目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. コラム(医科)
  4. 【医師解説】肥満治療・肥満外来はどんな内科的治療・手術をするの?

【医師解説】肥満治療・肥満外来はどんな内科的治療・手術をするの?

 公開日:2023/03/30
肥満治療を行う肥満外来について医師が解説 どんな内科的治療・手術をするの?

「エステや美容クリニックにいっても痩せられない」という人もいるかもしれません。そんなときは、肥満外来に相談してみると良いかもしれません。一体、肥満外来とはどのような治療をするのか、東京たかはしクリニック練馬院の高橋先生にMedical DOC編集部が詳しく話を聞きました。

高橋 昂大

監修医師
高橋 昂大(東京たかはしクリニック練馬院)

プロフィールをもっと見る
2010年日本大学医学部卒業。日本赤十字社医療センター外科、東京大学医学部附属病院心臓血管外科、新東京病院心臓血管外科、メディカルトピア草加病院などに勤務。2020年海外留学(Khoo Teck Paut Hospital)。日本外科学会専門医、日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、日本消化器外科学会指導医、下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による指導医、日本内視鏡外科学会内視鏡外科技術認定医、The European Association for Endoscopic Surgery、The International Federation for the Surgery of OBESITY AND METABOLIC DISORDERS (IFSO)。

そもそも肥満・肥満症は治療が必要な病気? 合併症の可能性は? 高度肥満症とはBMIいくつ以上のどんな人?

そもそも肥満・肥満症は治療が必要な病気? 合併症の可能性は? 高度肥満症とはBMIいくつ以上のどんな人?

編集部編集部

「肥満」「肥満症」という言葉を耳にすることがありますが、2つの意味は同じではないのですか?

高橋 昂大先生高橋先生

いいえ、医学的には異なります。肥満とは「太っている状態」を示す言葉。一般に、BMIが25以上の場合を肥満といいます。一方、肥満症とはBMIが25以上の肥満であり、かつ糖尿病、脂質異常症、高血圧など肥満による健康障害を少なくとも1つ以上発症している、あるいは健康障害を発症するリスクが高い状態を指します。

編集部編集部

肥満や肥満症は治療が必要なのでしょうか?

高橋 昂大先生高橋先生

単なる肥満に分類される場合には、本人が希望しなければ必ずしも治療は必要ではありません。しかし肥満症の場合は、糖尿病や脂質異常症などの合併症を発症している、または発症するリスクがあるため治療が必要になります。

編集部編集部

肥満による合併症には、ほかにどのようなものがあるのですか?

高橋 昂大先生高橋先生

糖尿病、脂質異常症、高血圧のほか、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝、高尿酸血症(痛風)、心筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患、脳梗塞、月経異常、不妊などがあります。

編集部編集部

さらに肥満が進むとどうなるのですか?

高橋 昂大先生高橋先生

BMIが35(アジア人はBMI32.5)を超えると高度肥満となり、肥満による健康被害が生じている場合を高度肥満症といいます。ここまで体重が増えてしまうと、ご自身でダイエットするのが厳しくなります。コロナの自粛や食生活の欧米化などに伴い、日本における高度肥満や高度肥満症の人数は年々増加しています。

病院で肥満治療を行う肥満外来ではどんな相談ができる? 治療法や手術の有無、減量効果を教えて

病院で肥満治療を行う肥満外来ではどんな相談ができる? 治療法や手術の有無、減量効果を教えて

編集部編集部

病院で肥満治療を行えると聞きました。

高橋 昂大先生高橋先生

はい、病院では医学的なアプローチにより、健康的に減量を目指すことができます。これを肥満治療といい、最近では肥満外来を設ける医療機関も増えてきました。多くの場合、内科で行われています。

編集部編集部

肥満外来とはなんですか?

高橋 昂大先生高橋先生

「ダイエット外来」とも呼ばれ、肥満を解消したり、改善したりすることを目的に医師がダイエットを指導します。医師、管理栄養士、健康運動指導士などが、医学的な観点からダイエットをサポートします。

編集部編集部

具体的にはどのようなことを行うのですか?

高橋 昂大先生高橋先生

まずは問診により、いつ頃から肥満になったのか、合併症はないか、食事内容などをお聞きします。その後血液検査を行って、肥満に関わるホルモンに異常がないかを確認して、肥満の原因を調べます。

編集部編集部

そのあとは?

高橋 昂大先生高橋先生

管理栄養士による食事指導や、健康運動指導士による運動指導などを行いつつ、薬や注射などの薬物治療を行います。薬物治療は食欲を抑えたり、胃の動きをゆっくりにしたりすることが目的です。急激に体重が減ることはありませんが、体に負担をかけず、安全に減量を実現することが可能です。

編集部編集部

それでも体重が減らなかったらどうするのですか?

高橋 昂大先生高橋先生

一般的な指導で減量が難しい場合、あるいはもっと減量が必要な場合には、内視鏡を使う治療や手術という方法もあります。

肥満外来での治療では食事療法・運動療法も必要? 肥満患者の治療費用・保険適用についても知りたい

肥満外来での治療では食事療法・運動療法も必要? 肥満患者の治療費用・保険適用についても知りたい

編集部編集部

肥満外来では食事療法と運動療法の2つが必要なのですか?

高橋 昂大先生高橋先生

肥満の原因を簡単にいえば、食べ過ぎと運動不足ですから、その2つは必要です。一番重要なのは食事療法です。管理栄養士と面談し、日頃の食生活を見直して食生活の改善をめざします。一方、運動療法は肥満の人の場合、運動が苦手な方も多いので体力に応じて実践します。

編集部編集部

肥満外来の治療は、保険が適用になるのですか?

高橋 昂大先生高橋先生

基本的に肥満外来は、肥満関連の合併症があれば保険適用になります。また、BMIが35以上の高度肥満症の場合には、健康保険が適用されるので、1割または3割負担で治療を受けることができます。

編集部編集部

肥満外来の治療費は、どれくらいが目安ですか?

高橋 昂大先生高橋先生

保険適用の場合、初診料の一般的な目安は2000~1万円程度です。ただし、医療機関によって異なるため、事前に確認しておくことをお勧めします。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。

高橋 昂大先生高橋先生

私が肥満治療を行う際、いつも患者さんにお話しするのは、「そもそもダイエットは簡単ではない」ということ。世の中には無数にダイエット法があり、これまでいろいろな方法に挑戦しては、失敗を繰り返してきた人も多いでしょう。減量を成功させるコツは、自分に合った減量方法を見つけることです。そのためにも肥満外来を活用するのは、非常に有効な手段です。まずは一人で悩まず、外来でぜひ相談してください。セカンドオピニオンなども活用しながら、ぜひ信頼できる医師と出会い、減量に取り組んでほしいと思います。

編集部まとめ

これまでダイエットの失敗を重ねてきた人にとって、肥満外来は頼もしい味方になるかもしれません。保険が適用になるかは肥満の度合いにもよりますが、肥満に悩んでいる人は、ぜひ一度、相談してみてはいかがでしょうか。

医院情報

東京たかはしクリニック練馬院

東京たかはしクリニック練馬院
所在地 〒177-0033 東京都練馬区高野台1-5-4 デコラート高野台2階
アクセス 西部池袋線「練馬高野台駅」より徒歩1分
診療科目 消化器内科、消化器外科

この記事の監修医師