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「上咽頭がんを発生する原因」はご存知ですか?症状についても解説!

 公開日:2024/05/21
「上咽頭がんを発生する原因」はご存知ですか?症状についても解説!

上咽頭がんは、鼻腔の奥にある上咽頭にできる悪性腫瘍のことをいいます。

初期の頃には自覚症状が乏しいこともあり、がんの発見が遅くなる傾向にある病気です。発見のタイミングによっては完治が難しくなります。

そうならないためにも、上咽頭がんの知識をつけておきましょう。この記事では、上咽頭がんの特徴・発症原因・検査法・治療法などを紹介します。

上咽頭がんの予防や治療の参考にしてください。

監修

上咽頭がんとは?

上咽頭がんがどこにできるがんで、どのような病気なのかを知っている方は少ないでしょう。以下で、上咽頭がんの特徴や好発年齢を説明します。

特徴

上咽頭がんは、上咽頭にできるがんで、頭頸部がんの1つです。頭頸部は、脳・目・頸椎を除いた首と頭を指します。咽頭は、鼻の奥から食道までの部分で、3つの部位に分かれています。
上咽頭が位置するのは、頭蓋骨の底部のすぐ下から、鼻の奥にあたる部分です。上咽頭がんは、ほかの頭頸部がんと腫瘍の特性が異なり、低分化・未分化なものが多いのも特徴です。
初期は自覚症状がみられないことも多く、見つかった時には頸部リンパ節に転移していることも珍しくありません。また、肺・肝臓・骨などの他臓器への遠隔転移が起きやすいのも特徴として挙げられます。
なお、中国東南部や東南アジアの地域では、ウイルス性の上咽頭がんにかかる方が多いです。発症の要因として、EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス)やこれらの地域で食べられている塩漬けにした魚の摂取との関連が考えられます。
30歳以下の若い方にも発症する点も上咽頭がんの特徴です。

好発年齢

上咽頭がんの好発年齢は、40~70代です。男女ともにこの年齢層で発症する確率が高く、男女比は約3対1と男性の方が多い傾向にあります。食生活などの生活習慣などが関係していると考えられています。

上咽頭がんの発症原因

上咽頭がんが発症する原因を知ることは、予防に役に立つでしょう。以下で上咽頭がんが発症する原因を3つ紹介します。

EBウイルス

EBウイルスは、エプスタイン・バーウイルスといい、人に感染するウイルスの一種です。ガンマヘルペスウイルスに分類されるウイルスの一種で、成人の90%以上の方が感染しており、生涯に渡って潜伏感染します。
多くの方では風邪のような症状で済みますが、一部の方ではがんやその他の病気を生じさせる原因にもなるウイルスです。

喫煙・飲酒

喫煙・飲酒も、上咽頭がんの発症リスクを高める原因の1つです。がんの発生には遺伝子の損傷が関係しています。正常な細胞の増殖は遺伝子によってコントロールされています。
しかし、何らかの原因で遺伝子が傷つくと細胞増殖がコントロールできなくなり、無秩序に増殖してしまうことがあるのです。このような細胞をがんと呼びます。
タバコの煙には発がん性物質が含まれているため、喫煙により発がん性物質に晒されている時間が長くなると、遺伝子が傷つきやすくなります。
また、飲酒も同様です。お酒を分解する過程で発生するアセトアルデヒドもエタノールも発がん性物質であるため、上咽頭がんの発がんリスクを高めます。加えて、飲酒と喫煙もされる方では、多発がんの可能性も高くなる傾向にあります。

食生活

上咽頭がんの発症原因の3つ目は、乱れた食生活です。塩分が多い食事・野菜や果物を食べない偏食・熱すぎる食べ物や飲み物なども、がんの発生リスクを高めます。
食生活が乱れている方は、バランスのとれた食生活を心がけましょう。

上咽頭がんにみられる症状

上咽頭がんは、自覚症状に乏しい病気です。初期の頃に現れる症状を知っておくことで早期に対応ができます。

鼻づまり・鼻血

上咽頭がんにみられる症状として、鼻づまり・鼻血があります。咽頭自体の症状はほとんど現れず、耳や鼻の症状で気付くのが上咽頭がんの特徴です。
後鼻孔(のどにつながる出口)が腫瘍で塞がれるために鼻づまりがおきやすくなります。症状が長期間続く場合は、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳の閉塞感

耳の閉塞感も上咽頭がんでみられる症状の1つです。上咽頭と耳は、耳管という細長い管でつながっています。そのため、腫瘍により耳管が塞がれることで滲出性中耳炎になり、耳の閉塞感や違和感を覚えることがあります。
片側の滲出性中耳炎の場合には、上咽頭がんが疑われるため、耳のつまりや聞こえにくさがある場合は早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

頸部のしこり

上咽頭がんが見つかるきっかけになる症状として、頸部のしこりが挙げられます。咽頭の周囲にはリンパ節が多く存在しているため、頸部のリンパ節に転移しやすいのも上咽頭がんの特徴です。
上咽頭がんの初期の頃は自覚症状に乏しいこともあり、頸部のしこりでがんの存在に気付く場合があるでしょう。

上咽頭がんの検査・治療法

上咽頭がんは、初期の自覚症状が乏しい病気でもあり、発見時に早急な治療が必要になる場合も出てきます。以下では、上咽頭がんの検査法と治療法を紹介します。

検査

上咽頭がんでは、触診・内視鏡検査・生検・CT・MRIなどの検査を行います。
触診は、リンパ節への転移を確認する検査です。上咽頭がんはリンパ節への転移を起こしやすい病気なので、頸部リンパ節の腫れを確認するために触診が行われます。
内視鏡検査は、内視鏡を鼻から挿入し、上咽頭の状態を映像を直接見ながら確認する検査です。生検は、上咽頭の病変部の一部を切り取って顕微鏡で観察します。
また、治療前のがんの状態やリンパ節への転移を調べる際に行うのがCT検査です。造影剤を使用することで、がんの広がりなどのより詳しい情報が得られます。
MRI検査は、CT検査に比べて、がんの病変部と正常な組織との判別が明確になりやすい検査です。CT検査とは違う視点からがんの情報が得られます。

治療法

上咽頭がんの治療として放射線治療が第一に選択されるのは、上咽頭は手術が難しい部位だからです。
手術を行うケースとして頸部リンパ節の切除が挙げられますが、手術をしても再発する可能性があるため、放射線治療を中心に治療を行います。
さらに、上咽頭がんの細胞は放射線が効きやすい傾向にある点も、放射線治療が優先される理由です。また、放射線治療単体よりも薬物療法と併用したほうがより治療効果が高いです。

上咽頭がんの原因についてよくある質問

ここまで上咽頭がんの特徴・発症原因・検査・治療法などを紹介しました。ここでは「上咽頭がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

発症リスクを下げるために日常生活で心がけることはありますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

がんの発症リスクを下げるために、健康的な生活習慣を心がけましょう。過度な飲酒・喫煙・偏った食習慣はがんのリスクを高めます。そのため、喫煙・飲酒はできるかぎり抑え、バランスのとれた食事を心がけてください。また、上咽頭がんは発症しても症状に気付きづらいため、鼻づまりや鼻血などが続く場合には早めに医療機関を受診して検査をするようにしましょう。早期発見につながり、がんが進行しないうちに治療が行える可能性があります。

EBウイルスに感染すると必ず上咽頭がんを発症しますか?

渡邊 雄介医師渡邊 雄介(医師)

上咽頭がんの発症に関与しているのはEBウイルスですが、感染したら必ず上咽頭がんを発症するわけではありません。EBウイルス自体には成人の90%以上の方が感染していますが、日本で上咽頭がんの診断を受けているのは1年間で約750人です。なお、日本でEBウイルスが原因ではない上咽頭がんにかかる人はいます。中国や東南アジアの地域に比べ10~20%多い状況です。年齢も高齢で、EBウイルスが原因の上咽頭がんよりも予後が悪いのが特徴です。気になる症状がある方は、耳鼻咽喉科を受診するのがいいかもしれません。

編集部まとめ

上咽頭がんの特徴・発症原因・検査法・治療法などを紹介しました。上咽頭がんは、上咽頭にできる悪性腫瘍です。

EBウイルス・喫煙・飲酒・食生活などの生活習慣が原因で引き起こされます。初期には鼻づまり・鼻血・耳の閉塞感などの症状が現れるのが特徴です。

自覚症状に乏しいため、診察を受けた時点で進行しているケースも珍しくありません。

そうならないためにも、禁煙・適度な飲酒・バランスの取れた食事を心がけましょう。また、体の不調が長引く際には、早めに病院を受診しましょう。

加えて、気になる症状がある場合は医療機関を受診して、早期発見につながるよう心がけてください。

上咽頭がんと関連する病気

「上咽頭がん」と関連する病気は4個程あります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの開設記事をご覧ください。

上記のがんは、上咽頭がんと同じ頭頸部がんに分類されるがんです。頭頸部には、日常生活をおくるうえで、大切な器官が集まっており、舌や咽頭などが障害されると生活の質が下がります。生活の質を下げないためにも初期症状を知り、早期発見につとめましょう。

上咽頭がんと関連する症状

「上咽頭がん」と関連している、似ている症状は4個程あります。
各症状・原因・治療方法などについて詳細はリンクからMedical DOCの開設記事をご覧ください。

関連する症状

上記の症状は上咽頭がんの初期にみられる症状です。これらの症状が長引く場合は、できるかぎり早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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