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コレステロール値が高いと言われたら?医師が病気のリスクなどを徹底解説!

 公開日:2023/07/19
コレステロール値が高いと言われたら?医師が病気のリスクなどを徹底解説!

健康診断でコレステロール値が高いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が血液検査の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

川島 峻

監修医師
川島 峻(新宿アイランド内科クリニック)

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医師、医学博士。横浜市立大学医学部、東京大学大学院医学系研究科卒業。虎の門病院、東大病院心臓呼吸器外科、Brigham and Women's Hospitalなどで勤務。現在、新宿アイランド内科クリニック院長として幅広い世代に対して内科疾患、予防医療を中心に診療している。呼吸器専門医、胸部外科専門医会員、呼吸器外科専門医、外科専門医、がん治療認定医。

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健康診断・血液検査で「コレステロール値が高い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

血液の中にはLDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)など様々な脂質が含まれています。悪玉コレステロールであるLDLコレステロールや総コレステロール値が高い状態を高コレステロール血症と言います。この記事では「コレステロール値が高い」と診断されたときに考えられる原因と対処法について解説します。

コレステロール値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

コレステロール値が高くても基本的には無症状です。しかし、高コレステロール血症は動脈硬化症の重要な危険因子の1つですので、無症状だからといって放置していると脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気を起こしてしまう可能性が高くなってしまいます。原因の大部分は油っこい食事の取りすぎや、運動不足、肥満などの生活習慣病ですが、中には他の病気が原因でコレステロール値が高くなってしまう場合もあります。他の原因としてホルモン異常である甲状腺機能低下症やクッシング症候群、腎臓の病気であるネフローゼ症候群や肝臓の病気である閉塞性黄疸などがあります。さらに遺伝によってコレステロールが高くなる家族性高コレステロール血症の場合もあるので、コレステロールが高いことを指摘された場合には、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
これらの病気ではなく生活習慣が原因の高コレステロール血症の場合には食事療法、運動療法を取り入れるなど生活習慣の改善を行ってください。それでもコレステロールが目標値まで下がらない場合にはお薬を使用する方法があります。診断と治療は内科で行われます。

瘦せているのにコレステロール値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

高コレステロール血症は太っている方だけにみられるわけではありません。痩せていてもアルコールを飲みすぎていたり、運動が不足している方では内臓脂肪が蓄積してコレステロールが高くなっているかもしれません。また他の病気や遺伝による家族性の高コレステロール血症の可能性がありますので、痩せていても楽観視は禁物です。
コレステロールが高いと診断された場合、野菜を中心とした食事とし週に2-3回程度の有酸素運動を行うなど生活習慣の改善をしていきましょう。その上で、診断をつけるために内科を受診し、精査を受けることが大切です。

妊娠中や産後にコレステロール値が高いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

妊娠中や産後にコレステロール値が高い場合でも特に症状はありません。一般的に妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモンの増加によってコレステロール値が上昇します。そのため妊娠中の異常は生理的なものであり、分娩後には低下することも確認されているため治療しないことがほとんどです。また高LDLコレステロール血症で最も使用されているスタチン系の薬剤は催奇形性の心配もあるので、お薬による治療は行わないようにしましょう。もちろん、生理的なものだけではなく、生活習慣の乱れによってコレステロールが上昇していることもありますし、妊娠中、産後では運動が不足しがちになるので積極的にウォーキングなどの有酸素運動を取り入れ予防に努めることが大切です。

健康診断の「コレステロール値」の見方と再検査が必要な「コレステロール値が高い」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断・血液検査の「コレステロール値」の基準値

健康診断におけるLDLコレステロールの基準値は60-119 mg/dl、HDLコレステロールの基準値は40 mg/dl以上となっています。特に危険な数値はLDLコレステロールの数値です。治療の目標は年齢や高血圧の有無、喫煙歴など他の動脈硬化のリスク因子の数によって決まりますが、140以上の高値の場合には一度内科で診察を受けることが必要です。

健康診断・血液検査で「コレステロール値が高い」ときの再検査基準と内容

LDLコレステロールが120-139 mg/dlの範囲にある場合は軽度異常と判定され、再検査の必要性はありません。引き続き健康診断などで推移を観察するようにしましょう。しかし、140 mg/dl以上の場合には要再検査・生活指導であり、180以上の場合には要精密検査・治療に該当します。再検査の場合には、クリニックや病院の内科で血液検査を行う必要があります。また医師の問診、診察により他の病気による高コレステロール血症が疑われた場合には追加の血液検査、尿検査などが行われます。再検査の時期は3ヶ月後、もしくは6ヶ月後に記載されることが多く、指示にしたがって受診するようにしましょう。再検査結果に応じて、治療が必要と判断された場合には、生活習慣の改善から行い、治療目標を達成できない場合にはお薬による治療が行われます。

LDLコレステロール値 判定
60-119 mg/dl 基準値
120-139 mg/dl 軽度異常
140 mg/dl以上 要再検査・生活指導
180 mg/dl以上 要精密検査・治療

健康診断・血液検査の「コレステロール値が高い」診断で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「コレステロール値が高い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症とはLDLコレステロールや、善玉コレステロールであるHDLコレステロール、中性脂肪、総コレステロールなどの血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を言います。発症の原因として最も多いのは、食事における脂質の取りすぎが挙げられます。脂質の中でも特に飽和脂肪酸という肉の脂身、バター、ラード、生クリームなどに多く含まれる脂質の取りすぎが関連しており、対処法の第一は食事習慣の改善です。さらに肥満や運動不足も関連していますので、バランスのとれた食生活への改善と運動習慣を取り入れることが肝要です。それでも数値が下がらず、健康診断で病院受診を指摘された場合には病院で再検査が必要であり、場合によってはお薬での治療が検討されます。全員にお薬が必要なわけではありませんが、お薬は様々な種類があり、担当の医師とよく相談するようにしましょう。脂質異常症は主に内科で診察、治療が行われます。

動脈硬化

動脈硬化は動脈の血管が硬くなってしまい、弾力性が失われてしまった状態を言います。基本的には無症状ですが、血管の内側にプラークや血栓が付着して血管が詰まりやすい状態であり、放置しておくと心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。動脈硬化の原因は複数あり、加齢、高血圧、喫煙、脂質異常症、肥満、運動不足、糖尿病などがあります。このうち、高血圧、脂質異常症、病的な肥満、糖尿病などは病院で診断、治療をすることが可能ですので、健康診断でメタボリックシンドロームに該当した場合や各種の検査異常がある場合には内科や糖尿病科などを受診するようにしてください。

心筋梗塞

心筋梗塞は心臓を動かす心筋を栄養している血管が狭くなったり、閉塞することによって激しい胸の痛みを起こす病気です。原因の多くは動脈硬化であり、がん(悪性新生物)・心疾患・脳血管疾患が日本人の三大死因と言われるように死亡率が高い病気です。そのため、急に胸の痛みが生じたときには救急車を要請するなど一刻も早く病院を受診してください。病院では循環器内科が治療に対応します。

脳梗塞

脳梗塞は脳を栄養する血管が狭くなったり、閉塞することによって脳細胞が障害され、手足の麻痺や呂律が回らないなどの症状を起こす病気です。原因の多くが動脈硬化ですが、不整脈で心臓にできた血栓によって起こることもあるので、健康診断でコレステロール値が高いと言われた方が心電図で不整脈が指摘された場合には注意が必要です。発症してから時間が経過すると症状が悪化することが多いので、脳梗塞の症状が現れた時にはすぐに救急車を呼ぶなど早めに病院を受診しましょう。神経内科や脳外科が診察の対応をします。

「コレステロール値が高い」ときの正しい対処法・改善法は?

高コレステロール血症に対しては、生活習慣や食生活の改善が最も重要です。ウォーキングや水泳、サイクリングなど20-30分程度の有酸素運動を週に数回行うと、コレステロール値を下げる効果があります。さらに、肉や乳製品、加工食品に多く含まれる飽和脂肪酸は、コレステロール値を上昇させますので、摂取を控えるようにしましょう。逆に、オメガ-3脂肪酸を含む魚(サバ、サンマなどの青魚)、オリーブオイル、アボカド、ナッツ類など、良質な脂質を摂取することが推奨されます。さらに食物繊維や果物などの摂取も有効です。これらを行っても、数値が下がらない場合にはお薬が必要になる場合があるので医師に相談するようにしてください。

「コレステロール値が高い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「コレステロール値が高い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

健診結果でコレステロール値が高い場合、原因は何なのでしょうか?

川島 峻川島 峻 医師

多くは生活習慣の乱れによる脂質異常症です。

コレステロール値が高いのですがおすすめの食事を教えてください。

川島 峻川島 峻 医師

野菜やきのこ、海藻、大豆製品、魚類がおすすめです。肉や揚げ物は控えるようにしましょう。

中性脂肪値・LDLコレステロール値を下げる方法はありますか?

川島 峻川島 峻 医師

食事習慣の改善と、有酸素運動です。これらで下がらない場合にはお薬で治療することができます。

女性で生理中にコレステロール値が高くなることはありますか?

川島 峻川島 峻 医師

女性ホルモンであるエストロゲンはコレステロールを肝臓に取り込む作用があるので、閉経後ではコレステロールが高くなる傾向があります。

痩せていてもコレステロール値が高い人は遺伝も原因しますか?

川島 峻川島 峻 医師

可能性はありますが、多くは食事習慣が原因です。痩せていても食事から脂肪を多くとっている方は高コレステロール血症となる可能性があります。しかし、遺伝する家族性高コレステロール血症という病気もあるため、ご家族に治療中の方がいる場合は一度検査をお勧めします。

まとめ 健康診断でコレステロール値が高いと言われたら食生活の見直しを!

健康診断でコレステロール値が高いと言われた場合、多くは油っこい食事を摂り過ぎていることが原因です。適切な食事制限やバランスの取れた食事、適度な運動などの対策を行うことで、コレステロール値を改善することができます。医師や栄養士の指導を仰ぎながら、健康な生活習慣を取り入れるようにしましょう。

「コレステロール値が高い」で考えられる病気と特徴

「コレステロール値が高い」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

バランスの取れた食事、運動習慣を身につけるなどの対策によって、コレステロール値を改善することができます。

この記事の監修医師