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「血圧を下げる」食べ物はご存知ですか?即効性のある血圧を下げる方法も解説!

 公開日:2024/04/05
「血圧を下げる」食べ物はご存知ですか?即効性のある血圧を下げる方法も解説!

食事や運動など、日々の生活習慣から血圧を下げる方法をMedical DOC監修医が解説します。健康のために知っておきたい高血圧による病気のリスクも。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血圧を下げる方法は?

日本高血圧学会が定めている高血圧診断基準によると、診察室血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧が135/85mmHg以上の場合は高血圧と診断されます。血圧を下げるためには、まず生活習慣や食生活の見直しを行うことが大切です。

血圧を下げるために生活習慣で気を付けることとは

運動には、血圧を下げる効果があります。運動療法を行うことで、収縮期血圧(上の血圧)を2~5mmHg、拡張期血圧(下の血圧)を1~4mmHg下げる効果が期待できると言われているのです。運動による降圧効果は、運動後から約22時間持続します。時間が経つと降圧効果がなくなるため、定期的に運動を行うことが大切です。1回あたり10分以上の運動を1日合計40分以上行うことが推奨されています。
喫煙している方は、禁煙を行いましょう。紙巻きタバコを1本吸うと、血圧上昇が15分以上持続して起こります。また、2万8,000人以上の高血圧を有さない女性を対象に行った研究では、喫煙している方はそうでない方と比べて高血圧を発症しやすいことが分かりました。
飲酒も高血圧を招く要因です。男性は1日あたりエタノールで20~30ml(ビール中瓶1本)以下、女性は1日あたり10~20ml以下に摂取量を制限することが推奨されています。

血圧を下げる食べ物・飲み物

血圧を下げるためには、食べ物や飲み物にも気を使いましょう。
まず気をつけたいのが、ナトリウムの摂取量です。ナトリウムを過剰に摂取すると、血圧が上がりやすくなります。麺類の汁を残し、低ナトリウムの調味料を使ったり、外食や加工食品を控えることでナトリウムの摂取量を抑えるようにしてください。
食物繊維を意識して摂るのもよいでしょう。食物繊維には、ナトリウムを吸着して排出する働きがあります。きのこ類や大豆、グリーンピースなどは食物繊維を豊富に含んでいます。
カリウムは、積極的に摂りたいミネラルの一つです。カリウムにはナトリウムの排泄を促進する効果があることから、高血圧の対策に効果があります。厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりのカリウム摂取量の目安は2,500mgとされているため、こちらを参考に摂取していくとよいでしょう。カリウムはひじきやわかめ、切り干し大根などに多く含まれています。
カロリーを摂りすぎないようにすることも大切です。消費カロリーよりも摂取カロリーが多い状態が続くと肥満になり、血圧を上げる働きがあるレプチンというホルモンの分泌量が増えてしまいます。
※日本人の食事摂取基準(2020年版)

血圧を下げる薬(降圧薬・高血圧の薬)

食事療法や運動療法を行っても血圧がコントロールできない場合、また血圧の状態やリスクなどを見て治療が必要と判断された場合は降圧薬を使用します。
降圧薬にはいくつか種類がありますが、現時点ではカルシウム拮抗薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬が第一選択薬です。一つの降圧薬で様子を見ることもあれば、複数の薬を併用して血圧をコントロールしていくこともあります。血圧は心拍出量と末梢血管抵抗によって決まるため、心拍出量または末梢血管抵抗を減らすことが治療の基本です。カルシウム拮抗薬とアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬は血管を広げて末梢血管抵抗を改善し、利尿薬は血液中に含まれる水分量を減らして心拍出量を低下させます。

血圧が高い時にかかりやすい病気のリスク・対処法

高血圧になってもほとんど自覚症状はありません。しかし、血圧が高い状態のまま放置しておくのは危険です。高血圧はサイレントキラーとも呼ばれており、知らず知らずのうちに動脈硬化を進行させてさまざまな病気のリスクを上昇させます。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血流が途絶えてしまう病気のことです。血流が途絶えると、脳の細胞は数時間で死んでしまい再生できなくなります。高血圧をはじめ、糖尿病や脂質異常症、高尿酸血症などが代表的な原因です。一刻を争うため、意識障害や手足のしびれなどが見られたらすぐに医療機関を受診してください。脳梗塞を発症して4.5時間以内であれば、血栓を溶かすt-PAという薬を点滴します。カテーテルを使って詰まっている血管を開通させる治療が行われることもあります。急に言葉が出てこなくなったり半身にしびれが見られたりする場合は、すぐに脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。

くも膜下出血

くも膜と軟膜の隙間にあるくも膜下腔で出血を起こしたものがくも膜下出血です。頭をバットで殴られたような激しい頭痛が突然起こったり、意識を失ったりします。原因の多くは、脳動脈瘤破裂です。脳動脈瘤と呼ばれる血管の膨らみが破裂することで起こります。高血圧や喫煙、過度の飲酒などがくも膜下出血を起こす代表的なリスクファクターです。頭痛やめまい、吐き気や嘔吐、意識の低下などが見られたら再出血を防ぐために安静を保ってください。医療機関では、脳動脈瘤クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術などを行って治療を行います。今までに経験したことがないような激しい頭痛が起きた場合は、すぐに脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。

心筋梗塞

心筋梗塞とは、心臓に血液を送る冠動脈が詰まって血流が途絶え、心筋細胞が壊死する病気です。高血圧や糖尿病、脂質異常症などによって動脈硬化が起こり、心筋梗塞を発症します。胸に激痛や呼吸困難などが起きたら、楽な姿勢をとって安静にしてください。症状が15分以上続くときは心筋梗塞を疑って救急車を呼びましょう。血管が詰まっている場所で風船を膨らませて血管を広げる経皮的冠動脈形成術や、ステントを入れて血管を広げて固定する治療などが行われます。安静にしていても激しい胸痛が15分以上続くときは、循環器科を受診してください。迅速な治療が必要なため、救急車を呼ぶことも考慮してください。

狭心症

狭心症は、冠動脈が狭くなって血液の流れが悪くなった状態です。心筋梗塞とは違い、血流が完全に途絶えることはありません。狭心症の原因は、多くが動脈硬化です。動脈硬化は高血圧や脂質異常症などによって起こります。胸痛や圧迫感などがあらわれたら、安静にしてください。狭心症の発作が起きたら、血管を拡張する働きがあるニトログリセリンを服用します。服用後1~2分で発作を抑えることが可能です。このほか、手術によって狭くなった血管を広げることもあります。胸痛や胸の締め付けが気になるようになってきた方、軽い動作で胸が痛んだり苦しくなってきたりなどの症状がある方は循環器科を受診しましょう。

大動脈解離

大動脈解離とは、大動脈にある内膜、中膜、外膜のうち中膜が裂けて大動脈に血液の通り道が2つできる病気です。動脈硬化や高血圧、喫煙や糖尿病、遺伝など多くの要因が関係して発症します。大動脈解離が起きたら、まずは血圧を下げ、裂け目がある部分を人工血管に置き換えるなどの治療を行うことが多いでしょう。胸や背中を刺されたような激痛が突然起こり、痛みが胸からお腹、足へと移動していく場合は大動脈解離が疑われるため、救急車で心臓血管外科や循環器科を受診してください。

大動脈瘤

大動脈瘤とは、大動脈が拡張して膨らんでいる状態のことです。原因についてはまだ解明されていない部分もありますが、現時点では動脈硬化や高血圧、喫煙や脂質異常症などが関与していると考えられています。大動脈瘤には自覚症状がないため、破裂の心配がない場合には降圧薬を使用して血圧をコントロールしながら経過を見ます。瘤の大きさが一定以上になると破裂のリスクが出てくることから、カテーテル治療や人工血管置換術などが行われることが多いです。初期の段階だと自覚症状はありませんが、瘤が大きくなると食べ物が飲み込みにくくなったり声がしわがれたりします。大動脈瘤を指摘されたり気になる症状が出ていたりする場合は、心臓血管外科を受診しましょう。

腎硬化症

腎硬化症とは、腎臓の血管が動脈硬化を起こして腎臓に障害が起きる病気です。発症する原因には、高血圧が大きく関係しています。血圧が高い状態が長く続くと、大きな血管だけではなく細い血管にも影響が出て動脈硬化を起こしてしまうのです。腎硬化症を発症した場合は、食事療法や運動療法、薬物療法などを行って血圧をコントロールしていきます。良性腎硬化症は自覚症状がないことも多いのですが、著明な高血圧を伴い、急速に腎機能が低下する悪性腎硬化症の場合は激しい頭痛や意識障害などが見られることもあるため注意が必要です。悪化すると慢性腎不全になるため、腎臓内科を受診しましょう。

「血圧を下げる」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血圧を下げる」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血圧が高いと体にどのような健康リスクがありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血管の弾力性が低下し、動脈硬化を起こしやすくなります。動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす原因となります。

即効性のある血圧を下げる方法はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血圧が高いと感じた場合は、リラックスして体を休ませる方法がもっとも即効性があると言えます。高血圧の状態が持続している場合は、医師の指示に従って食事療法や運動療法、薬物療法など治療方法を行います。

血圧を下げるツボはありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

手の甲側の親指と人差し指の間にある合谷と呼ばれるツボは、血圧を下げる効果があると言われています。特に副作用が起きることはありませんが、ツボを押すだけで高血圧を改善することはできません。血圧が高い場合は内科や循環器科を受診しましょう。

運動をすることで血圧を下げることができますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

運動には、血圧を下げる効果があります。1回10分以上の運動を1日合計40分以上行うことが推奨されています。

コーヒーを飲むことで血圧を下げる効果がありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

コーヒーに含まれているカフェインの働きにより、血管が収縮して血圧が上がる可能性があります。

血圧を下げるのに効果があるサプリはありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

GABAやペプチド関連物質が含まれたサプリメントが血圧対策用のサプリメントとして販売されています。しかし、サプリメントは薬ではありません。高血圧の治療に使える市販薬も漢方薬だけに限られています。血圧が気になる場合は、自己判断でサプリメントを使用するのではなく、医療機関を受診して相談しましょう。
また、漢方薬の副作用として血圧が上昇することもあります。自己判断で市販薬やサプリメントで経過を見ずに、一度病院を受診しましょう。

高血圧が続いたら何科の病院で相談すべきですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

高血圧は、内科や循環器科で治療を受けられます。

まとめ 血圧を下げるには生活習慣の改善を!

血圧を下げるのに良いと言われている食べ物や飲み物もありますが、食生活や運動習慣の見直しを行うことが高血圧治療の基本です。血圧が気になる場合はナトリウムの摂取を控えて適度な運動を行うようにしましょう。自覚症状がないからといって高血圧を放っておくと、動脈硬化を起こして命に関わる病気を招く恐れがあるため、早めに適切な治療を受けることが大切です。

「血圧」の異常で考えられる病気

「高血圧」から医師が考えられる病気は8個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

  • 高安動脈炎
  • 腎動脈狭窄症

腎泌尿器系の病気

婦人科の病気

  • 妊娠高血圧

血圧は食生活や運動習慣によって上がることが多いですが、病気が原因で高血圧になっている場合もあります。病気が潜んでいる場合は根本治療が必要です。原因を明らかにするためにも、血圧が気になる場合は検査をしてもらいましょう。

この記事の監修医師