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健康診断で「血糖値が高い」と言われたら?医師が病気のリスクなど徹底解説!

 公開日:2023/07/28
健康診断で「血糖値が高い」と言われたら?医師が病気のリスクなど徹底解説!

健康診断で血糖値が高いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が検査結果の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

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健康診断・病院で「血糖値が高い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

血糖値が高いといわれると、糖尿病なのだろうかと、不安に思う方が多いかもしれません。血糖値が高い状態が続くことは、いろいろな病気をひきおこしやすい環境にあるため、早めに適切に対処する必要があります。この記事では、高血糖の原因や関連する病気、生活習慣での気を付けるポイント、対処法などについて解説していきます。

血糖値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

血糖値が高いという状態は、過剰な飲食や運動不足、遺伝などが主な原因であり、糖尿病のリスクが高まります。糖尿病にはインスリンが出なくなる1型糖尿病とインスリンが効きづらくなる(インスリン抵抗性が高まる)2型糖尿病がありますが、高血糖患者さんの多くが2型糖尿病に分類されます。糖尿病になっても初期段階であれば症状はありません。ただし、糖尿病が進行すると口渇、頻尿、疲労感といった症状がみられるようになります。すぐにできる対応は、食習慣の見直しや適度な運動を取り入れることです。日常生活では、定期的な健康診断で血糖値をチェックし、食事は糖質のとりすぎに注意しましょう。

血糖値が高く中性脂肪が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

血糖値が高く、中性脂肪値が低い、というパターンは、食事の中で糖質が多い食品を選びがちな方によく見られます。特に白米たっぷりの丼ものやラーメン、精製された小麦や砂糖で作られるお菓子や菓子パンなどを食事として摂取している方は、一日全体のエネルギー摂取量は抑えられているものの、食事ごとに血糖値が急激に上下するリスクがあります。このような状況を改善するためには、食事のバランスを見直し、野菜や汁物を炭水化物よりも先に摂るように心掛けることで、血糖値の安定化を促すことが可能です。
また、中性脂肪値が低いにも関わらず肝臓に脂肪が蓄積する方もいます。これも炭水化物中心の食事、またはお菓子やお酒を飲んで食事代わりにする生活習慣が原因となります。ビタミンや食物繊維をしっかり摂ることで栄養バランスを整え、肝臓の脂肪蓄積を予防することが重要です。

血糖値が高く血圧が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

血糖値が高く血圧が低い状態は、脱水症や自律神経の失調が原因として考えられます。
糖尿病は尿が糖分で濃くなってしまうため、それを薄めるために身体から水分が出ていってしまいます。このような場合、血管内の水分が減少し脱水状態となってしまうため、十分な水分補給が必要になります。
糖尿病の合併症には自律神経障害もあります。自律神経は血圧や呼吸数、その他身体の中のバランスを自動的に整える神経系です。 この自律神経が乱れてしまうと 起立性低血圧(立ちくらみやめまい)が起こるようになります。また、食後1~2時間後に血圧が下がる「食後低血圧」という症状も起こることがあります。この症状は食後に消化管に血液が集中し、通常であれば自律神経(交感神経)によって血圧が維持されるはずが、それがうまく機能せず血圧が下がるものです。また、食後に放出されるホルモンによる影響もあると考えられています。起立性低血圧や食後低血圧を起こしてしまう方は、 頭を上げる動作を行う際は、ゆっくりと動くようにすることで症状を抑えることができます。また、 血圧を下げる効果のある薬(降圧薬、利尿剤、心疾患の薬、精神病薬など)を内服している場合は、薬の調整が必要になることもあるので、かかりつけの医師と相談することをお勧めします。

高齢者で血糖値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

高齢者における高血糖の主な原因は、年齢による身体機能の低下、運動不足、栄養バランスの偏りなどが挙げられます。特に、筋肉量の減少はインスリンの効果を低下させ、血糖値を上昇させるリスクを高めます。その結果、糖尿病や心血管疾患のリスクが高まる可能性があります。対処法としては適切な食事管理、適度な運動、定期的な健康診断が挙げられます。高齢者の場合は 特に加齢に伴う筋力低下があるため、定期的な運動を意識することが重要です。

妊娠中に血糖値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

妊娠中に血糖値が高いと診断される場合、主な原因は妊娠糖尿病と関連しています。妊娠によるホルモンの変化がインスリンの働きに影響し、血糖値の上昇を引き起こすことがあります。高血糖の状態は、母体および胎児にリスクをもたらす可能性があります。母体側では妊娠糖尿病の合併症や将来の糖尿病リスクが増加する可能性があり、胎児側では過大な成長や出生時の合併症のリスクが高まります。対処法としては、食事管理と適度な運動が重要です。肥満になると妊娠糖尿病のリスクが高まるため、食事は栄養バランスを考慮し、糖質の摂取をコントロールすることが推奨されます。また、必要に応じてインスリン療法を行う場合もあります。定期的な妊婦健診をしっかり行い、適切なケアを受けながら妊娠糖尿病の管理に取り組みましょう。

産後に血糖値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

妊娠中にインスリン抵抗性が増加し、血糖値が上昇する傾向があるため、産後もその影響で血糖値が高い状態が続くことがあります。 妊娠糖尿病の多くは産後徐々に血糖値が改善していきますが、高血糖の状態が続く場合は将来的に2型糖尿病の発症する可能性があります。対処法としては、バランスの取れた食事を摂り、適度な運動をすることが推奨されます。授乳をしている場合、赤ちゃんへの栄養補給も自分の母乳からしているため、人工ミルクで育児をしている方に比べて1日の消費カロリーが増えます。適切な食事の量や運動内容について疑問がある場合は医師に相談すると良いでしょう。

健康診断の「血糖値」の見方と再検査が必要な「血糖値が高い」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

「血糖値」の基準値

血糖値の基準値は、空腹時で70〜109 mg/dLとされています。
この範囲を超えると、糖尿病予備軍または糖尿病と診断される可能性があります。空腹時の血糖値が126 mg/dL以上が2回続いた場合、または、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)で2時間後の血糖値が200 mg/dL以上が確認された場合は、糖尿病と診断されます。
したがって血糖値がいつも126mg/dLを超えている場合や間食後2時間以上経っていても血糖値が200mg/dLを超えているような場合は、特に危険な数値と考えられるため医療機関を受診しましょう。

判定 血糖値
基準値 空腹時:70~109mg/dL
要受診 126mg/dL以上
間食後2時間以上経っていても200mg/dL以上
糖尿病 空腹時:126mg/dL以上が2回続く

「血糖値が高い」ときの再検査内容

血糖値が高いと診断された場合、再検査としてHbA1c(ヘモグロビンA1c)の測定や、75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が行われます。HbA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖コントロール状態を示す指標で、OGTTは食事による血糖値の上昇反応を評価します。
検査費用は検査項目の数やご自身が何割負担するかによって変わります。3割負担の方が初診で糖尿病の検査をした場合は、5000円〜7000円程度となる可能性があります。
再検査・精密検査は、健康診断などで血糖値が高いと診断された場合は、なるべく早く再検査を受け、適切な治療を始めることが推奨されます。
再検査結果に応じた治療内容は、まずライフスタイルの改善(食事や運動療法)から始めます。十分な食事療法、運動療法を2~3ヵ月間行っても良好な血糖コントロールが得られない場合、経口血糖降下薬により治療を開始します。ただし、内分泌代謝障害の程度によっては最初から経口血糖降下薬やインスリンなどの薬物療法を開始することもあります。
治療の目標は、HbA1cと血糖値の数値で設定します。一般的にHbAlcの目標値を7.0%未満(可能であれば6.0%未満)とします。血糖値は空腹時血糖値 130mg/dL 未満、食後2時間血糖値 180mg/dL未満をおおよその目安とします。ただし、高齢の方や糖尿病の治療で低血糖を起こしやすい方の場合には、目標を少し緩くして治療による弊害が出ないよう調整します。

「血糖値が高い」で考えられる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「血糖値が高い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

糖尿病

糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで身体各部に損傷を及ぼす病気です。糖尿病は原因により2種類に分類され、インスリン分泌が不足する1型糖尿病とインスリンが効きづらくなる(インスリン抵抗性が高まる)2型糖尿病があります。1型糖尿病の場合はインスリンが不足しているためインスリン療法による補充がメインの治療になります。一方で、2型糖尿病の治療としては生活習慣の見直し(適切な食事や運動習慣の確立)をまず行い、それでも改善しない場合、薬物療法とインスリン療法が行われます。健康診断で血糖値が高いと指摘されたら、早めに一般内科や糖尿病・内分泌内科を受診しましょう。

「血糖値が高い」の正しい対処法・改善法は?

血糖値が高いと診断された場合、まずは食生活の見直しが必要です。低糖質で高タンパク質の食事を心がけ、食物繊維が豊富な野菜や海藻を多く摂るようにしましょう。また、大量に食べるのではなく、一日三食きちんと摂ることが重要です。これにより、血糖値の急激な上昇を防ぎます。過度なアルコールやタバコは血糖値のコントロールを難しくするため、これらの摂取を控えましょう。
適度な運動も血糖値を下げるのに役立ちます。特に有酸素運動は、血糖値を下げる効果が高いと言われています。無理なく続けられる運動を選び、運動後の食事も忘れずに摂ることが大切です。
睡眠は体の回復に不可欠で、睡眠不足は血糖値のバランスを崩す可能性があります。7~8時間の良質な睡眠を確保し、一定の就寝時間を維持することが勧められます。また、ストレスは血糖値の上昇に影響を与えるため、適切なストレスマネージメントも重要です。自分自身がリラックスできる時間を作るために趣味に取り組むと良いでしょう。また、呼吸法や瞑想などのマインドフルネスの習慣もストレス管理に効果的です。
これらの生活習慣の見直しを行うことで、血糖値の管理が可能となります。しかし、それでも血糖値が下がらない場合や、体調に異常を感じる場合は、医療機関に相談してください。

「血糖値が高い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血糖値が高い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健康診断で血糖値が高いと言われたら糖尿病の可能性がありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

健康診断で血糖値が高いと診断された場合、糖尿病の可能性があります。ただし、血糖測定のタイミングや食事内容、生活習慣など他の要素も関連するため必ずしも糖尿病であるとは限りません。疑わしい場合は、精密検査を受けることをおすすめします。

血液検査で空腹時の血糖値が100以上あると危険な状態ですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

空腹時血糖値が100mg/dL以上だと「高血糖」の状態とされますが、これは必ずしも危険な状態というわけではありません。ただし、空腹時血糖値が126mg/dL以上の場合、糖尿病の診断基準に当てはまるため、医療機関での詳しい検査が必要です。

血糖値が高いのですがおすすめの食事はありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

血糖値が高い場合は低糖質で高タンパク質の食事を心がけ、食物繊維が豊富な野菜や海藻を多く摂るようにしましょう。また、大量に一度に食べるのではなく、一日三食きちんと摂ることが重要です。

血糖値を下げたいときは何を食べればいいですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

血糖値を下げるためには、糖質が少なく、食物繊維が豊富な食品を選びましょう。全粒粉のパン、玄米、豆類、緑黄色野菜、海藻類などがおすすめです。また、低脂肪の肉や魚、大豆製品を摂ることで、タンパク質を適量摂取することも大切です。

血糖値が高いままで治療をしないとどうなりますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

高血糖状態が続くと、血液がドロドロとした状態になり、血管にダメージを与える可能性があります。これにより、心筋梗塞や脳卒中、眼の病気(糖尿病網膜症)、腎臓の病気(糖尿病性腎症)など、さまざまな糖尿病合併症を引き起こす可能性が高まります。また、血糖値が急激に上昇するとケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群など、命にかかわる状態を引き起こすこともあります。そのため、血糖値が高いと診断されたら早めの治療が重要です。

まとめ 健康診断で血糖値が高いと言われたら、生活習慣の見直しと早めの受診を!

健康診断で血糖値が高いと診断された場合に、まず疑われるのが糖尿病です。食生活の見直しや適度な運動はもちろん、必要に応じて医師の指導のもとで薬物療法を行うことも大切です。
また、高齢者や妊娠中、産後の女性では血糖値の管理が特に重要となります。血糖値が高いと診断された場合は、一般内科や糖尿病・内分泌内科あるいは、産婦人科への受診をお勧めするようにしましょう。
健康診断はあくまで自身の健康状態を知る一つの手段です。結果が良くなかったとしても慌てず、自身の生活習慣を見直すきっかけと捉え、健康的な生活を送りましょう。

「血糖値が高い」で考えられる病気

「血糖値が高い」から医師が考えられる病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内分泌内科の病気

消化器内科の病気

産婦人科の病気

  • 妊娠糖尿病

その他の病気

  • 薬物の副作用(ステロイド薬、抗精神病薬など)

血糖値が高いからといって病気であるとは限りません。必要に応じて再検査を受けることが重要です。

この記事の監修医師