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「血糖値」が上がると現れる「症状」や上がりやすい人の特徴はご存知ですか?

 更新日:2025/03/04
「血糖値」が上がると現れる「症状」や上がりやすい人の特徴はご存知ですか?

血糖値が上がるとどうなる?Medical DOC監修医が血糖値が上がると現れる症状・原因・基準値や上がりやすい人の特徴や食べ物・発症しやすい病気・予防法などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

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血液中のブドウ糖濃度、血糖値とは?

血液中のブドウ糖濃度、血糖値は健康診断などの採血項目の一つです。
糖尿病やメタボリックシンドロームの判定に使用されます。
基準値より高いとどうなるのか、症状や病気について解説します。

血糖値とは何?

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。採血や血糖測定器で検査ができます。
食事をして、食べ物が消化・吸収されると血液中にブドウ糖が入り血糖値が上昇します。
ブドウ糖とはエネルギー源となる3大栄養素の一つである糖質です。
血糖値が上がると、インスリンというホルモンが分泌され、細胞に糖を取り込み、体や臓器を動かすエネルギー源として使われます。
体内ではインスリンや血糖を上げる数種類のホルモンの働きによって、血糖値はほぼ一定に調節されています。

血糖値の基準値は?(空腹時/食前/食後)

血糖値は食べ物の影響を受けるため、食事(エネルギーがある物の摂取)をしてからの経過時間によって基準値が異なります。

  • 空腹時(10時間以上の絶食) 110mg/dL未満
  • 食前(食後3.5時間以上10時間未満) 110mg/dL未満
  • 食後(食事をしてから2時間後) 140mg/dL未満

血糖値が上がると出る症状

血糖値は上がったり下がったりを繰り返し、一定の範囲内になるように調節されています。生活習慣の乱れや運動不足などで血糖値が下がりにくくなると、血糖値が高い状態(高血糖)が続くようになります。高血糖になっても始めのうちは自覚症状がないことが多いです。症状が現れた時にはすでに糖尿病を発症している可能性があります。

口渇・多飲・多尿

血糖値が上がった状態が続くと、腎臓で余分な糖を排出するようになり多尿になります。
多尿になると、体内の水分が不足するため口渇が起こり、多飲になります。
水など糖を含まない飲み物を十分に摂ること、健康診断などで高血糖を指摘されている場合は速やかに一般内科を受診しましょう。

体重減少

血糖値が上がった状態が続くと、インスリンの働きが悪くなり、細胞に糖を取り込めなくなります。食べ物から十分な量のエネルギーを摂取していても、利用できなければ体はエネルギー不足です。代わりのエネルギー源として筋肉や脂肪を分解してしまい、これが体重減少の原因となります。

疲労感

血糖値が上がった状態が続くと、インスリンの働きが悪くなり、細胞に糖を取り込めなくなるためエネルギーが不足し疲れやすくなります。
健康診断などで高血糖を指摘され、疲れやすいなどの症状がある時は、糖尿病を発症している可能性があるため、速やかに一般内科を受診しましょう。

意識障害・昏睡

血糖値が上がった状態が続き、インスリンの働きが悪くなって糖を利用できなくなると、脂肪やたんぱく質を分解してエネルギー源にします。脂肪を分解するとケトン体という物質が作られ、これが増えすぎると体が酸性になります。また、高血糖により極度の脱水状態にもなります。倦怠感や嘔吐などの症状が現れ、悪化すると意識障害や昏睡となり命が危険な状態です。
インスリンが分泌されなくなる1型糖尿病の発症や、糖入りの飲み物を大量に摂取して高血糖になると、意識障害や昏睡になる場合があります。
脱水症状や意識障害などの症状がある場合は救急要請をしてください。

血糖値が上がる原因

血糖値が上がる原因は、遺伝・加齢・食事や運動などの生活習慣・ストレス・喫煙などさまざまです。

インスリンの作用不足

肥満や運動不足などでインスリンの効きが悪くなると、血糖値が下がりづらくなるため、血糖値が上がる原因になります。

食べ過ぎや飲み過ぎ

必要量以上に食べすぎたり、過度な飲酒はエネルギーや糖質の過剰摂取となり、血糖値を上げる原因です。食べ過ぎや飲み過ぎは太る原因にもなり肥満を招きインスリンの効きを悪くしてしまう可能性があります。

栄養バランスが偏った食事

丼物や麺類など、主食の単品のみの食べ方は糖質の摂取量が多くなりがちです。糖質の量が多いと、食後の血糖値が高くなる原因になります。

嗜好品が多い

菓子類・糖入りの飲み物(ジュース・スポーツドリンク・コーヒー・栄養ドリンクなど)は糖質を多く含むため、血糖値を上げる原因になります。
食事以外の時間に菓子や糖入りの飲み物を摂取すると、そこでも血糖値が上がるため、なかなか血糖値が下がらなくなります。

活動量が少ない

運動の習慣がない・座っている時間が長いなど、活動量が少ないと糖の消費量が減ります。また、肥満にもなりやすく、インスリンの効きが悪くなり血糖値を上げる原因になります。

血糖値が上がると眠くなるのはどうして?

血糖値が上がり過ぎると、血糖値を下げるためにインスリンが過剰に分泌されます。この時にインスリンが血糖値の上昇に合わずに遅れて分泌され、急に血糖値が下がります。血糖値の高低差が眠くなる原因の一つです。

血糖値が上がりやすい人の特徴

血糖値が上がる原因は遺伝や加齢などがありますが、血糖値が上がりやすい人の特徴は、食事や運動などの生活習慣が影響します。

肥満・メタボリックシンドローム

肥満やメタボリックシンドロームは脂肪(特に内臓脂肪)が蓄積している状態です。
脂肪細胞はインスリンの効きを悪くする作用があり、高血糖を招きやすくなります。

過食(特に夕食から就寝までの過食)

食べ過ぎは、糖質やエネルギーの過剰摂取になり、食後の血糖値が上がりやすくなります。
夕食後は活動量が少ない方が多いですが、夕食が遅い・1日の中で夕食のボリュームが一番多い・夕食後に菓子などを食べるなど、夕食から就寝までの摂取エネルギーが多いと、血糖値は上がったまま消費されず、脂肪として蓄えられ肥満になりやすいです。

座っている時間が長い

一日の中で座っている時間が長いと、インスリンの効きが悪くなり、肥満になりやすいです。
運動習慣の有無に関わらず、一日の中で座位の時間が長いほど2型糖尿病の発症リスクが増加するという報告があります。

強いストレスがかかる

ストレスは体内のホルモンバランスに影響を与えます。ストレスがあると、交感神経が亢進し、アドレナリンなど血糖値を上げるホルモンの分泌が活発になり血糖値が上がります。この時に、コルチゾールが放出され、血糖が上がります。
ストレス解消の手段が食べることや飲酒だと、過食や過剰飲酒につながり、高血糖を招きやすいです。

喫煙習慣がある

喫煙はタバコに含まれるニコチンが交感神経を刺激して血糖値を上昇させます。また、インスリンの効きを妨げる作用があり、血糖値が上がりやすくなります。

血糖値が上がりやすい食べ物

糖質を多く含む食べ物を食べると血糖値が上がりやすいですが、糖質は悪者ではなく、生命を維持するために必要なエネルギー源です。適量の摂取にしましょう。

穀類

ご飯・パン・めんなどの穀類は糖質を多く含むため、血糖値を上げやすいです。特に精製された穀類は消化や吸収がされやすく、血糖値が上がりやすくなります。
ラーメンとご飯など、主食を重ねて食べると糖質の量が多くなります。主食は1食で1品にしましょう。

芋類・果物

じゃがいもやさつまいもや山芋などの芋類は糖質を多く含むため、血糖値を上げやすいです。かぼちゃやとうもろこしなどの野菜も糖質が多いため食べ過ぎに注意しましょう。
また、生の果物やドライフルーツには糖質が多く含まれます。食べ過ぎないようにしましょう。

糖入りの飲み物

ジュース・スポーツドリンク・栄養ドリンク、糖入りのコーヒーや紅茶などの飲み物は糖質を多く含みます。消化や吸収されやすい糖が添加されているものが多く、摂取後急激に血糖が上昇します。摂取量を減らしたり、控えることをおすすめします。

菓子類

菓子類は糖質やエネルギーが多く、血糖値を上げやすいです。間食に食べることも多いため、血糖値が上がる回数が増えます。間食すると、血糖値が下がりきらない状態で次の食事を食べることになります。この繰り返しが高血糖の持続につながるため、間食はおすすめしません。
甘くないせんべいやスナック菓子も糖質を多く含み、血糖値を上げやすいです。注意しましょう。

アルコール

アルコールはインスリンの作用に影響し、血糖値を上げやすくします。また、アルコールは高エネルギー(7kcal/g)であり、食欲増進作用もあるため、摂取エネルギー過多になりやすいです。

「血糖値が高い」と発症する可能性のある病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血糖値が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

糖尿病

糖尿病はインスリンが作用不足になり、高血糖が続く病気です。遺伝や環境が発症の主な原因です。
高血糖が持続すると動脈硬化が進行し、合併症を起こすリスクが高まります。糖尿病特有の合併症は網膜症・腎症・神経障害です。
治療の基本は食事療法と運動療法です。食事療法と運動療法で十分な効果が得られない場合は薬物療法を検討します。
健康診断で血糖やHbA1cの高値を指摘されたり、体重減少・口渇・多飲・多尿・倦怠感などの症状がある場合は速やかに一般内科を受診しましょう。

動脈硬化

高血糖が持続すると、血管の弾力の低下や、血管が厚くなって血管内が狭くなる動脈硬化を進行させやすくします。
動脈硬化は心筋梗塞・脳卒中・腎臓病などの発症リスクを高めます。動脈硬化の原因は加齢や肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病や喫煙や運動不足などです。
禁煙や生活習慣病の治療、肥満、メタボリックシンドロームを改善することで動脈硬化の進行を抑えられます。
健康診断などで高血糖や他の生活習慣病を指摘されたら、速やかに一般内科を受診しましょう。

糖尿病性腎症

高血糖が長期間続くと腎臓の血管が傷つきます。腎臓の血管が痛むことで糸球体で濾過ができなくなり、腎機能が低下し腎不全となります。高血糖が原因で起こる腎機能の低下が糖尿病性腎症です。
治療法は血糖や血圧のコントロールと食事療法です。
健康診断などで高血糖や腎機能の低下を指摘されたり、むくみや貧血などの症状がある場合、速やかに一般内科を受診しましょう。

糖尿病性網膜症

高血糖が持続すると細い血管が障害を受けやすくなります。眼の中の網膜の細い血管が障害され、糖尿病性網膜症を発症します。単純網膜症→増殖前網膜症→増殖網膜症の順に進行し、視力の低下や失明する場合があります。
血糖値や血圧のコントロールが主な治療法です。網膜症の段階に応じて光凝固療法や硝子体手術をする場合があります。
自覚症状はほとんど出ないため、高血糖を指摘されたり、視力の低下や飛蚊症など症状がある場合、眼科を受診することをおすすめします。

糖尿病性神経障害

高血糖が持続すると、末梢神経の細胞に代謝異常や血管の障害によって、糖尿病性神経障害が起こります。神経障害は痛みやしびれなどの感覚・食欲低下や便秘や下痢などの胃腸運動の障害・徐脈や頻脈など心臓の感覚障害など、症状はさまざまです。
神経障害には動脈硬化も関連があり、治療は血糖コントロールや血圧など生活習慣病の治療と禁煙、痛みが中等度以上であれば薬物療法、などそれぞれの症状に合わせた治療をします。健康診断で高血糖を指摘されたり、手先や足先のしびれや痛みなどの症状がある場合、速やかに一般内科を受診しましょう。

「血糖値の上昇」を予防する方法・改善法は?

血糖値の上昇を予防する方法や改善方法は、インスリンの効きをよくすることと、血糖値が急上昇しにくい食べ方、活動量を増やすことです。

適正体重を維持しましょう

摂取エネルギーが消費エネルギーを上回った食生活が続くと、過剰なエネルギーが体脂肪として体に蓄積され肥満になります。脂肪細胞はインスリンの効きを悪くし、血糖値が下がりづらくなります。
日本肥満症学会ではBMIの基準値は男女共に22(kg/m²)としています。

肥満を解消するためのエネルギー適正量は、25kcal×目標体重(kg)以下/日が目安です。

目標体重が60kgの場合
25kcal×60(kg)=1日1500kcal以下になります。

バランスの良い食事にしましょう

主食(ごはんやパンやめん)・主菜(肉や魚や大豆製品や卵)・副菜(野菜や海藻やきのこ)をそろえた食事にすると、栄養素をバランスよく摂取できるためおすすめです。

おかずから食べるようにしましょう

野菜や海藻やきのこなど食物繊維の多い副菜や、肉や魚や卵などの主菜から食べ始め、ゆっくりよく噛んで食べましょう。良く噛んで食べることでインスリンの分泌を促すホルモンが出やすくなると言われています。最後に主食を食べる食べ方が食後の高血糖予防におすすめの食べ方です。

菓子などの嗜好品は適量にしましょう

菓子類や・糖入り飲料は、血糖値を上げやすいため、摂らないようにする・摂取量や回数を減らすなどで摂取エネルギーや糖質を減らすことができます。

活動量を増やしましょう

運動するとインスリンの効きが良くなり、糖が細胞に取り込まれやすくなります。筋肉を使うことでも糖が使われるので、血糖値が下がりやすくなります。
運動するタイミングは食後がおすすめです。食事をすると血糖値が上がりますが、筋肉を動かすことはインスリンの作用とは別に血糖値を下げる働きがあります。食後すぐにウォーキングなどの運動ができれば理想的ですが、できない場合は家事や体操や足踏みなど室内で食後に体を動かすことでも、血糖を下げる効果が期待できます。

「血糖値が上がると」についてよくある質問

ここまで血糖値が上がる原因などを紹介しました。ここでは「血糖値が上がると」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血糖値が一番上がる食べ物について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

ジュースなどの糖入りの飲み物はブドウ糖を多く含んでいるため、消化・吸収されやすく、血糖値を急に上げやすいです。
「ペットボトル症候群」といって、糖入りの飲み物を大量に飲んで高血糖を招き、糖尿病を発症することがあります。糖入りの飲み物は摂取量に注意しましょう。

水を飲むと血糖値は下がりますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

インスリンが働くことや、筋肉を使い糖を筋肉に取り込むことで血糖値が下がります。水を飲んでも血糖値は下がりませんが、血糖値が高いと体内は脱水になりやすいため、水など糖を含まない飲み物を十分に摂取することはおすすめです。

まとめ 血糖値が上がったら早めに内科を受診しよう!

血糖値が高い状態が続いても、自覚症状を感じることはあまりなく、自覚症状が現れた時には病気が進行している場合があります。
健康診断などで高血糖を指摘されたら、自覚症状がないからと放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。

「血糖値」の異常で考えられる病気

「血糖値」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

血糖値が高いと糖尿病が始めに思い浮かぶと思います。血糖値が高くなる病気は糖尿病以外にもあるため、健康診断などで高血糖を指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師