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健康診断で「ヘモグロビンが高い」と言われたら?医師が病気のリスクなど徹底解説!

 公開日:2023/07/25
健康診断で「ヘモグロビンが高い」と言われたら?医師が病気のリスクなど徹底解説!

健康診断でヘモグロビンが高いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が血液検査の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

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健康診断・血液検査で「ヘモグロビン値が高い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

ヘモグロビンが低い状態(貧血)はよく見聞きしたことがあるかもしれませんが、ヘモグロビンが高い状態は馴染みがないかもしれません。
そもそもヘモグロビン(血色素)値とは、血液中に含まれる赤血球の色素の量を表す指標です。このヘモグロビン値が高いということは、赤血球が多すぎるということです。赤血球濃度が高まることで血液がドロドロな状態になって、血栓(血の塊)や脳梗塞を発症するリスクが高まります。この記事では、ヘモグロビン値が高い場合に考えられる病気やその対処法について解説していきます。

ヘモグロビン値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

ヘモグロビン値が高いということは、血液中の赤血球の量が多いことを意味します。赤血球は酸素を運ぶ役割をしていますが、過剰になると赤血球濃度が高まって血液の粘性が高くなって、血栓(血の塊)や動脈硬化を引き起こす危険性が高まります。また、酸素の供給が過剰になると、細胞の老化や炎症を引き起こす可能性もあります。
ヘモグロビン値が高くなる原因はさまざまですが、多血症や脱水症状、喫煙やストレスなどが考えられます。多血症は骨髄で赤血球が過剰に作られる病気で、頭痛やめまい、かゆみなどの症状が出ることがあります。脱水症状は水分不足によって血液の量が減り、相対的に赤血球の濃度が高くなる現象です。喫煙やストレスは血管を収縮させて血流を悪くし、赤血球の量を増やす働きをします。
ヘモグロビン値が高い場合は、まず原因を特定するために詳しい検査を受ける必要があります。多血症の場合は、薬物治療や血液を抜き取る瀉血治療などが行われます。脱水症状の場合は水分補給をしっかり行うことが大切です。喫煙やストレスの場合は禁煙やリラックス法などで改善することが望ましいです。
日常生活では、鉄分やビタミンB12などの造血に関係する栄養素を過剰に摂取しないように注意しましょう。また、適度な運動や睡眠、バランスの良い食事などで健康的な生活を心がけましょう。

女性でヘモグロビン値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

女性のヘモグロビン値が高い場合、多血症や脱水などの可能性があります。多血症は血液が濃くなり、血栓や心筋梗塞などを引き起こす可能性があります。脱水時は体内の水分が不足し、血液の流れが悪くなります。これらの病気は、喫煙やストレス、妊娠などが原因となることもあります。
ヘモグロビン値が高いときに考えられる症状は、のどの渇き、多尿、だるさ、めまいなどです。すぐにできる処置は、水分補給や塩分摂取、禁煙やストレスの軽減などです。
ヘモグロビン値を正常に保つためには、日常生活で気を付けるポイントがあります。バランスの良い食事や適度な運動、睡眠や休息などが大切です。また、定期的に健康診断を受けて、血液検査を行うことも必要です。
女性のヘモグロビン値は、男性よりも低めに設定されています。これは、女性の方が月経や出産などで血液を失う機会が多いためです。しかし、女性でもヘモグロビン値が高くなることはありますので、注意が必要です。

健康診断の「ヘモグロビン」の見方と再検査が必要な「ヘモグロビン値が高い」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

「ヘモグロビン」の基準値

ヘモグロビンの基準値は、男性が13.0~16.6g/dL、女性が11.4~14.6g/dLとされています。ヘモグロビン値がこの範囲よりも高いと多血症の可能性があります。
特に危険な数値はヘモグロビン値が20g/dL以上であり、血液がドロドロな状態になって血が塊やすく脳卒中などを発症するリスクが高まります。

判定 ヘモグロビン
基準値 男性:13.0~16.6g/dL
女性:11.4~14.6g/dL
多血症の可能性 男性:16.6g/dL以上
女性:14.6g/dL以上
脳卒中などを発症する危険数値 20g/dL以上

「ヘモグロビンが高い」ときの再検査内容

ヘモグロビンが高いときは、血液疾患や酸素不足などの原因を調べるために、血液一般検査や血液像(白血球分画)などの検査を行います。また、肝臓や脾臓の状態を確認するために、腹部超音波検査なども行うことがあります。
検査費用は検査項目の数やご自身が何割負担するかによって変わります。3割負担の方が初診で貧血の検査をした場合は、5000円〜7000円程度となる可能性がありますが、疑われた病気の内容によって変動する可能性があります。
ヘモグロビンが高いときは、血液が固まりやすくなり、血栓ができて血管を詰まらせる危険性があるため、早めに一般内科や血液内科での検査を受けることをお勧めします。
再検査結果によって原因が特定された場合は、その原因に応じた治療を行います。例えば、血液疾患の場合は薬物療法や骨髄移植などが行われます。酸素不足の場合は酸素吸入や呼吸器疾患の治療が行われます。また、生活習慣の改善や水分補給なども重要です。

健康診断・血液検査の「ヘモグロビンが高い」診断で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「ヘモグロビンが高い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

多血症

多血症とは、血液中の赤血球やヘモグロビンなどの成分が過剰に増える病気です。
発症の原因は、骨髄の異常や高地に住むこと、喫煙、心臓疾患、肺疾患などがあります。
初期の段階で症状はないため、多くの場合には健康診断などの定期検査によって見つかります。病気が進行すると頭痛やめまい、手足のしびれなどの症状が現れます。
多血症は、血液がドロドロな状態になるので血が高まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を引き起こす危険性があります。
対処法は、水分を多くとることや、喫煙やアルコールの摂取を控えることも必要です。治療法は、骨髄抑制剤や抗凝固剤などの薬物療法、定期的に血液を抜き取って血液を減らす瀉血治療などがあります。
頭痛やめまいなどの症状がある場合や、定期検診で血液検査の異常が見つかった場合には、一般内科や血液内科を受診しましょう。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に上気道が閉塞し、呼吸が10秒以上止まる病気です。血液中の酸素濃度が低下することでヘモグロビンの合成を促進し、多血症を引き起こす可能性があります。原因は肥満や顎の小ささなどで、いびきや日中の眠気などが症状です。重症になると心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まります。
自宅では、経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)やマウスピース装着などの対処法がありますが、扁桃摘出術などの手術治療も行われることもあります。
日中に眠気を自覚している場合には、一般内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

「ヘモグロビンが高い」ときの正しい対処法・改善法は?

ヘモグロビンが高いときは、水分を多めに摂ることで血液をサラサラにすることが大切です。1日に2リットル以上の水分を飲むように心がけましょう。また、ストレスを溜めないことも重要です。ストレスは赤血球の増加を促すため、リラックスできる趣味や運動などを取り入れると良いでしょう。

また頭痛やめまい、手足のしびれや冷え、肩こりや胸の痛みなどの症状が出ることがあります。これらの症状は、血流が悪くなっていることを示しています。その場合は、血行を良くするマッサージやストレッチ、温かいお風呂などで血管を広げることが効果的です。ただし、強い刺激は逆効果になることもあるので、無理をしないように注意しましょう。

鉄分やビタミンB12などの造血成分を控えることも必要です。これらの成分は赤血球の生成に関係しています。特に動物性の食品に多く含まれているので、肉や卵、乳製品などは避けるか少量にしましょう。

また血液をサラサラにする効果がある栄養素を積極的に摂ることをおすすめします。例えば、オメガ3脂肪酸やビタミンEなどです。オメガ3脂肪酸は青魚やナッツなどに含まれており、血小板の凝集を防ぐ働きがあります。ビタミンEは植物油や種実類などに含まれており、血管内皮細胞の保護や抗酸化作用があります。

睡眠不足やストレスは、血圧や血糖値を上げて血液の流れを悪くします。十分な睡眠やリラックスする時間をとりましょう。
早くヘモグロビンを下げたい場合は、医師の診断と治療が必要です。背景に何らかの疾患・病気がある場合は、治療が必要になることもあります。自己判断せずに、医師に相談しましょう。

「ヘモグロビンが高い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「ヘモグロビンが高い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健康診断でヘモグロビン値A1cが高いと言われたら危険な状態ですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

HbA1cは、血液中のヘモグロビンとブドウ糖が結合したもので、過去2~3ヶ月間の平均血糖値を反映します。一般的に、HbA1cの基準値は6.5%以下とされていますが、年齢や病状によって異なる場合があります。健康診断でHbA1cが高いと言われたら、医師に相談して、食事や運動などの生活習慣を改善する必要があります。

血液検査のヘモグロビンHbA1cが高いとどんなリスクがありますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

HbA1cが高いと、糖尿病の合併症のリスクが高まります。合併症には、心筋梗塞や脳卒中などの血管障害、視力低下や失明などの眼科的障害、腎不全や透析などの腎臓障害などがあります。HbA1cを適切な範囲に保つことで、これらのリスクを低減することができます。

ヘモグロビンが高いときは何科を受診すればいいですか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

ヘモグロビンが高いときは、まず内科を受診してください。内科では、血液検査や尿検査などで原因を調べます。多血症の場合は、血液を抜く治療や薬物治療が必要になることがあります。脱水状態の場合は、水分や電解質の補給を行います。また、ヘモグロビンが高い原因となる生活習慣やストレスなどについてもアドバイスを受けましょう。

ヘモグロビンが高いのですが食事で改善できますか?

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

食事で改善できるかどうかは、ヘモグロビンの高さの原因によって異なります。鉄分やビタミンB12などの摂取過多が原因の場合は、それらを控えることで改善できる可能性があります。しかし、喫煙や睡眠不足、脱水症状などが原因の場合は、食事だけでは十分ではありません。生活習慣の見直しや医師の診察が必要です。ヘモグロビンの高さは放置できない問題ですので、早めに対処しましょう。

ヘモグロビンが高いときは献血しない方がいいのでしょうか。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

極端にヘモグロビンが高い場合には、病気や薬の副作用などの影響も考えられます。検査を受けて問題ない状態を確認してから献血を行うのが良いでしょう。

まとめ 健康診断でヘモグロビン値が高いと繰り返し言われたら軽く考えずに受診を検討しましょう!

ヘモグロビンが高いと、血液が濃くなるために血液が詰まりやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。この状態を多血症といいます。多血症の原因はさまざまですが、喫煙やストレス、骨髄の異常などが考えられます。

多血症は自覚症状がないことも多いのですが、頭痛やめまい、ふらつき、目や皮膚が赤くなったり、手足がしびれたりすることもあります。これらの症状は血液の流れが悪くなって酸素不足になっているサインです。
放置すると重篤な事態に陥る恐れがあるので、早めに治療を受けることが大切です。もし健康診断でヘモグロビンの数値が高いと言われたら、早めに医療機関を受診しましょう。

「ヘモグロビンが高い」で考えられる病気

「ヘモグロビンが高い」から医師が考えられる病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

ヘモグロビンが高い場合の初期段階では自覚症状はありませんが、何らかの病気が隠れていることもあるので注意しましょう。

この記事の監修医師