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「中性脂肪」を下げる可能性の高い「飲み物」はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2025/01/08
「中性脂肪」を下げる可能性の高い「飲み物」はご存知ですか?医師が解説!

中性脂肪値を下げる飲み物とは?Medical DOC監修医が中性脂肪値を下げる飲み物や予防法・中性脂肪値が高いと診断された場合に気をつけたい病気などを解説します。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

中性脂肪とは?

健康診断で中性脂肪が高いと指摘されたことはありませんか?中性脂肪は一度は聞いたことがある言葉とは思いますが、どのようなものなのか詳しくわからない方も多いのではないでしょうか。中性脂肪はなんとなく、体に良くないのではないかとおもわれている方も多いと思います。この記事では、中性脂肪について詳しく解説します。
中性脂肪とは、脂肪の一種でトリグリセリド(トリグリセライド、TG)とも呼ばれます。体内での貯蔵エネルギーとしての役割を持ち、糖質の不足を補って体を動かす際の重要なエネルギーとなります。

中性脂肪値が高いとどうなる?

体のエネルギー源として非常に重要な役割を持ちますが、中性脂肪が高いことは動脈硬化の危険因子となります。また、空腹時で500mg/dL以上の著名な高中性脂肪血症は、急性膵炎のリスクにもなります。
中性脂肪は空腹時に150mg/dL以上、随時採血で175mg/dL以上であった場合に高TG血症と診断されます。高TG血症は将来の冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)や脳梗塞の発症や死亡に影響していると報告されており、注意が必要です。

中性脂肪値の上昇を抑える、予防する飲み物

中性脂肪の上昇は、動脈硬化を進行させます。このため、中性脂肪の上昇を抑える必要があります。何か良い予防法はあるでしょうか?まず、飲み物で予防できる方法を考えてみましょう。

ウーロン茶

ウーロン茶にはポリフェノールが含まれ、食事から摂取した脂肪の吸収を抑え、食後の中性脂肪の上昇を抑える働きがあります。一般的なウーロン茶でも良いですが、特定保健用食品として販売されているウーロン茶であれば、ポリフェノールの含有量などの点で、より効果的です。

緑茶

緑茶にはポリフェノールの一種であるカテキンが含まれています。ウーロン茶と同様に中性脂肪の上昇を抑える効果が期待できます。

コーヒー

コーヒーにはポリフェノールの一種のクロロゲン酸が豊富に含まれています。食後の中性脂肪の上昇を抑える効果が期待できます。しかし、カフェインも含まれるため、多く飲みすぎることで胃の不調を招くこともあります。注意をしましょう。
また、コーヒーに砂糖や牛乳が加わったものでは、糖質や脂質が含まれるため多く飲むことで中性脂肪やコレステロールをあげてしまうこともあります。中性脂肪をあげないようにするためには、ブラックコーヒーが良いでしょう。

難消化性デキストリンを含む飲み物

難消化性デキストリンには血糖値の上昇やインスリンの分泌を緩やかにする作用があります。食事と一緒に飲むことで、食後高血糖が抑えられると報告されています。また、食後の中性脂肪の上昇も穏やかにする作用も持ち合わせています。この難消化性デキストリンは一部の特定保健用食品の飲料に含まれていることもありますので、中性脂肪が高く気になる方ではこの難消化性デキストリンが含まれた飲料を試してみるのも良いでしょう。

ここまで、中性脂肪を上げにくくする飲み物をご紹介しました。しかし、飲み物は治療薬ではないため、これらの飲み物を飲むだけで明らかに中性脂肪が低下するわけではありません。あくまで補助的に考えましょう。まずは、これから解説する食事や生活習慣を改めていくことがとても大切です。

中性脂肪値を下げる予防法

飲酒を控える

アルコール摂取は、中性脂肪をあげる原因となります。適量にとどめる様にしましょう。一日のアルコール摂取の目安として、純アルコール量20g程度以下が勧められます。この純アルコール量20gは日本酒で1合(180ml)、ビールで中瓶1本(500ml)、ワイン200ml程度です。一日当たりのアルコール量を減らす事、もしくは週2回程度の休肝日を設けてアルコール摂取量を減らしていきましょう。

糖質を控える

糖質は体の主なエネルギー源であり、体にとって不可欠です。しかし、摂りすぎによりエネルギーとして使われなかった残りは、中性脂肪となります。このため、糖質の摂りすぎは、中性脂肪が高くなる原因となるため注意が必要です。果物や菓子類、ジュースなどの間食をまず控えるようにしましょう。

夜の食事を食べすぎない

夜の食事は、その後に活動量が減ってしまうためエネルギーとして消費されず血液中の中性脂肪が高くなる原因となります。夜の食事は早めに食べ、食べ過ぎないようにすることが大切です。

魚類を摂る

タンパク質の摂取は肉類を少なめにし、魚や大豆製品を多めにとるようにしましょう。大豆や魚油には不飽和脂肪酸が多く含まれており、血中のコレステロール値を上げにくいと言われています。また、魚油に含まれるEPAには中性脂肪を低下させる効果が期待できます。

有酸素運動を行う

中性脂肪を下げるためには、有酸素運動が有効であると言われています。できれば、息が切れる程度の運動を一日30分程度、週3回以上行うことが勧められます。しかし、なかなか時間が取れない場合、一日10分でも体を動かす習慣をつけることが大切です。通勤や買い物など日常生活に取り入れてなるべく体を動かすようにしましょう。

健康診断・血液検査で「中性脂肪が高い」と診断された場合に気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「中性脂肪が高い」に関する病気を紹介します。
どのような病気や症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

動脈硬化

全身に張り巡らされている動脈には、心臓が収縮することで血管にかかる力に耐えるために動脈壁が存在します。動脈壁は内膜・中膜・外膜に分かれています。血液中のコレステロールはこの内膜を通過して取り込まれます。その後に変性したり、あふれたコレステロールが内膜の下へ蓄積した状態が動脈硬化です。
動脈硬化の原因として、LDL-コレステロールや中性脂肪の増加、HDL-コレステロールの低下、糖尿病、高血圧、喫煙、肥満など生活習慣の乱れが挙げられます。
動脈硬化は、冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)や脳梗塞(非心原性)をはじめとする多くの病気の原因となります。

心筋梗塞

心臓への血液を供給する血管は冠動脈と呼ばれています。この冠動脈が動脈硬化により徐々に内腔が狭くなり、さらに進行して高度な狭窄や血栓などが詰まって血流が途絶えてしまう様になります。血行が途絶えてしまうと、その先の心臓の筋肉に酸素が供給できなくなり、壊死した状態が心筋梗塞です。
心筋梗塞となると、前胸部やみぞおち、肩などの強い痛みが起こります。心筋梗塞の場合には30分以上の長い痛みが持続することもあります。心筋梗塞は突然死を起こすこともあり、命にかかわる重大な疾患です。このような強い胸の痛みが起こった時には、すぐに救急車を呼び医療機関を受診しましょう。

狭心症

心臓を栄養する冠動脈に動脈硬化が進行した結果、血流が悪くなり心筋が必要な充分な酸素供給ができず、一時的な酸素不足を起こします。このような状態が狭心症です。
狭心症の発作は、胸が圧迫されるような強い痛みが数分~15分程度持続します。みぞおちや肩、歯などの痛みを感じる方もいます。痛みは、安静にしていることで、多くは収まります。このような胸の痛みが起こる場合には、狭心症発作の可能性があり、循環器内科を受診しましょう。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が動脈硬化により細くなったり、細くなった血管に血栓が詰まったりして脳の血流が途絶える事で酸素や栄養が送られなくなり脳細胞が障害される病気です。
脳梗塞の症状は、脳梗塞が起こる場所により異なります。めまいやふらつき、手足の動かしにくさや、言葉がうまく話せなくなるなどのさまざまな症状が起こることがあります。
脳梗塞の範囲や場所によっては致命的になることもあり、また重大な後遺症が起こることもあります。何かいつもと違う症状が出た場合、早急に救急車を呼び医療機関を受診してください。

脂質異常症

脂質異常症とは、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL-コレステロールが増加したり、善玉コレステロールであるHDL-コレステロールが低下したり、中性脂肪が増加したりする状態を言います。これらの状態を放置することで、血管内で動脈硬化が進行します。
動脈硬化は冠動脈疾患や脳卒中などの重大な病気の原因となります。放置せずに、生活習慣を改め改善するようにしましょう。
特に家族性高コレステロール血症では、若い時から動脈硬化が進行し、心筋梗塞や狭心症を引き起こします。重度の場合には、若い時から気をつけなければなりません。健康診断で脂質異常症を指摘された場合には、まず内科で相談してみましょう。

「中性脂肪を下げる食べ物」についてよくある質問

ここまで中性脂肪を下げる食べ物について紹介しました。ここでは「中性脂肪を下げる食べ物」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

中性脂肪値を下げるお茶について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

ウーロン茶や緑茶、コーヒーなどに含まれるポリフェノールは食後の中性脂肪の上昇を緩やかにする働きがあります。また、特定保健用食品の中には難消化性デキストリンを含む飲料もあります。この難消化性デキストリンもポリフェノール同様に食後の中性脂肪の上昇を抑える働きがあるため、中性脂肪の高値が気になる方では試してみるのも良いでしょう。

トマトジュースで中性脂肪値を下げることはできますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

トマトジュースに含まれるリコピンはLDL-コレステロールを低下させる作用があると言われています。糖質が生のトマトと同程度含まれるため、大量に飲むと中性脂肪は上がる可能性も考えられます。

編集部まとめ 中性脂肪の高値が気になったら、まず食事の見直しで予防を

中性脂肪が高い状態が持続すると、動脈硬化のリスクとなります。この中性脂肪は食事と密接に関係しており、食事を見直すことがとても重要です。糖質の摂りすぎ、アルコールの摂りすぎがないかを考えましょう。また、有酸素運動を行うことも大切です。また、特定保健用食品の中には中性脂肪の上昇を緩やかにする効果があるものも販売されています。この飲み物だけで中性脂肪を下げることは難しいですが、食事や運動不足に気を付けた上で、特定保健用食品を取り入れることで効果的に中性脂肪を下げられる可能性があります。上手に取り入れてみましょう。

「中性脂肪」の異常で考えられる病気

「中性脂肪」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

腎・泌尿器科の病気

脳神経科の病気

中性脂肪が高値であると、動脈硬化のリスクとなります。動脈硬化が進行するとさまざまな病気の原因となります。早めに食事や運動習慣の見直しをすることが大切です。健康診断などで中性脂肪が異常と言われたら、まず内科を受診して相談してみましょう。

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