臓の検査です。生活習慣で肥満の方やお酒を飲みすぎたときなどでも異常値が出ることがあるため、あまり気にしない人もいるかもしれません。しかしながら肝臓は何らかの病気になっていても、なかなか自覚症状が出にくい臓器です。そのため肝機能の異常を指摘された場合、何か重大な病気が隠れているということもあります。ここでは肝機能検査についてや、それによりわかる病気などについて解説していきます。
肝機能検査とは何を調べる検査?何がわかる?
肝機能検査では血液検査で肝臓、胆道の値を確認したり、腹部エコー(腹部超音波検査)で肝臓の状態を確認したりします。健診で何か異常を指摘された場合などは内科や消化器内科に紹介され、再度血液検査や腹部エコーを行い、肝機能の異常が一時的なものなのか、それとも何らかの病気があって起こっているものなのかなどを確認します。血液検査で肝機能に異常が出たとしても、脂肪などによるものであったり、逆に肝硬変や肝細胞癌などの病気であったり、急性肝炎などの急性期疾患であったりと原因は様々です。
そのため、血液検査やエコーで異常が指摘された場合は、状況に応じてMRIや造影CTなどの画像検査、肝生検(体の外から針を刺して組織を取って組織自体を顕微鏡で調べる検査)を行ったりします。
肝機能検査の前日・当日の注意点とは?
肝機能検査前に食事を摂っても大丈夫?
肝機能検査では、血液で肝臓の酵素を調べますが、直前にした食事の影響はあまり受けません。ただし、項目によっては飲酒などの影響は受けるため、飲酒は控えたほうが良いでしょう。肝臓の状態を画像で確認するための腹部エコーを行う場合は、食事をとってしまうとエコーでしっかりと肝臓やその周囲の胆道(胆管、胆嚢など)を観察することができなくなってしまいます。この検査を行う場合は検査前に食事をとらないように気を付けましょう。
肝機能検査の何時間前から食事は控えた方がいい?
肝機能検査でも血液検査であれば絶食は必要ありません。しかしながら腹部エコー等の画像検査を行う場合は食事が影響するため、検査前の食事は控えたほうがいいでしょう。例えば腹部エコーであれば一般的に4,5時間前から食事を控えるようにします(施設によって多少変動があります)。食事をしてしまうと、胃や腸に食物や空気、水分が入り、観察したい臓器が見えなくなったり、検査時に観察する胆嚢なども縮んでしまって十分な観察ができなくなります。
肝機能検査前に食事をしてしまった場合はどうしたらいい?
血液検査を行うだけであれば、直前の食事は肝機能などの数値に影響しないため問題とならない場合が多いでしょう。しかしながら腹部エコーを含め画像検査を行う場合には、食事をとらないほうが良い場合が多いです。もし画像検査前に食事をしてしまった場合には、改めて検査日程を組みなおしたり、少し時間をおいてから改めて検査を行うなどの対応が必要となります。一度主治医と相談しましょう。
肝機能検査の何時間後に食事はできるの?
肝機能検査で何を行うかによりますが、基本的に腹部エコーなどの画像検査や血液検査などだけであれば、検査の後で食事をすることは問題ありません。
ただし、肝生検などの精密検査を行った場合は3時間ほど安静にする必要があり、全く身動きが取れなくなるためその間は食事ができません。
肝機能検査前後に薬の服用や喫煙はしてもいいの?
必要があるのであれば(他の病院などで薬を処方されたなど)薬の服用はしなければなりませんが、基本的に肝機能検査の前に新しい薬やサプリメントを始めることはあまりお勧めできません。
病院で肝機能検査を行う場合は、「健診などで何らかの異常があったため血液検査や腹部エコーを行う」などの状況が多いかと思います。一方で、薬の影響でも肝機能が悪くなることがあります。新しく薬を始めてしまうとその薬の影響で肝機能が悪くなっているのか、何かの病気で肝機能が悪くなっているのか、わからなくなってしまいます。
また、喫煙に関しては肝機能検査に直接影響はしませんが、基本的に人体に悪影響しかないためそもそもおすすめはできません。
肝機能検査の再検査は何科で受診できる?
健診などで肝機能に異常を指摘された場合は内科・消化器内科を受診しましょう。他の要因で肝酵素が上昇することもありますが、肝酵素は消化器内科の病気で上がることも多いです。そのため、まずは消化器内科を受診し、肝臓や胆道などに異常がないかを確認することが必要です。
「肝機能検査」で発見できる病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「肝機能検査」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂肪肝
脂肪肝とは、肝臓に脂肪がついてしまった状態です。発症原因としては食生活の乱れ、運動不足による肥満が挙げられます。脂肪肝への対応策は、食生活の改善や運動など、食事・運動療法が基本です。
多くの場合、脂肪肝が何らかの身体への影響を及ぼすことはありません。しかし、脂肪肝を放置したままでいると慢性肝炎を引き起こし、最終的には肝硬変となることもあります。肝硬変となってしまってしまうと肝臓を元の状態に回復させることは困難です。まだ肝臓が元の状態に戻れるうちに食事、運動に気を付け、改善を図っていきましょう。
急性肝炎
急性肝炎とは、急激に肝臓の炎症を起こしている状態を指します。代表的な症状は全身倦怠感や発熱、黄疸などです。発症原因には、ウイルス感染(EBウイルスや肝炎ウイルス、特にB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど)やアルコール、自己免疫性、薬剤性などが挙げられます。急性肝炎の多くは自然と治るため、重症でない場合には食事や点滴などで栄養状態を改善させることで経過を見ていきます。
その一方で、一部の急性肝炎では、急激に肝細胞が死んで(壊死)しまい、急激な肝機能の低下や意識障害(肝性脳症)、出血傾向など肝不全の症状が出現する「劇症肝炎」(後述)になることがあります。そのため、肝臓の数値が高い(ASTやALTが1000以上など)場合では、入院での保存的加療(点滴加療)、経過観察が必要になります。
劇症肝炎(急性肝不全)
劇症肝炎は急激にかなり高度の肝障害を起こし、意識障害などの肝不全症状を引き起こすものです。原因としては薬物やウイルスなどによるものが多く、広範囲に肝細胞が死んでしまうことにより起こります。劇症肝炎では当初発熱や倦怠感などの感冒のような症状、嘔気嘔吐や食思不振などの消化器症状を認めることがありますが、そこから短期間(数日~8週間以内)に急速に黄疸や意識障害などの症状が進行し、命に関わるような状態となります。
劇症肝炎となった場合、救命率は発症から10日以内に症状が進行し意識障害に陥る「急性型」で30~40%程度、11日以後に症状が進行し意識障害に陥る「亜急性型」で10~20%程度と言われています。劇症肝炎になった場合は専門施設で血液透析、血漿交換(血液成分を透析の機械で入れ替える)、人工呼吸などを含めた集中治療を受ける必要があります。また、これらの治療でも限界となった場合は肝移植が検討されることもあります。
慢性肝炎
慢性肝炎とは、慢性的に肝臓の炎症が起こっている状態を指します。原因は急性肝炎と同様で、肝炎ウイルス(特にB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど)などの感染やアルコール、自己免疫性、薬剤性、脂肪肝などが挙げられます。急性肝炎の多くは自然に治りますが、その中の一部はそのまま慢性肝炎に移行してしまうこともあります。
慢性肝炎では肝機能障害や黄疸など様々な症状が出てくることもありますが、全く自覚症状がない人も多くいます。そのため病気に気づかずに放置してしまい、異変に気づいたときには肝硬変や肝臓がんまで進んでしまっていたというケースもありえます。健康診断などで肝機能障害を指摘された、もしくは倦怠感や黄疸などを何らかの症状が出てきた場合は、先送りするのではなく、一度消化器内科を受診しましょう
肝硬変
肝硬変とは、肝臓が炎症などにさらされ長期間傷害されることで肝臓が硬くなってしまう病気です。原因には、ウイルス、自己免疫性、アルコール、脂肪肝など様々なものがあります。肝硬変は初期の段階では、肝臓の一部の機能がダメージを受けても、他の元気な部分で肝臓の機能を補ってしまう(代償)ため、自覚症状が出にくくなかなか気づかれません(代償期)。しかしながら、ダメージを受けた肝細胞の数、領域がある一定のラインを超えると、ダメージを受けていない元気な肝臓の部分が少なくなってしまい、肝臓の働きとして機能しなくなる部分が増えます。そのため、少なくなった元気な肝臓の部分で肝臓の機能が補い切れなくなり、十分にその役割を果たせなくなってしまいます(非代償期)。そのため黄疸、腹水、倦怠感、意識障害などの様々な症状が出現します。また、肝硬変に伴って出血しやすくなってしまったり、食道静脈瘤を作ってしまい、その静脈が破裂することによって吐血を起こしたりといった症状が出ることもあります。
肝硬変になってしまうと、元の肝臓の状態に戻すということは困難です。そのため、少しでも早めに発見し、代償期から非代償期に進まないようにすることが重要なのです。
健康診断で肝機能障害を指摘された、腹部エコー検査で異常を指摘された、白目が黄色くなってきた、全身のだるさが続く、お腹が張ってきたなど何らかの症状がある場合などは、一度病院を受診しましょう。
肝がん(肝細胞癌)
肝臓がんとは、肝臓の細胞(肝細胞)から発生するがんのことです。
肝臓は何らかの病気になったとしても自覚症状がなかなか現れにくく、「沈黙の臓器」とも言われています。これは肝臓の一部が何らかの病気で機能しなくなったとしても、他の部分でその機能、役割を補ってしまうからです。癌の場合でも肝臓の広い範囲が癌に占められていても、他の正常な部分で肝機能を補う(代償する)ため、自覚症状が出にくいのです。しかしながら、ある一定の範囲で肝臓がダメージを受けると、正常な肝臓も少なくなるため機能が補いきれなくなってしまい、腹痛、腹水、倦怠感、掻痒感、黄疸などの症状が現れます。症状が出たときには既に肝臓の大部分が正常ではなくなっている、つまり癌がかなり進行してしまっていることが多いでしょう。
肝がんの場合、肝臓の機能がどの程度残っているか、癌の大きさ、個数などにより治療が異なります。がんの大きさが比較的小さく、個数も少ない(3cm以内、3個以内など)場合にはエコーを見ながら癌だけを焼いたり、手術で取り切ってしまったりする治療が可能です。しかしながら癌が大きすぎた場合、個数が多いなど癌が進行している状態であれば、がんがとり切れなかったり、広い範囲を切らないといけなくなり癌を取ってしまうと肝臓の機能が十分に残らなくなったりします。この状態になると、手術も困難、つまり根治療法を目指すことは困難です。
肝臓がんは腹部エコーで見つかることも多いため、年1回程度で腹部エコー検査を含めた健康診断を受けるようにしましょう。また、それらの検査で異常を指摘されたら、消化器内科を受診し精密検査を受けるようにしましょう。
「肝機能検査は何科」についてよくある質問
ここまで肝機能検査は何科で受診すればいいかについて紹介しました。ここでは「肝機能検査は何科」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
肝機能検査の費用はどれくらいかかるのでしょうか?
岡本 彩那 医師
一般的に血液検査で1000~2000円程度、腹部エコーなどで1500円程度になります。しかしながら血液検査は精密検査を行う場合には項目が増えるため料金も上がりますし、画像検査を追加する場合はその分の費用がかかります。どこまでの検査を行うかによって費用は変わってくるでしょう。
まとめ 肝機能に異常を指摘されたら内科や消化器内科へ受診を!
肝臓は人間が生きていく上でなくてはならない臓器です。しかしながら肝臓は一部が機能しなくなっても他の部分で機能を補うためなかなか自覚症状が出にくい臓器です。そのため、肝機能検査(血液検査や腹部エコー)を健診などで行って定期的に確認することが重要です。その検査で異常が出た場合は消化器内科、内科で相談し、必要があれば再検査や精密検査を行うことも重要なのです。
「肝機能検査」の異常で考えられる病気
整形外科系の病気
- 筋膜炎
- コンパートメント症候群
- 筋挫滅
肝機能は様々な要因で上がりますが、異常を認めたら一度病院で検査を受けましょう。



