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【妊娠糖尿病】1度なったら繰り返すの? 出産後の治療は? 育児で気を付けること

 公開日:2024/04/10
妊娠糖尿病…1回目になったら、2回目の妊娠時もなる? 出産後も治療が必要? 子どもの育児でも気を付けることはありますか?

妊娠中に血糖値異常や妊娠糖尿病を指摘された人は、次の妊娠時もリスクがあるのでしょうか? また、産後どのように過ごす必要があるのか、育児で気を付ける点はあるのか疑問に思う方も多いはずです。そこで今回は「妊娠糖尿病」のリスクや対処法などを日本糖尿病学会専門医の川名部 新先生(おばな内科クリニック 院長)に解説していただきました。

川名部 新

監修医師
川名部 新(おばな内科クリニック)

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聖マリアンナ医科大学卒業。同大学病院では代謝内分泌を主として、糖尿病や生活習慣病を専門に経験を重ねる。2023年4月より川崎市中原区にある『おばな内科クリニック』を継承し、院長を務める。日本内科学会認定医、日本糖尿病学会認定糖尿病専門医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医、臨床研修指導医

妊娠糖尿病って? 糖尿病専門医が解説!

妊娠糖尿病って? 糖尿病専門医が解説!

編集部編集部

妊娠糖尿病について教えてください。

川名部 新先生川名部先生

妊娠糖尿病とは、妊娠をきっかけに発症した糖の代謝異常のことで、妊娠中に血糖値のコントロールが上手くできなくなってしまう病気です。妊娠前は血糖値に異常がなかった方でも、妊娠後のホルモン分泌の変化により血糖値が上がってしまう場合があります。

編集部編集部

どんな症状が出るのですか?

川名部 新先生川名部先生

一般的な糖尿病の初期症状がほとんどないのと同様に、妊娠糖尿病も自覚症状がほとんどないため、妊婦健診で指摘されて初めてわかるという場合が大多数です。

編集部編集部

妊娠糖尿病は治るのですか?

川名部 新先生川名部先生

通常の糖尿病とは違い、ほとんどの妊娠糖尿病は出産が終わった後に正常な血糖値に戻ります。なぜならホルモンが出産前の状態に戻るからです。しかし、妊娠糖尿病になると母体はもちろん生まれてくる胎児にも影響が出ることがあります。また、稀に出産後も糖尿病が続く方もいるため、予定通りに妊婦健診を受けて適切な時期に発見・治療することがとても大切です。

妊娠糖尿病が引き起こす問題とは?

妊娠糖尿病が引き起こす問題とは?

編集部編集部

妊娠糖尿病の影響について、もう少し詳しく教えてください。

川名部 新先生川名部先生

母体に起こりうる問題としては、妊娠高血圧症候群や羊水過多、巨大児による難産、流産・早産などが言われており、胎児に起こる問題としては、巨大児や新生児低血糖、心臓の肥大、低カルシウム血症・多血症、先天奇形、黄疸、将来の糖尿病発症リスクなどが挙げられています。

編集部編集部

そうならないためにも、やはり早期の発見が大事なのですね。

川名部 新先生川名部先生

その通りです。妊娠糖尿病は、血液検査だけで発見できます。ただし糖尿病の血液検査には、随時血糖・空腹時血糖・ブドウ糖負荷検査の3種類がありますので、何回かの血液検査が必要です。

編集部編集部

それぞれの検査について教えてください。

川名部 新先生川名部先生

随時血糖」は通常通りに朝食と昼食を摂った後、血液を採取して血糖を測定する検査で「空腹時血糖」は、文字通り食事(朝食)を摂らない空腹の状態(最終の食事から10時間以上空いた状態)で血液を採取して血糖を測定する検査です。そして「ブドウ糖負荷検査」は糖分が入った検査用のジュースを飲んだ後に採血して血糖を測定する検査です。

編集部編集部

いろいろあるのですね。

川名部 新先生川名部先生

そうですね。さらに「ブドウ糖負荷検査」には、食後にブドウ糖が50g入っているジュースを飲んで1時間後に採血して血糖値を測定する「グルコースチャレンジテスト」と、空腹時の血糖値とブドウ糖が75g入っている検査用ジュースを飲んだ1時間後と2時間後の血糖値を調べる「ブドウ糖負荷試験」の2種類があります。通常、「随時血糖」と「空腹時血糖」、そして「グルコースチャレンジテスト」をスクリーニングとして行い、妊娠糖尿病が疑われる場合に「ブドウ糖負荷試験」を行って確定診断するという流れが一般的です。

妊娠糖尿病の治療はどのように行うの? 産後の管理も教えて!

妊娠糖尿病の治療はどのように行うの? 産後の管理も教えて!

編集部編集部

妊娠糖尿病はどのように治療するのですか?

川名部 新先生川名部先生

妊娠糖尿病の治療は主に食事療法・運動療法・薬物療法に分かれます。まずは食事療法を行う場合がほとんどで、運動療法は、運動しても問題ないかを産婦人科医に確認しながら取り入れ、さらにそれでもうまくいかない場合に薬物療法(インスリン療法)が検討されます。

編集部編集部

妊娠糖尿病の食事療法について教えてください。

川名部 新先生川名部先生

妊娠中に極端な食事制限をすると胎児の発育が抑えられてしまうため、適正なエネルギー量を摂取して母体の健康維持および胎児の発育エネルギー量の確保と適切な栄養配分を行うことが重要とされています。また、妊娠中の血糖変動の特徴として、空腹時は低血糖になりやすく食後は高血糖になりやすくなります。このため、妊娠中の食事療法としては分割食がよいとされています。規則正しい3食の食事の間にビスケットやヨーグルトなどの捕食を少しとることで、妊娠中の血糖変動を緩やかにすることが可能となります。

編集部編集部

産後はどのようにしたらよいでしょうか?

川名部 新先生川名部先生

無事に出産されてから1~3カ月後に血糖が正常の状態に改善しているか、ブドウ糖負荷試験にて確認します。ほとんどの患者さんは正常な血糖に戻っているのですが、先ほども解説したように一部境界型糖尿病や糖尿病と診断される人もいるため注意が必要です。にもかかわらず産後の検査の受診率は低く、2回目の受診率は30%という調査もあるほどです。無症状であることに加え、育児の多忙さや病識の低さが原因とされていますが、そのまま糖尿病が放置されると合併症を引き起こす可能性もあるため、ぜひ検査を怠らないでいただきたいです。

編集部編集部

1回目の妊娠で妊娠糖尿病になったら、2回目の妊娠時もなりますか?

川名部 新先生川名部先生

第1子の時に妊娠糖尿病になった人の41%くらいは第2子の妊娠時にも妊娠糖尿病になるというデータがあります。半数弱の方が2回目も糖尿病になるということですね。もちろん、第1子の時はなんともなく2回目で妊娠糖尿病になった人もいますので、どんな妊婦さんでも注意が必要です。また、ほかのリスクと同様に年齢とともに増える傾向にもあります。

編集部編集部

最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあればお願いします。

川名部 新先生川名部先生

何の症状もないのに検査で「糖尿病」と言われてしまい、不安が強くなってしまう人は結構いると思います。ですが、妊娠糖尿病はしっかり治療すれば問題なく元気な赤ちゃんを産むことができると言われています。放置が一番危険なので、産婦人科で指摘されたらきちんと検査を受けましょう。これは産んでからも同様で、育児はとても大変だとは思いますが、自分の体のケアも忘れずに大事にしてあげてください。

編集部まとめ

妊娠糖尿病について、糖尿病専門医の川名部先生に解説していただきました。妊娠中も産後も、忙しかったり体が大変だったりで、ご自身のケアを後回しにしてしまいがちですが、赤ちゃんを守るためにはママの体が第一ですので、検査や治療をしっかり行うようにしましょう。

医院情報

おばな内科クリニック

おばな内科クリニック
所在地 〒211-0045 神奈川県川崎市中原区上新城2-4-8
アクセス JR「武蔵新城」駅より徒歩1分
診療科目 内科、糖尿病内科、内分泌内科

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