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「y-gtpを下げる」にはどんな対処法があるの?医師が徹底解説!

 公開日:2025/01/25
「y-gtpを下げる」にはどんな対処法があるの?医師が徹底解説!

y-gtpを下げるには、一体どうすれば良い?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

岡本 彩那

監修医師
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)

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兵庫医科大学医学部医学科卒業後、沖縄県浦添総合病院にて2年間研修 / 兵庫医科大学救命センターで3年半三次救命に従事、近大病院消化器内科にて勤務 /その後、現在は淀川キリスト教病院消化器内科に勤務 / 専門は消化器内科胆膵分野

「y-gtp 下げるには」行うべき対処法と対策

健診などで「γ-GTPが高い」「お酒の値が高い」と言われたことはないでしょうか。γ-GTPとは何者で、これが高いと何が悪いのでしょうか。ここではγ-GTPについて上昇の理由、原因となる病気などを含め解説していきます。

γ-GTPは腎臓、膵臓、肝臓などに存在する酵素でアミノ酸の産生などに関わります。肝臓ではおもに肝臓の細胞膜に存在し、肝臓で作られる「胆汁」という消化液の中に排泄されます。胆汁は胆管という管を通って十二指腸に排泄されていきますが、ここが何らかの原因で詰まった胆汁がうっ滞してしまうとγ-GTPが上昇します。そのため、AST,ALTなどの「肝酵素」に対してγ-GTPは「胆道系酵素」と言われます
その他、アルコールや一部の薬はγ-GTPの産生を促すため、γ-GTPの値が上昇します。特にアルコールを飲む量とγ-GTPの値は関連しています。「お酒で上がる値が上がっています」と言われた場合、その多くはγ-GTPを指すでしょう。

飲み物でy-gtpを下げる対処法と対策

γ-GTPは脂肪肝でも上がります。一方でコーヒーを飲むことで脂肪肝の発症を予防するという報告があります。コーヒーの飲用により結果としてγ-GTPを下げる、もしくは上がることを予防する可能性があります。

禁酒期間でy-gtpを下げる対処法と対策

γ-GTPはお酒を飲むとその分上昇します。逆にお酒を飲まないでいると速やかに下がることがあります。アルコールが原因でγ-GTPが上がっているのであれば、禁酒することにより下げられることも多いでしょう。また、アルコールが原因でアルコール性肝障害、肝炎などを起こしている場合でも禁酒は必要です。もちろん他の原因でγ-GTPが上昇している可能性もありますが、その場合でも飲酒すると悪化することが多いので禁酒は必要です。γ-GTPが高いと言われたらお酒を控えて病院で検査をするようにしましょう。

お茶でy-gtpを下げる対処法と対策

一部では緑茶を飲むことでγ-GTPを下げる効果があるという報告があります。一部の肝障害では肝臓に鉄をため込むことが関わっているともされています。一方で緑茶はカテキンを多く含み、カテキンは鉄などとくっつくことで吸収されにくくし、結果として酸化ストレスを軽減するとともにコレステロールを低下することが知られています。そのため、緑茶を飲むと鉄の吸収が少なくなり、肝機能障害を抑えることができるためγ-GTPが低下するということになります。

運動でy-gtpを下げる対処法と対策

γ-GTPが高いと言われた場合は脂肪肝などになっている可能性があります。その場合、重要なのは食事療法と運動療法です。バランスのよい食事をするように心がけ、運動習慣を身に着けることが重要です。1日30分~1時間、ウォーキングなどの有酸素運動を行うと良いでしょう。
もちろん他の病気の可能性もありますし、病院で原因を調べるのは重要ですが、生活習慣の改善はどのようなものでも良い方向に作用するので取り入れるようにしてみましょう。

すぐに病院へ行くべき「y-gtpが下がらない」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

y-gtpの基準値はいくつからやばい?

γ-GTPの基準値は50以下ですが、直前にお酒を飲んでしまったなどであれば少し上昇することもあります。値が3桁となれば何らかの病気が隠れている可能性がありますが、この値が4桁となった場合はAST,ALTなどの肝酵素も急上昇していることが多く、急性肝炎や胆管閉塞、胆管炎などになっていることも多く、基本的に則入院となります。

y-gtpが下がらない場合は、消化器内科へ

γ-GTPの基準値は男性:50 U/以下、女性:30 U/L以下です。直前にお酒を飲んでしまったなどであれば少し上昇することもありますが、100などの値になってくると脂肪肝などを起こしていることがあります。また、それ以上に高くなってくると、石などで胆管が詰まったり、胆汁の流れが悪くなっているなどが疑われることもあります。γ-GTPだけではなく、AST,ALTなどの肝酵素や他の胆道系酵素の値や推移も確認しながら判断となりますが、γ-GTPが高くなっている場合は何らかの疾患が隠れている可能性があります。自己判断せずに内科、消化器内科を受診するようにしましょう。

受診・予防の目安となる「y-gtpが下がらない」のセルフチェック法

  • γ-GTPが高いと言われた場合
  • 全身倦怠感がある場合
  • 痒みがある場合
  • 黄疸(特に白目が黄色くなっている)がある場合
  • 尿が黄色く、濃くなっている場合

「y-gtpが下がらない」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「y-gtpが下がらない」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、どのように対策すれば良いのか、など病気について気になる事項を解説します。

急性肝炎

急性肝炎はアルコールやウイルスなどにより起こりますが、A,B,E型肝炎ウイルスによって起こることが多いとされています。A,E型は二枚貝やイノシシを食べて感染することが多く、B型肝炎ウイルスは血液や性行為によって感染、または出産の際に母から子へ感染(母子感染)します。
急性肝炎の初期症状は発熱、頭痛、咽頭痛など、感冒と似ています。そのため、感冒と思われたまま気づかずに治ることも多くあります。しかしながら、感染者の一部は全身倦怠感や黄疸などの症状が出現してくることがあり、肝機能障害が高度になれば入院治療が必要となることもあります。また、その数%(特にB型肝炎ウイルス感染)では、数日で休息に肝機能が低下し意識障害、脳浮腫を起こし命に関わる劇症肝炎となる場合もあるため、慎重に診ていく必要があります。

慢性肝炎

慢性肝炎はウイルス感染などにより肝臓が障害され、6か月以上肝機能障害が続く病態です。原因のほとんどはBもしくはC型肝炎ウイルス感染によるものです。
一部は急性肝炎の後、慢性肝炎に移行したものですが、その多くは特に症状を認めず慢性肝炎を起こします。自覚症状がほとんどないため、健診などで肝機能障害を指摘され見つかることが多いのです。気づかれずにいた場合は病状が進み、自覚症状が出てきたときには肝硬変になりかけていたり、合併症が出たりしていることも多い病気です。
肝機能異常が指摘されたら消化器内科を受診し、その原因、肝臓の状態を調べることが重要です。ウイルスが原因であれば薬物などでそのウイルスの治療を行ったり、その他の物が原因であればその治療を行っていきます。

肝硬変

肝硬変の多くは慢性肝炎など肝臓の慢性的な炎症により起こります。肝細胞が障害され、その後肝臓が再生、障害と繰り返した結果、肝臓自体がだんだんと硬くなる(線維化)ことによって発症します。肝硬変の状態になってしまうと肝臓はその機能を十分に果たすことができなくなってしまいます。肝臓は解毒やタンパク質の産生など、人が生きていく上で重要な役割を持っており、肝臓がその役割を果たせなくなった場合は生きていくことができません。そのため肝硬変が進行していくと最悪死に至ります。
肝硬変には代償期と非代償期があり、代償期では肝臓の一部が硬くなってしまっても他の部分で何とか肝臓の機能が保たれている状態です。この時点では自覚症状が現れない場合も多いでしょう。しかしながら、病状が進んで非代償期になると、肝臓の機能が維持できなくなってしまい、徐々に自覚症状が現れてきます。黄疸や腹水、全身のむくみ、だるさが現れてきたり、食道静脈瘤を作ることもあります。合併症として食道静脈瘤破裂をおこし、大量吐血を起こすこともあります。また、アンモニアが分解できず脳に影響を及ぼし意識障害を起こす(肝性脳症)こともあります。その他、肝硬変が進行、持続すると肝細胞癌が現れることもあります。
肝硬変となった場合、そのほとんどには根本的治療はありません。肝硬変となった原因に対する治療(ウイルスに対する治療や禁酒など)や栄養療法を行い肝硬変が進まないように (特に非代償期にならないように)したり、それぞれの症状や合併症に対する治療を行っていくことになります。

脂肪肝

脂肪肝とは、アルコールや肥満などで肝臓に脂肪が蓄積されてしまった状態です。
脂肪肝を指摘された場合、その時の肝臓の状態を調べておくことは大事です。一度病院で検査を受けてみましょう。また、治療としてはバランスの良い食事をとり、毎日の運動を行うこと、アルコールが原因であれば節酒、禁酒も必要です。
これを放置し悪化してしまうと、肝炎や肝硬変が起こることもあります。たかが脂肪肝と軽く考えずに治療することが大事です。

アルコール性肝障害

アルコールを大量に飲むと、それによって肝臓にダメージが蓄積し、肝酵素やγ-GTPが上昇します。特に先に述べた通り、γ-GTPは飲酒量ととてもよく相関します。
アルコールを大量に飲み続けていくと、肝臓の機能はどんどん障害され脂肪肝、肝臓の炎症(アルコール性肝炎)や肝硬変になっていきます。
アルコール性肝炎や脂肪肝の治療はまず断酒、禁酒です。アルコールを断つことにより顕著な改善が認められます。しかしながら一旦よくなったからと言ってまたアルコールを飲んでしまうと再燃することが多い疾患です。治ったらお酒を飲む、肝障害が出たらになったらやめるということを繰り返したり、アルコールを飲み続けてしまって良くならない場合などは、病状が進み、アルコール性肝硬変、肝細胞癌などに進行してしまうことがあります。アルコール性肝障害、脂肪肝、肝炎の状態であれば、アルコールをやめることにより症状も肝臓も良くなりますが、肝硬変となってしまった場合は治りません。肝硬変になると命に関わる可能性があるため、断酒することが最も重要です。とはいえ、アルコールを辞めたくても辞められない人も中にはいるかと思います。その場合は断酒会などに参加するのも一手です。一度病院で相談してみましょう。

閉塞性黄癌、胆管炎

γ-GTPは先に述べたように「胆道系酵素」です。γ-GTPが上昇しているということは何等かの原因により総胆管などの胆道が詰まってしまい、胆汁の流れが悪くなっていることがあります。総胆管結石や胆管癌、膵癌などにより胆管が閉塞し肝胆道系酵素が上昇していることもあります。胆管が閉塞した場合は胆汁がうっ滞し、そこに細菌感染を起こす(胆管炎)こともあります。その場合は重症となることもあるため、胆道閉塞を認めた場合は細いチューブを入れて胆汁の通り道を作ったり、つまりの原因自体を除去するための内視鏡治療が必要となることもあります。
腹痛、発熱、黄疸(皮膚が黄色くなる、白目が黄色くなる)などがあればすぐに病院受診しましょう。

「y-gtpを下げるには」正しい対処法は?

ここまで話をしてきた通り、γ-GTPは飲酒とかなり関連しています。γ-GTPが高いと言われた時にはアルコールが関連している可能性も高いため、一旦お酒を辞めてみるのは重要です。しかしながら、他の病気でγ-GTPが上昇していることもありますし、アルコールが原因であったとしても慢性肝炎や肝硬変になってしまっている可能性はあります。そのため、一度病院を受診し、γ-GTPが上昇している原因を調べると同時に肝臓の状態を調べておくことは重要です。γ-GTPが高いと言われた場合は内科・消化器内科を受診するようにしましょう。

「y-gtpを下げるには」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「y-gtpを下げるには」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ガンマGPTを下げるにはどうしたら良いですか?

岡本 彩那岡本 彩那 医師

γ-GTPは飲酒量が増えるとその分増えていきます。そのため、γGTPが高いと言われた場合はアルコールを控える、休肝日を作るなどの対策をしてみてください。また、バランスの良い食事や運動習慣も大事です。
ただし、何らかの病気が隠れている可能性がありますので、一度病院受診し原因は調べておいた方が良いでしょう。

ガンマGPTはいくつ以上から問題ですか?

岡本 彩那岡本 彩那 医師

γ-GTPの基準値は50-70以下程度ですが、測定する直前に飲酒などを行うと上がってしまいます。そのようなこともなく、値が3桁になっているのであれば、脂肪肝など何らかの病気になっている可能性があります。

ガンマGPTは禁酒をすれば治るものなのですか?

岡本 彩那岡本 彩那 医師

何が原因でγ-GTPが上昇しているかにもよります。たしかにγ-GTPは飲酒をすると上昇しますが、原因はそれだけではありません。胆管が詰まっていたり、肝炎などで肝障害が起こっていたりしても上昇します。禁酒だけで速やかに改善するのであればお酒が原因かもしれませんが、それでも良くならなければ他に病気などの原因がある可能性があります。

編集部まとめ

ここまでγ-GTPについて解説してきました。γ-GTPはお酒に関連することが多い値ですが、胆管閉塞や肝炎など他の疾患でも上がる酵素です。γ-GTPを下げるために生活習慣を見直したりお酒を控えたりすることは重要であり、これはどのような疾患でもよい方向に働くでしょう。しかしながら、指摘された時点で何が原因で上がっているのか、肝臓の状態はどうなのか一度調べておくことも重要です。

「γ-GTPを下げる」症状で考えられる病気

「γ-GTPを下げる」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

消化器系の病気

γ-GTPが高い場合にはこれらの疾患を発症している可能性があります。γ-GTPが高いからといって、自己判断で下げるようにするだけでは根本解決にはならないため、健診などで指摘された場合には、自分でできることを行いながら病院へ受診し原因を調べることが重要です。

参考文献

  • 専門医のための消化器病学 医学書院
  • 必ず役に立つ!肝炎診療バイブル メディカ出版
  • SRL総合検査案内
  • 人間ドック 34(4) : 572-580, 2019
  • New Diet Therapy 38(3) :3-12, 2022

この記事の監修医師